實方 佑介 氏インタビュー|3DCG 制作入門向けパソコン SENSE∞

  • 初学者でもBlenderを安心して使えるPCが3モデルラインナップ!
    9万円台で始める3DCG!Blender人気講師がSENSE∞を検証

    無料で使用でき、一般的なDCCツールに求められるほぼ全ての機能を内包するBlenderは、プロだけでなくこれから3DCG制作を始めるユーザーにとっても非常に強力なツールとなる。こうした背景から、パソコン工房は3DCGのエントリー層向けにBlender対応デスクトップPC2機種とノートPC1機種をリリース。同モデルの検証結果、および使用感について、株式会社ブルームスキームCTO實方佑介氏に訊いた。

    實方 佑介
    漫画業界でデジタル背景を制作していくうちに、もうちょっと効率化できないかと3D背景制作を開始。さらにもっと効率化できないかと各種3Dワークフローツール開発をしていたら、エンジニアになってしまいました。現在はBlender講師のほか、株式会社ブルームスキームのCTOとして「Kimakuri」というオンライン3D試着アプリを製作中です。
    Twitter:@GhostBrain3dex
    https://www.bloomscheme.com
    https://kimakuri.com/

    實方 佑介氏の作品です。

    ポイントはレンダリング速度と操作性 3モデルをそれぞれ検証

    正直言って9万円台でここまでのスペックだとは思いませんでした。私が学生時代に欲しかった!というのが本音です。私が普段PCを選定するときは安定性を第一としますので、Blenderの場合は最低でも4GB以上のVRAMと、メモリ16GB以上がマストだと考えています。今回はいずれの機種も基準を超えていますが、どういった意図でこの3モデルを構成しているのでしょうか。

    BlenderはGPU依存の機能が多いので、9万円台のエントリーモデルからGeForce GTX 1650 Super (VRAM 4GB)を搭載しています。スタンダードモデルはCPUがCorei7-9700、GPUがGeForceRTX 2070 Superとなっているほか、ノートPCにはGeForce RTX 2060を選定しています。いずれもVRAMに余裕のあるGPUです。CPUも、エントリーモデルでもCorei5-9400も6コア/6スレッド、2.9-4.1GHzと高水準で日常使いでも問題ありません。

    今回は「Blender Open Data」(※後述)を用いたベンチマークの検証と、それぞれのPCで同一のシーンファイルを展開し、操作した際の快適性を検証しました。まずはGPUレンダリングを行なった際の速度ですが、スタンダードモデルが最も早く、次点はノートPC、その次がエントリーモデルとなっています。これは純粋にGPU性能の恩恵かと思います。

    想定通りの結果ですね。実際の使用感についてはいかがでしたか?

    3Dビューポートでの比較では、明確にスタンダードモデルが早いという印象でした。Blenderのプレビューはマテリアルを表示回転する際、回転中は仮のライティングが行われ、回転が終了した時点で本ライティングが行われるという仕様ですが、画がはっきり出るまでの速度はスタンダードモデルが他に比べ2倍ほど速かったです。また、GeForce RTX搭載機種についてはOptiXでも検証を行いましたが、これもソリッド表示では大きな差がないもののマテリアル表示では大きな速度差がありました。一点、意外だったのは3Dビューポートの場合エントリーモデルがノートPCよりもレスポンスが良かったという点です。

    ノートPCの場合、できるだけ消費電力を抑えてバッテリーを長持ちさせるという考え方も重要です。そのため、処理負荷がない状態では最低限の動作のみに限り、なるべくバッテリー負荷を軽くする状態を保っています。ローボルテージから最大パフォーマンスに移行するまでの初速の差かも知れません。

    今回は漫画表現も試していて、こちらはBlender2.79で検証しました。こちらもスペック通りの結果になっていますが、スタンダードモデルが最も早いのは当然として、エントリークラスも3年前のハイエンドモデルと同程度のパフォーマンスを出しています。ノートPCは回転などの処理は先ほどと同様にかくつきは多少ありましたが、それでも3,200万ポリゴンとものすごく大型のデータですから、単純にこのシーンをモバイル環境で取り扱えるのはすごいですね。

    最後に3モデルの全体的な所感をお願いします。

    重いシーンを扱う場合はスタンダードモデルが最適ですが、エントリーモデルでもソリッド表示や単体のマテリアル表示であれば遜色なく動きますので、予算に合わせて「スタンダードモデルで快適性を担保するか、エントリーモデルで作業内容・環境を工夫するか」という選択ができる点が良いですね。ノートPCもこのサイズと重量感でこのスペックは、以前に比べて大きな進歩を感じます。

    ありがとうございました。


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