背景3Dアーティスト 中村 基典 氏が徹底検証 | フォトグラメトリー向けパソコン
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フォトグラメトリー快適化を実現するためのPCスペックは?
背景3Dアーティスト 中村 基典 氏が徹底検証!フォトリアルな3Dデータを取得する方法として定着しつつあるフォトグラメトリー。非常に手軽ではあるが、複数の撮影データを点群化、メッシュ化、テクスチャ化を行う一連の過程は、高い負がかかることで知られている。そこで今回、フォトグラメトリーを快適に行うための機材構成を探るため、背景3Dアーティスト 中村 基典 氏に「パソコン工房」のフォトグラメトリー向けモデルを検証してもらった。
背景3Dアーティスト
中村 基典 氏
CG専門学校卒業後、都内のゲーム開発会社に就職。モバイル/コンシューマーゲームのリアルタイムレンダリング3D背景制作全般に携わる。CGWORLD2018年12月号にて「フォトグラメトリーを活用したフォトリアルな神社アセット」を寄稿。UnrealEngineマーケットプレイスにて神社アセットを販売中。
motonak.jp/フォトグラメトリーにとって重要なのはCPU性能
フォトグラメトリーによる作品制作はいつ頃から行っていますか?
検証は3年前から行っています。フォトリアル系のハイエンドゲームにおいては、樹木や石材といったコストの掛かる有機物を短時間で作れるメリットが大きく、個人的にも「Shinto Shrine(神社アセット)」に活かしています。
制作のワークフローと、制作に使うツールを教えて下さい。
最初に一眼レフで対象物の撮影を行います。石や狛犬の石像の場合、まず下から見上げて一周、次に真ん中を一周、最後に上から一周し、その後に入り組んだ部分を追加で撮影します。ツールはRealityCaptureを使っていて、ここではアライメント(撮影画像を結合し点群データとする行程)、メッシュ化、テクスチャ作成の3工程があります。
他のDCCツールは使用しますか?
その後の行程としては、フォトグラメトリーで作成したハイポリゴンモデルをZBrushに持っていき、データを整えリダクションした後にMayaや3ds MaxなどでUV展開を行います。テクスチャはRealty Captureから8Kで出力し、ローポリゴンモデルにベイクした後にSubstance Painterを用いてマテリアルを作成します。
今回はインテル Core i9-9900K(8コア16スレッド)、GeForce RTX 2070 SUPERを搭載した「スタンダード」と、インテル Core i7-9920X(12コア24スレッド)とGeForce RTX 2080 Tiを搭載した「プロ」の2機種を使って、Reality Captureで行う3工程の検証を行って頂きました。
今回は約100枚の画像から作成した岩のデータを使用しました。アライメントは、プロが53秒、スタンダードが1分43秒でした。Reality Captureはマルチスレッド対応であるため、CPUのコア数に応じて結果が変わった形です。続いてのメッシュ生成はプロが12分23秒、スタンダードが12分40秒でした。処理の内訳はCPUとGPUが半々で、GPUはCUDAも使っています。
GPU性能差は大きいものの、スタンダードはCPUが最新世代のため、メッシュ化の時間はある程度近づいていますね。
はい。ただ、自宅で用いている3年前に購入したマシンでは20分以上掛かるため、いずれのモデルも高速化されています。メッシュ化は点群データから余分な情報を削ったりして調整をする際、2、3回は繰り返し行う工程でもあるので、計算が速い方が良いのは確実です。
8Kテクスチャ作成についてはいかがでしょうか。
プロは4分22秒、スタンダードモデルは4分32秒でした。参考までに、自宅では6分30秒程度です。テクスチャ作成は100%CPU性能で、CPUのクロック数の部分でスタンダードが善戦した形かも知れません。
ちなみに、メモリについては32GBで問題なかったでしょうか。また、スタンダードはNVMe M.2 SSD 480GB、プロはOptane SSD 900pを使っていますが、ストレージについてはいかがですか?
メッシュ生成の時に13GB程度、テクスチャ生成には14.5GBほど使っていましたが、32GBあれば今回の石以上の巨大な情報を取り扱う場合でも問題ないと思います。ストレージは正直、100枚程度では差が感じ辛かったところもありますが、例えば数百枚、数千枚となると差が出てくると思います。Optaneの特徴は耐久性なので、5、6年と長く使うのであれば採用したいです。
制作後にUE4で作業することを考えると、コストパフォーマンスが良いスタンダードモデルを基準にGPUをカスタマイズでアップグレードできるようにした方がよさそうですね。
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