ハイエンド向けのAMD製CPUが持つ真の実力をオムニバス・ジャパンが徹底検証!
多彩な映像を手がける制作現場において、コストパフォーマンスに優れたAMD製CPUは、どれだけの性能を発揮できるのか。幅広い分野で魅力的な映像を生み出すと共に 新たな映像分野にも挑戦する企業が、AMD製のハイエンドCPUを搭載するPCを検証。そのパフォーマンスと使い勝手を、社内PCと比較した。

オムニバス・ジャパン
映画やCM、番組、展示映像など、幅広い映像作品を世に送り出す総合デジタルプロダクション。「新しい価値を創造する」というミッションを掲げ、更なるハイエンド映像の追及やリアルタイム技術を駆使した新たなVFXワークフローの構築、XRなどの最先端技術を使用した新規コンテンツの開発やクリエイティブ制作にも取り組んでいる。
https://www.omnibusjp.com/
求められるのは、高負荷な作業も快適に処理できる高性能なCPU

今回は、30年以上の歴史をもつオムニバス・ジャパンとパソコン工房に協力を依頼。パソコン工房から提供されたAMD製CPU「Ryzen Threadripper 3990X」搭載のSENSE∞のデスクトップPCを、オムニバス・ジャパンでデジタルアーティストを務める横田創吉氏に様々な視点から検証してもらった。
横田氏は現在、コンピュータグラフィックスを専門とする部署の中にあるHoudiniチームに所属。広告やCMなどの案件に加えて、最近では映画制作のプロジェクトにも参加している。また、作業にはHoudiniやNuke、Maya、After Effectsなどのツールを使用しているそうだ。
デジタルアーティストとしてはゼネラリストだが、「エフェクトをメインで担当することが多い」という横田氏。「PCに負荷がかかる」あるいは「処理に時間がかかる」作業として挙げるのはシミュレーション関連である。水の流体シミュレーションやGrainsのシミュレーションを使ったりするそうだが、これらのシミュレーションはパーティクルの数を増やすと必然的に負荷も処理時間も増加することになる。「テスト段階であれば数分程度で済むが、本番のシ ミュレーションを回すとなると、3~4時間かかるケースもある」(横田氏)そうだ。
さらに、作品を制作する上でのトライ&エラーはもちろん日常茶飯事である。ただ、例えば煙などのシミュレーションでは修正の詳細をビューポートでは確認できないため、結局「レンダリングしなければチェックできない」という。そのような工程が積み重なっていくと、結果的には膨大な時間の消費となることから、機材のCPU性能が作業効率に大きな影響を与えることになるのだ。
そのため、じつはオムニバス・ジャパンでは、CPUのレンダリングサーバーを利用することが可能になっている。しかも通常で100台以上、状況次第では約200台にまで増強されることもあるため、上手く使いこなせば作業負荷を効率化・分散化できる点は魅力的だ。
また、選定のポイントとしてもう1つ挙げられるのが「安定性」である。「少し負荷の高い作業をしただけでもすぐフリーズするようでは、業務用としては考えられない」(横田氏)ことから、まずは安定性を重視。逆に言えば、「負荷の高い作業も軽快にこなす」ようなモデルであれば、よりベターなわけだ。これらの背景を踏まえ、今回は横田氏が日々の業務で行うシミュレーションなどを想定したテスト実施。AMD製CPUを搭載するSENSE∞の検証機と横田氏が現在使用する既存機を比較し、AMD製CPUのパフォーマンスをチェックした。