AMD Ryzen™ プロセッサー比較・特徴・機能・スペック | パソコン実験工房資料室
Ryzenの特徴:CPU
AMD Ryzenプロセッサーの”CPU”の主な特徴
- 「Ryzen」に採用される「Zen」マイクロアーキテクチャは、以前の「Excavator」マイクロアーキテクチャに比べ、クロックあたりの処理性能(IPC)が52%向上しました。
- 「Ryzen Threadripper」は最大16コア32スレッド、「Ryzen 7」は8コア16スレッド、「Ryzen 5」は最大6コア12スレッド、「Ryzen 3」は4コア4スレッドとなりました。
- 「Ryzen Threadripper」「Ryzen 7」「Ryzen 5」において「Simultaneous Multi Threading」(SMT)技術をサポートし理論スレッド処理が可能になりました。これはインテルでいうインテル ハイパースレッディング テクノロジーと同様の技術となります。
- すべてのモデルで倍率ロックフリーとなり、X399、X370、B350のマザーボードと組み合わせることでオーバークロックに対応します。
- 「Zen」マイクロアーキテクチャではAMD SenseMI(センスエムアイ)テクノロジーを採用し、5つの代表的な機能「Pure Power」「Precision Boost」「Extended Frequency Range」「Neural Net Prediction」「Smart Prefetch」をもちます。
- 「Pure Power」や「Precision Boost」により25MHz単位で細かく動作クロックを制御し、処理効率と電力効率のバランスをとります。
- 「Extended Frequency Range(XFR)」により自動的に冷却状態(空冷、液冷、極冷)を感知し動的に電圧やクロックを変化させます。余裕がある場合通常よりも動作クロックを伸ばします。
- 「Neural Net Prediction」や「Smart Prefetch」により予測精度を向上させ、先読込機能を強化しました。学習機能も向上し、キャッシュのヒット率を向上させました。
- AMD Ryzen Master Utilityをサポートし、オーバークロックや電圧などの制御がOS上から可能です。
- DDR4メモリを標準でサポートし、「Ryzen Threadripper」では最大8本/128GBまで、「Ryzen 7」「Ryzen 5」「Ryzen 3」では最大4本/64GBまで搭載することができます。
- CPU側に内蔵するPCI-Express Gen3は、「Ryzen Threadripper」では64レーン、「Ryzen 7」「Ryzen 5」「Ryzen 3」では24レーンとなりました。(チップセットおよびM.2との接続分を含む)
「Ryzen Threadripper」と「Ryzen 7」、「Core X(LGA2011)」「Core i5(LGA1151)」の比較
「Ryzen Threadripper」は、Socket TR4対応のCPUとなり、他の「Ryzen」とは異なるソケットです。非常に大きなCPUとなり、インテルの「Core X」シリーズも小さく見えるほどです。
左から「Ryzen 7 1800X」、「Ryzen Threadripper 1950X」、「Core i7-7740X」、「Core i5-7600K」です。
「Ryzen Threadripper」は「Ryzen 7」の倍以上の大きさがあります。
左から「Ryzen 7 1800X」、「Ryzen Threadripper 1950X」、「Core i7-7740X」、「Core i5-7600K」です。
裏面を見ると、「Ryzen Threadripper」はインテルCPUと同じくLGAパッケージとなりCPU側にはピンの代わりに接点が配置されています。
左から「Ryzen 7 1800X」、「Ryzen Threadripper 1950X」、「Core i7-7740X」、「Core i5-7600K」です。
「Ryzen Threadripper」は基板も他と比べると2倍ほどの厚みがあります。
「Ryzen 7 1800X」と「第7世代APU Aシリーズ」、「AMD FXシリーズ」「第6世代APU Aシリーズ」の比較
「Ryzen」はSocket AM4対応のCPUとなり、従来のAM3+やFM2+ソケットとのピン互換性はありません。ピン数が1331ピンへと増加していますが、基板サイズ、基板の厚み、ヒートスプレッダの形状などに変更はありません。
左から「Ryzen 7 1800X」、「AMD A12-9800」、「AMD A10-7890K」、「AMD FX-8150」です。刻印以外目立った違いはありません。
左から「Ryzen 7 1800X」、「AMD A12-9800」、「AMD A10-7890K」、「AMD FX-8150」です。 「Ryzen 7 1800X」と「AMD A12-9800」はSocket AM4、「AMD A10-7890K」はSocket FM2+、「AMD FX-8150」はSocket AM3+となります。 ピン数は、Socket AM4で1331pin、Socket FM2+で906pin、Socket AM3+で962pinとなっています。
左から「Ryzen 7 1800X」、「AMD A12-9800」、「AMD A10-7890K」、「AMD FX-8150」です。基板サイズ、基板の厚み、ヒートスプレッダの形状などに変更はありません。AMDのCPUは、CPU側にピンが立っているのが現在のインテルCPUとの大きな違いです。
「Ryzen」とインテルCore i7-7700、インテルCore i7-6800Kの比較
左から「Core i7-7700」、「Ryzen 7 1800X」、「Core i7-6800K」です。Core i7-7700からは一回り大きくなりますが、Core i7-6800Kから比べると小さなCPUとなります。この大きさで8コアであることを考えると「Ryzen 7」のコンパクトさが目立ちます。
左から「Core i7-7700」、「Ryzen 7 1800X」、「Core i7-6800K」です。インテルCPUは接点のみであるのに対し、「Ryzen 7」は引き続きピン方式となっています。
歴代CPUスペック比較
歴対CPUの代表としてAMD上位シリーズを比較したものです。 「Ryzen」は従来と異なる全く新しいアーキテクチャ「Zen」をベースとした製品となっています。
モデルナンバー | Ryzen Threadripper 1950X |
Ryzen 7 1800X |
AMD FX-9590 |
AMD FX-8150 |
AMD A12-9800 |
AMD A10-7890K |
AMD A10-6800K |
AMD A10-5800K | |
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コードネーム | Summit Ridge | Summit Ridge | Vishera | Zambezi | Bristol Ridge | Godavari | Richland | Trinity | |
CPUアーキテクチャ | Zen | Zen | Piledriver | Bulldozer | Excavator | Steamroller | Piledriver | ||
製造プロセス | 14nm | 14nm | 32nm | 28nm | 32nm | ||||
コア/スレッド | 16コア/32スレッド | 8コア/16スレッド | 8コア/8スレッド | 8コア/8スレッド | 4コア/4スレッド | ||||
動作クロック | 3.4GHz | 3.8GHz | 4.7GHz | 3.9GHz | 3.8GHz | 4.1GHz | 4.1GHz | 3.8GHz | |
MaxTurbo (Precision Boost) |
4.0GHz | 4.0GHz | 5.0GHz | 4.2GHz | 4.2GHz | 4.3GHz | 4.4GHz | 4.2GHz | |
キャッシュ | 40MB | 16MB | 8MB | 2MB | 4MB | ||||
PCI-Express | Gen | 3.0 | 3.0 | - | 3.0 | 3.0 | 2.0 | ||
レーン数 | 64 | 16 | - | 8 | 16 | 16 | |||
メモリ | 対応メモリ | DDR4-2667 | DDR4-2667 | DDR3-1866 | DDR4-2400 | DDR3-2133 | DDR3-1866 | ||
チャンネル | 4ch | 2ch | 2ch | 2ch | |||||
最大容量 | 128GB | 64GB | 32GB | 64GB | 32GB | ||||
GPU | - | - | - | - | Radeon R7 Graphics | RadeonHD 8670D | RadeonHD 7660D | ||
TDP | 180W | 95W | 220W | 125W | 65W | 95W | 100W | ||
64bitコード | AMD 64 | ||||||||
SIMD命令 | SSE | SSE4.1/4.2 | |||||||
AVX | AVX | ||||||||
仮想化 | AMD-V | 〇 | |||||||
セキュリティ機能 | NX ビット | 〇 | |||||||
AES | 〇 | ||||||||
対応ソケット | Socket TR4 | Socket AM4 | Socket AM3+ | Socket AM4 | Socket FM2+ | Socket FM2 | |||
対応チップセット | X399 | X370/B350/A320 | 990FX/990X/970 | X370/B350/A320 | A88X/A78/A68H | A85X/A75/A55 |
AMD Ryzen 7とインテルCore i7の比較
いずれも2017年3月時点の各社CPUを比較しました。「Ryzen 7」のスペックでもCore i7と比べ見劣りするようなことはありません。
モデルナンバー | Ryzen Threadripper 1950X |
Ryzen 7 1800X | Core i7-7700K | Core i7-6950X | Core i7-7900K | |
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コードネーム | Summit Ridge | Kabylake-S | Broadwell-E | Skylake-X | ||
CPUアーキテクチャ | Zen | Kabylake | Broadwell | Skylake | ||
製造プロセス | 14nm | 14nm | ||||
コア/スレッド | 16コア/32スレッド | 8コア/16スレッド | 4コア/8スレッド | 10コア/20スレッド | 10コア/20スレッド | |
動作クロック | 3.4GHz | 3.8GHz | 4.2GHz | 3.0GHz | 3.3GHz | |
最大クロック | 4.0GHz | 4.0GHz | 4.5GHz | 3.5GHz | 4.3GHz | |
キャッシュ | 40MB | 16MB | 8MB | 25MB | 13.75MB | |
PCI-Express | Gen | 3.0 | ||||
レーン数 | 64 | 24 | 16 | 40 | 44 | |
メモリ | 対応メモリ | DDR4-2667 | DDR4-2400 | DDR4-2667 | ||
チャンネル | 4ch | 2ch | 2ch | 4ch | ||
最大容量 | 128GB | 64GB | 64GB | 128GB | ||
GPU | - | - | Intel HD Graphics630 | - | - | |
TDP | 180W | 95W | 91W | 140W | ||
64bitコード | AMD 64 | intel 64 | ||||
SIMD命令 | SSE | SSE4.1/4.2 | ||||
AVX | AVX | AVX2.0 | ||||
仮想化 | AMD-V | 〇 | ||||
VT-x | 〇 | 〇 | 〇 | |||
セキュリティ機能 | NX ビット | 〇 | ||||
XDビット | 〇 | 〇 | 〇 | |||
AES | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
対応ソケット | Socket TR4 | Socket AM4 | LGA 1151 | LGA2133 | LGA2066 | |
対応チップセット | X399 | X370/B350/A320 | Intel 200シリーズ | Intel X99 | Intel X299 |