新ハイエンドGPU『GeForce GTX 1070 Ti』ベンチマーク速報
2017-11-03
こんにちは、職人5号です。今回はPascalコアとして久々のハイエンドモデルGeForce GTX 1070 Tiが手元に届きましたので、早速ベンチマークテストを試してみました。
このたびリリースされたGeForce GTX 1070 Tiは、GeForce GTX 1070から大幅にCUDAコアを増強したモデルです。CUDAコア数で見ればGeForce GTX 1080にも迫る性能が期待されますので、さっそくベンチマークテストを実行してみました。なお、GeForce GTX 1070 Tiの入手からの時間が限られていたため、今回はベンチマーク結果のみを簡易的な速報としてお届けします。
GeForce GTX 1070 Ti の主な特徴とスペック比較
GeForce GTX 1070 Tiの特徴としては、次の様な物が有ります。
- GPUは上位モデルであるGeForce GTX 1080と同じGP104ダイを採用
- 定格クロックもGeForce GTX 1080と同じ
- ビデオメモリはGeForce GTX 1070と同じGDDR5を採用
大まかに言えば、GeForce GTX 1080の演算コアから5%を無効化し、ビデオメモリをGDDR5にした物がGeForce GTX 1070 Tiとなります。その他、GeForce GTX 1070 TiとGeForce GTX 1080の間に機能的な違いは有りません。
表1.スペック比較一覧
GeForce GTX 1080 | GeForce GTX 1070 Ti | GeForce GTX 1070 | |
---|---|---|---|
コードネーム | GP104(Pascal) | GP104(Pascal) | GP104(Pascal) |
製造プロセス | 16nm | ||
DirectX世代 | 12 | ||
CUDAコア数 | 2560基 | 2432基 | 1920基 |
定格クロック | 1607MHz | 1607MHz | 1506MHz |
ブーストクロック | 1733MHz | 1683MHz | 1683MHz |
メモリタイプ | GDDR5X | GDDR5 | |
メモリバス帯域幅 | 320GB/s | 256GB/s | 256GB/s |
メモリバス幅 | 256bit | 256bit | 256bit |
メモリ転送レート | 10Gbps | 8Gbps | 8Gbps |
メモリ容量 | 8GB | 8GB | 8GB |
接続インターフェース | PCI Express 3.0 x16 | ||
TDP | 180W | 180W | 150W |
補助電源 | 8pin | 8pin | 8pin |
見ての通りGeForce GTX 1070 Tiの仕様はGeForce GTX 1080に近い物となっており、GeForce GTX 1070の上位モデルというよりはGeForce GTX 1080の下位モデルと言った方がしっくりくる感じです。歴代の命名からすると、さしずめGeForce GTX 1080 SEといったところでしょうか。動作クロック次第では上位のGeForce GTX 1080を食ってしまうかもしれませんね。
それでは、早速ベンチマーク比較と行きましょう。
Geforce GTX 1070 Tiのベンチマーク比較
パソコン工房サイトで販売準備中のゲーミングパソコンLEVEL∞ R-Classを用いてベンチマーク比較を行いました。比較対象としては同じGP104ダイを採用したGeForce GTX 1080とGeForce GTX 1070を用意しました。いずれもハイエンド向けのビデオカードのため、テスト解像度は フルHD(1920x1080)、およびフルHDオーバーのWQHD(2560x1440)と4K(3840x2160)にて行っています。なお、フルHDは3D Mark Fire Strike、WQHDは3D Mark Fire Strike Extreme、4Kは3D Mark Fire Strike Ultraの設定解像度となっています。 ※測定環境、測定条件は記事の最後に記述していますのでご参照ください。
① 3D Mark 「Fire Strike」テスト Graphics Score

GeForce GTX 1070 Tiのスコアは、GeForce GTX 1070の1.1倍強、GeForce GTX 1080の9割強となっており、GeForce GTX 1070とGeForce GTX 1080のちょうど中間に位置しています。細かく見てみると、GeForce GTX 1070比では解像度によらず一定なのに対して、GeForce GTX 1080比では解像度が上がるにつれて僅かながらも差が開いています。GeForce GTX 1070 TiとGeForce GTX 1070はビデオメモリが同じGDDR5のため、GPUコアのスペック差のみがそのままスコアに反映されているのに対し、ビデオメモリがGDDR5XのGeForce GTX 1080とは、解像度が上がるにつれてビデオメモリの帯域差も加味して反映されているのではないかと思われます。
② ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク

GeForce GTX 1070 TiとGeForce GTX 1070の比較では、3D Markの結果とは異なり解像度が上がるにつれて差が開いていきます。一方、GeForce GTX 1080との比較では3D Markの結果と同様に解像度が上がるにつれて差が開いていきます。解像度別に見ると、フルHD時はそれぞれ5%程度の差しかなくGeForce GTX 1070 TiとGeForce GTX 1080のスコアがかなり肉薄しますが、WQHD以上の解像度ではそれぞれ10%程度に差が拡大し3D Markに近い性能差となっています。
まとめ
GeForce GTX 1070 Tiは、CUDAコア数的には上位のGeForce GTX 1080に近い仕様ながら、ベンチマークスコア的にはGeForce GTX 1070とGeForce GTX 1080のちょうど中間に来るようになっており、両者の隙間を埋める存在である事が確認できました。搭載メモリやメモリ帯域の違いからWQHDや4Kなどの高解像度環境ではGeForce GTX 1080の方がやはり優位になる結果が出ており、高解像度モニタを使用してゲームをプレイする場合において、GeForce GTX 1080は依然有力な選択肢となるでしょう。一方でWQHD以下においてはGeForce GTX 1080に迫り、手動でOC(オーバークロック)してしまえばGeForce GTX 1080も超えてしまう可能性を秘めるGeForce GTX 1070 Tiの優秀なパフォーマンスは、フルHD環境において最も有力な選択になりえます。
これだけのパフォーマンスを秘めているのであれば、今シーズン発売されるAAA級のゲームタイトル Starwars Battlefront IIや、Call of Duty: WW IIも十分に快適にプレイすることができるでしょう。今人気爆発中のバトルロイヤルゲームのPUBGもこのパフォーマンスを発揮するグラフィックボードなら是非とも検討に入れたい製品となります。
ただ、残念ながら登場時の価格がGeForce GTX 1080に近い6万円台からとなっており、若干の割高感はあるものの、価格的にこなれてGeForce GTX 1080とGeForce GTX 1070の間に収まる5万5000円程度まで下がってくれば性能差と価格差のバランスが取れ、5万円台で購入できる魅力的な選択肢となるのではないでしょうか。
執筆:パソコン工房 職人5号
表2.テスト環境 LEVEL ∞R シリーズ LEVEL-R037-i7K-TXR(仮)
CPU | Core i7-8700K (3.7-4.7GHz/6コア・12スレッド/キャッシュ12MB/TDP95W) |
---|---|
マザーボード | MSI Z370-S01 (Z370チップセット / BIOS :1.10 ) |
メインメモリ | DDR4-2400 16GB (8GB x2) |
ビデオカード | GeForce GTX 1080 Founders Edition (ビデオメモリ 8GB) |
GeForce GTX 1070 Ti リファレンスカード (ビデオメモリ 8GB) | |
GeForce GTX 1070 Founders Edition (ビデオメモリ 8GB) | |
ストレージ | intel SSDSC2KW512G8X1(545s 512GB) |
電源 | Seasonic SS-1000XP(80PLUS Platinum、1000W) |
OS | Windows 10 Home 64bit(バージョン:1703) |
ビデオドライバ | GeForce Game Ready Driver Ver388.13 |