インテル®第8世代6コアCPU(Coffee Lake) Core i7-8700K と Core i5-8400 のベンチマークをとってみた

『Coffee Lake』こと第 8 世代インテル® Core™プロセッサーが登場!Intel®初のメインストリーム向け6コアCPU

2017-11-02

こんにちは、職人7号です。今回は開発コードネーム「Coffee Lake(コーヒーレイク)」の名で知られる第 8 世代インテル® Core™ プロセッサー・ファミリー(以下、Coffee Lake)より 最上位モデルのCore i7-8700KとCore i5のベースモデルCore i5-8400を入手しましたので、基本性能の確認や簡単なベンチマークテストで他のCPUとの比較を行ってみました。

Coffee LakeとはどのようなCPUなのでしょうか?

Coffee Lakeは、第5世代(Broadwell)から引き継がれてきた14nmプロセスルールの最終進化形といえますが、 なんといってもその目玉は、CPUのコア数の増加にあります。初代Coreプロセッサー・ファミリーから継続されてきた最大4コアの上限が、Coffee Lakeに至って、ついに最大6コアへと大きく進化しています。

インテルの資料によれば、前世代である第7世代(Kaby Lake)との性能比較では、マルチコアによる処理性能は最大45%も向上し、ゲーム上でのフレームレートが最大25%ほど高くなり、 負荷がもっともかかる4K動画の編集作業においても32%も高速に処理を終えると言われています。

これは、過去のCoreプロセッサー・ファミリーの進化の歴史で、世代間では最も大きな性能向上ともいえる数字となりますので、実際に触って検証してみたいと思います。

Coffee Lakeの主な特徴と前世代とのスペック比較

  • 最大で6コアを搭載、Core i3/i5/i7の全てで前世代より2コア増加しました
  • 物理コアの増加に伴い、キャッシュ容量や内部回路が最適化されました
  • 引続きLGA1151ソケットを採用しているものの、専用の300シリーズチップセットが必要
  • メモリは上位のDDR4-2666をサポートする一方で、前世代まで対応していたDDR3は非サポートとなりました
  • 内蔵GPUの名称が『Intel® UHD Graphics 630』へと変更されました
Core i7-8700K Core i5-8400 Core i7-7700K Core i5-7500
コードネーム Coffee Lake Kaby Lake
製造プロセス 14nm++ 14nm+
コア/スレッド 6/12 6/6 4/8 4/4
定格動作クロック 3.7GHz 2.8GHz 4.2GHz 3.4GHz
TurboBoost 4.7GHz 4.0GHz 4.5GHz 3.8GHz
キャッシュ 12MB 9MB  8MB 6MB 
PCI-Express Gen 3
レーン数 16
対応メモリ DDR4-2666 DDR4-2400
TDP(W) 95W 65W 91W 65W
内蔵グラフィックス Intel® UHD Graphics 630 Intel® HD Graphics 630
グラフィックス 350 MHz
動作クロック
グラフィックス 1.20GHz 1.05GHz 1.15GHz 1.10GHz
最大動作クロック
64bitコード Intel®64
SIMD命令 SSE SSE4.1/4.2
AVX AVX2.0
仮想化 VT-x
VT-d
セキュリティ機能 XDビット
TXT × ×
AES
vPRO × ×
対応ソケット LGA1151
対応チップセット Intel® 300 Series Intel® 200/100 Series

上記でもお伝えしましたように、物理コアが2つずつ増加しているのが分かります。一方で、定格動作クロックはコア数が増えたことにより前世代より低めのスペックとなりますが、 ターボブースト有効時の最大クロック数を向上させる事で性能を引き出そうという事が伺えます。

グラフィックス機能としては、第8世代Core i7シリーズではわずかにクロック数が向上していますが、精細なUHD 4Kコンテンツをより快適に楽しめる仕様になり、名称をintel HDからintel UHDへと変更したようです。

対応メモリは、これまでのDDR4-2400からDDR4-2666になりました。コア数の増加に見合った、キャッシュ容量の加に加えて、メモリー帯域が強化されています。

Coffee Lake対応Intel® 300シリーズチップセットについて

Coffee Lakeは、インテル300シリーズチップセットとの組み合わせに対応しておりますが、残念ながら、同じLGA1151ソケットを持つインテル100/200は互換性がありません。今回同時にリリースされたZ370チップセットは、 Z270チップセットの改良型といわれており、基本性能に大きな差はありません。

Z370チップセット Z270チップセット
対応ソケット LGA 1151 LGA 1151
対応CPU Coffee Lake Kaby Lake
Sky Lake
オーバークロック
バススピード 8 GT/s DMI3.0 8 GT/s DMI3.0
チャネルあたりの DIMM 数 2 2
サポートされているディスプレイ数 3 3
PCI Express 3.0 1x16 1x16
最大PCI Express レーン数 (Gen) 24 (3.0) 20 (3.0)
全体USB ポート数 (USB 3.0最大数) 14 (10) 14 (10)
全体SATA ポート数 (6Gb/sポート最大数) 6 (6) 6 (6)
SATA RAID 0/1/5/10対応
インテル® Optane™ メモリー対応
インテル® ラピッド・ストレージ・テクノロジー

上の表を見ていただくとお分かりいただけるとおり、チップセットのPCI-eリソースが4レーン分増えた以外は、ほとんど同じスペックです。PCI-eの4レーン増加は、M.2などのストレージデバイスを柔軟に拡張したい方には大きなメリットになります。

Core i7-8700KとCore i5-8400のベンチマークを計ってみました

ベンチマークを計測する上でCore i7-8700K / Core i5-8400と比較するCPUは、同等のコア数とスレッド数を持つAMD Ryzen 5 1600X(6コア / 12スレッド、3.6 –4.0GHz)と、 Intel® エンスージアスト向けCore XシリーズのCore i7-7820X(6コア / 12スレッド、3.6 –4.3GHz)。さらに、8コア / 16スレッドを実装するAMD Ryzen 7 1800X(3.6 –4.0GHz)と、 Core i5の比較として前世代のCore i5-7500(4コア / 4スレッド、3.4 – 3.8GHz)になります。
※ベンチマークを計測に使用したパーツ構成は最下部に記載しております

まず、PC全体のパフォーマンスの総合評価が計れるPC Mark8でベンチマーク(Creative test)を実行したところ、以下のような結果になりました。

PC Mark8

Accelaratedの結果は、OpenCL系の処理を使用する為、純粋なCPUのベンチマークにはなりませんので、Conventionalの結果で比較してみます。

Core i7-8700KとCore i7-7700Kでのスコア差は約3%、Core i5-8400とCore i5-7500では約10%のスコア差が見られました。
この結果から物理コアが2つ増えたことに加え、最大動作クロックが0.2Ghz向上したことよるスコアの差が確認出来ました。

また、ベンチマークのスコアの高さは断然i7-8700Kがトップですが、前世代との性能の差でみればi5-8400がめざましく向上していることがわかりました。

続いてCPUの演算処理を見る3DMarkのFire Strikeで“Physicsスコア(処理速度)”を計ってみました。

※CPUによる“物理演算”の測定であり、CPU内蔵グラフィックの3D性能の測定ではありません。

3DMark(Physics)

3DMarkの結果は、物理コア数が多ければ多いほど高いスコアが計測されるCPUのベンチマークです。

Core i7-8700KとCore i7-7700Kでの処理速度の差が25%となり、物理コアが増えたことによりスコアが伸びたと考えられます。 さらにCore i5-8400に関しては、前世代のCore i5-7500と比べて36%もの性能の向上が確認でき、マルチスレッド性能の高さがより明確に現れました。 上記のPC Mark8の検証の結果でも性能向上の大きかったCore i5ですが、この結果からもやはり物理コア増加と最大動作クロック向上の影響が大きいと考えられます。

さらに、この検証で驚いたのがCoffee LakeのCore i7-8700Kが、8コア / 16スレッドのRyzen 7 1800Xと、ほぼ同じスコアが出ているところにあります。このスコアの差は単一コアあたりの処理効率の高さによる結果が出たと考えられます。

まとめ

前世代との物理演算の処理速度差はCore i7で最大で約25%、Core i5では最大で約36%もの性能向上が確認出来ました。

Intel®初の6コアCPUを搭載したCoffee Lakeは、物理コア数の増加により、前世代のCPU性能と比べて大きくパフォーマンスが向上し、新世代プロセッサーとしての前進であると感じました。

特にCore i5の性能向上は大きく、コストパフォーマンスに優れたCPUである事が確認出来ました。

これらの結果からCore i7-8700Kは、マルチスレッド性能がより重要になる最新のDirect X12を使用するゲームやVRコンテンツに対して高いパフォーマンスを発揮すると共に、 ゲーム実況・配信といった他のアプリケーションを同時に利用する環境でも前世代よりも大きく期待がもてそうです。

唯一不満点があるとすれば、同じソケットLGA1151を使用しながらも、旧来のチップセットに対応できず、また逆もできない仕様となっているところです。

CPUピン面比較

上記の画像は前世代のCore i7-7700Kと今回のCore i7-8700Kを比べたものになりますが、ソケットピンの位置や切掛けの位置も同じでありながらCoffee LakeはZ370にしか対応しておらず、Z270チップセット搭載のマザーボードでは動作致しません。

以上のことからSkylakeやKaby Lakeからのアップグレードでは、“CPU + マザーボード”の入れ替えとなってしまい、やや初期投資費用が高くなってしまうのがネックです。

とはいえ、4000番台やそれ以前のCPUをお使いの方には、間違いなくCoffee Lakeはパフォーマンスが大きく向上していますので、乗り換えの価値は十二分にありと思います。

職人7号的には6コアになって、性能比もグーンと上がったCore i5-8400がコスパ良くてオススメです!

※ベンチマーク測定に使用した構成は下記となります。

執筆:パソコン工房 職人7号

Core i7-8700K搭載モデル Ryzen 7 1800X / Ryzen 5 1600X搭載モデル
CPU Core i7-8700K CPU Ryzen 7 1800X、Ryzen 5 1600X
マザーボード MSI Z370-S01 マザーボード ASUS X370-PRO
メインメモリ DDR4-2400 16GB (4GB x4) メインメモリ DDR4-2400 16GB (4GB x4)
ビデオカード GeForce GTX 1080
FoundersEdition (ビデオメモリ 8GB)
ビデオカード GeForce GTX 1080
FoundersEdition (ビデオメモリ 8GB)
ストレージ Kingstone SSDNow UV400 ストレージ Kingstone SSDNow UV400
OS Windows 10 Home 64bit OS Windows 10 Home 64bit
Core i7-7820X搭載モデル Core i7-7700K/Core i5-7500搭載モデル
CPU Core i7-7820X CPU Core i7-7700K、Core i5-7500
マザーボード MSI X299-S01 マザーボード ASUS Z270-A
メインメモリ DDR4-2400 16GB (4GB x4) メインメモリ DDR4-2400 16GB (4GB x4)
ビデオカード GeForce GTX 1080
FoundersEdition (ビデオメモリ 8GB)
ビデオカード GeForce GTX 1080
FoundersEdition (ビデオメモリ 8GB)
ストレージ Kingstone SSDNow UV400 ストレージ Kingstone SSDNow UV400
OS Windows 10 Home 64bit OS Windows 10 Home 64bit