AMD Ryzen™編。 パソコン技術資料室では、これまでのAMDアーキテクチャから更に進化した「ZEN」アーキテクチャを詳しく解説いたします。
Ryzen とは
「Ryzen」とは、AMDより2017年3月に発売された、第1世代「Zen」マイクロアーキテクチャをはじめて採用するAMDの新たなCPUシリーズ「AMD Ryzenプロセッサー」です。
前世代である「Excavator」マイクロアーキテクチャに比べ、「Zen」マイクロアーキテクチャでは、CPUの動作クロックあたりの処理能力(IPC)が最大52%もの向上を果たしインテルCore iシリーズに匹敵する程の強力な処理能力を持ちます。
「Ryzen 7」「Ryzen 5」「Ryzen 3」がそれぞれ「Core i7」「Core i5」「Core i3」の対抗製品としてリリースされました。
また、HEDT(ハイエンドデスクトップ)向けとして「Ryzen Threadripper」がリリースされ、「Core X(Core i9)」シリーズの対抗製品となり、上位グレードから下位グレードまで揃う形となりました。
Ryzen の読み方
「ライゼン」と読みます。CPUのシリーズ名として「Ryzen Threadripper」は「ライゼン スレッドリッパー」、「Ryzen 7」は「ライゼン セブン」と一般的には読まれています。また、関連するワードとしてマイクロアーキテクチャ名である「Zen」は「ゼン」、「Excavator」は「エクスカベイター」と読みます。
メーカー名である「AMD」はそのまま「エーエムディー」と読まれています。
Ryzen の主な特徴
CPU
■「Ryzen」に採用される「Zen」マイクロアーキテクチャは、以前の「Excavator」マイクロアーキテクチャに比べ、クロックあたりの処理性能(IPC)が52%向上しました。
■「Ryzen Threadripper」は最大16コア32スレッド、「Ryzen 7」は8コア16スレッド、「Ryzen 5」は最大6コア12スレッド、「Ryzen 3」は4コア4スレッドとなりました。
■「Ryzen Threadripper」「Ryzen 7」「Ryzen 5」において「Simultaneous Multi Threading」(SMT)技術をサポートし理論スレッド処理が可能になりました。これはインテルでいうインテル ハイパースレッディング テクノロジーと同様の技術となります。
■すべてのモデルで倍率ロックフリーとなり、X399、X370、B350のマザーボードと組み合わせることでオーバークロックに対応します。
■「Zen」マイクロアーキテクチャではAMD SenseMI(センスエムアイ)テクノロジーを採用し、5つの代表的な機能「Pure Power」「Precision Boost」「Extended Frequency Range」「Neural Net Prediction」「Smart Prefetch」をもちます。
■「Pure Power」や「Precision Boost」により25MHz単位で細かく動作クロックを制御し、処理効率と電力効率のバランスをとります。
■「Extended Frequency Range(XFR)」により自動的に冷却状態(空冷、液冷、極冷)を感知し動的に電圧やクロックを変化させます。余裕がある場合通常よりも動作クロックを伸ばします。
■「Neural Net Prediction」や「Smart Prefetch」により予測精度を向上させ、先読込機能を強化しました。学習機能も向上し、キャッシュのヒット率を向上させました。
■AMD Ryzen Master Utilityをサポートし、オーバークロックや電圧などの制御がOS上から可能です。
■DDR4メモリを標準でサポートし、「Ryzen Threadripper」では最大8本/128GBまで、「Ryzen 7」「Ryzen 5」「Ryzen 3」では最大4本/64GBまで搭載することができます。
■CPU側に内蔵するPCI-Express Gen3は、「Ryzen Threadripper」では64レーン、「Ryzen 7」「Ryzen 5」「Ryzen 3」では24レーンとなりました。(チップセットおよびM.2との接続分を含む)
GPU
■Ryzenはグラフィック機能は内蔵しないCPUとなり、別途、グラフィックカードが必要になります。
■GeForce GTXやRadeonのグラフィックカードをサポート、SLIやCrossFireXを組むこともできます。
※GPUを統合する第7世代APU Aシリーズ 「Bristol Ridge」と共通のSocket AM4採用マザーボードとなるため、グラフィック出力端子が付くマザーボードもありますが、「Ryzen」搭載時は映像出力はされませんのでご注意ください。
チップセット・その他
■「Ryzen Threadripper」ではSocket TR4を新たに採用し、X399チップセットが対応しています。
■「Ryzen 7」「Ryzen 5」「Ryzen 3」ではSocket AM4を新たに採用し、すでに発売されている第7世代APU Aシリーズと共通のソケットとなります。
■「Ryzen 7」「Ryzen 5」「Ryzen 3」に対応したチップセットとして、AMD X370、B350、A320チップセットがあります。この他、ITX向け専用チップセットがあります。
■「Ryzen 7」「Ryzen 5」「Ryzen 3」および「第7世代APU Aシリーズ」は共通のチップセット、マザーボードを使用することができます。※マザーボードの仕様によります。
AMD Ryzenのセグメント
AMD Ryzenプロセッサーは、第7世代APU Aシリーズに対しハイエンド~メインストリーム向けのセグメントとなり、強力なCPU処理を必要とするクリエイターやゲーム向けのCPUとなります。
セグメント | プロセッサ | コア/スレッド | キャッシュ | PCIe | NVMe | DDR4 | USB | Socket |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ハイエンド | Ryzen Threadripper |
最大16コア 32スレッド |
最大40MB | x64 Gen3 | x4 NVMe | 4ch 最大2667 |
USB3.1 Gen1 x8 |
TR4 |
ハイエンド メインストリーム |
Ryzen 7,5,3 | 最大8コア 16スレッド |
最大4+16MB | x24 Gen3 | x4 NVMe | 2ch 最大2667 |
USB3.1 Gen1 x4 |
AM4 |
メインストリーム | 第7世代APU Bristol Ridge |
4コア APU | 2MB | x12 Gen3 | x2 NVMe | |||
4コア CPU | 2MB | |||||||
エントリー | ||||||||
2コア APU | 1MB |
Ryzenのモデルナンバーについて
Ryzenの製品型番(モデルナンバー)は次のようなルールで命名されています。
Ryzenについて
Ryzen Threadripperについて
「Ryzen Threadripper」はインテル「Core X(Core i9)」と同等の位置づけとなる、HEDT(ハイエンドデスクトップ)向けのシリーズです。高いマルチコアパフォーマンスを必要とする各種デジタルコンテンツクリエイションに最適なシリーズです。
Ryzen Threadripper 1950X | Ryzen Threadripper 1920X | ||
---|---|---|---|
コードネーム | Summit Ridge | ||
製造プロセス | 14nm | ||
コア/スレッド | 16/32 | 12/24 | |
動作クロック | 3.4GHz | 3.5GHz | |
Precision Boost | 4.0GHz | 4.0GHz | |
XFR | 〇 | ||
キャッシュ(L3) | 40MB | ||
PCI-Express | Gen | 3.0 | |
レーン数 | 64 | ||
メモリ | 対応メモリ | DDR4-2667 / 2400 / 2133 | |
チャンネル数 | 4ch | ||
最大容量 | 128GB | ||
TDP | 180W | ||
GPU | 搭載なし | ||
64bitコード | AMD 64 | ||
SIMD命令 | SSE | SSE4.1/4.2 | |
AVX | AVX | ||
仮想化 | AMD-V | 〇 | |
セキュリティ機能 | NX ビット | 〇 | |
AES | 〇 | ||
対応ソケット | TR4 | ||
対応チップセット | AMD X399 |
Ryzen 7について
「Ryzen 7」はインテル「Core i7」と同等の位置づけとなり、高いパフォーマンスをもちます。すべてのCPUでオーバークロックに対応し、CPUの動作クロックや電圧、メモリ動作クロックを自由に変更することができます。
Ryzen 7 1800X | Ryzen 7 1700X | Ryzen 7 1700 | ||
---|---|---|---|---|
コードネーム | Summit Ridge | |||
製造プロセス | 14nm | |||
コア/スレッド | 8/16 | 8/16 | 8/16 | |
動作クロック | 3.8GHz | 3.4GHz | 3.0GHz | |
Precision Boost | 4.0GHz | 3.8GHz | 3.7GHz | |
XFR | 〇 (XFR幅2倍) |
〇 | ||
キャッシュ(L3) | 16MB | 16MB | 16MB | |
PCI-Express | Gen | 3.0 | ||
レーン数 | 24 | |||
メモリ | 対応メモリ | DDR4-2667 / 2400 / 2133 | ||
チャンネル数 | 2ch | |||
最大容量 | 64GB | |||
TDP | 95W | 65W | ||
GPU | 搭載なし | |||
64bitコード | AMD 64 | |||
SIMD命令 | SSE | SSE4.1/4.2 | ||
AVX | AVX | |||
仮想化 | AMD-V | 〇 | ||
セキュリティ機能 | NX ビット | 〇 | ||
AES | 〇 | |||
対応ソケット | AM4 | |||
対応チップセット | AMD X370/B350/B320 |
Ryzen 5について
「Ryzen 5」はインテル「Core i5」と同等の位置づけとなり、最も高いコストパフォーマンスを発揮します。すべてのCPUでオーバークロックに対応し、CPUの動作クロックや電圧、メモリ動作クロックを自由に変更することができます。
Ryzen 5 1600X | Ryzen 5 1600 | Ryzen 5 1500X | Ryzen 5 1400 | ||
---|---|---|---|---|---|
コードネーム | Summit Ridge | ||||
製造プロセス | 14nm | ||||
コア/スレッド | 6/12 | 6/12 | 4/8 | 4/8 | |
動作クロック | 3.6GHz | 3.2GHz | 3.5GHz | 3.2GHz | |
Precision Boost | 4.0GHz | 3.6GHz | 3.7GHz | 3.4GHz | |
XFR | 〇 | ||||
キャッシュ(L3) | 16MB | 8MB | |||
PCI-Express | Gen | 3.0 | |||
レーン数 | 24 | ||||
メモリ | 対応メモリ | DDR4-2667 / 2400 / 2133 | |||
チャンネル数 | 2ch | ||||
最大容量 | 64GB | ||||
TDP | 95W | 65W | |||
GPU | 搭載なし | ||||
64bitコード | AMD 64 | ||||
SIMD命令 | SSE | SSE4.1/4.2 | |||
AVX | AVX | ||||
仮想化 | AMD-V | 〇 | |||
セキュリティ機能 | NXビット | 〇 | |||
AES | 〇 | ||||
対応ソケット | AM4 | ||||
対応チップセット | AMD X370/B350/B320 |
Ryzen 3について
「Ryzen 3」はインテル「Core i3」と同等の位置づけとなり、エントリー向けグレードとしても高いパフォーマンスを発揮します。他のグレードと比べSMTが無くなりますが、物理4コアによる処理性能の高さはそのままに、すべてのCPUでオーバークロックに対応し、CPUの動作クロックや電圧、メモリ動作クロックを自由に変更することができます。
Ryzen 3 1300X | Ryzen 3 1200 | ||
---|---|---|---|
コードネーム | Summit Ridge | ||
製造プロセス | 14nm | ||
コア/スレッド | 4/4 | 4/4 | |
動作クロック | 3.5GHz | 3.1GHz | |
Precision Boost | 3.7GHz | 3.4GHz | |
XFR | 〇 | ||
キャッシュ(L3) | 8MB | ||
PCI-Express | Gen | 3.0 | |
レーン数 | 24 | ||
メモリ | 対応メモリ | DDR4-2667 / 2400 / 2133 | |
チャンネル数 | 2ch | ||
最大容量 | 64GB | ||
TDP | 65W | ||
GPU | 搭載なし | ||
64bitコード | AMD 64 | ||
SIMD命令 | SSE | SSE4.1/4.2 | |
AVX | AVX | ||
仮想化 | AMD-V | 〇 | |
セキュリティ機能 | NX ビット | 〇 | |
AES | 〇 | ||
対応ソケット | AM4 | ||
対応チップセット | AMD X370/B350/B320 |
Ryzen対応チップセットについて
「Socket TR4」対応チップセットは「Ryzen Threadripper」専用のソケットおよびチップセットとなります。
「Socket AM4」対応チップセットでは「Ryzen 7」「Ryzen 5」「Ryzen 3」だけでなく第7世代APU「Bristol Ridge」A-9000シリーズもサポートする共通のチップセットとなります。
※対応するCPU/APUはマザーボードの仕様によります。
チップセット | AMD 300 シリーズ チップセット | |||
---|---|---|---|---|
X399 | X370 | B350 | A320 | |
ソケット | TR4 | AM4 | ||
対応CPU | Ryzen Threadripper | AMD Ryzen7,5,3 / 第7世代APU Aシリーズ | ||
PCI Express レーンの最大数 |
8 | 6 | 4 | |
PCI-Express | 2.0 | |||
USB3.1ポートの最大数 | 2 | 2 | 2 | 1 |
USB3.0ポートの最大数 | 5 | 6 | 2 | 2 |
USB2.0の最大数 | 6 | 6 | 6 | 6 |
SATA Express ポートの最大数 |
2 | 2 | 2 | |
SATA 6.0 Gb/s ポートの最大数 |
8 | 4 | 2 | 2 |
RAID構成 | 0/1/10 | |||
CFX/SLI対応 | 〇 | × | ||
オーバークロック対応 | 〇 | × |
Ryzenの特徴:CPU
AMD Ryzenプロセッサーの”CPU”の主な特徴
■「Ryzen」に採用される「Zen」マイクロアーキテクチャは、以前の「Excavator」マイクロアーキテクチャに比べ、クロックあたりの処理性能(IPC)が52%向上しました。
■「Ryzen Threadripper」は最大16コア32スレッド、「Ryzen 7」は8コア16スレッド、「Ryzen 5」は最大6コア12スレッド、「Ryzen 3」は4コア4スレッドとなりました。
■「Ryzen Threadripper」「Ryzen 7」「Ryzen 5」において「Simultaneous Multi Threading」(SMT)技術をサポートし理論スレッド処理が可能になりました。これはインテルでいうインテル ハイパースレッディング テクノロジーと同様の技術となります。
■すべてのモデルで倍率ロックフリーとなり、X399、X370、B350のマザーボードと組み合わせることでオーバークロックに対応します。
■「Zen」マイクロアーキテクチャではAMD SenseMI(センスエムアイ)テクノロジーを採用し、5つの代表的な機能「Pure Power」「Precision Boost」「Extended Frequency Range」「Neural Net Prediction」「Smart Prefetch」をもちます。
■「Pure Power」や「Precision Boost」により25MHz単位で細かく動作クロックを制御し、処理効率と電力効率のバランスをとります。
■「Extended Frequency Range(XFR)」により自動的に冷却状態(空冷、液冷、極冷)を感知し動的に電圧やクロックを変化させます。余裕がある場合通常よりも動作クロックを伸ばします。
■「Neural Net Prediction」や「Smart Prefetch」により予測精度を向上させ、先読込機能を強化しました。学習機能も向上し、キャッシュのヒット率を向上させました。
■AMD Ryzen Master Utilityをサポートし、オーバークロックや電圧などの制御がOS上から可能です。
■DDR4メモリを標準でサポートし、「Ryzen Threadripper」では最大8本/128GBまで、「Ryzen 7」「Ryzen 5」「Ryzen 3」では最大4本/64GBまで搭載することができます。
■CPU側に内蔵するPCI-Express Gen3は、「Ryzen Threadripper」では64レーン、「Ryzen 7」「Ryzen 5」「Ryzen 3」では24レーンとなりました。(チップセットおよびM.2との接続分を含む)
「Ryzen Threadripper」と「Ryzen 7」、「Core X(LGA2011)」「Core i5(LGA1151)」の比較
「Ryzen Threadripper」は、Socket TR4対応のCPUとなり、他の「Ryzen」とは異なるソケットです。非常に大きなCPUとなり、インテルの「Core X」シリーズも小さく見えるほどです。
左から「Ryzen 7 1800X」、「Ryzen Threadripper 1950X」、「Core i7-7740X」、「Core i5-7600K」です。
「Ryzen Threadripper」は「Ryzen 7」の倍以上の大きさがあります。
左から「Ryzen 7 1800X」、「Ryzen Threadripper 1950X」、「Core i7-7740X」、「Core i5-7600K」です。
裏面を見ると、「Ryzen Threadripper」はインテルCPUと同じくLGAパッケージとなりCPU側にはピンの代わりに接点が配置されています。
左から「Ryzen 7 1800X」、「Ryzen Threadripper 1950X」、「Core i7-7740X」、「Core i5-7600K」です。
「Ryzen Threadripper」は基板も他と比べると2倍ほどの厚みがあります。
「Ryzen 7 1800X」と「第7世代APU Aシリーズ」、「AMD FXシリーズ」「第6世代APU Aシリーズ」の比較
「Ryzen」はSocket AM4対応のCPUとなり、従来のAM3+やFM2+ソケットとのピン互換性はありません。ピン数が1331ピンへと増加していますが、基板サイズ、基板の厚み、ヒートスプレッダの形状などに変更はありません。
左から「Ryzen 7 1800X」、「AMD A12-9800」、「AMD A10-7890K」、「AMD FX-8150」です。刻印以外目立った違いはありません。
「Ryzen 7 1800X」と「AMD A12-9800」はSocket AM4、「AMD A10-7890K」はSocket FM2+、「AMD FX-8150」はSocket AM3+となります。
ピン数は、Socket AM4で1331pin、Socket FM2+で906pin、Socket AM3+で962pinとなっています。
基板サイズ、基板の厚み、ヒートスプレッダの形状などに変更はありません。AMDのCPUは、CPU側にピンが立っているのが現在のインテルCPUとの大きな違いです。
「Ryzen」とインテルCore i7-7700、インテルCore i7-6800Kの比較
左から「Core i7-7700」、「Ryzen 7 1800X」、「Core i7-6800K」です。Core i7-7700からは一回り大きくなりますが、Core i7-6800Kから比べると小さなCPUとなります。この大きさで8コアであることを考えると「Ryzen 7」のコンパクトさが目立ちます。
左から「Core i7-7700」、「Ryzen 7 1800X」、「Core i7-6800K」です。インテルCPUは接点のみであるのに対し、「Ryzen 7」は引き続きピン方式となっています。
歴代CPUスペック比較
歴代CPUの代表としてAMD上位シリーズを比較したものです。「Ryzen」は従来と異なる全く新しいアーキテクチャ「Zen」をベースとした製品となっています。
モデルナンバー | Ryzen Threadripper 1950X |
Ryzen 7 1800X |
AMD FX-9590 |
AMD FX-8150 |
AMD A12-9800 |
AMD A10-7890K |
AMD A10-6800K |
AMD A10-5800K | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
コードネーム | Summit Ridge | Summit Ridge | Vishera | Zambezi | Bristol Ridge | Godavari | Richland | Trinity | |
CPUアーキテクチャ | Zen | Zen | Piledriver | Bulldozer | Excavator | Steamroller | Piledriver | ||
製造プロセス | 14nm | 14nm | 32nm | 28nm | 32nm | ||||
コア/スレッド | 16コア/32スレッド | 8コア/16スレッド | 8コア/8スレッド | 8コア/8スレッド | 4コア/4スレッド | ||||
動作クロック | 3.4GHz | 3.8GHz | 4.7GHz | 3.9GHz | 3.8GHz | 4.1GHz | 4.1GHz | 3.8GHz | |
MaxTurbo (Precision Boost) |
4.0GHz | 4.0GHz | 5.0GHz | 4.2GHz | 4.2GHz | 4.3GHz | 4.4GHz | 4.2GHz | |
キャッシュ | 40MB | 16MB | 8MB | 2MB | 4MB | ||||
PCI-Express | Gen | 3.0 | 3.0 | – | 3.0 | 3.0 | 2.0 | ||
レーン数 | 64 | 16 | – | 8 | 16 | 16 | |||
メモリ | 対応メモリ | DDR4-2667 | DDR4-2667 | DDR3-1866 | DDR4-2400 | DDR3-2133 | DDR3-1866 | ||
チャンネル | 4ch | 2ch | 2ch | 2ch | |||||
最大容量 | 128GB | 64GB | 32GB | 64GB | 32GB | ||||
GPU | – | – | – | – | Radeon R7 Graphics | RadeonHD 8670D | RadeonHD 7660D | ||
TDP | 180W | 95W | 220W | 125W | 65W | 95W | 100W | ||
64bitコード | AMD 64 | ||||||||
SIMD命令 | SSE | SSE4.1/4.2 | |||||||
AVX | AVX | ||||||||
仮想化 | AMD-V | 〇 | |||||||
セキュリティ機能 | NX ビット | 〇 | |||||||
AES | 〇 | ||||||||
対応ソケット | Socket TR4 | Socket AM4 | Socket AM3+ | Socket AM4 | Socket FM2+ | Socket FM2 | |||
対応チップセット | X399 | X370/B350/A320 | 990FX/990X/970 | X370/B350/A320 | A88X/A78/A68H | A85X/A75/A55 |
AMD Ryzen 7とインテルCore i7の比較
いずれも2017年3月時点の各社CPUを比較しました。「Ryzen 7」のスペックでもCore i7と比べ見劣りするようなことはありません。
モデルナンバー | Ryzen Threadripper 1950X |
Ryzen 7 1800X | Core i7-7700K | Core i7-6950X | Core i7-7900K | |
---|---|---|---|---|---|---|
コードネーム | Summit Ridge | Kabylake-S | Broadwell-E | Skylake-X | ||
CPUアーキテクチャ | Zen | Kabylake | Broadwell | Skylake | ||
製造プロセス | 14nm | 14nm | ||||
コア/スレッド | 16コア/32スレッド | 8コア/16スレッド | 4コア/8スレッド | 10コア/20スレッド | 10コア/20スレッド | |
動作クロック | 3.4GHz | 3.8GHz | 4.2GHz | 3.0GHz | 3.3GHz | |
最大クロック | 4.0GHz | 4.0GHz | 4.5GHz | 3.5GHz | 4.3GHz | |
キャッシュ | 40MB | 16MB | 8MB | 25MB | 13.75MB | |
PCI-Express | Gen | 3.0 | ||||
レーン数 | 64 | 24 | 16 | 40 | 44 | |
メモリ | 対応メモリ | DDR4-2667 | DDR4-2400 | DDR4-2667 | ||
チャンネル | 4ch | 2ch | 2ch | 4ch | ||
最大容量 | 128GB | 64GB | 64GB | 128GB | ||
GPU | – | – | Intel HD Graphics630 | – | – | |
TDP | 180W | 95W | 91W | 140W | ||
64bitコード | AMD 64 | intel 64 | ||||
SIMD命令 | SSE | SSE4.1/4.2 | ||||
AVX | AVX | AVX2.0 | ||||
仮想化 | AMD-V | 〇 | ||||
VT-x | 〇 | 〇 | 〇 | |||
セキュリティ機能 | NX ビット | 〇 | ||||
XDビット | 〇 | 〇 | 〇 | |||
AES | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
対応ソケット | Socket TR4 | Socket AM4 | LGA 1151 | LGA2133 | LGA2066 | |
対応チップセット | X399 | X370/B350/A320 | Intel 200シリーズ | Intel X99 | Intel X299 |
Ryzenの特徴:チップセット
AMD Ryzenプロセッサーの”チップセット”の主な特徴
■「Ryzen Threadripper」ではSocket TR4を新たに採用し、X399チップセットが対応しています。
■「Ryzen 7」「Ryzen 5」「Ryzen 3」ではSocket AM4を新たに採用し、すでに発売されている第7世代APU Aシリーズと共通のソケットとなります。
■「Ryzen 7」「Ryzen 5」「Ryzen 3」に対応したチップセットとして、AMD X370、B350、A320チップセットがあります。この他、ITX向け専用チップセットがあります。
■「Ryzen 7」「Ryzen 5」「Ryzen 3」および「第7世代APU Aシリーズ」は共通のチップセット、マザーボードを使用することができます。※マザーボードの仕様によります。
Ryzen対応チップセットについて
「Socket TR4」対応チップセットは「Ryzen Threadripper」専用のソケットおよびチップセットとなります。
「Socket AM4」対応チップセットでは「Ryzen 7」「Ryzen 5」「Ryzen 3」だけでなく第7世代APU「Bristol Ridge」A-9000シリーズもサポートする共通のチップセットとなります。
※対応するCPU/APUはマザーボードの仕様によります。
チップセット | AMD 300 シリーズ チップセット | |||
---|---|---|---|---|
X399 | X370 | B350 | A320 | |
ソケット | TR4 | AM4 | ||
対応CPU | Ryzen Threadripper | AMD Ryzen7,5,3 / 第7世代APU Aシリーズ | ||
PCI Express レーンの最大数 | 8 | 6 | 4 | |
PCI-Express | 2.0 | |||
USB3.1ポートの最大数 | 2 | 2 | 2 | 1 |
USB3.0ポートの最大数 | 5 | 6 | 2 | 2 |
USB2.0の最大数 | 6 | 6 | 6 | 6 |
SATA Expressポートの最大数 | 2 | 2 | 2 | |
SATA 6.0 Gb/s ポートの最大数 | 8 | 4 | 2 | 2 |
RAID構成 | 0/1/10 | |||
CFX/SLI対応 | 〇 | × | ||
オーバークロック対応 | 〇 | × |
Ryzen Threadripper X399チップセット ブロック図
インテルCPUと大きく異なる特徴は、ITXなどの小型マザーボードでの使用も考慮された仕様となっているためCPU側にもUSBやSATAの機能を統合しています。どのIOを使用するかは、マザーボードの仕様によります。
Ryzen 7/5/3 X370/B350/A320チップセット ブロック図
インテルCPUと大きく異なる特徴は、ITXなどの小型マザーボードでの使用も考慮された仕様となっているためCPU側にもUSBやSATAの機能を統合しています。どのIOを使用するかは、マザーボードの仕様によります。
ここが知りたい!AMD Ryzen プロセッサーの疑問を解決!
Q1.「Ryzen」で自作したんだけど、画面が出ません。
A1. 「Ryzen」はGPUを内蔵していません。別途グラフィックカードが必要です。Socket TR4マザーボードには、グラフィックカードを別途取付してください。Socket AM4マザーボードは、第7世代APU Aシリーズと共通のマザーボードとなります。マザーボードの仕様によってはHDMIやDisplayPortなどのグラフィック出力端子が付きますが、「Ryzen」搭載の際には映像出力はされませんのでご注意ください。
Q2.CPUクーラーがついていないんだけど?
A2. いくつかの「Ryzen」シリーズCPUには標準でCPUクーラーは付属いたしません。使用するCPUのTDP以上に対応するクーラーを別途お買い求めください。
「Ryzen Threadripper」は対応する水冷クーラーの取付マウンタのみ付属します。対応する水冷クーラーを別途お買い求めください。
Q3.今までのCPUクーラーは使えるの?
A3. Socket AM4対応の表記のあるクーラーを使いましょう。
CPUクーラーを固定する方法として、ラッチ式(AMDのリンテンション枠をそのまま使用するもの)は、過去に発売されたものでも使用することができます。一方で、ネジ式で固定するものは、ネジ穴の位置の変更により使用することができませんのでご注意ください。
画像上部の赤丸部分、リンテンションのラッチ位置は同じですが、画像下部の赤丸部分、ネジ穴の位置が異なっております。
Socket AM4のネジ穴位置は、横53mm 縦90mmとなっていました。Socket FM2+では横47mm、縦95mmとなっていました。
Q4.Socket TR4の取り付け方が分からない
A4. Socket TR4は、非常に大型なRyzen Threadripperを搭載するため、従来にはない新たな取付方法になっています。
[取付]1.T20トルクスドライバを使用しCPUソケットの固定ネジ3か所を外します。(CPUの付属品にT20トルクスドライバが付属しています。)
[取付]2.外側のフレームがバネで跳ね上がります。2段目のフレームを〇のツマミを持ち持ち上げます。
[取付]3.下記の状態でCPUを取付します。CPUへのガイドの取付は#の下図を参照してください。2段目のフレームにガイドを取付したCPUをゆっくりと挿入しカタっというまで押し込みます。「▲」のマークが同じカドにあることを確認してください。
[取付]4.2段目のフレームをツマミを押して倒し、カタっというまで押し込みます。正しくソケットに入っているか、不自然な浮きなどが無いかを確認してください。
[取付]5.1→2→3の順でネジ止めをしますが、まずは1から順に仮止めし、3か所のネジ全てが軽く取付されたことを確認したら、順に増し締めします。1をいきなり強く締めると2、3が上手く締まりませんのでご注意ください。
以上で取り付け完了です。
様子がおかしいと思った場合は、無理をせずパソコン工房各店・サポートセンターにご相談ください。
Q5.今まで使っていたマザーボードのCPUをRyzenに乗せ換えたい!
A5. 「Ryzen」はSocket AM4へと変更されたため載せ替えることはできません。Socket AM4対応マザーボードへと変更してください。
Q6. 組み立てたけど起動しない!
A6. 「Ryzen」はグラフィック機能は内蔵していません。別途グラフィックカードが必要です。画面への接続もグラフィックカードより行っているか確認してください。
メモリの搭載位置に注意してください。搭載位置はマザーボードの取扱説明書をご確認ください。
Q7. Windows 7がUSB外付けドライブでインストールできない!
A7. 「Ryzen」も従来のUSB2.0などの規格「EHCI」の標準サポートが終了しており、インストーラー側でUSB3.0の「xHCI」に対するドライバを持つ必要があります。
Windows 8.1や、Windows 10では「xHCI」のドライバを持っていますので、インストールすることが可能です。
Windows2000登場前からほぼ一貫してPC製造部門に従事。PC組立はもちろん、OSイメージの作成や製造時のトラブルシュートを行う。 その経験を生かしてOSの基本情報や資料室を担当する事が多い。