オープニングムービー制作向けパソコンをBOOYAH ENTERTAINMENT氏が徹底検証!
Glitchを使ったロゴモーションの作業をAfter Effectsでこなすためには、どのようなPC環境が求められるのか。今回は「パソコン工房」で知られるユニットコム提案の推奨PCをBooyah氏に検証してもらい、その実力を探ってもらった。
BOOYAH ENTERTAINMENT
2018年12月よりモーショングラフィックスやVFXの世界観と出会い、本格的に映像制作を開始。eスポーツシーンにてゲーミングチームのオープニング制作やゲーム大会プロモーション映像などを担当。主にSci-Fi、エレクトリカルな表現を好む。過去ストリートダンスやDJ、イベント運営活動もしており、現在も音楽に合わせてモーションや構成を作成するのも得意とする。
10万円を切るコスパのエントリーモデルと作業効率を格段に重視したスタンダードモデルを徹底検証
今回解説いただいたAfter Effectsでの制作工程は、実際に作業するとどれくらい時間がかかるものなのでしょうか?
まず、全体的なデザインの構想で1日程度はかかりますが、実作業の部分のみで言えば、下地作りのSTEP.1は1時間程度で終わるでしょう。しかし、STEP.2以降の作業も含めると話は変わってきます。細部にまでこだわらなければ4時間ぐらいで終わるかもしれませんが、納得するまで吟味しながらこだわって作り込んでいくと、作業が速い人でも10時間はかかるというイメージです。
今回のような、キーフレームを使わずに1フレームずつ作っていくやり方は、作業量が膨大に増えてしまうため、必然的に時間もかかってしまいます。どちらかと言えば泥臭い作業ですが、愚直に進めていけば非常に良い経験になるのは間違いありませんし、作品の質もきっと上がるでしょう。簡単に終わるようなやり方ではありませんが、1フレームずつ作ることの楽しさを見出しながら、自分の目指す表現や個性の確立につなげてもらえれば幸いです。
そういう意味で1フレームずつ自分の意図した動きになっているか何度も仕上がりを確認しながら進めていきますので、After Effectsで行うプレビュー・レンダリングの早さ、つまり機材スペックが本当に重要になってくると思います。
今回はAfter Effectsでのモーショングラフィックスなどを想定したPCとして、第11世代インテルCPUプロセッサーの採用とコストにこだわった「エントリーモデル」と、そこからワンランク上の性能にアップグレードした「スタンダードモデル」の2種類を用意しました。実際に使ってみた感想はどうだったでしょうか?
率直な感想として、もう言葉にならないくらい感動しました。自分が現在使用しているノートPCもそれなりの性能を持ったマシンだと思っていましたが、最新のCPUの性能を搭載した両モデルの圧倒的な性能は、本当に脱帽でした。
今回の検証では以前コンテスト向けに制作した、中身が150以上のレイヤーに分かれているかなり重いaepファイルを素材として検証をしたのですが、まずはプレビューテストの結果を紹介させてください。
プレビューテストでは、ロゴが出現する冒頭パート(約7秒)までに要するプレビュー再生時間を計測しました。結果はスタンダードモデル(約7秒)、エントリーモデル(約10秒)、現PC(約15秒)という結果になりました。今まで自分のPCを使っていても正直「こんなもんかな」とは思っていましたが、ここまで差がでるとは・・・
この差が出た大きな理由としては、CPUの世代の差とメモリ量の差でしょうね。メモリについては、ご利用のPCが16GBに対して、エントリーモデル、スタンダードモデルそれぞれ32GB積んでいます。After Effectsはデータをメモリ上に展開するアプリなので、これだけの差が出たのだと思います。
またプレビューはGPUのCUDA性能も大きく影響します。その点を踏まえると、GPU搭載のスタンダードモデルは順当な性能を見せた一方で、オンボードGPUのエントリーモデルについてもここまでの処理性能を出せたのであれば御の字ですね。
次にレンダリング時間についてですが、こちらもかなり大きな差がでました。現PCに対してエントリーモデルは2倍弱、スタンダードモデルは3倍となりました。
After Effectsでのレンダリング性能は、基本的にCPUのスペックがダイレクト反映されるので、各PCのCPUパワーの違いによるきれいな結果がでましたね。さらにCPUのコア数以上の性能差が出ているかと思いますが、これは第11世代インテルCPUの新たなアーキテクチャのおかげでしょうね。古い世代とスペック上は同じクロック数でも、より高い処理性能が出せるようになりました。
自分が買ったPCは2018年購入のモデルですが、正直、ここまでの差が出るとは思いませんでしたね。私の場合、eスポーツ大会で流すような約1分のオープニング映像の制作には、構想から完成までに少なくとも約1週間を要します。「短時間でクオリティの高い作品を作ろう」と心がけていることもあり、周りと比較しても作業は速い方だと思っていますが、仮に今回の推奨モデルを導入すれば、これまで以上にスピーディーかつ効率的な作業が可能になりますね。
そのほか、何か気になった点などはありましたか。
やはり「価格」でしょうか。とくに、エントリーモデルは税抜きなら10万円を切ると聞いて、開いた口が塞がりません。自分の現PCは2018年当時で約30万円もしただけに、コストパフォーマンスの優秀さもかなり衝撃的でしたね。
初心者にはどちらのモデルがお勧めだと思いますか?
最終的に「どこを目指すか」によって変わってくると思います。趣味の範疇であればエントリーモデルでも問題ないでしょう。また「あまり予算はかけられないけれど、とにかくAfter Effectsに触れてみたい」という人も、エントリーモデルでいいと思います。一方で、最終的に仕事としてAfter Effectsを使っていきたいと考えているのであれば、スタンダードモデルを選ぶと良いでしょう。作業効率が格段にアップしますし、より幅広い表現にも対応できるからです。