Pascal第2弾「GeForce GTX 1070」を試してみた

Pascal第2弾「GeForce GTX 1070」を試してみた

2016-6-10

こんにちは。 職人5号です。今回はPascalコアを搭載した第2弾モデルであるGeForce GTX 1070 が手元に届きましたので、早速ベンチマークテストやSLI動作を試してみました。

GeForce GTX 1070 は圧倒的なパフォーマンスを見せたGeForce GTX 1080と同じPascalコアを採用したグラフィックカードです。基本的な仕様としてはGeForce GTX 1080と同じであるため、GeForce GTX 1070でもGeForce GTX 900 シリーズとは段違いなパフォーマンスが期待されます。

GeForce GTX 1070 (Pascal) の主な特徴

・製造プロセスが16nmとなり、前世代のGeForce GTX 970(28nm)から比べて微細化しました。
・製造プロセスの微細化により、動作クロックが大きく上昇し性能が向上するだけでなく電力効率も向上しました。
・グラフィックメモリは従来と同じ「GDDR5」ですが、8Gbpsと高速化されています。
・高いフレームレートが必要なVRや、高解像度の4K、5Kなどのゲーム、DirectX12に対し最適化されました。
・CUDAコアの増加との実行効率が改良され、PhysXを使用したゲームのパフォーマンスが向上しました。

端的にザックリ言えば、基本的な仕様としてはGeForce GTX 1080と同じで、プロセッサ数を少なくしビデオメモリをGDDR5にした物がGeForce GTX 1070 となります。見た目もヒートシンクカバーの「GTX 1070」の刻印が無ければ見分けがつかないほどGeForce GTX 1080 にそっくりな外観となっています。(左:GeForce GTX 1070、右:GeForce GTX 1080)

GeForce GTX 1070①GeForce GTX 1080①
GeForce GTX 1070②GeForce GTX 1080②



  GeForce GTX
1080
GeForce GTX
1070
GeForce GTX
980
GeForce GTX
970
Radeon R9
390X
Radeon R9
390
コードネーム GP104
(Pascal)
GM204
(Maxwell)
Grenada XT
(Granada)
製造プロセス 16nm 28mm
DirectX世代 12
ストリーミング
プロセッサ数
2560基 1920基 2048基 1664基 2816基 2560基
定格クロック 1607MHz 1506MHz 1126MHz 1050MHz 未公開
ブーストクロック 1733MHz 1683MHz 1216MHz 1178MHz 1050MHz 1000MHz
メモリタイプ GDDR5X GDDR5
メモリバス帯域幅 320GB/s 256GB/s 224GB/s 384GB/s
メモリバス幅 256bit 512bit
メモリ転送レート 10Gbps 8Gbps 7Gbps 6Gbps
メモリ容量 8GB 4GB 8GB
接続インターフェース PCI Express 3.0 x16
TDP 180W 150W 165W 145W 275W
補助電源 8pin 6pin x2 8pin + 6pin

GeForce GTX 1070の動作クロックはGeForce GTX 1080譲りの高クロック動作ですが、TDP値はGeForce GTX 970 とほぼ同程度で収まっており、プロセスルールのシュリンクによる動作クロックの向上と省電力化がものの見事に表れています。電源の要求条件はGeForce GTX 1080 と同じく、推奨電源が500W以上で補助電源端子は8Pinコネクタが1つとなっています。8Pinコネクタに対応さえしていればGeForce GTX 970 をそのままリプレースする事も可能であるなど、電源に対する要求条件はかなり抑えられています。

それでは、お待ちかねのベンチマーク比較と行きましょう。

ベンチマークテストでの比較

前回のGeForce GTX 1080と同様に、社内で販売準備中のゲーミングパソコンLEVEL∞ G-Classを用いてベンチマーク比較を行いました。比較対象として直接の置き換えモデルであるGeForce GTX 970とその上位モデルであるGeForce GTX 980やGTX 980Ti、および Radeon 390X と比較して行きます。また、前回計測したGeForce GTX 1080も測定しています。

テスト環境はハイエンド向けのビデオカードであるためフルHD以上の解像度、ちょうど3DMark Fire Strikeの標準設定であるフルHD(1920x1080)、Fire Strike Extremeの2560x1440、Fire Strike Ultraの4K(3840x2160)の3つの解像度にて行いました。
※測定環境、測定条件は記事の最後に記述していますのでご参照ください

① 3D Mark 「Fire Strike」テスト Graphics Score

3D Mark 「Fire Strike」テスト Graphics Score

※GeForce GTX TITAN Xについては、以前に実験工房でレビューした際に計測した値です。OSやプラットフォームが異なりますので参考として掲載しています。

どの解像度でも GeForce GTX 1070 は GeForce GTX 980Tiとほぼ同等で、置き換え対象であるGeForce GTX 970からは50%以上の向上となっています。GeForce GTX 1080 比ではおよそ8割となっており、演算プロセッサ数の違いがそのままスコアの差に表れている格好となっています。

② ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク キャラクター編

② ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク キャラクター編

全体的に 3D Mark「Fire Strike」と同じ傾向となっており、GeForce GTX 980Ti とほぼ同等でGeForce GTX 970からは50%以上の向上となっています。

どちらのベンチマーク結果でも、GeForce GTX 1070 とGeForce GTX 970 を比べると、フルHDでは50%以上、4Kでは60%強と、解像度が上がるにつれ性能差が広がっている事が確認できました。GeForce GTX 1070の特徴である、高解像度ゲームへの最適化という特徴が表われているものと思われます。

消費電力を確認

次いでGeForce GTX 1070の消費電力を見てみます。
今回は上記ベンチマークテストの4K解像度における実行時のシステム全体の消費電力の最大値を記録しています。

消費電力を確認

どちらのベンチマークテストにおいても、GeForce GTX 1070 が最小電力となっています。スペック上のTDP値ではGeForce GTX 1070より低くなっているGeForce GTX 970よりも30W以上少なくなっており、GeForce GTX 1070 の省電力性の高さが証明されています。

今度は、アイドル時のシステム消費電力を比較してみます。

今度は、アイドル時のシステム消費電力を比較してみます。

アイドル時でも GeForce GTX 1070 が最小電力となっています。50Wを超えるGeForce GTX 970 に対して GeForce GTX 1070 は40W程度と10W以上少なくなっており、アイドル時でもGeForce GTX 1070 の省電力性の高さが証明されました。

実質的にGeForce GTX 1070 の消費電力は GeForce GTX 970以下と見てよさそうです。

ワットパフォーマンスを確認

GeForce GTX 1080の圧倒的なワットパフォーマンスは GeForce GTX 1070でも健在なのか。ベンチマークテストのスコアを消費電力で割り、1W当たりのスコアを算出し、ワットパフォーマンスを比べてみます。

ワットパフォーマンスを確認

GeForce GTX 1080には及びませんでしたが、それでも置き換えモデルであるGeForce GTX 970 からは2倍近い向上となっており、Pascalコアのワットパフォーマンスの高さが素直に表れています。

GeForce GTX 1070でSLIを試してみた

最後にLEVEL∞用のテストモデルを用いてGeForce GTX 1070 でのSLIを試してみました。本来ならSLI HB Bridgeを使用してDual-Link SLIにしたい所なのですが、肝心のSLI HB Bridgeが入手できなかったので、従来のSLIブリッジコネクタ(LEDタイプ)でのSLI構築となっています。実験工房的なネタとして見て頂ければと思います。

GeForce GTX 1070 2本をLEVEL ∞G  Lev-G017-i7-1070(仮)に取り付けた図

GeForce GTX 1070 2本をLEVEL ∞G Lev-G017-i7-1070(仮)に取り付けた図


① 3D Mark 「Fire Strike」テスト

① 3D Mark 「Fire Strike」テスト

② ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク キャラクター編

② ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク キャラクター編

3DMarkでのベンチマークスコア増加率を見ると、旧ブリッジコネクタであっても1.9倍程度の効果が見られました。一方FF14では、フルHDでは1.3倍程度の増加で留まりますが、解像度が上がるにつれて増加率も向上し 4Kでは3D Markと同じく1.8倍以上の増加となっています。

4Kではどちらのベンチマークでも1.8倍以上の増加率となっており、従来のSLIブリッジコネクタでも比較的に良い結果が得られました。SLI HB Bridgeが入手できた際にはDual-Link SLIとの比較検証を行ってみたいと思います。

まとめ

ベンチマーク結果から、GeForce GTX 1070はGeForce GTX 980Ti並みの性能をGeForce GTX 970以下の消費電力で実現した、ワットパフォーマンスに秀でたグラフィックカードとなります。それ以外にもゲーム画面を自在に撮影する事が出来る「ANSEL」や、VRのパフォーマンスを大幅に引き上げる「Simultaneous Multi-Projection」やなど、パフォーマンス以外にも魅力溢れる1枚となっています。初値で10万円近かったGeForce GTX 1080 と比べ、GeForce GTX 1070 は6万円前後となっており、ハイエンドに属するグラフィックカードとしては比較的入手しやすい手ごろな価格のハイエンドカードとして人気を博するのではないでしょうか。


執筆:パソコン工房 職人5号

表2.テスト環境  LEVEL ∞G LEVEL ∞G シリーズ Lev-G017-i7-GTX1070(仮)

CPU Core i7-6700K (4.0-4.2GHz/4コア・8スレッド/キャッシュ8MB/TDP91W)
マザーボード ASUS Z170-A (Z170チップセット / BIOS :1702 )
メインメモリ DDR4-2133 16GB (8GB x2)
ビデオカード GeForce GTX 1080 Founders Edition (ビデオメモリ 8GB)
GeForce GTX 1070 FoundersEdition (ビデオメモリ 8GB)
GeForce GTX 980Ti リファレンスカード(ビデオメモリ 6GB)
GeForce GTX 980 リファレンスカード(ビデオメモリ 4GB)
GeForce GTX 970 リファレンスカード(ビデオメモリ 4GB)
Radeon R9 390X リファレンスカード(ビデオメモリ 4GB)
ストレージ Toshiba THNSNJ128GCSU (128GB SATA3)
電源 Seasonic SS-1000XP(80PLUS Platinum、1000W)
OS Windows 10 Home 64bit
ビデオドライバ GeForce GTX シリーズ : GeForce Game Ready Driver Ver368.39
Radeon R9 390X : Radeon Software Crimson Edition 16.5.2