佐藤 智幸 氏インタビュー|モーショングラフィックス・VFX向けパソコン SENSE∞
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入門書も手掛ける佐藤智幸氏が監修した
After Effects向けのPC構成とは?「Adobe After Effects」はプロも利用する定番ソフトだが、それに適したPC選びは、初心者にとって悩みどころだ。そこで今回は、Adobe After Effectsの入門書なども手掛ける佐藤智幸氏と「パソコン工房」ブランドで知られるユニットコムに、最適なPCを提案してもらった。
佐藤 智幸
VFXディレクター/デザイナー。TV局や某CGプロダクションでの活動を経てフリーランスヘ。映画やドラマのVFX、LIVE映像、CDのアートワークなどを手がけるほか、クリーク・アンド・リバー社との協業で後進の 育成にも取り組んでいる。
https://tomoyuki-sato.themedia.jp/After Effectsに対応できるエントリーモデルとハイエンド仕様で構成されたプロモデル
今回は、映像編集の初心者を対象とした「エントリーモデル」と、プロが利用したいと思える超高性能な「プロモデル」を考えました。エントリーモデルで重視したのはコストパフォーマンス。
学生でも購入できる低価格ながらも、After Effectsを十分に活用できる構成を目指しました。プロモデルは、自分が買い替えることをコンセプトに置き、After Effectsだけでなく3DCGなどにも対応できるハイレベルでのバランスの良さを求めました。その要望に基づき、エントリーモデルはCPUに8コア16スレッドの
Corei7-10700、GPUにGeForce GTX 1650 Super、そして32GBのメモリーなどを搭載し、12万円を切る価格を実現しました。
プロモデルは、ハイエンドクラスの最新パーツを念頭に置いて全体を構成。CPUはコア数とクロック数のバランスを重視してCore i9-10900Xを選択したほか、GPUにはGeForce RTX 2080 Superを搭載し、あらゆるシーンで快適に動作するはずです。After EffectsにはGPU対応のプラグインがあるほか、GPU対応のレンダラーも増えているので、エントリーモデルといえども最低限のGPUは必須です。一方プロモデルは、かなり優秀なGPUとなるので、作業効率の大幅な向上が期待できます。
また、エントリーモデルは初心者向けながらも8コアのCPUなので、これならAfter Effectsだけでなく、BlenderやAfter Effectsに付属するCINEMA 4D LITEでのCG制作にも十分対応できるでしょう。ストレージは、エントリーモデルで500GBのSSDを採用。プロモデルでは、OS用、キャッシュ用、作業用として3台の500GBSSDを搭載しました。この構成には「現場を知るプロならでは」と感心しました。
自分は実作業に入る前の段階で、完成形の画が8割程度は出来ています。そのため、ビジュアルに落とし込む実作業の段階では、極力手を止める時間を作りたくないのです。
もちろん、他のパーツも作業効率には影響しますが、そういった考えからSSDの3台構成は自分なりのこだわりといえます。少なくとも、SSDの採用はこれからの時代において必須となるでしょう。実際に使った感想は?
2年前に32万円でハイエンド仕様のノートPCを購入したのですが、今回の検証において両モデルは、そのノートPCの性能をはるかに凌駕しました。まさに驚きの結果で、「もう買い替えるしかない」というのが本音です(笑)。
とくに、エントリーモデルは想像以上だったので、After Effects限定で利用するのであれば、CPUとメモリーを1ランク落としても十分いけると感じました。それなら、エントリーモデルのCPUを6コア12スレッドの
Corei5-10400に、メモリーを16GBに変更することで、10万円を切る価格で構成することが可能になります。10万円を切るモデルでAfter Effectsを利用できるというのは、かなり魅力的です。初心者はまずエントリーモデルを使い倒し、性能的に満足できなくなったらプロモデルなどに買い替えるといいでしょう。満足できないということは、それだけの「技術力が身に付いた」という証ですから。
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