田村 耕一郎さんインタビュー|リアルタイムレンダリング向けパソコン SENSE∞
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リアルタイムレイトレーシングのパフォーマンス検証!映像制作向けPCの実力徹底調査
次世代の3DCG技術「リアルタイムレイトレーシング」が、いよいよ身近なものになってきた。鍵を握るのがNVIDIAのRTXテクノロジーだ。「パソコン工房」で知られるユニットコムの協力の下、スタジオブロスに、リアルタイムレンダリング向けPCの実力を検証してもらった。
田村 耕一郎
株式会社スタジオブロス 映像開発部
リアルタイム3DCGディレクター
株式会社スタジオブロス
CGスタジオのブロスから2019年に独立。リアルタイムエンジンを用いた映像制作というビジョンを掲げており、Unity、Unreal Engine 4、リアルタイムレンダラをベースとした受託制作を行なっている。 他にアセット管理パイプラインの設計開発も含めた、総合的なリアルタイムフローの構築や導入サポートなども手がけている。
Webサイト「bros.studio」今回はUnreal Engine 4(以下、UE4)とRTXテクノロジーの組み合わせで検証していただきましたが、感想はいかがでしたか?
興味深いですね。GPUの性能のちがいが作業時間に大きく影響しました。ここ1年でUE4を用いた案件が増加しているので、導入を前向きに検討したいです。
リアルタイムレンダリングの増加には、どういった背景があるのでしょうか?
映像クオリティの向上もさることながら、4K・8K映像コンテンツが増加したことで、プリレンダーではリテイク時の対応に時間がかかりすぎるようになりました。 それまでは目立たなかったレンダリング時のエラーも解像度が上がると目立ちますし、修正にも時間がかかりますからね。最近はクライアントさんも事情を良く理解されていて、最初からリアルタイムCGでお願いしますと言われるくらいです。
主に使われる機材はどういったスペックになりますか?
当社の機材はスペックがバラバラなんですよ。社員は10名で、それぞれが異なったスペックのPCを使用しており、必要に応じてメモリやグラフィックカードを増設しています。それだけ、いろんな種類の案件が来るということなんです。 また、UE4案件で意外に重要なのがストレージのアクセス速度です。UE4ではシーンの初回起動時にGPUキャッシュを作成しますが、これだけで数時間かかったこともありました。2回目以降は迅速に起動するようになるのですが……。
そこで今回はGPUにGeForce RTX 2070、Quadro RTX 5000、TITANRTXを搭載したモデルを用意しました。ストレージもNVMe M.2 SSDとOptane SSDの2種類を用意しています。
やはりTITAN RTXとOptaneの組み合わせは強力ですね。TITAN RTXの高い処理性能と、高速な読み書きが行えるOptaneのメリットが反映されていると思います。 UE4はアンチエイリアスの精度が低いため、最初から2倍の解像度でデータを制作し、縮小して納品することが多いんです。そうした作業でもストレスなく対応できそうですね。一方でQuadro RTXの健闘ぶりにも驚かされました。
リアルタイムレイトレーシングに対する期待感はありますか?
ものすごくありますね(笑)。だからこそ、RTXテクノロジーには期待しています。ただ、Windows 10でなければ、その恩恵が活かせない点には注意が必要ですね。
今後リアルタイムレイトレーシングで挑戦したい表現はありますか?
建築業界などで増加しているのが、アセット制作にレーザースキャンを用いた案件です。これにより、今や億単位の点群データをプレビューする時代になっています。 これとリアルタイムレイトレーシングを組み合わせれば、より完成度の高いプリビズが短時間で作成可能になるので、ぜひ挑戦してみたいですね。
そのためには、ますます高性能な機材が求められますね。当社でもRTXシリーズを搭載したPC「SENSE∞シリーズ」が、より身近な存在になるよう努力していきます。
まとめ
4K・8Kの案件増加に伴いリアルタイムCGの割合が増加しているとの現場の声を頂きました。リアルタイムレイトレーシングで制作ワークフローが変わると期待される中、ストレスのない作業環境の実現にはやはり数々の検証を通して必要なスペックの見極めを行ったマシンが最適となります。 今後もパソコン工房では最前線で活躍されるクリエイターの皆様とともに、創造を形にできるパソコンをリリースして参ります。
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