GeForce GTX 1080のスゴさを全力で調査してみた

見えてきたGeForce GTX 1080の概要

2016-5-27

お久しぶりの職人5号です。今回はNVIDIAの最新アーキテクチャ『Pascal』を搭載したGeForce GTX 1080 が手元に届きましたのでベンチマーク測定や気になるSLIも試してみました。
GeForce GTX 1080 は GeForce GTX 900シリーズから新世代のGPUコア「Pascal」へと一新されたGeForce 10シリーズのグラフィックカードです。
GeForce GTX 1080 の発表会では「GeForce GTX 1080は、GeForce GTX 980 SLIよりも速く、GeForce GTX TITAN Xよりも速い」と宣言されており、性能が大幅に向上した事が謳われています。また「電力当たりの性能はMaxwell世代のGeForce GTX TITAN X の3倍」にも達するとアピールされていました。

NVIDIA公式サイトの情報や資料によると、GTX1080の製造プロセスは従来の28nmから16nmへとシュリンクされ、動作クロックが大幅に向上している一方で、省電力性も向上している事などが期待できそうです。GTX1080 の主な特徴をまとめてみますと以下のようになりました。

GeForce GTX 1080 (Pascal)の主な特徴

・製造プロセスが16nmとなり、前世代のGeForce GTX 980(28nm)から比べて微細化しました。
・製造プロセスの微細化により、動作クロックが大きく上昇し性能が向上するだけでなく電力効率も向上しました。
・グラフィックメモリに「GDDR5X」をサポートし、10Gbpsの転送速度を実現しました。
・高いフレームレートが必要なVRや、高解像度の4K、5Kなどのゲーム、DirectX12に対し最適化されました。
・CUDAコアの増加との実行効率が改良され、PhysXを使用したゲームのパフォーマンスが向上しました。

外観に目を向けると、従来同様のベイパーチャンバー + シロッコファン方式のヒートシンクファンを採用していますが、ヒートシンクカバーに施されているポリゴンチックな意匠が目を引きます。見ているだけでも胸躍るその高性能ぶりを早速見ていきましょう。

GeForce GTX 1080
  GeForce GTX
1080
GeForce GTX
Titan X
GeForce GTX
980 Ti
GeForce GTX
980
Radeon R9
Fury X
Radeon R9
390X
コードネーム GP104
(Pascal)
GM200
(Maxwell)
GM200
(Maxwell)
GM204
(Maxwell)
FIJI XT
(FIJI)
Grenada XT
(Granada)
製造プロセス 16nm 28mm
DirectX世代 12
ストリーミング
プロセッサ数
2560基 3072基 2816基 2048基 4096基 2560基
定格クロック 1607MHz 1000MHz 1000MHz 1126MHz 未公開 未公開
ブーストクロック 1733MHz 1075MHz 1075MHz 1216MHz 1050MHz 1050MHz
メモリタイプ GDDR5X GDDR5 HBM1 GDDR5
メモリバス帯域幅 320GB/s 336GB/s 336GB/s 224GB/s 512GB/s 384GB/s
メモリバス幅 256bit 384bit 384bit 256bit 4096bit 512bit
メモリ転送レート 10Gbps 7Gbps 7Gbps 7Gbps 1Gbps 6Gbps
メモリ容量 8GB 12GB 6GB 4GB 4GB 8GB
接続インターフェース PCI Express 3.0 x16
TDP 180W 250W 250W 165W 275W 275W
補助電源 8pin 8pin + 6pin 8pin + 6pin 6pin x2 8pin x2 8pin + 6pin

GeForce GTX 1080のGPUコア動作クロックはMaxwell世代のGPUより50%近い高クロックですが、TDP値はGeForce GTX 980 をやや上回る程度で収まっており、プロセスルールのシュリンクによる動作クロックの向上と省電力化がものの見事に表れています。GeForce GTX 1080 の補助電源端子は8Pinコネクタが1つのみで、GeForce GTX 980と同じ500W以上が推奨電源となっている事から、8Pinコネクタに対応さえしていればGeForce GTX 980 をそのままリプレースする事も可能であるなど、電源に対する要求条件はかなり抑えられています。
 スペックシート外となりますが、GeForce GTX 1080 には様々な新機能が加えられています。ゲーム内で自在なアングルや角度から撮影可能になる「ANSEL」、VRでの描画速度を大幅に向上させる「Simultaneous Multi-Projection」、反響音を忠実に反映させVRでよりリアルな音響体験が出来る「VRWorks AUDIO」、画面のチラつき(テアリング)を発生させる事無くフレームレートを向上させる事が出来る「Fast Sync」など、ゲームがより楽しくなる仕掛けが満載されています。これらGeForce GTX 1080の新機能については、実験工房資料室の「Pascalとは」に詳しく説明されていますので、そちらをご参照ください。

それでは、お待ちかねのベンチマーク比較と行きましょう。

ベンチマークテストでの比較

社内で販売準備中のゲーミングパソコンLEVEL∞ G-Classを用いてベンチマーク比較を行いました。比較対象として直接の置き換えモデルであるGeForce GTX 980とその上位モデルであるGeForce GTX 980Ti、および Radeon Fury X と比較して行きます。また、「従来のGeForce GTX 980のSLIよりも速い」と発表会で説明されているのでGeForce GTX 980 SLI構成でも測定しています。 テスト環境はハイエンド向けのビデオカードであるためフルHD以上の解像度、ちょうど3DMark Fire Strikeの標準設定であるフルHD(1920x1080)、Fire Strike Extremeの2560x1440、Fire Strike Ultraの4K(3840x2160)の3つの解像度にて行いました。

※測定環境、測定条件は記事の最後に記述していますのでご参照ください

① 3D Mark 「Fire Strike」テスト Graphics Score

3D Mark 「Fire Strike」テスト Graphics Score

※GeForce GTX TITAN Xについては、以前に実験工房でレビューした際に計測した値です。OSやプラットフォームが異なりますので参考として掲載しています。

どの解像度でも GeForce GTX 1080 は GeForce GTX 980Ti と比べて20%以上のスコアが向上しています。GeForce GTX 980 TiとGeForce GTX TITAN X の差が10%弱である事から、「GeForce GTX TITAN Xよりも速い」というのは間違いなさそうです。一方、GeForce GTX 980 SLIとの比較では概ね85%前後となっており、「従来のGeForce GTX 980のSLIよりも速い」とは成りませんでした。

② ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク キャラクター編

② ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク キャラクター編

全体としては 3D Mark「Fire Strike」と同じ傾向となっており、GeForce GTX 980Ti 比で20%程度の向上となっています。GeForce GTX 980 SLI 比では95%前後となっており3D Mark「Fire Strike」よりは差が縮まっています。この程度の差であれば、オーバークロック性能に秀でたGeForce GTX 1080の事、今後登場するであろうオーバークロックモデルでなら逆転する事も可能だと思われます。

消費電力を確認

次いでGeForce GTX 1080の消費電力を見てみます。 今回は上記ベンチマークテストの4K解像度における実行時のシステム全体の消費電力の最大値を記録しています。

消費電力を確認

どちらのベンチマークテストにおいても、GeForce GTX 1080 が最小電力となっています。スペック上のTDP値ではGeForce GTX 1080より低くなっているGeForce GTX 980 と比べても同等以下となっており、GeForce GTX 1080 の省電力性の高さが証明されています。

今度は、アイドル時のシステム消費電力を比較してみます。

今度は、アイドル時のシステム消費電力を比較してみます。

アイドル時でも GeForce GTX 1080 が最小電力となっています。50Wを超えるGeForce GTX 980 に対して GeForce GTX 1080 は40W以下となっており、アイドル時でもGeForce GTX 1080 の省電力性の高さが証明されました。
実質的にGeForce GTX 1080 の消費電力は GeForce GTX 980 と同等以下に有ると言えるでしょう。

ワットパフォーマンスを確認

続いて「電力当たりの性能はMaxwell世代のGeForce GTX TITAN X の3倍」との言葉が本当かどうか、ベンチマークテストのスコアを消費電力で割り、1W当たりのスコアを算出してみます。

ワットパフォーマンスを確認

3倍というの「Simultaneous Multi-Projection」により大幅な描画速度の向上が見込まれるVR環境での話なので、さすがにそのまま当てはまるわけでは有りませんが50%以上向上しており、Maxwell世代よりは格段にワットパフォーマンスが向上している事が確認できました。

GeForce GTX 1080でSLIを試してみた

最後にLEVEL∞用のテストモデルを用いてGeForce GTX 1080 でのSLIを試してみました。本来ならSLI HB Bridgeを使用してDual-Link SLIにしたい所なのですが、肝心のSLI HB Bridgeが入手できなかったので、従来のSLIブリッジコネクタ(LEDタイプ)でのSLI構築となっています。実験工房的なネタとして見て頂ければと思います。

GeForce GTX 1080でSLIを試してみた

GeForce GTX 1080 2本をLEVEL∞ G-Class Lev-G017-i7-1080(仮)に取り付けた図

① 3D Mark 「Fire Strike」テスト

① 3D Mark 「Fire Strike」テスト

② ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク キャラクター編

② ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク キャラクター編

3DMarkでは、GeForce GTX 980 でのSLI化の増加率にはやや劣りますが、旧ブリッジコネクタであっても1.9倍以上の効果が見られました。一方FF14では、フルHDでは1.2倍程度の向上で留まりますが、解像度が上がるにつれて増加率も向上し 4Kでは3D Markと同じく1.9倍程度の向上となっています。
 4Kではどちらのベンチマークでも1.9倍以上の向上率となっており、予想に反して従来のSLIブリッジコネクタでも意外と良い結果が得られました。SLI HB Bridgeが入手できた際にはDual-Link SLIとの比較検証を行ってみたいと思います。

まとめ

GeForce GTX 980 SLIには及ばないもののGeForce GTX TITAN Xは上回る性能を示しており、『GeForce GTX TITAN Xよりも速い』と発表するだけの事はあります。それでいながら消費電力はGeForce GTX 980 単体とほぼ同等に抑えられており、16nmプロセスの採用による効果が端的に表れています。これら絶対的パフォーマンスとワットパフォーマンスの高さがGeForce GTX 1080の最大の魅力ですが、それ以外にもゲーム画面を自在に撮影する事が出来る「ANSEL」や、VRのパフォーマンスを大幅に引き上げる「Simultaneous Multi-Projection」やなど、パフォーマンス以外にも魅力溢れる1枚となっています。来たるべきDirectX12世代ゲームやVRコンテンツを存分に満喫したいのなら、文句無しにお奨めの一品となります。

今回は時間の関係でここまでとなりますが、近ごろ注目されているディープラーニングでのGPGPUの性能も非常に興味深い点です。実験工房では別の機会を設け、引き続きGTX1080の持つ可能性を探って行きたいと思います。


執筆:パソコン工房 職人5号

表2.テスト環境  LEVEL∞ G-Class Lev-G017-i7-1080(仮)

CPU Core i7-6700K (4.0-4.2GHz/4コア・8スレッド/キャッシュ8MB/TDP91W)
マザーボード ASUS Z170-A (Z170チップセット / BIOS :1702 )
メインメモリ DDR4-2133 16GB (8GB x2)
ビデオカード GeForce GTX 1080 Founders Edition (ビデオメモリ 8GB)
GeForce GTX 980 Ti リファレンスカード(ビデオメモリ 6GB)
GeForce GTX 980 リファレンスカード(ビデオメモリ 4GB)
Radeon Fury X リファレンスカード(ビデオメモリ 4GB)
ストレージ Toshiba THNSNJ128GCSU (128GB SATA3)
電源 Seasonic SS-1000XP(80PLUS Platinum、1000W)
OS Windows 10 Home 64bit
ビデオドライバ GeForce GTX 1080 : GeForce Game Ready Driver Ver368.15
GeForce GTX 980 Ti・980 : GeForce Game Ready Driver Ver365.19
Radeon Fury X : Radeon Software Crimson Edition 16.5.2

※GeForce GTX TITAN X 比較参考モデル

CPU Core i7-4790K (4.0-4.4GHz/4コア・8スレッド/キャッシュ8MB/TDP88W)
マザーボード ASUS Z97-A (Z97チップセット / BIOS : 1204)
メインメモリ DDR3-1600 16GB (8GB x2)
ビデオカード GeForce GTX TITAN X リファレンスカード(ビデオメモリ 12GB)
ストレージ Toshiba THNSNJ128GCSU (128GB SATA3)
電源 Seasonic SS-1000XP(80PLUS Platinum、1000W)
OS Windows 8.1 Update 64bit
ビデオドライバ GeForce Game Ready Driver Ver:347.88