DAW・DTM向けパソコンをファンレス化!究極の静けさを追求!

「ファンレス」でとにかく静かに・・・

2015-08-28


こんにちは。職人3号です。

つい先日「DAW・DTM音楽制作・編集向けパソコン」でCore i7を搭載したデスクトップモデル、 「AEX-DACompose-H97M-SS」を販売開始しましたが、 実はその時に、LEVEL∞をベースにしたテストモデルを使って「少しでも静かな環境での作業」を想定し、ファンレスCPUクーラーの検証もしていました。

「ファンレス」とは、パソコンの大きな騒音源の一つである、冷却ファンをなくしてしまうことを指します。CPUのファンレス化では、 CPUに大型の放熱器を搭載して、自然の風またはケースを循環する風を当てて冷やす方式が一般的ですが、 搭載スペースに限りがある最近のパソコン事情では大型の放熱器の搭載が困難なため、広く普及するには至っておりません。

PC1
写真は実際に「AEX-DACompose-H97M-SS」へファンレスCPUクーラーを実装した状態です。 パソコンの中央付近にある、丸い巨大な物体が、ファンレスCPUクーラーです。マイクロタワーの大きさのパソコンですので、かなり大きく感じるかもしれません。

LEVEL∞でもファンレスゲーミングPCの要望は寄せられているものの、現段階ではPCとしての製品化は今のところ検討中ですが、コアな自作ユーザーな方には気にされている方も多くおられると思いますので、ご紹介させて頂きます。

圧倒的な存在感を誇るその大きさ

製品化の検証にあたり、テストしたのは「NOFAN」の「CR-95C」というCPUクーラーとなります。

NOFAN CR-95C
大きさは、高さ148mm×横幅180mm、重さは730g、ヒートパイプによりCPUの熱を吸収し、独特な形状をしているICE PIPEと呼ばれる細いヒートパイプのような柱に熱を伝導・放熱しており、 なんとファンレスでありながら最大TDP95WまでのCPUに対応しています。

Core i7-4790KがTDP 88Wですので、LGA1150クラスのCPUであればどれでもOKということになります。驚異的な性能ですね。
このICE PIPEですが、街灯や野外の大型施設などで使用される高出力大型LEDランプを冷却するために使用されているそうで、熱伝導率はアルミニウムの約200倍という性能を誇っています。

また、代理店の資料によりますと、ICE PIPEは長い1本を折り曲げたもので、全長43,200mm、放熱面積は217,036mm2にもなるそうです。4本のヒートパイプには160もの接点を持っています。
クリアランスを確認
取り付けた様子をもう少し細かく紹介していきます。
電源付近は1cm程度の隙間があります。背面ファンは、標準搭載のものですと物理干渉するため、取り外ししています。薄型の15mm厚程度の12cmファンでしたら取り付け可能ですので、低速回転のものを1つ追加するのも良いでしょう。

電源を含めた“完全ファンレス化”も可能ですが、DAW編集作業用途としてパソコンの連続起動時間が長時間となることも想定されるため、あえて電源のみファンを搭載する形としております。

もちろん、電源を含めた“完全ファンレス化”は温度管理が確実にできていれば問題ありませんが、万が一、想定以上に温度が上昇した際の作業の中断はかなりな痛手となることも考えておかなくてはなりません。

代案では完全ファンレスにしつつも、ファン + ファンコントローラーを付けて手動でファンの回転を制御できるようにしておき、非常時にファンが回せるようにするのもアリかと思います。
クリアランスを確認2
また、マザーボード上の1番上のスロットに覆いかぶさっており、グラフィックカードなどの増設を行う場合、最下段のスロットを使用することになります。
クリアランスを確認3
ファンの高さで側面パネルが閉まらないといったことはありません。十分な広さをもって側面を閉めることができます。

取り付け方法の詳しい部分は、NOFANの説明書を見ていただくとして、順番としては、
①マザーボードにバックパネルとファンのマウンタを取り付ける
②マザーボードをケース内に固定
③ファンレスクーラーを取り付け
の順に作業していただくのが最も簡単かと思います。

高負荷をかけてみる

さてファンレスCPUクーラーを搭載したところで、気になるCPUの温度ですが、CPUとメモリおよびGPUに同時に高負荷をかけるツールを用いて負荷をかけたところ、最大でもCPUのコアの温度が87℃となっていました。

ベンチマーク
Core i7-4790を使用してテストを行いましたが、CPUが自動的に動作クロックを下げて温度をキープした様子も見られず、定格クロックでの動作を維持していました。
※動作時の環境温度に依存するところが大きく、必ずしも同じ結果が得られるとは限りません。ご注意ください。

その大きさ故に、冷却もしっかり出来ている!が、製品化には至らず。

今回、色々検証してかなり実用的なのが分かりましたが、PCとして販売する場合はコンピュータハードに詳しくない方が使用しても問題ないようにしなければなりません。
長期使用で埃が蓄積した場合、置き場所などによるケース内温度の変化などまだまだ検証する事がたくさんありますので、PCとしての製品化は見送った次第です。

しかし、ファンレスクーラーを搭載することで、より静音性を高めることができ、かつ、性能を犠牲にすることもありませんので、我こそは!と思う“自作er”(ジサッカー)な方は是非ともチャレンジしてみてください!
こういうカスタムが出来るのが自作パソコンの醍醐味ですよね。

※保証期間中のPCを改造される場合、パーツ変更時の物理破損や故障原因が改造による物であれば保証対象外となってしまいますので、十分にご注意ください。

執筆:パソコン工房 職人3号