第6世代インテルCore iシリーズ:Skylake「Core i7-6700K」速攻レビュー
扱いやすく進化したCPU「Skylake」
2015-08-05
いつもご覧いただき、ありがとうございます。職人3号です。
新たな時代の予感を感じるインテルのCPU(コードネーム:Skylake)となる『Core i7-6700K』を早速入手しましたので、Core i7-4790KやCore i7-5775Cなどのベンチマークをとり、CPUの性能比較をしてみたいとおもいます。
Skylakeが持つ特徴として
- 第6世代インテルCore iシリーズの最新CPUである
- 14nmプロセスルールで製造されクロックあたりの性能が向上
- ソケットがLGA1151に変更
- DDR4に対応(DDR3Lにも対応)
- ベースクロック変更やVRMをCPU外部に移動したことによるオーバークロック機能の強化
- 内蔵グラフィック機能がGen9へと移行し、DirectX 12へ対応
- HEVCやVP9などのハードウェアCodecに対応
- Intel 100シリーズチップセットに対応
- DMI3.0対応により、チップセット機能の大幅強化(チップセット側もPCI-Express3.0に対応など)
Skylake対応インテル100シリーズチップセット ブロック図

高速なポートであるUSB3.0やSATA3.0ポート数の増加、PCI-Expressレーンが3.0に対応するなど、Skylakeの足回りを大きく強化する内容となっています。
SATA3.0に対応する高速なSSDや、さらに高速なM.2対応するPCI-Express接続のSSDを従来のチップセットと比べてより多く搭載することができ、柔軟な高速なストレージ環境を実現します。
PCI-Expressカードのポートも全てPCI-Express3.0となることで、搭載する拡張カードも、より高速なものを搭載することができるようになります。
詳しくは、Skylake販売ページや実験工房資料室でも紹介していますので、是非ご覧ください。
早速ベンチマークを取って、旧世代製品と性能比較をすることでSkylakeの実力を見ていきたいと思います。
「Skylake」の性能・スペック
ペンチマークを取る前にさっとSkylakeのスペックをご紹介。
Core i7-6700K | Core i7-5775C | Core i7-4790K | Core i7-5930K | ||
コードネーム | Skylake | Broadwell | DevilsCanyon (Haswell-Refresh) |
Haswell-E | |
製造プロセス | 14nm | 22nm | |||
コア/スレッド | 4/8 | 6/12 | |||
動作クロック | 4.0GHz | 3.3GHz | 4.0GHz | 3.5GHz | |
TurboBoost | 4.2GHz | 3.7GHz | 4.4GHz | 3.7GHz | |
キャッシュ | 8MB | 6MB | 8MB | 15MB | |
PCI-Express | Gen | 3.0 | |||
レーン数 | 16 | 40 | |||
メモリ | 対応メモリ | DDR4-2133 or DDR3L-1600 |
DDR3L-1600 | DDR3-1600 | DDR4-2133 |
最大容量 | 64GB(DDR4) 32GB(DDR3) |
32GB | 64GB | ||
GPU | Intel HD Graphics530 |
Intel Iris Pro Graphics6200 |
Intel HD Graphics4600 |
非搭載 | |
TDP | 91W | 65W | 88W | 140W | |
64bitコード | intel64 | ||||
SIMD命令 | SSE | SSE4.1/4.2 | |||
AVX | AVX2.0 | ||||
仮想化 | VT-x | 〇 | |||
VT-d | 〇 | ||||
セキュリティ機能 | XD ビット | 〇 | |||
TXT | |||||
AES | 〇 | ||||
vPRO | |||||
対応ソケット | LGA1151 | LGA1150 | LGA2011-3 | ||
対応チップセット | Intel 100 Series | Intel 9 Series | Intel X99 |
今回8/5時点で発売される2種類の内、上位モデルになる「Core i7-6700K」をテストします。
Skylakeの中でもトップエンド機種に当たるため、性能比較の対象には前世代並びに前々世代のトップエンド機種となる「Core i7-4790K」「Core i7-5775C」を、また今回新たにDDR4メモリに対応したことから既存のDDR4プラットフォームからコア/スレッド数の近い「Core i7-5930K」を選択しました。
※気になる測定環境については、記事の最後に記載いたしますので是非ともご参照ください。
あくまで速報ですので、測定方法は『CPU機能』と『GPU機能』の性能比較へ絞ります。
■CPU性能の測定
3D Markより、FireStrikeを実行しCPUの計測結果となる「Physics Score」を見ます。
この時、グラフィックカードは「GeForce GTX 980」で統一しました。さらに、DirectX 11のテストとなるFireStrikeだけでなく、グラフィック負荷の低いIceStormの測定結果も比較します。
■内蔵グラフィック性能の測定
内蔵グラフィックのベンチマークとして、「ファイナルファンタジー14: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」と、「ドラゴンズドグマ オンライン ベンチマーク」の2種を実行しました。
「Core i7-6700K」はゲーマーにとっても買いとなるか
それでは、早速Skylakeの実力を見るべく各世代のLEVEL∞モデルを用意し、検証を開始します。
まずはCPU性能を見ることができる『3D Mark FireStrike』のPhysics Scoreから見ていきましょう。
Physics testでは、CPUに物理演算をさせ、その処理速度をスコア化したものです。CGレンダリングや動画のエンコードと同じくCPUのコア数の多さが有利に働くテストです。
■テスト1<3D Mark FireStrike Physics Score>
Core i7-6700Kは見事Core i7-4790KやCore i7-5775Cを抜きさり、Core i7-4790Kと比較しても15%以上も差をつけました。
一方で、コア数に負けるCore i7-5930Kに対してもあと5%にまで迫る勢いを見せました。
Skylakeのコア動作クロックあたりのパフォーマンス向上を確かに実感することができます。
このPhysics testの結果は、別で当社独自に行ったCGのレンダリングテストとほぼ同傾向が見られましたので、上記結果はCGレンダリングでも同様な結果が得られると見て良いでしょう。
一方で、FireStrikeのテストではGraphics Scoreはほぼ誤差範囲で同等の結果でした。
Total Scoreは、すべて同じグラフィックカードを使用しているため、今回のCPUのスコア差に応じて順当な結果となりました。
■テスト2<3D Mark FireStrike FireStrike>
FireStrikeは、DirectX 11で描画される、グラフィックカードに対する負荷が比較的大きいベンチマークとなるため、最終的なスコアは、Pysics testによる差が反映されやすくなります。
つまり、最近のタイトルでいうと、「GTAV」や「Call of Duty: Advanced Warfare」などのGPUへの負荷が高くなるようなタイトルでも、物理演算や多数のAIなどCPU処理が多く働くシーンにおいてはCPUの変更によるゲームパフォーマンスの向上を実感することができそうです。
さらに、DirectX 12ではCPUの使用率も効率化されるため、この傾向がまた変わる可能性もあります。
今後のDirectX 12対応ベンチマークやゲームソフトに期待しましょう。
次に、3D Markで今となっては軽いDirectX 9のテストとなる「Ice Storm」の結果をみてみます。
■テスト3<3D Mark FireStrike Ice Storm>
こちらのテストにおいても、先におこなったFireStrikeと同じく、グラフィックカードはすべてGeForce GTX 980を使用しています。
グラフィックカードの負荷が比較的低いこのベンチマークでは、CPUの動作クロックの高さに依存した結果が出る傾向があります。
それでも、最大クロックがCore i7-4790Kよりも低いはずのCore i7-6700Kのスコアが頭一つ飛びぬけたスコアを出しています。
この結果より、いまだ数多くのオンラインゲーム(モンスターハンターフロンティアGや、ドラゴンズドグマオンライン、AVA、CSOなど)に採用されているDirectX 9世代のゲームにおいては、CPUをCore i7-6700Kに変えることの恩恵を得ることができそうです。
「Core i7-6700K」の内蔵グラフィックではゲームを遊ぶことができるのか
続いて、Gen9となった内蔵グラフィック機能はどれ程性能向上したのかを見ていきます。まずはDirectX 11に対応したファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマークからです。
※内蔵グラフィックスの性能比較となるため、「Core i7-5930K」は除外しています。
■テスト4<ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク>

結論から言うと、Core i7-4790KのIntel HD Graphics 4600からCore i7-6700KのIntel HD Graphics 530では38%のスコア向上を果たし、1280×720の解像度であれば高品質設定でも、普通にプレイできる性能となりました。
それでも、Core i7-5775Cに内蔵されるグラフィックIntel Iris Pro Graphics 6200の性能は高く、内蔵グラフィックを使用してゲームを遊ぶのであれば、Core i7-5775Cという選択が有力となるようです。
次に、DirectX 9で動作するドラゴンズドグマオンライン ベンチマークの結果です。
■テスト5<ドラゴンズドグマオンライン ベンチマーク>

先ほどの結果と同傾向となりましたが、Core i7-6700Kが意外に健闘しIris Pro搭載のCore i7-5775Cに迫るスコアを見せました。
DDR4メモリを使用している影響が大きく出ていると考えられます。さらに、先のテストで、DirectX 9系のタイトルでは「Core i7-6700K」のCPU性能の高さがスコアに影響しているためと考えられます。
ドラゴンズドグマオンラインも、ファイナルファンタジーXIVと同じく、1280×720の設定で遊ぶことができそうです。
Core i7-6700Kが搭載する内蔵グラフィックIntel HD Graphics 530はDirectX 12に対応していますので、今後、DirectX 12対応ゲームタイトルがリリースされると、より高い性能を見ることができるかもしれません。
現在のところDirectX12に正式対応したタイトルがリリースされていないことから、本来の性能を十分に発揮できていないとも言え、特にグラフィックベンチで後塵を拝したCore i7-5775C(これはIris Graphicsが特殊すぎかと・・・)との差も逆転できるやもしれません。
ここは今後、DirectX12関連環境が整い次第、改めてテストをしていきたいと思います。
「Core i7-6700K」は順当な性能向上を果たした新世代のCPU
Skylake「Core i7-6700K」のCPU性能比較結果をまとめると
■CPU性能- 3D Mark FireStrikeにおいてCPUの性能を測る「Physics score」は、Core i7-4790Kと比較して15%のスコア増となった。
- 3D Mark IceStormにおいてもTotal score / Physics score / Graphics scoreの全てにおいて、Core i7-4790Kを上回り、最大15%のスコア増となった。
- Core i7-6700K内蔵グラフィック「Intel HD Graphics 530」にて測定したファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマークのスコアは、Core i7-4790Kと比較して38%のスコア増となり、高品質(デスクトップ) 1280×720の環境下で普通にプレイできる性能となった。
- Core i7-6700K内蔵グラフィック「Intel HD Graphics 530」にて測定したドラゴンズドグマオンライン ベンチマークのスコアは、Core i7-4790Kと比較して68%のスコア増となり、最高品質1280×720の環境下で快適にプレイできる性能となった。
こうしたスコア上昇は、純粋なCPU性能の向上によるものだけではなく、DDR4への対応や、チップセットの性能向上など、複合的な要因が積み重なり、これほどの性能差となって表れたものであると言えます。
今回のテストでは確認することができず、ベンチマークスコアでは判別しづらいストレージ周りの性能向上やLAN周りの性能向上も、Skylake Intel 100シリーズチップセットのアップデートには含まれており、これらも合わせると、総合的に性能向上を果たした、とても優秀な製品として期待できるものとなっています。
ゲーマー的な視点で語ると、価格さえ納得できるのであれば「Core i7-6700K」はズバリ買いであると言えます。
これまで、グラフィックカードの性能向上もありパフォーマンスに頭打ち感のあったDirectX 9世代のゲームですが、最大動作クロックはCore i7-4790Kより下がっているにも関わらず、Skylake「Core i7-6700K」にすることでさらにパフォーマンスが上がるということは素直に驚くべき点でした。
また、物理演算やAI処理など、6コアのCPUに迫る処理性能を見せつけ、DirectX 11世代の最新タイトルでもパフォーマンスの向上を期待できます。
ちょうど「パソコンを買い替えようかな?」と思っていた方は、迷わずSlylakeを選択して間違いないと思われます。
問題となるのであれば、CPUの品薄と、やや上昇した価格、そして豊富に展開されるマザーボード選びといったところでしょうか。
なお、Skylakeを搭載したパソコンをLEVE∞HUBにて絶賛展示中です。ご購入ご検討の折には実際に試技してみてはいかがでしょうか?
さて、私もSkylakeを買いに走ります!
Skylakeを搭載したパソコンをLEVE∞HUBにて絶賛展示中です !
テスト構成

モデル名 | Lev-FR77-i7K-SKL Proto | Lev-FR77-i7K-HWR Proto | Lev-FR77-i7EK-HWE Proto |
CPU | Core i7-6700K | Core i7-4790K | Core i7-5930K |
Core i7-5775C | |||
マザーボード | ASUS Z170-A | ASUS Z97-A | ASUS X99-Deluxe |
メインメモリー | DDR4-2133 16GB (8GB x2) |
DDR3-1600 16GB (8GB x2) |
DDR4-2133 16GB (8GB x2) |
ビデオカード (テスト1~3) |
GeForce GTX 980 リファレンスカード(ビデオメモリ 4GB) | ||
ストレージ | Hyper X Predator PCIe SSD SHPM2280P2/480G (480GB M.2x4) | ||
電源 | Seasonic SS-850KM3(80PLUS Gold、850W) | ||
OS | Windows 8.1 Update 64bit | ||
ビデオドライバー 上段:オンボード 下段:外部GPU |
Intel Graphics Accelerator Driver V10.18.14.4246 |
Intel Graphics Accelerator Driver V10.18.14.4206 |
- |
GeForce Game Ready Driver Ver:353.62 |
執筆:パソコン工房 職人3号