Shade 3Dのレンダリング速度をHaswell-EとX99チップセット構成で検証

Shade 3Dのレンダリング速度をHaswell-EとX99チップセット構成で検証

2014-9-2

パソコン工房ECサイトへのご来店、誠にありがとうございます。 一号です。

「Haswell-E」世代となるCore i7プロセッサーとX99 Expressチップセットがついに登場しました。
クリエイター向けのマルチコアCPUとして期待された中で、コアごとの物理クロック数が低くなって登場したという事で残念に思われた人も多いと思いますが、前回の実験でCPUの性能を余すことなく使い切ったShade 3D Ver.14ではどうなるのか? はたしてクロック数なりに遅くなってしまったのか?
早速ですが、実験してみました。

実験方法

○Shade 3Dでの性能比較方法について
Shade 3Dのバージョンは14です。(Shade 3D Professional Ver.14.1.0.282 64bit)
OSはWin8.1 64Bitを使用しています。

性能比較は同一のファイルを使用してのレンダリングの所要時間比較で行います。
前回“Shade 3Dの中の人”のご協力により作成された以下の2つのファイルを今回も使用しました。

○ベンチマーク用ファイル
1:空と堤防とShade 3Dとパソコン工房(2000*2000ピクセル)

ベンチマークコンセプト:「フィジカルスカイ」を使用したシーン。IBLを併用。

「フィジカルスカイ」は、日時と場所を指定することで太陽の位置を自動計算し日照をシミュレートできるShade 3Dの機能です。
本テストデータでは、背景の情報を光源として使用するIBLを併用しており、またシーンを作り込んでいるので計算負荷が高めです。

2:たわしとShade 3Dとパソコン工房(640*480ピクセル)

ベンチマークコンセプト:「リプリケータ」を使用したシーン。

「リプリケータ」は3D形状をランダムに複製、配置するShade 3Dの機能です。
本テストデータでは、「リプリケータ」によって手作業では膨大な作業になるタワシの繊維の大量複製とランダム配置に成功していますが、 大量に複製しているのでレンダリング計算負荷は非常に大きくなっています。

詳細につきましては、前回の実験を参照下さい。

○計測したCPU
まずは前回の実験CPUを再掲載します。
CPU 通常時 TB時 物理Core HT Cache Socket 合計C/T
Core i3-4340 3.6GHz - 2 2 4MB 1 C2/T4
Core i5-4670 3.4GHz 3.8GHz 4 0 6MB 1 C4/T4
Core i7-4770 3.4GHz 3.9GHz 4 4 8MB 1 C4/T8
Xeon E5-2620v2 2.1GHz 2.6GHz 6 6 15MB 2 C12/T24
Xeon E5-2640v2 2.0GHz 2.5GHz 8 16 20MB 2 C16/T32
Xeon E5-2660v2 2.2GHz 3.0GHz
10 20 25MB 2 C20/T40
前回の実験は物理/論理のコア数の影響がどのように出るかという事に焦点を置いてハードウェア選定を行いました。

次に今回の実験の為に追加で検証したCPUです。

CPU 通常時 TB時 物理Core HT Cache Socket 合計C/T
Core i7-4790K 4.0GHz 4.4GHz 4 8 8MB 1 C4/T8
Core i7-3970X 3.5GHz 4.0GHz 6 12 15MB 1 C6/T12
Core i7-4960X 3.6GHz 4.0GHz 6 12 15MB 1 C6/T12

現在のハイスペックPCの主軸となるCore i7-4790K(Devil’s Canyon/Z97チップセット)と、6コア比較を行う為にX79チップセットベース上で異なるマイクロアーキテクチャのCore i7-3970X(Sandy Bridge-E)、Core i7-4960X(Ivy Bridge-E)で検証を行いました。

そして新製品のHaswell-E/X99チップセットのスペックです。

CPU 通常時 TB時 物理Core HT Cache Socket 合計C/T
Core i7-5820K New! 3.3GHz 3.6GHz 6 12 15MB 1 C6/T12
Core i7-5930K New! 3.5GHz 3.7GHz 6 12 15MB 1 C6/T12
Core i7-5960X New! 3.0GHz 3.5GHz 8 16 20MB 1 C8/T16

6コアの5820K,5930KはクロックがCore i7-3970X、4960Xより若干下がっていますが、Haswellマイクロアーキテクチャへの変更+DDR4構成でどのような結果になるかが気になるところかと思います。
そしてワークステーション的には本命となるであろうCore i7-5960Xです。
こちらはXeonのワークステーションマシンにどこまで迫れるのかが楽しみです。

※実験に使用しているファイルではCPUパワー以外の影響は少なかった為、CPU以外の情報詳細は割愛させて頂きます。
ちなみに先に行われた職人2号の実験機がそのまま使われています。

計測結果

今回の結果
CPU
空と堤防
たわし
Core i7-4790K 1分43秒 5分16秒
Core i7-3970X 1分35秒 4分44秒
Core i7-4960X 1分32秒 4分30秒
Core i7-5820K New! 1分30秒 4分25秒
Core i7-5930K New! 1分25秒 4分12秒
Core i7-5960X New! 1分11秒 3分26秒
前回の結果
CPU
空と堤防
たわし
Core i3-4340 4分05秒 12分46秒
Core i5-4670 2分31秒 8分39秒
Core i7-4770 1分56秒 6分05秒
Xeon E5-2620v2 1分17秒 3分45秒
Xeon E5-2640v2 1分05秒 3分03秒
Xeon E5-2660v2 0分57秒 2分13秒
レンダリングの所要時間

まずは物理6コアのCore i7-3970X、4960X、5820K、5930Kの比較ですが、クロック数が低い5820Kで旧世代のCPUと競っており、通常時で同程度のクロックとなる5930Kでは若干ですが速くなっています。

次にCore i7-5960Xですが、Xeon E5-2620v2(x 2個)より速く、Xeon E5-2640v2( x 2個)に肉薄する結果となりました。

結果について

カタログスペックで見るとつい動作クロックの低さに目が行ってしまいますが、今回の結果で十分な性能を持っている事が判明しました。CG向けワークステーションをご検討中のお客様は是非、比較対象の中に加えて頂ければと思います。

・弊社PC「Haswell-E」搭載モデル