激安インクカートリッジの実力を試す

純正インクと激安インクの違い

2014-10-9

インクジェットプリンターを中心にメーカー純正とは異なるインクカートリッジが発売されています。 当社Nantenaサイトでも「激安インクカートリッジ」としてメーカー純正ではないインクカートリッジを取り扱っています。 一見してお気づきの方も多いと思いますが、その名の通り、純正インクと比べて非常に安価で販売しております。 なぜこのような差が出るのでしょうか。主な違いを下記にまとめました。

  純正インク 激安インク(互換インク)
製造 プリンターメーカーが製造 サードパーティーメーカーが製造
価格 高い 安い
プリンター保証 ユーザー過失を除き無償修理の対象 無償修理対応を断られる可能性あり

純正インクはプリンターメーカーにより製造されているもの、激安インクはメーカー以外のサードパーティーメーカーが製造しているもので、カートリッジ形状など純正品と互換があるものです。
※この他にも「再生インク」がありますが、こちらは使用済みのインクカートリッジを洗浄し、インクを再充填したものです。

純正インクと激安インクで大きな違いは価格と保証面になります。
激安インクは万が一インク起因の故障が発生した場合にメーカーにて無償修理対応を受けていただけない可能性があるものの、その分安価で利用できる、となります。
安心、価格のどちらを取るか、が純正インク/激安インクの選択ポイントの1つになると言えます。

品質はどう?

もう一つ、価格が安いということで印刷品質はどうなの?という疑問が生じると思います。
いくら安価で使用出来ても印刷結果が良くなければ継続しての使用はできないでしょう。 (とはいえ、十分な品質があればこそ、継続して販売できているわけのですが・・・) これについては、やはり実際に試してみるしかないでしょう。
ということで、今回は純正インクと激安インクとで印刷比較を行います。

※実際に試したプリンター

Canon PIXUS MP990(2009年発売のインクジェット複合機)

※印刷素材

【テキスト素材】

ISO/IEC24712一般文書イールドチャートより抜粋

【カラーテキスト素材】

ISO/IEC24712一般文書イールドチャートより抜粋



なお、印刷用紙についてはテキスト素材については普通紙(108円/110枚の普通紙)、写真素材については光沢紙へ印刷しています。また、純正/激安インクともにカートリッジ換装後テスト印刷としてISO/IEC24712フルパターンを10ページ印刷した後に印刷テストを開始しています。

※印刷したものをデジタルフルカラー複合機(RICOH imagio MP C2800)にて取り込みをしていますが、色合いの変更等は一切行っておりません。
※ご使用のモニタにより色合いの見え方など異なる場合がございます。


激安インクの実力

早速素材ごとに印刷結果を比較してみましょう

左が純正インク、右が激安インクです。 クリックで拡大できます。

モノクロテキストがメインの素材となります。 どちらも文字のにじみが目立つことなく、視認性に異常は見られません。 ページ中程にある黒ベタ塗りのグラフの箇所では、インクののりの差が出たのか、激安インクのほうが色の濃淡がはっきりと目立つ感じになっています。ただし、この濃淡については純正インクにて全く発生していないわけではないため、濃淡を気にするかしないか、ではないでしょうか。



上が純正インク、下が激安インクです。 クリックで拡大できます。

カラーパターンとカラーテキストが中心、グラデーションも含まれています。
ぱっと見る限り大きな違いはなく、純正インク/激安インクとも同程度の再現性となります。 但し、細かいところを見ると、ページ下部のドキュメント部分にて激安インクのほうが文字のにじみが出ている状況です。
これもよく目を凝らして見てみないとわからないレベルであり、実用にあたって影響があるレベルではないと考えます。



左が純正インク、右が激安インクです。 クリックで拡大できます。

フリー素材より空と雲の写真を印刷してみました。
どちらも元素材と比較して明るめの印刷になっていますが、より純正インクのほうが元素材に近い色合いになると言えると思います。
細かいところを見ると空と雲の切れ目部分の再現性が純正インクのほうが元素材に近く自然に見えます。純正インクのほうがより薄い雲も再現出来ています。



左が純正インク、右が激安インクです。 クリックで拡大できます。

夕焼けの富士山といったシチュエーションの写真となります。
こちらの素材でも明るめの色合いでの印刷となっていますが、激安インクのものは明るいというよりは薄いといった印象にもなると思われます。 ただし、山の稜線がぼやけたりすることはなく、森林の濃淡などもきちんと再現されていますし、空の赤→青のグラデーションもキレイに再現されていますので、十分な再現性は保たれていると判断できます。

まとめ

激安インク/互換インクという名前だけですとどうしても純正インクの劣化版的なイメージを持たれがちです。実際に比較してみて、確かに発色加減など純正インクに届かないクオリティーの部分もありますが、文字などはにじんで読みづらくなるようなこともなく、純正インク同様に使用できると言えるレベルにあると思います。
実際に、印刷したものを並べてどちらが純正インクで印刷したか/激安インクで印刷したかクイズをしてみたところ、瞬時に判断できた人はほとんどいなかったほど印刷度合いの差が見られない状況でした。並べて比較すればなんとかわかっても、単体で見せられたらどちらかわからない、くらいのクオリティーで印刷出来ています。 (写真現像レベルを求められる場合、そもそもインクジェットプリンターが選ばれる余地がないでしょうし・・・)

時節柄年賀状印刷などでプリンターをご使用になるケースが増える方も多いと思いますが、文字+干支の絵といった内容であれば、激安インクでも十分なクオリティーのものが作成できるのではないでしょうか。
今回の実験では時間の経過に対して(経年劣化)の検証が出来ておりませんので、中長期的に使用するものに対しては言及を控えますが、先の年賀状や会議資料といった用途であれば激安インクの守備範囲になると思いますので、ぜひ導入してみてください。

※以上プリンター諸々職人2号の私物よりお送りしました・・・(自腹企画完結)

執筆:パソコン実験工房 職人2号