GeForce GTX 980 / 970を速攻でレビューしてみた
GeForce GTX 980 / 970を速攻でレビューしてみた
2014-9-19
開発コードネーム「GM204」で知られるNVIDIAの最新グラフィックスカード「GeForce GTX 980」と「GeForce GTX 970」が2014年9月19日に無事、解禁となりました。今回はゲーム関連ということで職人3号がレビューを担当いたします。
ここであれ?っと思った方は、流石、グラフィックスカードに詳しいですね。なんと今回は、GTX 800番台がスキップとなり、GTX 900番台へとシフトする格好となりました。GTX 800番台については、既にノートパソコンで発売されており、そのシリーズを超えてさらに「新しい世代」のグラフィックスカードとしてのリリースとなります。 今回発売となった「GeForce GTX 980」、「GeForce GTX 970」はMAXWELLアーキテクチャを採用しており、このアーキテクチャは開発コードネーム「GM107」として既に「GeForce GTX 750 Ti」で搭載されています。この「GM107」のコアのCUDAコアを大幅に増加させ、動作クロックを上昇させ、さらにパフォーマンスを上げたものが「GM204」となります。
GeForce GTX 980 リファレンスカード外観。前モデルに引き続き高級感のあるデザインと静音性の高い冷却ファンを搭載しています。今回はバックパネルも搭載、SLI構成時に冷却ファンの吸気を確保できるような構造部分を備えています。サイドパネルには光るGeForceのロゴがあります。
MAXWELLアーキテクチャは、世代を追うごとに数を増し肥大化していくシェーダプロセッサを小分割することでより電源管理を細やかにでき、更にシェーダプロセッサを管理する構造をよりシンプル化することで性能を上げつつも消費電力を大幅に低減させることに成功しているのが大きな特徴です。KEPLERアーキテクチャ世代のグラフィックスカードと、ライバル社のシリーズとの比較表をまとめてみました。(表1)
GTX 980 | GTX 970 | GTX TITAN Black |
GTX 780 Ti | GTX 780 | GTX 770 | R9 290X | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
開発コードネーム | GM204 (GM204-400) |
GM204 (GM204-200) |
GK110 (GK110-430) |
GK110 (GK110-425) |
GK110 (GK110-400) |
GK104 (GK104-425) |
Hawaii |
製造プロセス | 28nm | 28nm | 28nm | 28nm | 28nm | 28nm | 28nm |
DirectXサポート | 12 | 12 | 11.2 | 11.2 | 11.2 | 11.2 | 12 |
シェーダプロセッサ数 | 2048基 | 1664基 | 2880基 | 2880基 | 2048基 | 1536基 | 2816基 |
ベースクロック | 1127MHz | 1050MHz | 889MHz | 875MHz | 863MHz | 1046MHz | 未公開 |
ブーストクロック | 1216MHz | 1177MHz | 980MHz | 928MHz | 900MHz | 1085MHz | 1000MHz |
メモリタイプ | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 |
メモリインターフェース | 256bit | 256bit | 384bit | 384bit | 384bit | 256bit | 512bit |
メモリクロック | 7010MHz相当 | 7010MHz相当 | 7000MHz相当 | 7000MHz相当 | 6000MHz相当 | 7010MHz相当 | 5000MHz相当 |
メモリバス帯域幅 | 224GB/s | 224GB/s | 336GB/s | 336GB/s | 288GB/s | 224GB/s | 320GB/s |
メモリ容量 | 4GB | 4GB | 6GB | 3GB | 3GB | 2GB | 4GB |
TDP | 178W | 150W | 250W | 250W | 250W | 230W | 250W |
接続インターフェース | PCIe 3.0 | PCIe 3.0 | PCIe 3.0 | PCIe 3.0 | PCIe 3.0 | PCIe 3.0 | PCIe 3.0 |
PCIe外部電源 | 6ピン×2 | 6ピン×2 | 6ピン×1 8ピン×1 |
6ピン×1 8ピン×1 |
6ピン×1 8ピン×1 |
6ピン×1 8ピン×1 |
6ピン×1 8ピン×1 |
マルチモニタサポート | 最大4画面 | 最大4画面 | 最大4画面 | 最大4画面 | 最大4画面 | 最大4画面 | 最大4画面 |
マルチGPUサポート | 4way-SLI | 3way-SLI | 4way-SLI | 3way-SLI | 3way-SLI | 3way-SLI | 4way-CFX |
最低必要電源 | 500W | 500W | 600W | 600W | 600W | 600W | 750W |
表1:GTX 980とGTX 970、従来製品、競合製品の主なスペック
ごちゃっと色々な数字が並んでいますが、簡単にまとめると
①シェーダプロセッサ数、メモリ帯域幅がGTX 780 Tiより減った?!
②動作クロックが1000MHz(1GHz)をこえた!
③メモリ容量が4GBに増えた!
④消費電力が約80Wも下がった
の4つのポイントとなります。
シェーダプロセッサ数の減少は、ダイサイズが小型化したことによる減少によるものでしょう。一般的にはシェーダプロセッサ数が増えれば性能が上昇します。この減少を動作クロックの上昇でカバーしていると考えられますが、どれほどの効果が期待できるのでしょうか。
他にも、DirectX12に対応していたり、HDMI2.0に対応していたりと、多くの最新規格に対応していますが、ここでは一旦、置いておきます。
で、結局、「GeForce GTX 980」、「GeForce GTX 970」は速いの?ということで、ベンチマーク結果を見ていきましょう。
比較対象はもちろん「GeForce GTX TITAN Black」「GeForce GTX 780」「GeForce GTX 770」そして永遠のライバル「Radeon R9 290X」としました。
※測定環境、測定条件は記事の最後の方に記述していますので気になる方はそちらを参照ください。
グラフ1:3D Mark「FireStrike」ベンチマーク結果(Graphics Score)
なんと、「GeForce GTX 970」ですら「Radeon R9 290X」はもちろんGeForce最上位機種の「GeForce GTX TITAN」をもあっさりと超える結果となりました。Direct X11世代ではほぼ最重量級のベンチマークである3D Markですが、こんなにもあっさりと今までの最上位機を抜いてしまうとは、流石の最新世代です。これならば、BATTLEFIELD 4や、CRYSIS3などのDirect X11を使ったゲームも最高の画質設定で快適に遊ぶことが出来そうです。 お次はこちら。
グラフ2:FINAL FANTASY XIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編
ゲームベンチマークではおなじみFINAL FANTASY XIV: 新生エオルゼアベンチマークです。こちらも無事、同様の結果となりました。「GeForce GTX TITAN Black」を超え「GeForce GTX 980」が堂々の1位です。スコア7000以上を取得すると、非常に快適に遊べる目安となり、結果は16184と倍以上の数値がたった1枚のグラフィックスカードで叩き出されています。前世代のハイエンドグラフィックスカード「GeForce GTX 780」から比べると16%ものスコアアップとなります。
3D Mark | FINAL FANTASY XIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
Fire Strike | Fire Strile Extreme | 標準設定 | 最高品質 | GTX 780比 | |||
Score | Graphics | Score | Graphics | 720P | 1080P | ||
GeForce GTX 980 | 11328 | 13388 | 5740 | 6002 | 28025 | 16184 | 116% |
GeForce GTX 970 | 9915 | 11505 | 4960 | 5169 | 22760 | 14379 | 103% |
GeForce GTX TITAN Black | 9792 | 11300 | 4960 | 5184 | 27688 | 14845 | 107% |
GeForce GTX 780 | 8959 | 10091 | 4456 | 4572 | 29357 | 13894 | 100% |
GeForce GTX 770 | 7459 | 8440 | 3753 | 3941 | 23494 | 12851 | 92% |
Radeon R9 290X | 9633 | 11260 | 4922 | 5195 | 27065 | 14325 | 103% |
表2:ベンチマーク結果一覧
ここまで来たなら、やっぱり気になりますよね。行ってみましょう!2枚刺し!「GeForce GTX 980」は、グラフィックスカードを2枚搭載し、「NVIDIA SLI」機能で連動動作させることでさらにパフォーマンスアップをさせることができます。比較対象は、引き続き「GeFoce GTX TITAN Black」と「GeForce GTX 780」のSLI構成、ライバル機「Radeon R9 290X」のCROSSFIREX構成、そしてやっぱり「GeForce GTX TITAN Z」と「Radeon R9 295X2」です。
グラフ3:【SLI】3D Mark「FireStrike」ベンチマーク結果(Graphics Score)
グラフ4:【SLI】FINAL FANTASY XIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編
期待通りの圧倒的な性能でした。3D MarkにおけるDirect X11ベンチマークの結果は非常に良好です。X99における結果と、Z97における結果にも大差は無く、高負荷時においては、X99環境下の方がベンチマークのスコアが高い結果となりました。やはりSLIをするなら、X99などのPCIeバス帯域の広いプラットホームを選ぶと良いようです。スケーリングの効果も高いため、より快適な最新世代のゲームを遊ぶためなら、SLI構成も有力な選択肢となります。 一方で、FINAL FANTASY XIV: 新生エオルゼアベンチマークでは、大きく性能UPは見られませんでした。テストを行ったのがリリース直前のドライバで、Direct X9環境下のゲームでの最適化が足りていないのかもしれません。何度テストしても同じ結果となっていました。ここは、ドライバの最適化次第となるため、今後に期待したいと思います。
3D Mark | FINAL FANTASY XIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
Fire Strike | Fire Strile Extreme | 標準設定 | 最高品質 | |||
Score | Graphics | Score | Graphics | 720P | 1080P | |
GeForce GTX 980 SLI 【X99】 | 18865 | 25580 | 9533 | 10782 | 27304 | 22073 |
GeForce GTX 980 SLI 【Z97】 | 17927 | 25685 | 9215 | 10687 | 26833 | 19676 |
GeForce GTX TITAN BK SLI | 15038 | 20786 | 7905 | 8805 | 26742 | 21549 |
GeForce GTX 780 SLI | 14655 | 19350 | 7645 | 8474 | 27591 | 20588 |
GeForce GTX TITAN Z | 13679 | 18568 | 7340 | 8267 | 21222 | 16828 |
Radeon R9 295X2 | 14790 | 21187 | 8523 | 9933 | 20264 | 16082 |
Radeon R9 290X CFX | 15256 | 21309 | 8602 | 9952 | 24248 | 18848 |
表3:SLI/CFX構成時ベンチマーク結果一覧
以上の結果より、「GeForce GTX 980」、「GeForce GTX 970」は確実な世代交代を予感させる期待通りの性能アップを果たしていることから、「GeForce GTX 770」や「GeForce GTX 780」どころか「GeForce GTX TITAN Black」からの買い替えも十分に「アリ」という結論です。ハイエンド機種であるにもかかわらず、消費電力が下がっているのも大きなポイントとなるでしょう。この下がった消費電力のおかげで躊躇していた夢の「SLI」構成もより気軽にできるようになったのではないのでしょうか。とことん最新ゲームを快適に遊びたい方には是非とも2枚搭載することをおすすめします。SLI構成によるストレスのない最高のゲーム体験を得ることができます。 また、各社より発売されるグラフィックスカードは、冷却ファンにオリジナルのものを搭載しているモデルが多く、より静音で、冷却力の高い機種が出るでしょう。選択の幅も広くなるため、選ぶ楽しみが増えます。
「GeForce GTX 980」、「GeForce GTX 970」は職人 3号が自信をもってお勧めします!
・・・レビューを書いている自分も欲しくなってきてしまいました。
テスト環境について
テスト環境 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
CPU | 【Z97】Intel Core i7-4790K プロセッサー (4.0-4.4GHz/4コア/8スレッド/8MBキャッシュ/TDP88W) 【X99】Intel Core i7-5960X プロセッサー エクストリーム・エディション (3.0-3.5GHz/8コア/16スレッド/20MBキャッシュ/TDP140W) |
|||||
マザーボード | 【Z97】ASUS Z97-A (Intel Z97 Express, BIOS1204) 【X99】ASUS X99-DELUXE (Intel X99 Express, BIOS0801) |
|||||
メインメモリ | 【Z97】DDR3-1600 8GB×2 【X99】DDR4-2133 8GB×4 |
|||||
グラフィックスカード | GeForce GTX 980リファレンスカード (グラフィックスメモリ容量4GB) |
|||||
GeForce GTX 970リファレンスカード (グラフィックスメモリ容量4GB) |
||||||
GeForce GTX TITAN Blackリファレンスカード (グラフィックスメモリ容量6GB) |
||||||
GeForce GTX 780リファレンスカード (グラフィックスメモリ容量3GB) |
||||||
GeForce GTX 770リファレンスカード (グラフィックスメモリ容量2GB) |
||||||
GeForce GTX TITAN Zリファレンスカード (グラフィックスメモリ容量12GB) |
||||||
Radeon R9 290Xリファレンスカード (グラフィックスメモリ容量4GB) |
||||||
Radeon R9 295X2リファレンスカード (グラフィックスメモリ容量8GB) |
||||||
HDD | Plextor M5S SSD PX-0128M5S (128GB SATA3) | |||||
電源ユニット | Seasonic SS-1000XP (1000W 80PLUS Platinum) | |||||
OS | Windows 8.1 Update 64bit | |||||
グラフィックスドライバ | 344.07_geforce_win8_winvista_win7_64bit_international |
表4:テスト環境 (特に【X99】などの表記が無い場合、【Z97】環境にて計測を行った結果を表示しています)
※FINAL FANTASY XIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編につきまして、弊社にて実施したベンチマークの測定結果であり、この結果はFINAL FANTASY XIV: 新生エオルゼアの動作を保証するものではありません。予めご承知おきください。
執筆:パソコン実験工房 職人3号