2023年1月31日に発売されたスマートグラスTCL 「TCL NXTWEAR S」の使用感や、セットアップ方法、パソコンとスマートフォンの他にも様々な機器の接続について紹介します。

気になる製品最終更新日: 20230330

わずか82gの超軽量マイクロOLEDディスプレイ搭載スマートグラス「TCL NXTWEAR S」をレビュー

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近年、ゲームやパソコン、そしてスマートフォンなど各分野でVRゴーグルを中心にヘッドマウントディスプレイが話題になっています。 今回、2023年1月31日に発売されたスマートグラスTCL 「TCL NXTWEAR S」をお借りできましたので、スマートグラスの使用感や、セットアップ方法、パソコンとスマートフォンの他にも様々な機器の接続体験を中心にご紹介いたします。

スマートグラス「TCL NXTWEAR S」とは

「TCL NXTWEAR S」とは、世界でテレビや家電製品を中心に製造、開発を行っているTCL社の最新型のスマートグラスです。
スマートグラスはメガネのような形をしたデバイスの一種であり、ゴーグルやメガネのレンズ部分にデジタルコンテンツを投影させることができるウェアラブルデバイスです。「TCL NXTWEAR S」はVRやARにも対応しており、現実の視覚にプラスで情報を追加することも可能です。
また、アタッチメントのレンズで現実の視覚を遮断し、自分だけのプライベートモニターとして利用ができます。スマートフォンやパソコンと専用のUSB Type-Cケーブルで接続するだけで画面を投影でき、場所を選ばず活用が可能なため、特に持ち運びの手軽さや接続の簡単さから大きく注目を浴びています。
本記事では、「TCL NXTWEAR S」についてどんな特徴を持った製品なのかを具体的に解説していきます。

TCL NXTWEAR S メーカー公式サイト

「TCL NXTWEAR S」の特徴について

・軽量化
日本未発売の初代モデル「NXTWEAR G」と比べると、本体受重量が100gから18gも軽くなり、82g(ケーブルは除く)と20%近く軽量化されました。スマートグラスはとにかく軽くすることが求められますので、ここまでの軽量化は大きな進化であると言えます。

・着脱式のケーブルへと進化
また、ケーブル部分についても大きく改善箇所があります。「NXTWEAR G」では本体からの着脱ができませんでしたが、「TCL NXTWEAR S」は着脱可能な専用USB Type-C マグネット式のケーブルに変わり、取り回し面や収納面も改善されております。

・スピーカー、明るさ調節の進化
デュアルスピーカーを搭載しており、立体感のある音響が体験できます。また、音漏れ抑止モードが搭載されており、少し離れれば周りへの音漏れを気にせず使えるので一人用のモニターとして最適です。
また、本体左側のホイールから音量調節が可能なため、音量調整をする際は本体の着脱は必要ありません。明るさの調節に関しても、本体右側につまみが新たに用意され、自分好みの明るさへとすぐに変更可能となりました。

マイクロOLEDディスプレイを搭載し、130インチ相当の画面を投影可能

視野角45度、2Dで1920×1080、3Dで3840×1080のソニー製のマイクロOLEDディスプレイを搭載しており、液晶の通常のモニター等と比べると、鮮やかで奥行を感じる立体的な映像を楽しむことができます。
また、4m先に130インチ相当の画面が広がる、と公式サイトに記載もある通り、大画面の専用モニターが目の前に広がるので、映画やゲームをいつでもどこでも楽しめるのが本製品の最大の魅力と感じました。さらに、ケーブル一本で手軽に利用できるので、本当例えば、休み時間の間でも、ベッドで寝転んでいる時間でも、手がふさがらず自由に好きな映像を楽しめるのが特に便利です。
遮光カバーを装着すれば、周りが見えなくなるためより没入感が増しますし、外せば周りを見ながらハンズフリーで接続している機器の画面を見ることができます。

スマートフォンやPC、ゲーム機に接続可能

USB Type-C(DisplayPort Alternate mode)出力端子搭載のスマートフォンやパソコンとは、付属の専用USB Type-Cケーブル一本だけで簡単に接続でき、すぐに映像を楽しむことができます。iPhoneを接続するためには、別売りのTCL NXTWEAR S用 Lightning端子用アダプタ兼バッテリー「Mira Screen Portable Adapter」を利用して画面出力が可能になります。
また、公式サイトにも記載がありますが、市販のHDMI To Type-Cアダプタがあれば、HDMI出力機能がある一般的なコンシューマーゲーム機も接続可能になります。

※Mira Screen Portable Adapterを利用しての視聴に関しては、仕様により映像作品が再生されないのでご注意ください
※本機は必ず付属の専用USB Type-Cケーブルでの接続が必要となりますのでご注意ください。
※HDMIやLightningの出力からは変換アダプタを経由し、必ず付属の専用USB Type-Cケーブルでの接続が必要となります。
※USB Type-C to HDMIアダプタは利用できませんのでご注意ください。

音漏れ防止ノイズキャンセリング機能、スピーカー4基搭載

スマートグラスのフチ部分にデュアルスピーカーが搭載されており、サイズ感からは想像できない迫力と立体感のある音が楽しめます。
独自の音漏れ抑制モードも搭載されており、イヤホン無しでも音量を最大の半分程度に設定した場合で、2mも離れれば音がほとんど聞こえません。また、周りの音漏れが気になる場合、Bluetooth接続ができるイヤホン等を用意し、スマートフォン等の音声を別途再生させることも可能です。

USB Type-Cケーブル1本で接続

付属の専用USB Type-Cケーブルだけで接続できますが、特殊なマグネット式の接点を持っている為、スマートグラス本体と通常のUSB Type-Cケーブルで接続することはできません。
このマグネット式での着脱がとても上手い作りになっており、手元が見えない状態でもスマートグラスを取り外す必要が無く、ストレスなくワンタッチでケーブルの取り付け、取り外しを行うことができます。

接続端子画像接続端子画像

着用イメージ

実際に装着したイメージはこちらの写真の通りです。なお、本製品は基本的に裸眼やコンタクトレンズでの使用が前提となっています。
大きい眼鏡の上には着用が難しいのでご注意ください。また、内蔵のアタッチメントを利用すれば、別売りの視力矯正用のレンズを内部に装着させることもできます。

装着イメージ装着イメージ

スマートグラス「TCL NXTWEAR S」を開封チェック

付属品は、トラベリングケース、USB Type-Cケーブル、視力矯正レンズフレーム、度数なしレンズ、クリーニングクロス、ユーザーマニュアル、遮光カバー、ドライバー(ノーズパッド固定用)が同梱されています。
特徴ある付属品だけ抜粋し、解説いたします。

1. トラベリングケースはグラス、遮光グラスの収納用ケースです。内側にメッシュのポケットもついているのでケーブルもばらつかずに収納できます。
2. USB Type-Cケーブルはマグネット式の専用ケーブルとなっています。ケーブルを差し込むタイプではなく、マグネットでワンタッチ接続できるケーブルです。
3. 視力矯正レンズフレームは、本体にマグネットで接続できるアタッチメントとなっており、別途メガネ店に相談が必要ですがレンズをはめ込んで利用することで自分専用の調整を行うことができます。
4. 遮光カバーもマグネット式になっており、こちらもワンタッチで着脱ができます、これをつけることで周りの視界を遮り集中して画面を楽しむことができます。

付属品全体を通してマグネットでの着脱の設計が徹底されており、視界が塞がったままの状態でもストレスのない操作ができます。

内容物一覧内容物一覧

「TCL NXTWEAR S」と色々な機材を接続レビュー

ここからは、スマートフォン、パソコン、ゲーム機と接続し、接続方法等をレビューしていきます。

スマートフォンとの接続

「TCL NXTWEAR S」とスマートフォンを接続してできることは、大きく分けて2種類に分類できます。
まず1つ目ですが、専用アプリ「TCL AR」を利用して専用のVR動画やミニゲーム、ブラウジング等を楽しむことができます。このアプリ内ではセンサーを用いたVRモードが利用でき、簡易的なVR体験を楽しむこともできるほか、ディスプレイの明るさや感度の調整も可能です。

2つ目は、スマートフォンのミラーリング機能となります。YouTube等の各種動画サイト、ゲーム等を楽しむのが一番メインの使い方になると思いますが、他にも透明なレンズに画面を映しながら外部を普通に見ることもできるので、マップ等の情報や動画をスマートグラスの隅で流しながら別作業を行ったりもできます。工夫次第で様々な分野での利用ができます。飛行機や列車、長距離バス等の中でも大画面で自分だけのシアターを楽しめます、軽く持ち運びも便利なので、出張や長距離の旅行のお供にも最適です。

アプリ内動画メニュー画面アプリ内動画メニュー画面

アプリ内動画メニュー画面2アプリ内動画メニュー画面2

iPhoneとの接続(Mira Screen Portable Adapter)

iPhoneを接続する場合は、別売りのLightning端子変換アダプタ 兼 バッテリー「Mira Screen Portable Adapter」を用いて接続します。注意事項として、公式サイトにも注意書きが御座いますが、再生デバイス、サービスの仕様により映像作品が再生されませんのでご注意ください。

パソコン工房で TCL Mira Screen Portable Adapter を見る

別売りのMira Screen Portable Adapter別売りのMira Screen Portable Adapter

パソコンとの接続(HDMI to USB Type-C、USB Type-C)

パソコンと接続する方法は、以下の2種類があります。
1.付属の専用USB Type-Cを直接パソコンと本体を接続する。
2.パソコンのHDMI出力を「HDMI to USB Type-C変換アダプタ」で変換し専用Type-Cアダプタと接続する。
なお、HDMIを変換するためには、アダプタの電源を別途パソコン等からUSB で取る必要がありますのでご注意ください。

今回市販のHDMI to Type-Cアダプタ、ワコムのLink Plus(HDMI to Type-Cアダプタ)の2種類で検証いたしましたが、どちらも問題なく使えており、画面も綺麗に映りノイズ等も発生しませんでした。

HDMI変換アダプタとの接続HDMI変換アダプタとの接続

Wacom Link Plus接続イメージWacom Link Plus接続イメージ

Wacom Link Plus接続イメージ2Wacom Link Plus接続イメージ2

ゲーム機との接続(HDMI to USB Type-C)

HDMI端子を出力可能なゲーム機と接続し、ゲームや動画視聴を「TCL NXTWEAR S」で楽しめます。接続は先ほどのパソコンのHDMI端子との接続と同様となります
画質も想像以上によく、パズルゲームをプレイしてみましたが、遅延も特に感じませんでした。目の前に画面があるように感じるので迫力があります。動画の視聴サービスもいくつかチェックしてみましたが、OLEDなので発色が良くかなり鮮明な映像を見ることができました。

「TCL NXTWEAR S」で自分専用のプライベートシアターを!

バッテリーレスで82gと非常に軽量なため、装着した時に着け心地が良く、また、マグネット式のUSB Type-Cケーブルは着脱が簡単のため、ケーブル一本でスマホやパソコンと接続できる点が高評価です。旅行で荷物が多い場合などでも持ち運びも容易なので、いつでもどこでも気軽に持ち運んで利用できます。
最も印象に残ったのは、OLEDディスプレイを搭載している点です。発色が綺麗で、映像にメリハリがあり、立体感がありました。特に部屋を暗くして利用する場合は臨場感や没入感が増し、一人で映画館に居るようなリッチな映像体験ができます。
大がかりなVR機器との一番の違いは、移動中でもUSB Type-Cケーブル一本でスマートフォンに接続できるフットワークの軽さが面白いです。
内蔵スピーカーもサイズに見合わない迫力のある音質ですが、Bluetooth接続でイヤホン等も使用することができます。騒音が気になる場所では、お気に入りのサウンドデバイスを活用できる点もメリットです。
公式の対応リストの中にはスマートフォン、タブレットやPCの他、今回は用意できませんでしたが、ドローンも含まれているので、このあたりのデバイスとの組み合わせも面白そうです。

新しい物がとにかく好きな方、旅行や出張で長距離の移動が多い方、自分一人の時間を楽しみたい方に特におすすめと言えるでしょう。

TCL NXTWEAR Sの製品仕様や本記事の検証環境は以下の通りです。

サイズ 175mm×166mm×51mm (着用時)
56mm×154mm×51mm(折りたたみ時)
重量 82g(フロントレンズを除く)
ディスプレイタイプ Sony Micro-OLED Display
画面比率 16:9
視野角/PPD 1,920×1,080 @ 2D
3,840×1,080 @ 3D
映像サイズ 130-inch @ 4m
※使用者とディスプレイの距離が約4mであるときのサイズ
光学設定 BirdBath
オーディオ デュアルスピーカー/イヤホン対応
※スピーカーが内蔵されておりますが、Bluetooth接続でスマートフォンの音声を聞くことも可能です
センサー 加速度センサー/ジャイロセンサー/近接センサー
接続方式 USB Type-C with Display Port
トラッキング 3DoF
バッテリー バッテリー非搭載
付属品 ユーザーマニュアル、磁気式接続用ケーブル(Type-C)、キャリーケース、
メガネふき、度数調整用パーツ&レンズ、精密ドライバー、
ノーズパッドの交換用部品、ノーズパッドの調整方法を記載したカード

TCL NXTWEAR Sの仕様一覧

検証使用環境
・ノートPC:Windows 10 Pro 21H2
・スマートフォン:Android 12
・コンシューマーゲーム機:Playstation®4 Pro
・HDMI to USB Type-Cアダプタ:Wacom Link Plus ACK42819

TCL NXTWEAR S メーカー公式サイト

ライタープロフィール 職人20号

携帯ショップ店員、プロバイダや光コラボ運営とサポートなどを経て、パソコン工房へ。
ガジェットやオーディオビジュアル機器などの新製品が大好物、面白グッズの紹介で楽しんで頂けたら幸いです!

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