2022年4月5日に発売されたCore i9-12900KSについて、ベンチマークテストを試してみました。

気になる製品最終更新日: 20220418

Intel Core i9-12900KS 発売情報・ベンチマークレビュー

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【4/18更新】Core i9-12900KSのベンチマーク情報を追加しました!
2021年11月5日に登場した第12世代インテル Core プロセッサーは、2022年1月5日に65W版モデルが追加され、そしてトリを飾るべく2022年4月5日に新たなる最上位モデルのCore i9-12900KSが発売されました。本記事では、新たなる最上位モデルCore i9-12900KSがどれほどの性能を持つのか、ベンチマークテストを試していきます。

Intel Core i9-12900KS 発売を開始いたしました!

パソコン工房ではIntel Core i9-12900KSの発売を開始いたしました。ご購入希望の方は、下記リンクの商品ページにてご購入ください。

Intel Core i9-12900KS BOX

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価格:105,800 円

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Intel Core i9-12900KS 搭載パソコン発売開始!

Intel Core i9-12900KS搭載搭載ゲーミングパソコンを発売いたしました。

Core i9-12900KS スペック情報

Intel Core i9-12900KSのスペック情報は以下の通りです。インテルCore i9-12900KSプロセッサーは他の第12世代インテルCoreプロセッサーで対応していないThermal Velocity Boostに対応することで、最大動作クロックを引き上げた「スペシャルエディション」です。Thermal Velocity Boostは、温度に余裕がある限り動作クロックを上げる仕様のため、高性能なCPUクーラーを合わせて搭載することがおすすめです。
※メーカー等による事前情報です。最終スペックと異なる場合があります。

  Core i9-
12900KS
Core i9-
12900K
Core i9-
12900KF
Core i7-
12700K
Core i7-
12700KF
Core i5-
12600K
Core i5-
12600KF
コア数 P-core 8 6
E-core 8 4
スレッド数 24 20 16
動作クロック P-core 3.4GHz 3.2GHz 3.6GHz 3.7GHz
E-core 2.5GHz 2.4GHz 2.7GHz 2.8GHz
Turbo
Boost
P-core 5.2GHz 5.1GHz 4.9GHz 4.9GHz
E-core 4.0GHz 3.9GHz 3.8GHz 3.6GHz
TurboBoost Max3.0 5.3GHz 5.2GHz 5.0GHz
Thermal Velocity Boost 5.5GHz
キャッシュ
メモリ
L2 14MB 12MB 9.5MB
L3 30MB 25MB 20MB
PCI-Express Gen 5.0
レーン数 16
Gen 4.0
レーン数 4
メモリ 対応メモリ DDR5-4800/DDR4-3200
最大容量 128GB
GPU Intel UHD
Graphics 770
Intel UHD
Graphics 770
Intel UHD
Graphics 770
消費電力 基本 150W 125W
最大 241W 190W 150W
対応ソケット LGA1700
対応チップセット Z690・H670・B660・H610

Core i9-12900KS ベンチマーク情報

それでは、2022年4月5日に追加された新たなる最上位モデルCore i9-12900KSのCPUベンチマークを実行していきましょう。比較対象としては、第12世代インテル Core プロセッサーからCore i9-12900KとCore i9-12900を、Ryzen 5000 シリーズ デスクトップ・プロセッサーから最上位モデルのRyzen 9 5950Xを用意しました。

  Core i9-
12900KS
Core i9-
12900K
Core i9-
12900
Ryzen 9
5950X
Ryzen 9
5900X
コードネーム Alder Lake Vermeer
製造プロセス 10nm 7nm
コア/スレッド 16/24 16/32 12/24
動作クロック P-core 3.4GHz 3.2GHz 2.4GHz 3.4GHz 3.7GHz
E-core 2.5GHz 2.4GHz 1.8GHz
TurboBoost P-core 5.2GHz 5.1GHz 5.0GHz 4.9GHz 4.8GHz
E-core 4.0GHz 3.9GHz 3.8GHz
TurboBoostMax3.0 5.3GHz 5.2GHz 5.1GHz
Thermal Velocity Boost 5.5GHz
キャッシュメモリ L2 14MB 8MB 6MB
L3 30MB 64MB 64MB
メモリ 対応メモリ DDR5-4800/DDR4-3200 DDR4-3200
最大容量 128GB
消費電力 基本 150W 125W 65W 105W
最大 241W 202W 未公開
対応ソケット LGA1700 Socket AM4
対応チップセット インテル600シリーズ AMD500・400シリーズ

~CPUスペック比較一覧~

Core i9-12900KSはCore i9-12900Kからクロックが上昇し、更なるオーバークロック機能として第11世代Core シリーズなどで搭載されていたThermal Velocity Boostが復活しています。Thermal Velocity Boostは、温度に余裕のある限り動作クロックを引き上げる機能で、TurboBoostでは1コアもしくは2コアまでの引き上げに対し、Thermal Velocity Boostはすべてのコアで動作クロックを引き上げます。そのため消費電力も増加しており、またThermal Velocity Boost機能を活かすためにも、CPUへの電力供給に余裕のあるマザーボードと、冷却性能にはCore i9-12900K以上に注意を払う必要が有りそうです。それでは、Core i9-12900KSの性能をベンチマークを通して見ていきたいと思います。

なお、ベンチマークを行うにあたり、第12世代インテル Core プロセッサーのメモリはDDR5-4800、Ryzen 9 5950XのメモリはDDR4-3200となっています。
また、OS環境については第12世代インテルCoreプロセッサーへの最適化を考慮しWindows 11環境としています。
※検証時の構成については記事最後尾に記載しております。

Passmark PerformanceTest

まずはCPUの全体的な性能を数値化するPassmarkの『CPU Benchmarks』を用いて、CPUの総合的な演算性能を見てみましょう。

~Passmark CPU Mark~~Passmark CPU Mark~

 Core i9-12900KSは、Core i9-12900Kに対して3%、Core i9-12900に対して7%ほどスコアが向上し、スレッド数で上を行くRyzen 9 5950Xを僅差ながらも上回ってきました。さすがにハイエンドモデル同士の比較だけあって、どのCPUも十分な演算性能を有していると言えそうです。
内訳としても第12世代Coreプロセッサーのベンチマークレビューと同様で、非常に強力なシングルコア性能を持っており、Core i9-12900KSは16コア24スレッドでありながら、16コア32スレッドとなるRyzen 9 5950Xのスコアを越えるスコアを示しました。

3D Mark CPU test

次いで、3D Mark「Fire Strike / Physics Score」と「Time Spy / CPU Score」を用いて、CPUの演算性能を見ていきます。「Fire Strike / Physics Score」「Time Spy / CPU Score」共に、CPUに物理演算をさせてその処理速度を数値化したもので、CGレンダリングや動画のエンコードと同じくCPUのコア数やスレッド数の多さが有利に働くテストです。なおベンチマークテストには共に4K解像度(3840×2160)のFire Strike UltraとTime Spy Extremeを使用しています。

~3D Mark Fire Strike~~3D Mark Fire Strike~

~3D Mark Time Spy~~3D Mark Time Spy~

Fire StrikeとTime Spyで多少の変化はありますが、Core i9-12900KSはCore i9-12900Kに対して1~2%ほど、Core i9-12900に対して5%ほどスコアが向上しています。Core i9-12900KSが動作クロックに見合った性能を示しています。

3D Markの最後に、純粋にCPU性能のみを評価する「CPU Profile」を用いて、CPUの全ポテンシャルを示す「最大スレッド(Max Threads)」のスコアで比較してみましょう。

~3D Mark CPU Profile~~3D Mark CPU Profile~

全体のスコア順としてはTime Spyに近い格好となり、Core i9-12900KSはCore i9-12900Kに対して2%ほど、Core i9-12900に対しては7%ほどスコアが向上しています。

TMPGEnc Mastering Works 6

続いて、動画編集ソフトのTMPGEnc Mastering Works 6を用いて、QuickTimeファイル(3840x2160/2分50秒)をh.265に変換するのに要した時間(単位:秒)を測定しました。グラフの短い方がより高速に処理を行っている事になります。

~TMPGEnc~~TMPGEnc~

TMPGEnc Mastering Works 6においても、全体の傾向として3D MarkのTime SpyやCPU Profileと似たものとなっています。Core i9-12900KSはCore i9-12900Kに対して2%ほど(時間にして5秒)、Core i9-12900に対しては4%ほど(時間にして13秒)、処理時間が短縮されています。

PCMark 10

最後に、PCのパフォーマンスを総合的に判断できるPCMark 10を見ていきましょう。

~PCMark 10~~PCMark 10~

さすがに一般的なPCの日常的作業の性能を表すPCMark 10では、CPUの違いだけでは性能差は表れにくいようで、Core i9-12900系の3つはほぼ横並びの性能となっています。どのCPUでも日常的な作業においてはほとんど差が無いと見てよさそうです。

Core i9-12900KSはエンスージアストにこそ相応しい

Core i9-12900KS は、Core i9-9900KS以来2年半ぶりに登場した「SPECIAL EDITION」であり、一般モデルのCore i9-12900Kからは動作クロック相当の性能向上がみられました。Core i9-12900Kを上回る性能とは言え、元々が高性能なCore i9-12900Kとの差はおおそよ2%と小さく、この2%の性能差に価格差以上の価値が見出せるかどうかが、Core i9-12900KSの存在価値を決めると言えるでしょう。また、Core i9-12900K以上に冷却性能に注意する必要が有りますが、このクラスのCPUを狙っているユーザーには不要の心配かも知れませんね。
「特別」や「SPECIAL」という文言が大好きなユーザーなら、手にして損はないCPUと言えるでしょう。

  第12世代Core Ryzen 5000 シリーズ
CPU Core i9-12900KS
Core i9-12900K
Core i9-12900
Ryzen 9 5950X
マザーボード ASUS Prime Z690-P ASUS Prime X570-PRO
メインメモリ DDR5-4800 32GB(16GB ×2) DDR4-3200 32GB(16GB ×2)
グラフィックカード MSI製 GeForce RTX 3070 Ti(ビデオメモリ 8GB)
ストレージ Samsung 980 PRO 1TB(MZ-V8P1T0B) PCIe Gen 4.0 M.2 NVMe
電源 Seasonic SSR-1000GD(80PLUS Gold、1000W)
OS Windows 11 Home 64bit(バージョン:21H2)
ビデオドライバ GeForce Game Ready Driver Ver511.79

~テスト環境~

ライタープロフィール 職人13号

テクニカルライターから巡り巡ってパソコン工房にやってきました。「読みやすさ」をモットーに、文書作成やチェックを中心に担当していきます。趣味はレトロゲームの攻略動画投稿などです。

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