

どうしたら憧れのクリエイターになれるのか? その秘密を現役で活躍するクリエイターに直接聞いちゃう『クリエイター仕事道』。今回のゲストはイラストレーターの矢野恵司さんです。おじいさんが画家だった影響で、絵画に興味を持った矢野さん。あるきっかけでグラフィックイラストを手がけるようになります。独特のタッチで描かれるイラストは何からインスピレーションを受けているのでしょうか?
矢野さんが携わった作品
東京イラストレーターズ・ソサエティの公募で大賞を受賞した「FACE LANDSCAPE」シリーズ。画集は“トーキョーカルチャー”として、セレクトショップなどでも販売されている。
矢野さんのターニングポイントにもなった劇団ロロのキービジュアル。グラフィックデザイナー佐々木俊氏との共同制作。
おじいさんに憧れて画家を目指した幼少時代
矢野さんは子供の頃、どんな仕事に憧れていましたか?
物心ついたころから、画家の祖父に憧れて自分も「画家になりたい」と思っていました。
よく母に美術館に連れて行ってもらって、ゴッホやムンクの模写をしていた記憶があります。
幼い頃からアーティストだったんですね。画家を目指し、どのような学校に進みましたか?
中学二年の時に見た法隆寺の百済観音像に感動して、仏像に興味を持つようになりました。それから高校生の時には高村光太郎やロダンなどの近代美術の彫刻家に憧れて、東京芸術大学の彫刻学科に進学しました。
芸大時代はどんな学生生活を送っていましたか?
学校では彫刻を作っていましたが、家では漫画や絵本、アニメーションや版画などを作りながら自分に馴染む素材や表現方法を探っていました。
休みになると旅行に出かけることが多く、日本や東南アジアの寺社仏閣を巡ったり、ヨーロッパの教会巡りをしたりと学生時代はどちらかというとインプットに重きを置いていたと思います。
学生時代はさまざまな経験をされたんですね。そんな中、今の職業を目指すようになったきっかけは何だったのですか?
彫刻をやってみて、道具や素材の準備、作品の運搬や管理のコストが大きくビジネスとしてやっていけるイメージが持てませんでした。そこから物質から離れたくなってしまい、デジタルの方に興味が向かうようになりました。
時代の潮流にも乗っている感じがしますね。仕事としてスタートしたきっかけはありますか?
大学を卒業後、ゲーム会社に就職しました。そこで、2Dや3Dのデジタルツールに触れたことで表現の可能性が広がり、絵を描く中でイラストレーターという職業を意識するようになりました。
新しいことにチャレンジしながら、表現を拡張する
矢野さんの代表作を教えてください
初めて多くの人に自分を知ってもらったきっかけとしては、2017年に個展で発表した「Face Landscape」の一連の顔のシリーズです。イラストレーターとしての自分の原点になっています。
ビジネスとして、ターニングポイントとなった作品はありますか?
デザイナーの佐々木俊さんとお仕事した劇団ロロのキービジュアルのお仕事です。大きいところのディレクションはありましたが、それ以外は自由に描かせてもらいました。
その仕事から、どんなことを学べましたか?
佐々木さんはイラストに合わせてデザインを考える方で、出来上がったものもデザインとイラストが一体となった仕上がりで驚きました。2つのジャンルの役割は違えど、グラデーションでつながっているんだなとお仕事する中で感じました。
それは新しい発見でしたね。矢野さんが仕事で一番気持ちが高まる瞬間はどんな時ですか?
ある程度自由に描かせてもらえる場合、やったことがないことにチャレンジするようにしています。自分でもどうなるかわからない中で描いていくので、だんだんと出来上がっていく過程で「なるほど、こうなったか!」と他人事のように感動しながら進めています。そのプロセスが楽しいですね。
矢野さんが仕事で大切にしている事、意識している事を教えてください。
お仕事はクライアントとのコラボレーションだと考えていて、依頼内容と作家性が足し算ではなく掛け算のように化学反応を起こすようなやり方を意識しています。
自分が普段から試してみたいと思っているアイデアがいくつかあるのですが、お仕事をいただいた際に依頼内容に一番近いものをその中から選んで描くようにしています。仕事に向かう鮮度を保ちながら、表現を拡張することは長く続けていく上で大切だと考えています。
高画質印刷できるよう、スペックを重視!
現在、どんなPCや周辺機器を愛用していますか?
デスクトップ(Windows10 Home)とワコムの液晶タブレットを使っています。ソフトはPhotoshopを使用しています。
メモリ:32GB
PCや周辺機器を選ぶ際の基準を教えてください。
いつもお店で相談していることは、重い作業に耐えられるかどうかです。広告のお仕事はB0サイズなど、大きく印刷されることも多いので解像度が高く、レイヤー数が大きくても作業に支障をきたさないくらいのスペックを重視しています。
関わる人、全てが喜ぶモノ作りを
矢野さんにとって“クリエイター仕事道”とはなんですか?
まずはクライアントに喜んでもらうこと。
その先にいるお客さんに喜んでもらうこと。
そしてそれを自分が楽しんで取り組んでいること。
そういう循環が生まれるようなモノづくりを目指しています。
クリエイターを目指す若者たちにメッセージをお願いします!
最近若い人ですごいクリエイターがたくさん出てきていて非常に刺激をもらっています。
皆さんとお仕事できることを楽しみにしつつ、僕も引き続き頑張っていきたいと思います!
矢野さん、ありがとうございました!
多くのアートに触れ、自分の世界を突き詰める
おじいさまが画家という、芸術が身近にある環境で育ち、ある意味英才教育を受けて育った矢野さん。筆を液晶タブレットに変え、幻想的で独特のタッチでご自身の世界観を表現しています。そこには幼少期から学生時代にかけて色々なアートを見てきたら“自分の筆”を見つけられたのでしょう。若いうちにたくさんの作品の魅力を吸収することは、とても大切なことですね。
クリエイタープロフィール
矢野恵司さん
イラストレーター
1988年高知生まれ。東京藝術大学彫刻科卒業、同大学院美術解剖学研究室修了。
株式会社任天堂でデザイナーとして勤務後、17年よりイラストレーターとして活動を開始。企業ポスターや、広告用のイラスト、雑誌の表紙などのイラストを数多く手がけている。
HP
https://www.yano-keiji.com/
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[ネクスマグ] 編集部
パソコンでできるこんなことやあんなこと、便利な使い方など、様々なパソコン活用方法が「わかる!」「みつかる!」記事を書いています。