どうしたら憧れのクリエイターになれるのか? 『クリエイター仕事道』第17回のゲストはイラストレーターのきたざわけんじさんです。銀座の有名なビルの壁画から、スーパーで見かける商品パッケージまで幅広い作品を手掛けるきたざわさん。そのキャリアはどのように積み上げていったのでしょうか?

クリエイター最終更新日: 20200828

憧れのクリエイターにはどうしたらなれる?イラストレーター編

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どうしたら憧れのクリエイターになれるのか? その秘密を現在活躍するクリエイターに直接聞いちゃう『クリエイター仕事道』。第17回のゲストはイラストレーターのきたざわけんじさんです。
銀座の有名なビルの壁画から、スーパーで見かける商品パッケージまで幅広い作品を手掛けるきたざわさん。そのキャリアはどのように積み上げていったのでしょうか?

きたざわさんが携わった作品

広告マーケティング専門誌「宣伝会議」の表紙イラスト。

AGF Blendyボトルコーヒーのパッケージ。

アヲハタ ママレードのパッケージ。

現在工事中の銀座ソニービルのアートウォール。この壁画がきたざわさんのターニングポイントになります。

仕事中のきたざわけんじさん。隣ではお子さんがお絵かき中。

大空翼を夢見た少年がアートの世界へ

きたざわさんの子どもの頃の夢はなんでしたか?

サッカー選手です。当時はまだJリーグが発足しておらず、テレビでもサッカー中継がほとんどないような時代でした。でも小学校の担任の先生の勧めもあり校庭でサッカーをしているうちにのめり込んだんです。漫画『キャプテン翼』の影響もあったかもしれませんね。家の中でもボールを蹴っていた記憶があります!

そこからなぜイラストレーターを目指すようになったのですか?

その後もサッカーは大学まで続けることになるわけですが、高校まで生活した長野県は当時まだサッカーがあまり強くなく…(笑)。なので、サッカー選手ではなく現実的に考えはじめるようになりました。「何をやりたいか?」と考えた時に浮かんだのが“インテリアデザイナー”です。そして一浪の末に武蔵野美術大学に入学しました。

美大生時代は、どんな学生生活を送っていましたか?

学生時代はサッカー、アルバイト、大学の図書館で読書、少しだけ授業みたいな感じで過ごしました。何を学びに行ったのか(笑)。そんな時に図書館で『イラストレーション』という雑誌でイラストレーションの存在を知ることになります。その雑誌がきっかけでインテリアデザインではなくグラフィックデザインに目覚めました!

そこからイラストレーターの道へ?

大学の図書館で『イラストレーション』のバックナンバーを一通り見て、自分でも自由にイラストレーションのようなものを描いてみました。当時はイラストレーションやアートのコンペがたくさんあったので、描いたものを『イラストレーション』のコンペに応募してみたんです。そしたら、あろうことかいきなり「入選」! でも、それからイラストレーターとして食べていけるようになるまで10年以上かかるとは…(汗)。

イラストレーターとして食べていけるようになったきっかけは?

コンペで入選した作品と同じテーマで作品を多数制作し、出版社やデザイン事務所に売り込み、つまり営業活動をしました。最初に自分が一番好きだった文藝春秋のスポーツ雑誌『Number』にお邪魔したのですが、作品を気に入ってもらえて後日すぐにオファーをいただきました。親切にも同社の別の編集部の方にもご紹介いただき文藝春秋さんのお仕事を立て続けにさせていただきました。

商品パッケージから表紙イラストまで、幅広い仕事のきっかけは?

きたざわさんの代表作を教えてください

アートウォール:SONY・ソニービル『Canvas@Sony』、雑誌:NHK出版『まいにちイタリア語』、パッケージ:アヲハタ『瀬戸内ママレード』『瀬戸内ジュース』シリーズ、アートウォール:大和住宅・アップル表参道店『工事仮囲い』、パッケージ:AGF『Blendy』です。

ターニングポイントになった仕事はなんですか?

今は老朽化で解体されてしまいましたが、2008年に銀座のソニービルのアートウォールに大好きなインテリアのイラストレーションを描かせていただきました。同時にウォークマン、ヘッドフォン、携帯電話のパネルも担当させていただいたことで、私のイラストレーションが多くの方に認知していただけたと思っています。

その仕事から得られたことはあれば教えてください。

自分の描くイラストレーションの方向性に確信を持つことができました。それと月並みではありますが、人との繋がりでしょうか。この仕事をしてから様々な業界、媒体からお声がけいただけるようになりました。

一方、仕事で失敗をしたことはありますか?

イラストレーションを生業としているので、必ず制作費の話があるわけですが…。過去に2回ほど、条件が折り合わずに話が流れてしまったことがあります。「いつものように成立していたらその作品がどういう風に展開されていたのかな?」と思うことがありました。

仕事をしていて、一番興奮したり感動する瞬間はどんな時ですか?

やはり、制作したイラストレーションが印刷されたり、製造されて形になって世の中に出てきた時ではないでしょうか。書籍のカバーを描いたものが、街の本屋さんに平積みになっているのを見ると、とてもうれしく思います。

仕事をするうえで、もっとも大切にしていることは何ですか?

アイデアを出す、ラフを製作する時間をたっぷりとり、着彩ではゆったりと制作するようにしています。あとは締め切りは必ず守ることですね。

デジタルに頼らず、手書きの質感も大切に

ふだん使っているパソコンや、周辺機器を教えてください

物持ちがいい方だと思うのですが、10年くらい使っているディスプレイ一体型のパソコンとA3サイズのスキャナーとプリンターです。「ペンタブレットは使わないのですか?」とよく言われるのですが、自分には使いこなせませんでした(苦笑)。

パソコンを選ぶ際の基準はなんですか? 制作の時に重視するスペックがあれば教えてください

デジタルのイラストレーションですが、道具に頼りすぎないようにしているので、スペックは特に高くなくても問題ありません。マシンのスペックがもっと高かったら製作がもっと早く完了しているのかもしれませんが…(笑)。

クライアント、見た人を感動させる仕事を!

きたざわさんにとって“クリエイティブ仕事道”とはなんですか?

星の数ほどいるイラストレーターの中から私を指名いただきご依頼いただくわけですから、常に求められているモノ以上の形で、依頼してくれた方に喜んでいただけるイラストレーションをお届けすることです。

クリエイターを目指す若者たちにメッセージをお願いします!

常に色々なことにアンテナを張り巡らしていることは大切です。それと集中力を保つための適度な運動と十分な睡眠です。否定はしませんが徹夜はいけません(笑)。素晴らしいクリエイティブは、健康でないと生まれてきませんから!

きたざわさん、ありがとうございました!

仕事に対する気持ちをまっすぐに

イラストレーターのしてのキャリアも長く、様々な仕事を手掛けるきたざわさん。多種多様な仕事が依頼されるのは、「お客さんの期待以上の仕事をする」というクリエイター哲学があるからです。クリエイターたるもの、期待のその先に何があるのか見極めていきたいですね。

クリエイタープロフィール

きたざわけんじさん
イラストレーター
1971年長野県上田市生まれ。武蔵野美術大学短期大学部デザイン科空間演出デザイン専攻卒業。2006年イラストレーターとして活動をはじめる。2007年にザ・チョイス入選、グラフィックアート「ひとつぼ 展」入選。その後HB FILE コンペ副田高行特別賞、イラストノート展入選、ユニクロクリエイティブアワード森山大道賞、TIS公募入選など、多数受賞。2009年~2018年の毎年4月に表参道のHBギャラリーにて、個展「さくら色のかぜ」を10年連続で開催。
http://home.catv-yokohama.ne.jp/kk/kitazawa/

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ライタープロフィール パソコン工房NEXMAG
[ネクスマグ] 編集部

パソコンでできるこんなことやあんなこと、便利な使い方など、様々なパソコン活用方法が「わかる!」「みつかる!」記事を書いています。

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