2023年1月3日に発売された65W版第13世代インテル Core プロセッサーとなるCore i7-13700について、ベンチマークテストを試してみました。

気になる製品最終更新日: 20230105

追加された第13世代インテル Core プロセッサー 発売情報・ベンチマークレビュー

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【1/5 更新】Core i7-13700のベンチマーク記事を追加いたしました。
65W版の第13世代インテル Core プロセッサーは2023年1月3日23時より発売が開始されました。
今回は幸運にもCore i7-13700を入手することが出来ましたので、インテルの新しいCPUがどれほどの性能を持つのか、ベンチマークテストを試していきます。

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第13世代 インテル Core プロセッサー追加モデル発売開始!

第13世代 インテル Core プロセッサーの単体パーツ及びH770・B760マザーボードにつきましてパソコン工房での発売を開始いたしました。詳細は特集ページをご覧ください。

パソコン工房で 第13世代インテル Core プロセッサー 特集を見る

第13世代 インテル Core プロセッサースペック一覧

ここでは、現時点で判明している、第13世代 インテル Core プロセッサーのスペックをまとめていますのでご参照ください。
※メーカー等による事前情報です。最終スペックと異なる場合があります。

Core i9-13900K Core i9-13900KF Core i9-13900 Core i9-13900F Core i9-13900T
コア数 P-core 8
E-core 16
スレッド数 32
動作クロック P-core 3.0GHz 2.0GHz 1.1GHz
E-core 2.2GHz 1.5GHz 0.8GHz
TurboBoost P-core 5.4GHz 5.2GHz 5.1GHz
E-core 4.3GHz 4.2GHz 3.9GHz
TurboBoost Max3.0 5.7GHz 5.5GHz 5.3GHz
Thermal Velocity Boost 5.8GHz 5.6GHz
キャッシュ
メモリ
L2 32MB
L3 36MB
PCI-Express Gen 5.0
レーン数 16
Gen 4.0
レーン数 4
メモリ 対応メモリ DDR5-5600/DDR4-3200
最大容量 128GB
GPU インテル UHD
グラフィックス
770
インテル UHD
グラフィックス
770
インテル UHD
グラフィックス
770
消費電力 基本 125W 65W 35W
最大 253W 219W 106W
対応ソケット LGA1700
対応チップセット インテル 700シリーズ、インテル 600シリーズ

Core i7 プロセッサーシリーズ

Core i7-13700K Core i7-13700KF Core i7-13700 Core i7-13700F Core i7-13700T
コア数 P-core 8
E-core 8
スレッド数 24
動作クロック P-core 3.4GHz 2.1GHz 1.4GHz
E-core 2.5GHz 1.5GHz 1.0GHz
TurboBoost P-core 5.3GHz 5.1GHz 4.8GHz
E-core 4.2GHz 4.1GHz 3.6GHz
TurboBoost Max3.0 5.4GHz 5.2GHz 4.9GHz
キャッシュ
メモリ
L2 24MB
L3 30MB
PCI-Express Gen 5.0
レーン数 16
Gen 4.0
レーン数 4
メモリ 対応メモリ DDR5-5600/DDR4-3200
最大容量 128GB
GPU インテル UHD
グラフィックス
770
インテル UHD
グラフィックス
770
インテル UHD
グラフィックス
770
消費電力 基本 125W 65W 35W
最大 253W 219W 106W
対応ソケット LGA1700
対応チップセット インテル 700シリーズ、インテル 600シリーズ

Core i5 プロセッサーシリーズ

Core i5-13600K Core i5
-13600KF
Core i5-13600 Core i5-13500 Core i5-13400 Core i5-13400F Core i5-13600T Core i5-13500T Core i5-13400T
コア数 P-core 6
E-core 8 4 8 4
スレッド数 20 16 20 16
動作クロック P-core 3.5GHz 2.7GHz 2.5GHz 1.8GHz 1.6GHz 1.3GHz
E-core 2.6GHz 2.0GHz 1.8GHz 1.3GHz 1.2GHz 1.0GHz
Turbo
Boost
P-core 5.1GHz 5.0GHz 4.8GHz 4.6GHz 4.8GHz 4.6GHz 4.4GHz
E-core 3.9GHz 3.7GHz 3.5GHz 3.3GHz 3.4GHz 3.2GHz 3.0GHz
キャッシュ
メモリ
L2 20MB 11.5MB 9.5MB 11.5MB 9.5MB
L3 24MB 20MB 24MB 20MB
PCI-Express Gen 5.0
レーン数 16
Gen 4.0
レーン数 4
メモリ 対応メモリ DDR5-5600/DDR4-3200 DDR5-4800/DDR4-3200
最大容量 128GB
GPU インテル UHD
グラフィックス
770
インテル UHD
グラフィックス
770
インテル UHD
グラフィックス
730
インテル UHD
グラフィックス
770
インテル UHD
グラフィックス
730
消費
電力
基本 125W 65W 35W
最大 181W 154W 148W 92W 82W
対応ソケット LGA1700
対応チップセット インテル 700シリーズ、インテル 600シリーズ

Core i3 プロセッサーシリーズ

Core i3-13100 Core i3-13100F Core i3-13100T
コア数 P-core 4
E-core 0
スレッド数 8
動作クロック P-core 3.4GHz 2.5GHz
E-core
TurboBoost P-core 4.5GHz 4.2GHz
E-core
キャッシュ
メモリ
L2 5MB
L3 12MB
PCI-Express Gen 5.0
レーン数 16
Gen 4.0
レーン数 4
メモリ 対応メモリ DDR5-4800/DDR4-3200
最大容量 128GB
GPU インテル UHD
グラフィックス 730
インテル UHD
グラフィックス 730
消費電力 基本 60W 58W 35W
最大 89W 69W
対応ソケット LGA1700
対応チップセット インテル 700シリーズ、インテル 600シリーズ

~第13世代 インテル Core プロセッサーシリーズ スペック一覧~

Core i7-13700 ベンチマーク情報

今回ベンチマークを行うのは、運よく入手できたCore i7-13700となります。比較対象としては、上位モデルとなるCore i7-13700Kを、第12世代インテル Core プロセッサーからは同じコア数/スレッド数のCore i9-12900Kと同じCore i7グレードのCore i7-12700Kとなります。また、Ryzen 7000 シリーズ デスクトップ・プロセッサーからは同じスレッド数のRyzen 9 7900Xと、同じ“7”グレードに属するRyzen 7 7700Xを用意しました。

Core i7
13700K
Core i7
13700
Core i9
12900K
Core i7
12700K
Ryzen 9 7900X Ryzen 7 7700X
コア/スレッド 16/24 16/24 12/20 12/24 8/16
動作クロック P-core 3.4GHz 2.1GHz 3.2GHz 3.6GHz
E-core 2.5GHz 1.5GHz 2.4GHz 2.7GHz
基本クロック 4.7GHz 4.5GHz
TurboBoost P-core 5.3GHz 5.1GHz 5.1GHz 4.9GHz
E-core 4.2GHz 4.1GHz 3.9GHz 3.8GHz
TurboBoostMax3.0 5.4GHz 5.2GHz 5.2GHz 5.0GHz
最大ブースト・クロック 5.6GHz 5.4GHz
キャッシュ
メモリ
L2 24MB 14MB 12MB 12MB 8MB
L3 30MB 30MB 25MB 64MB 32MB
メモリ 対応メモリ DDR5-5600 / DDR4-3200 DDR5-4800 / DDR4-3200 DDR5-5200
最大容量 128GB
消費電力 基本電力 125W 65W 125W
最大電力 253W 219W 241W 190W
TDP 170W 105W
内蔵GPU Intel UHD
Graphics 770
Radeon
Graphics
64bitコード intel64 AMD 64
SIMD命令 SSE SSE4.1/4.2 SSE4.1/4.2
AVX AVX2 AVX512

~CPUスペック比較一覧~

※メーカーによる事前情報です。実際の製品では変更になる場合があります。

第13世代Core i7シリーズは第12世代Core i9シリーズと仕様がよく似ており、第12世代Core i9シリーズのL2キャッシュ容量を増加した物が第13世代Core i7シリーズといった感じになっています。L2キャッシュ容量が増加した分、Core i7-13700やCore i7-13700Kの処理性能がCore i9-12900Kを上回る事も期待されます。

なお、今回ベンチマークテストで使用したASUS PRIME Z690-Pでは、対応BIOSに更新する前にME(Management Engine)の更新が必要となりました。マザーボードによってはBIOSの更新だけでなく、MEの更新も必要となる場合もありそうですので、ご注意ください。
※テスト環境については記事最後尾に記載しております。

PassMark PerformanceTest

まずはCPUの全体的な性能を数値化するPassMarkの『CPU Benchmarks』を用いて、CPUの総合的な演算性能を見てみましょう。なおテストに使用したソフトウェアはPassMark 9となります。

~PassMark CPUMark~~PassMark CPUMark~

Core i7-13700のスコアがCore i7-12700Kをおおよそ35%上回り、Core i9-12900Kをもおおよそ7%上回りました。最大で41%のマルチスレッド性能向上という謳い文句は、65W版の第13世代Coreプロセッサーにも当てはまるようです。
それではシングルスレッド性能はどうなのかと、確認してみました。

~PassMark シングルスレッド~~PassMark シングルスレッド~

シングルスレッド性能については世代による違いはほとんど無いようで、動作クロック順となっています。Core i7-13700とCore i9-12900KはTurboBoostMax3.0での動作クロックが同じとなっていますが、冷却性能が十分なCPUクーラーを使用している場合は、基本電力や最大電力の大きいCore i9-12900Kの方が動作クロックが上がり易いためのスコア差と言えるでしょう。
また、同じスレッド数のCore i7-13700とRyzen 9 7900Xを比べてみると、浮動小数点演算や物理演算ではCore i7-13700がRyzen 9 7900Xを上回り、逆に整数演算や暗号化演算ではRyzen 9 7900XがCore i7-13700を上回るなど、処理内容によってそれぞれ得手不得手が有る事が分かります。

PassMark

3DMark CPU test

次いで、3DMark「Fire Strike / Physics Score」と「Time Spy / CPU Score」を用いて、CPUの演算性能を見ていきます。「Fire Strike / Physics Score」「Time Spy / CPU Score」共に、CPUに物理演算をさせてその処理速度を数値化したもので、CGレンダリングや動画のエンコードと同じくCPUのコア数やスレッド数の多さが有利に働くテストです。なおベンチマークテストには共に4K解像度(3840×2160)のFire Strike UltraとTime Spy Extremeを使用しています。

~3DMark Fire Strike~~3DMark Fire Strike~

~3DMark Time Spy~~3DMark Time Spy~

多少の変化はありますが、Fire Strike・Time Spy共にPassMark のCPUMark に似た傾向となり、Core i7-13700のスコアがCore i9-12900Kをおおよそ7%上回りました。
一方、Ryzen 7000シリーズとの比較では大きな変化があり、Core i7-13700がRyzen 9 7900Xに匹敵するスコアとなっています。Fire StrikeやTime Spyでは、Core i7-13700の物理演算性能の高さが優位に働いていると言えそうです。

3DMarkの最後に、純粋にCPU性能のみを評価する「CPU Profile」を用いて、CPUの全ポテンシャルを示す「最大スレッド(Max Threads)」のスコアで比較してみましょう。

~3DMark CPU Profile~~3DMark CPU Profile~

全体としてはPassMarkのCPUMarkに近い格好となっていて、Core i7-13700のスコアが Core i9-12900Kをおおよそ2.5%上回っています。
また、純粋なCPU性能のみを評価するCPU Profileにおいては、同じ24スレッド同士で有っても、8基のP-coreを持つCore i7-13700KやCore i7-13700よりも、実質的に12基のP-coreを持つRyzen 9 7900Xの方が優位に立つようです。

TMPGEnc Mastering Works 6

続いて、動画編集ソフトのTMPGEnc Mastering Works 6を用いて、QuickTimeファイル(3840x2160/2分50秒)をh.265に変換するのに要した時間(単位:秒)を測定しました。グラフの短い方がより高速に処理を行っている事になります。

~TMPGEnc~~TMPGEnc~

TMPGEnc Mastering Works 6ではCore i7-13700はCore i9-12900Kより14秒(割合にしておおよそ5%)早く、Core i7-12700Kより60秒(割合にしておおよそ22%) 早く処理が完了しています。
また、TMPGEnc Mastering Works 6はスレッド数の多寡も影響が大きいのか、Core i7-13700と同じ24スレッドの4CPUが第1集団、スレッド数の少ない2CPUが第2集団と、きれいに別れました。

65W版でも進化を感じられる第13世代インテルCoreプロセッサー

Core i7-13700が随所でCore i9-12900Kを上回るなど、65W版の第13世代Coreプロセッサーでも第12世代Coreプロセッサーからの大きな性能向上が確認出来ました。同じスレッド数のRyzen 9 7900との比較においても、浮動小数点演算や物理演算、3DMarkのゲーミング演算性能で上回るなど、一定の強さを見ることが出来ました。
既に第12世代Coreプロセッサーを使用しているユーザーであれは、マザーボードが対応していればCPUを第13世代Coreプロセッサーに交換するだけで大きく性能を向上させることが期待できるなど、導入のしやすさも大きなメリットと言えるでしょう。もちろん、Core i7-13700の最大消費電力は219WとCore i7-12700Kの190Wを上回っており、Core i7-13700の性能をいかんなく発揮させるためには冷却性能にも十分な注意を払う必要が有りそうです。
Core i7-13700はK型番と同等のシングルスレッド性能を維持しており、シングルスレッド性能が優位に効いてくるゲームやアプリケーションを中心に使うのであれば、65W版モデルの第13世代Coreプロセッサーも良い選択肢と成り得ることでしょう

第13世代
Coreシリーズ
第12世代
Coreシリーズ
Ryzen
7000 シリーズ
CPU Core i7-13700K
Core i7-13700
Core i9-12900K
Core i7-12700K
Ryzen 9 7900X
Ryzen 7 7700X
CPUクーラー Inwin製360mm水冷クーラー (IW-LC-BR36)
マザーボード ASUS Prime Z690-P ASUS Prime X670E-PRO WiFi
メインメモリ DDR5-4800 32GB (16GB x2)
グラフィックスカード ZOTAC製 GeForce RTX 3070 Ti (ビデオメモリ 8GB)
ストレージ Samsung 980 PRO 1TB (MZ-V8P1T0B) PCIe Gen 4.0 M.2 NVMe SSD
電源 Seasonic SSR-1000PD (80PLUS Platinum、1000W)
OS Windows 11Home 64bit (バージョン:22H2)
ビデオドライバ GeForce Game Ready Driver Ver 516.59

~検証に使用した構成~

ライタープロフィール 職人5号

Windows2000登場前からほぼ一貫してPC製造部門に従事。PC組立はもちろん、OSイメージの作成や製造時のトラブルシュートを行う。 その経験を生かしてOSの基本情報や資料室を担当する事が多い。

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