GeForce RTX 3090 Tiは、GeForce RTX 30シリーズの新たなる最上位モデルとして2022年3月29日23時より販売が開始されました。
今回はこの GeForce RTX 3090 Ti について、ベンチマークテストを通してその性能を確認して行きます。
GeForce RTX 3090 Ti について
GeForce RTX 3090 Tiは、NVIDIA GeForce RTX 30シリーズの新たなる最上位モデルとして2022年3月29日23時より販売開始されました。GeForce RTX 3090 Tiの演算能力はGeForce RTX 3090 を10%以上上回るなどパフォーマンスが向上した分、消費電力も大きくなっています。増大した消費電力を賄うため、電源コネクタの形状が8Pinコネクタから、最大600Wの供給が可能とされる新コネクタ「12VHPWR」へと変更されています。現在販売されている電源は12VHPWRには対応していないため、8Pinコネクタ3個を12VHPWRに変換するケーブルが付属しています。
GeForce RTX 3090 Ti は標準でResizable BARに対応し、対応するマザーボードとグラフィックスドライバの組み合わせでパフォーマンスの向上を期待することができます。Resizable BARはAMD RadeonとRyzenの組み合わせによるSmart Access Memoryと同等の機能となり、CPUからグラフィックスカードのメモリへ直接アクセスできるようになる機能です。
また、仮想通貨のマイニングへはLHR (ライト ハッシュ レート)とよばれる制限が標準で施されているモデルとなるようです。
なお、AmpareアーキテクチャーやGeForce RTX 30 シリーズの詳しい特徴については、こちらのページを参照ください。
GeForce RTX 30 シリーズの特徴
GeForce RTX 3090 Tiベンチマーク情報
GeForce RTX 3090 Tiにも採用されるAmpereアーキテクチャーを使用するGA102コアは、大きなコアの塊であるGPCが最大7基搭載され、GPC内にさらに小区分となる最大12基のSM、SM1基内にCUDAコアが最大128コア搭載することから、最大CUDAコア数は
7GPC×12SM×128CUDAコア=10752基
となります。つまり、GeForce RTX 3090 Tiは、GA102コアのフルスペック版となるモデルとなります。
CUDAコアだけでなく、動作クロックも向上、ビデオメモリ帯域幅も拡大しており、これらがどこまで性能に影響を及ぼすのか、ベンチマークを通じて確認したいと思います。
比較対象としては、同じCPUコアを使用したGeForce RTX 3090とGeForce RTX 3080 Tiを、またRadeon RX 6000シリーズの最上位モデルRadeon RX 6900 XTを用意しました。テスト解像度はハイエンドモデルのため、WQHD(2560 x 1440)、4K(3840 x 2160) の解像度にて行っています。また、3D Markでは、CPU性能の依存度が少ないGraphics Scoreでの比較となります。
なお、過去のデータと比較のためResizable BARについては無効としてベンチマークテストを行っております。
※ベンチマークテストで用いた構成は末尾に記載しています
GeForce RTX 3090 Ti |
GeForce RTX 3090 |
GeForce RTX 3080 Ti |
Radeon RX 6900 XT |
|
---|---|---|---|---|
アーキテクチャ | Ampere | RDNA 2 | ||
GPUコア | GA102 | Navi 21 | ||
製造プロセス | 8nm | 7nm | ||
CUDAコア | 10752基 | 10496基 | 10240基 | 5120基 |
RTコア | 第2世代 84基 |
第2世代 82基 |
第2世代 80基 |
80基 |
Tensorコア | 第3世代 336基 |
第3世代 328基 |
第3世代 320基 |
– |
定格クロック | 1.67GHz | 1.40GHz | 1.37GHz | 未公開 |
ブーストクロック | 1.86GHz | 1.70GHz | 1.67GHz | 2250MHz |
メモリタイプ | GDDR6X | GDDR6 | ||
メモリ容量 | 24GB | 12GB | 16GB | |
メモリ転送レート | 21Gbps | 19.5Gbps | 19Gbps | 16Gbps |
メモリバス幅 | 384bit | 256bit | ||
TDP | 450W | 350W | 300W | |
補助電源 | 8Pin × 3 | 8Pin × 2 | ||
推奨電源 | 850W | 750W | 850W |
※メーカーによる事前情報です。実際の製品では変更になる場合があります。
それでは、実際にベンチマークテストを行っていきましょう。
3D Mark 「Fire Strike」
まずは、DirectX 11 の代表的ベンチマークとして、3D Mark 「Fire Strike」 のGraphics Score を見てみましょう。テスト解像度は、WQHD のFire Strike Extremeと4KのFire Strike Ultraとなります。
GeForce RTX 3090 TiはGeForce RTX 3090のスコアをおおよそ9%上回っており、演算能力通りにスコアが向上しています。また、Radeon RX 6900 XTに対してはWQHD解像度では僅差ながら及ばないものの4K解像度では僅かながら上回るなど、ほぼ互角の性能と見てよさそうです。
3D Mark 「Time Spy」
次いで、DirectX 12の代表的ベンチマークとして、3D Mark 「Time Spy」 のGraphics Scoreを見てみましょう。テスト解像度は、WQHDのTime Spyと4KのTime Spy Extremeとなります。
Time SpyではGeForce RTX 3090 TiはGeForce RTX 3090をおおよそ10%上回るスコアとなっています。Radeon RX 6900 XTに対しては、Fire Strikeとは異なる傾向となっており、4K解像度においてはおおよそ15%ほどスコアが上回っています。
3D Mark 「Port Royal」
続いて、リアルタイムレイトレーシング性能を見るベンチマークテストの3D Mark「Port Royal」を用いて、レイトレーシング性能を見ていきましょう。Port Royalでは、いくつかあるレイトレーシングアルゴリズムのうち、レイトレーシングリフレクションを使用したものとなります。
ベンチマークスコアであるGraphics Scoreと一緒にフレームレートも計測することが出来ます。なお、解像度は標準設定のWQHDとなります。また、DLSSについては無効となっており、RTコアの性能の比較として見ていきます。
Port RoyalでもGeForce RTX 3090 TiはGeForce RTX 3090に対しておおよそ10%のほどスコアが向上しています。全体として、リアルタイムレイトレーシング性能については、第2世代のRTコアを持つGeForce RTX 30シリーズが有利に有ると言えます。
ではリアルタイムレイトレーシングにDLSSを有効にするとどうなるのかを続けてみていきます。
3D Mark 「NVIDIA DLSS feature test」
Port Royal に続いて、「NVIDIA DLSS feature test」を確認してみましょう。「NVIDIA DLSS feature test」は、レイトレーシング性能を見る「Port Royal」を活用したベンチマークテストで、GeForce RTX 30シリーズやGeForce RTX 20シリーズが搭載するTensorコアを用いたDLSS(Deep Learning Super Sampling)の性能を見ることが出来、結果はフレームレートで表示されます。今回はテスト解像度にWQHDと4Kを、DLSSモードはPerformanceとQualityを選択しています。なお、DLSSが有効ではない場合の結果はOFFとして計測されます。
※Radeon RX 6900 XTはDLSS非対応のため、テストから除外しています。
DLSSの効果においては、GeForce RTX 3090 TiとGeForce RTX 3090の差はPort Royalよりはやや縮まっていて、GeForce RTX 3090に対しておおよそ9%のスコア向上となっています。
さて、GeForce RTX 3090 Tiは8K解像度でもゲーミングを楽しめると謳われているグラフィックスカードであるため、8K解像度でもベンチマークを実施してみました。8K解像度では、DLSSモードにUltra Performanceが追加されるため、PerformanceとQuality に加えてUltra Performanceの結果も掲載します。
8K解像度でのDLSSの効果については、GeForce RTX 3090 TiとGeForce RTX 3090の差が4K解像度までよりはやや広がっており、GeForce RTX 3090に対しておおよそ11%のスコア向上となっています。8K解像度ではメモリ帯域の差が影響したのかもしれません。
また、GeForce RTX 3080 TiではQualityモードでのスコアが極端に低下していますが、おそらく12GBのビデオメモリでは不足してしまったのだと思われます。24GBというビデオメモリ容量は8K解像度という超高解像度でこそ活きるのでしょう。
3D Mark 「DirectX Raytracing feature test」
3DMarkを用いたベンチマークの最後に、「DirectX Raytracing feature test」を見てみましょう。本テストはすべての画面をレイトレーシングでレンダリングすることで、より負荷の高いグラフィックスカードのレイトレーシング性能を計測できます。結果はフレームレートで表示されます。なお、Sample count 数は、標準設定の12のほか、6と20を加えてテストを行いました。
DirectX Raytracing feature test では、GeForce RTX 30シリーズ同士の差が縮まっており、GeForce RTX 3090 TiとGeForce RTX 3090の差がおおよそ6%となっています。画面内の影や反射のみレイトレーシング処理を行っている「Port Royal」よりも負荷が高いテストということから、第2世代RTコアを搭載するGeForce RTX 30シリーズの強さが明確に表れています。
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク
続いて、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークです。テスト環境設定は高品質・フルスクリーンで、テスト解像度はWQHDと4Kになります。なお過去のデータと比較のためSDRかつ、DLSSは無効としています。
WQHD解像度と4K解像度でやや異なる傾向が表れています。WQHD解像度では、GeForce RTX 3090 Tiだけが頭一つ抜け出している状態なのに対して、4K解像度ではきれいに階段状に並びました。どちらの解像度においても、GeForce RTX 3090 TiはGeForce RTX 3090 に対しておおよそ10%のスコア差となっており、CPUやグラフィックスカードによってスコアが頭打ちになっているというわけではなさそうです。
GeForce RTX 3090 Tiは4K解像度でもとても快適な指標(9000~11999)に唯一到達しており、最上位たる存在感を示しています。
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク
最後に、ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークです。テスト環境設定は最高品質・DirectX 11・フルスクリーン、テスト解像度はWQHDと4Kとなります。ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレについては、ベンチマークテストの詳細で平均fps(フレームレート)も確認できるので、合わせて掲示します。
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレにおいては、全体的にFINAL FANTASY XV の4K解像度と同じように階段状に並びました。さすがに最上位クラスのハイエンドモデルだけあり、どのグラフィックスカードを選んでも快適なゲーミングが約束されそうです。
GeForce RTX 3090 Tiは、4K解像度で「非常に快適」な動作の指標(15000以上)を20%も上回るスコアを記録し、フレームレートにおいても4K解像度で120fpsを上回るなど、4K解像度でもストレスなく快適なプレイが出来るでしょう。
8K解像度でのゲーミングを視界にとらえたGeForce RTX 3090 Ti
GeForce RTX 3090 Tiは、GeForce RTX 30シリーズの最上位モデルとして君臨するにふさわしい性能を示してくれました。ほとんどのベンチマークにおいてGeForce RTX 3090に対して10%程度スコアが向上しており、演算能力通りの性能となっています。レイトレーシングやDLSSの高い性能は、今までのゲームタイトルは言うまでもなく、これから登場してくる重量級のゲームタイトルにおいても、高画質かつ高解像度でのゲーミングを快適にこなしてくれるだけのパワーを秘めていると言えそうです。
GeForce RTX 3090 Tiは標準でも補助電源8ピンが3本必要となるため使用する電源に注意が必要となるほか、販売価格は現在のところ30万円以上と決して安くはないグラフィクスカードですが、その性能に疑う余地は無く、4K解像度での快適なゲーミングはもちろん、8K解像度でのゲーミングを望んでいるユーザーには、有力な選択肢となるでしょう。
グラフィックスカード | MSI製 GeForce RTX 3090 Ti ※OCモデル (ブースト:1920MHz) |
MSI製 GeForce RTX 3090 ※OCモデル (ブースト:1725MHz) |
MSI製 GeForce RTX 3080 Ti ※OCモデル (ブースト:1695MHz) |
Power Color製 Radeon RX 6900 XT |
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CPU | Core i9-12900K (16コア・24スレッド/P-core:3.2-5.2GHz、E-core:2.4-3.9GHz/TDP125W) |
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マザーボード | ASUS Prime Z690-P | |||
メインメモリ | DDR5-4800 32GB (16GB ×2) | |||
ストレージ | Samsung 980 PRO 1TB (MZ-V8P1T0B) PCIe Gen 4.0 M.2 NVMe SSD | |||
電源 | Seasonic SSR-1000GD (80PLUS Gold、1000W) | |||
OS | Windows 11 Home 64bit (バージョン:21H2) | |||
ビデオドライバ | GeForce Game Ready Driver Ver 512.16 | GeForce Game Ready Driver Ver 511.79 | AMD Software: Adrenalin Edition 22.3.1 |
Windows2000登場前からほぼ一貫してPC製造部門に従事。PC組立はもちろん、OSイメージの作成や製造時のトラブルシュートを行う。 その経験を生かしてOSの基本情報や資料室を担当する事が多い。