GeForce RTX 30シリーズのエントリーモデルGeForce RTX 3050の実力をベンチマークテストを通して確認して行きます。

気になる製品最終更新日: 20220224

GeForce RTX 3050ベンチマークレビュー

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2022年1月27日23時より販売開始されたGeForce RTX 30シリーズのエントリーモデルGeForce RTX 3050について、ベンチマークテストを通して実力を確認していきます。

GeForce RTX 3050とは

GeForce RTX 3050は、NVIDIAの最新デスクトップ用グラフィックスカードモデルGeForce RTX 30シリーズのエントリー向けモデルとして2022年1月27日23時より販売開始されました。GeForce RTX 3050の最大のポイントは、エントリークラスのモデルでありながらRTコアやTensorコアを搭載したことで、DLSSやリアルタイム レイ トレーシングの恩恵がもたらされる事と言えるでしょう。

その他GeForce RTX 3050の特徴としては、
・第2世代RTXアーキテクチャとなるAmpereアーキテクチャを採用しました。また、GeForce RTX 20シリーズは第1世代RTXアーキテクチャと呼ばれるようになりました
・エントリー向けモデルとしては最大容量となる8GBのGDDR6メモリを搭載しました
・PCI Express Gen 4に対応しました
・H.265を上回る圧縮効率を誇るAV1(AOMedia Video 1)コーデックにハードウェアで対応し、8K映像のエンコード、デコード処理が可能になりました
・8K HDR映像が出力可能なHDMI2.1やDisplayPort1.4aと、DSC 1.2aに対応しました
・NVIDIA REFLEX、DLSS 2.0、RTX IO等の新たなテクノロジーに対応しました

GeForce RTX 3050スペック情報

GeForce RTX 3050は、エントリークラスにGeForce RTX 30シリーズの恩恵をもたらすモデルとなっています。消費電力はGeForce GTX 1660 SUPERと同じレベルに押さえられており、扱いやすいGeForce RTX 30シリーズとなっています。

GeForce RTX 3060 GeForce RTX 3050 GeForce RTX 2060 GeForce GTX 1660 SUPER GeForce GTX 1650 SUPER
アーキテクチャ Ampere Turing
GPUコア GA106 TU106 TU116
製造プロセス 8nm 12nm
CUDAコア 3584基 2560基 1920基 1408基 1280基
RTコア 第2世代28基 第2世代20基 第1世代30基
Tensorコア 第3世代112基 第3世代80基 第2世代240基
定格クロック 1.32GHz 1.55GHz 1.37GHz 1.53GHz 1.53GHz
ブーストクロック 1.78GHz 1.78GHz 1.68GHz 1.79GHz 1.73GHz
メモリタイプ GDDR6
メモリ容量 12GB 8GB 6GB 6GB 4GB
メモリ転送レート 15Gbps 14Gbps 14Gbps 14Gbps 12Gbps
メモリバス幅 192bit 128bit 192bit 192bit 128bit
メモリバス
帯域幅
360GB/s 224GB/s 336GB/s 336GB/s 192GB/s
G-SYNC
TDP 170W 130W 160W 125W 100W
補助電源 8pin 8pin 8pin 8pin 6pin
推奨電源 550W 550W 500W 450W 350W

スペック比較一覧


GeForce RTX 3050はGeForce RTX 3060と同じコアを使用しており、GeForce RTX 2060を上回るCUDAコア数を搭載するなど一見するとミドルレンジモデルにも思えますが、一方でメモリバス幅はGeForce GTX 1650 SUPERと同じ128bitにするなど、メモリ帯域幅をGeForce RTX 3060の60%程度に抑えています。このCUDAコア数とメモリ帯域幅のバランスがどのように性能に影響しているのか、ベンチマークを通して確認していきたいと思います。
比較対象としては、GeForce RTX 30 シリーズからは上位モデルであるGeForce RTX 3060を、GeForce RTX 20 シリーズからはGeForce RTX 2060を、GeForce GTX 16 シリーズからはGeForce GTX 1660 SUPERとGeForce GTX 1650 SUPERを用意しました。テスト解像度はエントリー向けモデルという事から、フルHD(1920 x 1080)とWQHD(2560 x 1440) の解像度にて行っています。また、3D Markでは、CPU性能の依存度が少ないGraphics Scoreでの比較となります。
なお、GeForce RTX 3060はブーストクロックが標準よりも30MHzほどクロックアップされたOCモデルを使用していますので、標準クロック動作のモデルよりもベンチマークスコアは高くなっている可能性が有ります。
なお、過去のデータと比較のためResizable BARについては無効としてベンチマークテストを行っております。
※ベンチマークテストで用いた構成は末尾に記載しています

GeForce RTX 3050ベンチマーク情報

3D Mark 「Fire Strike」

まずは、DirectX 11 の代表的ベンチマークとして、3D Mark 「Fire Strike」 のGraphics Score を見てみましょう。テスト解像度は、フルHDのFire Strike とWQHD のFire Strike Extremeとなります。

画像名3D Mark Fire Strike

GeForce RTX 3050のスコアはGeForce RTX 3060のおおよそ70%とCUDAコア数通りの性能となっています。
GeForce RTX 2060に対してはおおよそ80%のスコアと、さすがにミドルレンジモデルを逆転するには至りませんでした。
GeForce GTX 16シリーズとの比較では、GeForce GTX 1660 SUPERとほぼ同等、GeForce GTX 1650 SUPERには30%近いスコア差を付けています。

3D Mark 「Time Spy」

次いで、DirectX 12の代表的ベンチマークとして、3D Mark 「Time Spy」 のGraphics Scoreを見てみましょう。テスト解像度は、WQHDのTime Spyとなります。

画像名3D Mark Time Spy

Time Spyでも、GeForce RTX 3050のスコアはGeForce RTX 3060のおおよそ70%とCUDAコア数に比例したスコアとなっています。 GeForce GTX 16シリーズとの比較では、GeForce GTX 1660 SUPERとほぼ同等、GeForce GTX 1650 SUPERには30%近いスコア差を付けています。

3D Mark 「Port Royal」

続いて、リアルタイムレイトレーシング性能を見るベンチマークテストの3D Mark「Port Royal」を用いて、レイトレーシング性能を見ていきましょう。Port Royalでは、いくつかあるレイトレーシングアルゴリズムのうち、レイトレーシングリフレクションを使用したものとなります。
ベンチマークスコアであるGraphics Scoreと一緒にフレームレートも計測することが出来ます。なお、解像度は標準設定のWQHDとなります。また、DLSSについては無効となっており、RTコアの性能の比較として見ていきます。なお、RTコアが無い場合CUDAコアを用いての演算を行うようになっており、GeForce GTX 1660 SUPERはテストを実行、GeForce GTX 1650 SUPERはメモリ容量の影響かベンチマークテストが動作しませんでしたのでスコアレスとなっています。

画像名3D Mark Port Royal

画像名3D Mark Port Royal fps

Port Royalでは今までほぼ同じスコアを示していたGeForce RTX 3050とGeForce GTX 1660 SUPERで大きな差が生まれました。RTコアを搭載しているGeForce RTX 3050の強みが端的に表れた結果と言えるのではないでしょうか。
ではリアルタイムレイトレーシングにDLSSを有効にするとどうなるのかを続けてみていきます。

3D Mark 「NVIDIA DLSS feature test」

3D Markを用いたベンチマークテストの最後に、「NVIDIA DLSS feature test」を確認してみましょう。「NVIDIA DLSS feature test」は、レイトレーシング性能を見る「Port Royal」を活用したベンチマークテストで、GeForce RTX 30シリーズやGeForce RTX 20シリーズが搭載するTensorコアを用いたDLSS(Deep Learning Super Sampling)の性能を見ることが出来、結果はフレームレートで表示されます。今回はテスト解像度にフルHDとWQHDを、DLSSモードはPerformanceとQualityを選択しています。また、DLSSが有効ではない場合の結果はOFF として計測されます。なお、GeForce GTX 1660 SUPERとGeForce GTX 1650 SUPERは非対応のためグラフより省いています。

画像名3D Mark NVIDIA DLSS feature test フルHD

画像名3D Mark NVIDIA DLSS feature test WQHD

DLSSの効果においてもGeForce RTX 3050とGeForce RTX 3060の関係に変化は無く、おおよそ70%の性能となっています。GeForce RTX 3050 でも、PerformanceモードであればフルHD解像度で60fps近いフレームレートを記録しており、DLSSを使用すればフルHD解像度でレイトレーシングゲーミングを楽しむことは出来そうです。
当然、レイトレーシングを使用しなくてもDLSSのみを使用することもでき、フレームレートの向上を見込めるため、この点が他のベンチマークでもスコアの近いGeForce GTX 1660 SUPERとの大きな差、アドバンテージとなるでしょう。

3D Mark 「DirectX Raytracing feature test」

3DMarkを用いたベンチマークの最後に、「DirectX Raytracing feature test」を見てみましょう。本テストはすべての画面をレイトレーシングでレンダリングすることで、より負荷の高いグラフィックスカードのレイトレーシング性能を計測できます。結果はフレームレートで表示されます。Sample count 数は、標準設定の12のほか、6と20を加えてテストを行いました。なお、GeForce GTX 1660 SUPERとGeForce GTX 1650 SUPERは非対応のためグラフより省いています。

画像名3D Mark DirectX Raytracing feature test

驚くことに、GeForce RTX 3050がGeForce RTX 2060を上回りました。画面内の影や反射のみレイトレーシング処理を行っている「Port Royal」よりも負荷が高いテストであるため、第2世代RTコアを搭載するGeForce RTX 30シリーズの強さが表れています。

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク

続いて、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークです。テスト環境設定は高品質・フルスクリーンで、テスト解像度はWQHDと4Kになります。なお過去のデータと比較のためSDRかつ、DLSSは無効としています。

画像名FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークスコア

DLSS無効とあってか3D MarkのFire StrikeやTime Spyと同じ傾向となり、GeForce RTX 3050とGeForce GTX 1660 SUPERが同等のスコアとなっています。GeForce RTX 3050でも、フルHD解像度では「快適」な動作の指標(6000~8999)をクリアしていることから、フルHD解像度では快適なゲーミングプレイが出来そうです。

ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク

最後に、ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークです。テスト環境設定は最高品質・DirectX 11・フルスクリーン、テスト解像度はフルHDとWQHD となります。ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレについては、ベンチマークテストの詳細で平均fps(フレームレート)も確認できるので、合わせて掲示します。

画像名ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク スコア

画像名ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク フレームレート

ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ においても、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークと同じく、GeForce RTX 3050とGeForce GTX 1660 SUPERが同等のスコアとなっています。フルHD解像度においては「非常に快適」な動作の指標となる15000以上のスコアを記録し、WQHD解像度においても「快適」な動作の指標(8000~10999)を記録するなど、フルHD解像度だけでなくWQHD解像度でも快適なプレイが出来そうです。

DLSSでレイトレーシングやより快適なゲーミングをエントリークラスにもたらすGeForce RTX 3050

GeForce RTX 3050は、ベンチマーク結果だけを見ればGeForce GTX 1660 SUPERとほぼ互角の性能となっており、大きな違いはRTコアとTensorコアを搭載した点言っても差し支えないでしょう。特にDLSSのもたらす恩恵は大きく、フルHDでのリアルタイムレイトレーシング対応ゲームがプレアブルなフレームレートを目指せることや、より高いフレームレートが必要なFPS等のタイトルで60fps以上を望むことができるという点はエントリークラスの位置づけながらもライバルの製品と比較しても大きなアドバンテージとなるでしょう。

リアルタイムレイトレーシングやDLSSを使わないのであればGeForce GTX 1660 SUPERと変わらないスコアですが、「DirectX Raytracing feature test」ではGeForce RTX 2060を超えるパフォーマンスを見せるなど、第2世代RTコアを搭載している事の強みをしっかりと示していました。「NVIDIA DLSS feature test」では、PerformanceモードであればフルHD解像度で60fps近いフレームレートをたたき出すなど、エントリーモデルながらもDLSSの効果を十分に体感することが出来ます。今回試していませんが、Resizeable BARを使用することで僅かながらでも、さらにパフォーマンスが向上することが期待できます。

また、グラフィックスメモリ容量が大きい事のメリットも忘れてはいけないところです。VRを使用したメタバースでのコミュニケーションを行うようなタイトルや、MODなどを導入するようなゲームタイトルだけでなく、フライトシミュレーターなどのように大量にテクスチャデータを読み込むような場合には、8GBという大容量グラフィックスメモリは、相応の効果が期待できるかも知れません。

GeForce RTX 3050の価格は大体4万円台とエントリークラスのグラフィクスカードとしては高く感じてしまいますが、GeForce GTX 1650シリーズでパフォーマンス不足を感じていて買い替えを考えているユーザーや、安価にDLSSの効果やリアルタイムレイレイトレーシングを体感してみたいユーザーであれば、検討してみる価値はある製品ではないでしょうか。

CPU Core i9-10900K (3.7-5.3GHz/10コア・20スレッド/キャッシュ20MB/TDP125W)
マザーボード ASUS Prime Z490-A (Z490チップセット)
メインメモリ DDR4-3200 16GB (8GB x2)
ビデオカード ZOTAC製 GeForce RTX 3060 (12GB GDDR6) ※OCモデル(ブースト:1807MHz)
PALIT製 GeForce RTX 3050 (8GB GDDR6)
GALAX製 GeForce RTX 2060 (6GB GDDR6)
ZOTAC製 GeForce GTX 1660 SUPER (6GB GDDR6)
ZOTAC製 GeForce GTX 1650 SUPER (4GB GDDR6)
ストレージ WDS250G2X0C (WD Black NVMe 250GB)
電源 Seasonic SSR-850PX (80PLUS Platinum、850W)
OS Windows 10 Home 64bit (バージョン:21H1)
ビデオドライバ GeForce Game Ready Driver 511.65

検証に使用した構成

ライタープロフィール 職人5号

Windows2000登場前からほぼ一貫してPC製造部門に従事。PC組立はもちろん、OSイメージの作成や製造時のトラブルシュートを行う。 その経験を生かしてOSの基本情報や資料室を担当する事が多い。

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