2021年6月3日22時に販売が開始されたGeForce RTX 30シリーズのハイエンドモデルGeForce RTX 3080 Tiについて、ベンチマークテストを通してその性能を確認して行きます。

気になる製品最終更新日: 20210618

GeForce RTX 3080 Ti 発売情報・ベンチマークレビュー

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【6/18 更新】GeForce RTX 3080 Tiベンチマーク記事を追加いたしました。
GeForce RTX 3080 Tiは、GeForce RTX 30シリーズの新たなるハイエンドモデルとして2021年6月3日の22時に販売が開始されました。
今回はこの GeForce RTX 3080 Ti について、ベンチマークテストを通してその性能を確認して行きます。

GeForce RTX 3080 Ti の特徴

GeForce RTX 3080 Tiは、NVIDIAの最新デスクトップ用グラフィックスカードモデルGeForce RTX 30シリーズの新たなるハイエンドモデルとして2021年6月3日22時より販売開始されました。
GeForce RTX 30シリーズは第2世代RTXアーキテクチャを採用し、第1世代RTXアーキテクチャを採用したGeForce RTX 20シリーズと比べてCUDAコア数が増加し、最大で2倍のリアルタイム レイ トレーシング性能を持つ第2世代RTコア、最大で2倍のディープラーニング性能を持つ第3世代Tensorコアを統合するなど、大幅なアーキテクチャ強化により、最新の人気ゲームを高パフォーマンスで、かつ高解像度映像で楽しめるグラフィックスカードです。

GeForce RTX 3080 Tiの主な特徴としては、
・8nmプロセスとなる第2世代RTXアーキテクチャとなるAmpereアーキテクチャを採用しました。また、GeForce RTX 20シリーズは第1世代RTXアーキテクチャと呼ばれるようになりました
・GeForce RTX 3080 Tiは、最大で34TFlopsの演算能力を持つCUDAコア、最大で67TFLOPSの演算能力を持つ第2世代RTコア、最大で273TFLOPSの演算能力を持つ第3世代Tensorコアを搭載しました。GeForce RTX 3080と比較して大幅に強化しており、GeForce RTX 3090に迫る数値となっています
・ビデオメモリのバス幅はGeForce RTX 3080 の320bitに対し384bitとなり、さらに高帯域となりました
・GeForce RTX 3080 を上回る 12GBのGDDR6X メモリを搭載し、4K + レイトレーシングに加えて、HDRを使用する場合でもビデオメモリ容量が不足することなく実行できます
・PCI Express Gen 4に対応しました
・H.265を上回る圧縮効率を誇るAV1(AOMedia Video 1)コーデックにハードウェアで対応し、8K映像のエンコード、デコード処理が可能です
・8K HDR映像が出力可能なHDMI 2.1やDisplayPort 1.4aと、DSC 1.2aに対応しています
・NVIDIA REFLEX、DLSS 2.0、RTX IO等の新たなテクノロジーに対応しました

また、GeForce RTX 3080 Ti は標準でResizable BARに対応し、対応するマザーボードとグラフィックスドライバの組み合わせでパフォーマンスの向上を期待することができます。Resizable BARはAMD RadeonとRyzenの組み合わせによるSmart Access Memoryと同等の機能となり、CPUからグラフィックスカードのメモリへ直接アクセスできるようになる機能です。
さらに仮想通貨のマイニングへはLHR (ライト ハッシュ レート)とよばれる制限が標準で施されているモデルとなるようです。

GeForce RTX 3080 Ti スペック情報

GeForce RTX 3080 Tiは、GeForce RTX 3090とGeForce RTX 3080の間を埋める新たなるハイエンドモデルとなります。NVIDIAいわく 『前シリーズのGeForce RTX 2080 Ti の最大1.5倍のパフォーマンスを誇る』 とされており、CUDAコア数は2倍以上搭載されています。一方でパフォーマンスが向上した分消費電力も大きくなっており、GeForce RTX 2080 Tiよりも100Wも出力の大きい電源が推奨されていますので、GeForce RTX 2080 Tiから交換する場合には電源容量にも注意する必要が有ります。

  GeForce RTX
3090
GeForce RTX
3080 Ti
GeForce RTX
3080
GeForce RTX
2080 Ti
GeForce RTX
2080 SUPER
アーキテクチャ Ampere Turing
GPUコア GA102 TU102 TU104
製造プロセス 8nm 12nm
CUDAコア 10496基 10240基 8704基 4352基 3072基
RTコア 第2世代
82基
第2世代
80基
第2世代
68基
第1世代
68基
第1世代
48基
Tensorコア 第3世代
328基
第3世代
320基
第3世代
272基
第2世代
544基
第2世代
384基
定格クロック 1.40GHz 1.37GHz 1.44GHz 1.35GHz 1.65GHz
ブーストクロック 1.70GHz 1.67GHz 1.71GHz 1.55GHz 1.82GHz
メモリタイプ GDDR6X GDDR6
メモリ容量 24GB 12GB 10GB 11GB 8GB
メモリ転送レート 19.5Gbps 19Gbps 14Gbps 15.5Gbps
メモリバス幅 384bit 320bit 352bit 256bit
メモリバス帯域幅 936GB/s 912GB/s 760GB/s 616GB/s 496GB/s
PCI Express 4.0 x16 3.0 x16
NV LINK(SLI) ×
G-SYNC
TDP 350W 320W 250W
補助電源 8Pin×2 8Pin + 6Pin
推奨電源 750W 650W

~スペック比較一覧~

※メーカーによる事前情報です。実際の製品では変更になる場合があります。

GeForce RTX 3080 Tiは、上記のスペック表を見ても分かる通り、GeForce RTX 3080よりもGeForce RTX 3090 に近い仕様となっていて、GeForce RTX 3090に近い性能が期待できます。また、NVIDIAによると『GeForce RTX 2080 Tiに比べ1.5倍のゲーミング性能』とうたわれており、どこまで当てはまるのか検証を通じて確認したいと思います。
比較対象としては、同じハイエンドモデルとなるGeForce RTX 3080と上位モデルであるGeForce RTX 3090を、GeForce RTX 20 シリーズからはGeForce RTX 2080 Ti とGeForce RTX 2080 SUPERを用意しました。テスト解像度はWQHD(2560 x 1440)、4K(3840 x 2160) の解像度にて行っています。また、3D Markでは、CPU性能の依存度が少ないGraphics Scoreでの比較となります。
なお、過去のデータと比較のためResizable BARについては無効としてベンチマークテストを行っております。
※ベンチマークテストで用いた構成は末尾に記載しています

GeForce RTX 3080 Ti ベンチマーク情報

3D Mark 「Fire Strike」

まずは、DirectX 11 の代表的ベンチマークとして、3D Mark 「Fire Strike」 のGraphics Score を見てみましょう。テスト解像度は、WQHD のFire Strike Extremeと4KのFire Strike Ultraとなります。

~3D Mark Fire Strike~~3D Mark Fire Strike~

GeForce RTX 3080 TiはGeForce RTX 3090に匹敵するスコアを記録しており、GeForce RTX 3080からは10%ほどスコアが向上しています。また、GeForce RTX 2080 Tiに対してはおおよそ50%スコアが向上しており、NVIDIAが公表した通りの結果となっています。

3D Mark 「Time Spy」

次いで、DirectX 12の代表的ベンチマークとして、3D Mark 「Time Spy」 のGraphics Scoreを見てみましょう。テスト解像度は、WQHDのTime Spyと4KのTime Spy Extremeとなります。

~3D Mark Time Spy~~3D Mark Time Spy~

Time SpyでもGeForce RTX 3080 TiはGeForce RTX 3090に匹敵するスコアとなっており、GeForce RTX 3080から7~8%ほどスコアが向上しています。 GeForce RTX 2080 Tiに対しても、4K解像度において50%スコアが向上しており、Time Spy においてもNVIDIAが公表した通りの結果となっています。

3D Mark 「Port Royal」

続いて、リアルタイムレイトレーシング性能を見るベンチマークテストの3D Mark「Port Royal」を用いて、レイトレーシング性能を見ていきましょう。Port Royalでは、いくつかあるレイトレーシングアルゴリズムのうち、レイトレーシングリフレクションを使用したものとなります。
ベンチマークスコアであるGraphics Scoreと一緒にフレームレートも計測することが出来ます。なお、解像度は標準設定のWQHDとなります。また、DLSSについては無効となっており、RTコアの性能の比較として見ていきます。

~3D Mark Port Royal~~3D Mark Port Royal~

~3D Mark Port Royal fps~~3D Mark Port Royal fps~

Port RoyalではGeForce RTX 3080 TiとGeForce RTX 3090の間に少し差が生じており、GeForce RTX 3090のおおよそ96%のスコアとなっています。GeForce RTX 3080からは11%ほどのスコアが向上しており、GeForce RTX 2080 Tiからは50%以上スコアが向上するなど、全体的にはこれまでと同じ傾向となっています。
ではリアルタイムレイトレーシングにDLSSを有効にするとどうなるのかを続けてみていきます。

3D Mark 「NVIDIA DLSS feature test」

Port Royal に続いて、「NVIDIA DLSS feature test」を確認してみましょう。「NVIDIA DLSS feature test」は、レイトレーシング性能を見る「Port Royal」を活用したベンチマークテストで、GeForce RTX 30シリーズやGeForce RTX 20シリーズが搭載するTensorコアを用いたDLSS(Deep Learning Super Sampling)の性能を見ることが出来、結果はフレームレートで表示されます。今回はテスト解像度にWQHDと4Kを、DLSSモードはPerformanceとQualityを選択しています。なお、DLSSが有効ではない場合の結果はOFF として計測されます。

~3D Mark NVIDIA DLSS feature test WQHD~~3D Mark NVIDIA DLSS feature test WQHD~

~3D Mark NVIDIA DLSS feature test 4K~~3D Mark NVIDIA DLSS feature test 4K~

DLSSの効果においても、GeForce RTX 3080 TiとGeForce RTX 3090の差はPort Royalと同じく、GeForce RTX 3090のおおよそ96%のスコアとなっています。GeForce RTX 3080との間ではややスコア差が広がっており、おおよそ13%のスコア向上となっています。また、GeForce RTX 2080 Tiからはおおよそ50%のスコア向上となっています。

3D Mark 「DirectX Raytracing feature test」

3DMarkを用いたベンチマークの最後に、「DirectX Raytracing feature test」を見てみましょう。本テストはすべての画面をレイトレーシングでレンダリングすることで、より負荷の高いグラフィックスカードのレイトレーシング性能を計測できます。結果はフレームレートで表示されます。なお、Sample count 数は、標準設定の12のほか、6と20を加えてテストを行いました。

~3D Mark DirectX Raytracing feature test~~3D Mark DirectX Raytracing feature test~

GeForce RTX 3080 TiとGeForce RTX 3090やGeForce RTX 3080との関係はNVIDIA DLSS feature testと変わらず、GeForce RTX 3090のおおよそ96%のスコアとなり、GeForce RTX 3080からは13%ほどのスコア上昇となっています。一方、GeForce RTX 3080 TiはGeForce RTX 2080 Tiに対して90%近くスコアが向上するなど、画面内の影や反射のみレイトレーシング処理を行っている「Port Royal」よりも負荷が高いテストということから、第2世代RTコアを搭載するGeForce RTX 30シリーズの強さが明確に表れています。

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク

続いて、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークです。テスト環境設定は高品質・フルスクリーンで、テスト解像度はWQHDと4Kになります。なお過去のデータと比較のためSDRかつ、DLSSは無効としています。

~FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークスコア~~FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークスコア~

WQHD解像度と4K解像度でやや異なる傾向が表れています。WQHD解像度では3D Markと似た傾向となっていますが、4K解像度ではGeForce RTX 3080 TiとGeForce RTX 3080のスコア差がぐんと縮まりました。GeForce RTX 3090とGeForce RTX 3080 Tiの間では大きな変化が無いため少し不思議な現象ではありますが、何回か再測定を行ってもこの傾向は変わりませんでした。GeForce RTX 2080 Tiに対してはおおよそ40%のスコア向上となっており、実ゲーム環境ではCPU性能も影響する事もあり、3D Markよりもスコア差が縮まっています。
とは言えGeForce RTX 2080 Tiが4K解像度で「快適」な動作の指標(6000~8999)に一歩届かないのに対し、GeForce RTX 3080 Tiでは「快適」な動作の指標を悠々とクリアしており、4K解像度でも快適なゲーミングプレイが出来そうです。

ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク

最後に、ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマークです。テスト環境設定は最高品質・DirectX 11・フルスクリーン、テスト解像度はWQHDと4Kとなります。ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズについては、ベンチマークテストの詳細で平均fps(フレームレート)も確認できるので、合わせて掲示します。

~ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク スコア~~ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク スコア~

~ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク フレームレート~~ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク フレームレート~

ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ においては、3D Markと同じ傾向となっています。GeForce RTX 3080 Tiは4K解像度でも「非常に快適」な動作の指標(7000以上)の倍以上のスコアとなり、フレームレートにおいても4K解像度では100fpsを上回るなど、4K解像度でも快適なプレイが出来そうです。
また、GeForce RTX 2080 Tiとの対比では、WQHD解像度では15%程度のスコア差に留まっているのに対し、4K解像度では45%近いスコア差へと差を広げており、GeForce RTX 3080 TiとGeForce RTX 2080 Tiの4K解像度への対応力に違いが有りそうです。

ハイエンドモデルの性能を一段高めたGeForce RTX 3080 Ti

GeForce RTX 3080 Tiは、同じGeForce RTX 30シリーズのハイエンドモデルであるGeForce RTX 3080の性能は確実に上回っており、ほとんどのベンチマークにおいて10%程度のスコア向上が確認できました。また、エンスージアストモデルであるGeForce RTX 3090 に対しても5%程度のスコア差であり、GeForce RTX 3080とGeForce RTX 3090の間を見事に埋めたグラフィックスカードと言えそうです。
前シリーズのGeForce RTX 2080 Tiに対しては、NVIDIAの公言通りおおよそ50%スコアが向上しており、特にレイトレーシングを使用した「DirectX Raytracing feature test」においては90%という別次元の性能差を見せつけました。また、ベンチマーク全般を通して、WQHD解像度よりも4K解像度の方がスコアの差が広がる傾向を示しており、GeForce RTX 2080 Tiの4K性能に力不足を感じているゲーマーは乗り換えを検討してはどうでしょうか。

GeForce RTX 3080 Tiの販売価格は現在のところ20万円前後と決して安くはないグラフィクスカードですが、その性能に疑う余地は無く、4K解像度での優れたゲーミングパフォーマンスを必要としているユーザーには、間違いなく有力な選択肢となるでしょう。

CPU Core i9-10900K (3.7-5.3GHz/10コア・20スレッド/キャッシュ20MB/TDP125W)
マザーボード ASUS Prime Z490-A (Z490チップセット)
メインメモリ DDR4-3200 16GB (8GB x2)
グラフィックスカード MSI製 GeForce RTX 3090 (24GB GDDR6X) ※OCモデル(ブースト:1725MHz)
ZOTAC製 GeForce RTX 3080 Ti (12GB GDDR6X)
MSI製 GeForce RTX 3080 (10GB GDDR6X) ※OCモデル(ブースト:1740MHz)
GALAX製 GeForce RTX 2080 Ti (11GB GDDR6)
GALAX製 GeForce RTX 2080 SUPER (8GB GDDR6)
ストレージ WDS250G2X0C (WD Black NVMe 250GB)
電源 Seasonic SSR-1000PD (80PLUS Platinum、1000W)
OS Windows 10 Home 64bit (バージョン:20H2)
ドライバ GeForce Game Ready Driver 466.63

検証に使用した構成

※ベンチマークの値はお使いのハードウェア、ソフトウェアの環境により変動し、同様の構成下でも当ページ掲載の数値と大きく異なる場合があります。予めご了承ください。

ライタープロフィール 職人5号

Windows2000登場前からほぼ一貫してPC製造部門に従事。PC組立はもちろん、OSイメージの作成や製造時のトラブルシュートを行う。 その経験を生かしてOSの基本情報や資料室を担当する事が多い。

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