どうしたら憧れのクリエイターになれるのか? その秘密を現役で活躍するクリエイターに直接聞いちゃう『クリエイター仕事道』。今回のゲストはクリエイティブディレクターでテクノロジストの中農稔さんです。30歳まで演劇の世界にどっぷり浸かるも、30歳でその道を自ら断ち、新しい世界に飛び込んだ中農さん。転身後、どのようにキャリアアップしていったのでしょうか?

クリエイター最終更新日: 20210108

クリエイティブディレクター:演劇から心機一転。大人になっても夢中になれば道は開ける

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どうしたら憧れのクリエイターになれるのか? その秘密を現役で活躍するクリエイターに直接聞いちゃう『クリエイター仕事道』。今回のゲストはクリエイティブディレクターでテクノロジストの中農稔さんです。30歳まで演劇の世界にどっぷり浸かるも、30歳でその道を自ら断ち、新しい世界に飛び込んだ中農さん。転身後、どのようにキャリアアップしていったのでしょうか?

中農さんが携わった作品

2020年7月にオープンした、北海道初のナイトプール「#SIRENA」。総面積4,000㎡という大空間を活かしたプロジェクションマッピングや最先端のデジタル技術を駆使したインタラクティブフォトブースの総合プロデュースとデジタル空間演出を担当。

札幌すすきの・東京歌舞伎町にある日本初の怪談バー「スリラーナイト」。タブレットやプロジェクターによる映像演出だけでなく、超指向性超音波スピーカーによる音の演出、特殊印刷を生かした写真撮影の演出などを制作だけでなく、店舗全体のデジタル空間演出もプロデュース。

北海道命名150年を記念して、国重要文化財である道庁赤れんが庁舎に映像を映し出す「赤れんが庁舎プロジェクションマッピング」プロジェクト。アイヌの神の使いであるシマフクロウが誘う大地創造の物語を、高さ14.6メートル、横54.5メートルの庁舎壁面に描き出しています。こちらは中農さんにとってターニングポイントとなる作品になりました。

演劇沼にどっぷりハマった大学時代から一転…

中農さんが子供の頃になりたかった仕事は何ですか?

絵を描くのが好きだったのでイラストレーターです!

イラストレーターになるため、どのような学校へ進学しましたか?

芸術系の大学に進学しました。

大学ではどんな学生生活を送りましたか?

高校時代は演劇部に所属していたので、大学入学後でも学生劇団に入りました。ところが勉強よりも演劇に夢中になってしまったんです。あの頃は家に帰る時間も惜しくて、校内で寝泊まりしていましたね(笑)。ついに一枚も絵を描かずに卒業してしまいました…。

それはすごい!その後、どのような経緯でクリエイティブディレクターの道に?

大学卒業後もアルバイトを転々としながら演劇を続けていたのですが、30歳を過ぎた頃「このまま続けていいのか?」という疑問が湧き、「次の公演で動員数500人を切ったら辞める!」と宣言。その公演の動員数はなんと498人! わずか2人分届かなかったのですが、不思議とすっぱり諦めがつきました。演劇から足を洗ったのはいいものの、自分には今まで会社勤めをした経験がありません。「全く職歴のない自分に何ができるか?」と考えてみたところ、知人の劇団のホームページを作ったりしたことを思い出しました。ご縁あって、とあるWEB系の制作会社に入社したのがこの業界に入るきっかけです。

クリエイティブディレクターになったきっかけは何だったんですか?

WEBデザイナーとしてキャリアをスタートしたのですが、次第にアニメーションやインタラクションで演出をすることに興味を持ち、 Flash や JavaScriptを猛烈に勉強しました。実際は勉強というよりただただ面白くて夢中でやってた感じですが(笑)。その後、本格的にエンターテインメント性を重視したWEB制作に携わりたいという思いが強くなり面白法人カヤックに転職したのが大きな転機になりました。当時カヤックの受託事業部はWEB広告が主体だったのですが、徐々にイベント展示やフィジカルな体験系の案件が増えていく過渡期。ここでまさかの演劇時代の照明や設営の経験が役立ったのです!

プラスαのクリエイティブを吹き込む楽しさ!

中農さんの代表作を教えてください

最新作が代表作を心がけているので、現時点での最新作であるナイトプール演出のお仕事が代表作です。コンテンツ提案からクリエイティブの統括、ショータイムの映像制作まで携わらせて頂きました。ここ数年は企画から制作まで一人でやることが多いのですが、久しぶりにチームを組んで制作したので、やっぱり人と組むのは掛け合わせが生まれて楽しい!と再確認できました。

クリエイティブディレクターとして活躍するターニングポイントとなった仕事は何ですか?

北海道の赤レンガ庁舎でのプロジェクションマッピングです。これは北海道が命名されて150年という記念事業の一環だったのですが、幅55メートル高さ15メートルの壁面に投影するという過去にない規模の案件でかなり挑戦的な内容でした。-10℃での設営も良い思い出です。

その仕事から得られたことはありますか?

この案件以後はご相談頂く案件が大型化、あるいはかなり初期の段階から企画に携わる機会が増えました。その分責任も重くなったのですが、より自由に制作できるようになったとも感じています

一方、失敗を経験したことはありますか?

都合の悪いことは忘れしまう便利な性格なので(笑)、失敗自体あまり覚えてないのですが、納品直前にチーム全員がインフルエンザで全滅しかかった時のことは忘れられません。それは今思い返しても怖いです。逆境ほど燃えるたちなので復活後は猛烈に巻き返しましたが、寝込む時間があと2日増えてたら…。と思うとゾッとします。

中農さんが仕事をしていて、一番テンションが上がる瞬間はどんな時ですか?

納品物を納得できるクオリティにまで持っていくのはクライアントワークなので当然。それに加え、ある程度ゴールが見えて来た時に、「さあ、ここから先は自分にしか分からないこだわり、自分の納得のための作業をするぞ!」という瞬間が最高に好きです。ぼくはそれを“フィーバータイム”と呼んでいるのですが、だいたい深夜の現場で一人でやってるので少し変なテンションになってるだけかもしれません(笑)。

その気持ちちょっとわかります(笑)。仕事では、どんなことを大切にしていますか? また仕事に対するこだわりも教えてください。

クリエイターのテンションはクオリティに直結すると思っています。なので自分が制作する予定の企画に関しては、自分自身が興味を持っている分野や技術を選ぶようにしています。それと些細なことでも必ずリファレンスにあたるようにしてます。企画時ももちろんですが、特に制作時は想像だけで作らないように気をつけています。

愛用しているのはゲーミングPC

現在、どんなPCや周辺機器を愛用していますか?

最近メインの開発機をMacからWindowsに乗り換えました。いわゆるゲーミングPCです。あとカスタマイズ可能なダイヤル付きのペンタブ、これは重宝しています。

メイン機:GeForce RTX 2080 搭載 15.6インチノートパソコン
(CPU:Core i7、メモリ32GB、256GB SSD)
ペンタブレット:XP-PEN Deco 03

PCや周辺機器を選ぶ際の基準を教えてください。

GPUが強いことは絶対条件ですが、さらに付け加えるなら静音性を重視しています。マウスとキーボードも静音仕様のものを選んでいます。出先での作業が多いのでゲーミングノートを使っているのですが、どうしても静音性は犠牲になってしまうのが悩みです。

そのほか、オススメのツールなどはありますか?

面倒くさい作業があったら自動化するツールを作っています。もちろん効率化のために作るのですが、そもそもそういうツールを作る事自体が好きなんです。自分しか使わないのに変にこだわって逆に時間を消費してしまうこともありますが、これはもうそういう性分なのであきらめてます(笑)。

クリエイター=欲望に忠実な人

中農さんにとって“クリエイター仕事道”とはなんですか?

イラスト、演劇、エンジニアとだいぶ紆余曲折を経た自分が「道」などと大それたことは語れませんが、どんな道を選んでいても結局は何かを作ることに辿り着いていたんだと思います。クリエイターとはそういう欲望に忠実な人だと思います。

クリエイターを目指す若者たちにメッセージをお願いします!

小学校の算数ですら苦手だった自分がまさか30歳半ばも過ぎてからプログラミングに夢中になるとは思いませんでした。そしてプログラミングと演劇時代の経験が結びついたのも奇跡的な掛け合わせです。夢中になれることがすでにある人も、この先意外なことに夢中になるかもしれません。“夢中は努力に勝る”です。未知のものに挑戦し続けてください。

中農さん、ありがとうございました!

夢中になれば何歳でもチャレンジできる!

寄り道しながらも、30歳でジョブチェンジした中農さん。一見関係なさそうなジャンルでも、それまでの経験が現在の仕事にリンクしているなんてすごいですね。「夢中は努力に勝る」という言葉通り、好きな事であればどんどんスキルアップしていきます。自分が夢中になれる分野のスキルを磨いていれば、きっと楽しい仕事に繋がっていくはずです!

クリエイタープロフィール

中農稔さん
クリエイティブディレクター/テクノロジスト
1974年石川県生まれ。商業施設のインタラクティブな空間演出やライブ演出、インスタレーションの企画と制作を行う。2017年面白法人カヤック退職、現 LandSkip CTO、京都精華大学非常勤講師、G’s ACADEMY メンター
Twitter:https://twitter.com/nenjiru

ライタープロフィール パソコン工房NEXMAG
[ネクスマグ] 編集部

パソコンでできるこんなことやあんなこと、便利な使い方など、様々なパソコン活用方法が「わかる!」「みつかる!」記事を書いています。

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