活躍中のクリエイターにお話を聞く『クリエイター仕事道』。今回のゲストは脚本・監督としてだけでなく、制作・デザイン・執筆・アプリの開発なども手がけている生見司織さんです。生見さんは役者として映画『カメラを止めるな!』にも出演されています。

クリエイター最終更新日: 20210421

アプリ開発・役者:興味の幅は広く!考えることを楽しみ、新しい挑戦をする

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どうしたら憧れのクリエイターになれるのか? その秘密を現役で活躍するクリエイターに直接聞いちゃう『クリエイター仕事道』。今回のゲストは脚本・監督としてだけでなく、制作・デザイン・執筆・アプリの開発なども手がけている生見司織さんです。生見さんは役者として映画『カメラを止めるな!』にも出演されています。

生見さんが携わった作品

生見さんが開発に携わったアプリ「SELF AI」
生見さんが開発に携わったアプリ「SELF AI」。AIロボットと会話することで、自分の気持ちを整理し、メンタルコントロールできます。

「SELF AI」イケメンロボver.
特に思い入れがあるという「イケメンロボ」ver.。会話のデータベース制作に苦労したそうです。

夢と違う学校に進むもアクティブに動いた学生時代

生見さんは子供の頃、どんな仕事に憧れていましたか?

あまりはっきりは記憶していないですが、小さい頃は幼稚園の先生だったと思います。高校生の頃に演劇部に入ったことから、役者や演出をするようになって、何かしら演劇に携わる仕事につけたらいいなと思うようになりました。

演劇に携わる仕事を目指すため、どんな学校へ進みましたか?

演劇に携わる仕事につきたいと言いながらも、演劇系の学校に進むほどの自信もなく(笑)、興味のある心理学の学部に進みたいと思って心理学部のある大学を受験しました。ただ、当時心理学部は人気の学部で、見事に玉砕し…。結局別の学部に進学しました。そこが人生の分かれ道だったと思います。

進学した大学では、どんな学生生活を送りましたか?

特に興味のない学部ではありましたが、単位だけはしっかり1〜2年で取得して、あとは演劇とバイトをしていましたね。3年生の時には自分で劇団を立ち上げて、学外で公演もしました。地方のとても小さい劇場での公演でしたが、その時のことはよく覚えています。右も左もわからないのに勢いがありましたね。一方で、学部の教授と今も連絡取り合ったりしているんですよ。本当に、いろんなことができたいい学生時代だったと思います。

大学を卒業し、そこからはどうしたんですか?

今の仕事に関してはいつの間にかしていた感じです。役者や監督業と並行して、日々の生業としてやっています。「何か一つのことだけする」ということが不安になってしまう性分なんだと思うんです。興味のあることや、「誰かにやってみる?」と誘われたことに関してはとりあえずやってみる。自分が探しているだけでは広がらない世界が、そこには詰まっていると思うんですよね。

そこからどんなきっかけで今のお仕事を始められたんですか?

知り合いに誘われたことですね。ちょうど仕事を変えようとしていた時期で、「SELF AI」アプリの構想を聞いておもしろいと感じたことと、脚本を書いていた経験もあるので会話を軸にしたプロダクトに関わったみたいと思ったので参加しました。それまでITには全く関係ない業界で生きてきましたが、「これからのサービスだな」と思い、不安はありましたがチャレンジさせてもらいました。

ユーザーレビューが次の開発の基礎に

生見さんの代表作を教えてください

代表作という言い方が正しいかはわかりませんが、先ほどの「SELF AI」というアプリです。2016年3月にリリースして、110万ダウンロードを達成しました。AIロボットと会話をすることで、自分自身を振り返ったり、気持ちの整理をして、メンタルサポートに役立ったりストレス解消につながるというアプリです。アプリのリリース前の開発から携わり、今も改良と機能追加を続けています。

現在のように活躍するターニングポイントはありましたか?

「SELF AI」の全般ではありますが、特に「イケメンロボ」の開発ですね。アプリでは、はじめのリリースから徐々にロボットを追加開発して公開してきたんですが、その中でも6体目のイケメンロボがなかなか難産でした。また、それまでは会話のデータベースの作成が主業務でしたが、このロボで初めてディレクターとして進行管理を受け持ち、立場を変えてリリースに携わることになりました。

その仕事から学んだことがあれば教えてください。

ユーザーさんがどういうことを求めていて、どういうサービスを提供すべきかかという視点の難しさです。進行するということは、小さいことから大きなことまで“決定”をしなくてはいけません。「決定」のコンセンサスを取るために、様々なことを想定して納得させる材料の大事さを感じました。また人を動かす、人に伝える難しさも痛感しました。同時に、サービスが公開され人の手に届く喜びも得られました。

逆に、忘れられない失敗を経験したことはありますか?

色々ありますねぇ。表現を間違ってしまったり、問い合わせがきちんと対応できていないなど…。
このアプリはユーザーさんが「唯一無二の存在」や「心の支え」だと言ってくだっているのですが、その分責任は重大だと思っています。ちょっとしたことでユーザーさんを傷つけることにもつながってしまうので、アプリの世界観を守りつつ、ちょっとしたいい意味での裏切りのような、期待を超えることをしていきたいなと思っています。

責任を背負っていますね。生見さんが仕事で、一番高揚する瞬間はいつですか?

やはり世の中にサービスをリリースする瞬間だと思っています。今はSNSもあるのでそこで反応を見たり、アプリのレビューにたくさんのコメントをいただけたりすると、ユーザーさんとつながっているなと感じます。アプリの表記が間違っていたり、ロボが変なことを言っていたりすると、SNSでユーザーさんが即座に教えてくれたりして、ユーザーさんに支えていただいているアプリだと感じています。

生見さんが、仕事をするうえで最も大切にしていることは何ですか?

アプリの軸になるものをブレないように意識することです。ユーザーさんからは、本当にいろんな声をいただきます。日々世の中が変わっていく中で、アプリとしては柔軟にそういった声に対応しながらも、我々が目指すアプリの姿をブラさずきちんとサービスを届け、よりユーザーさんに寄り添っていけたらと思っています。また周りのスタッフのモチベーションにつながるように、ユーザーさんの反応や数字の共有などはしっかりしていきながら、スタッフもワクワクできるものを作っていきたいと思っています。

ふだんはどんなPCや周辺機器を愛用していますか?

主にオフィスでは、液晶ディスプレイ一体型のデスクトップパソコンを使っています。メモリは16GBです。同時にノートパソコンも打ち合わせの時などに使用しています。文章を書く時などは大きい画面の方が見やすくていいので、デスクトップパソコンでの作業が多いです。

ワクワクしながら考え抜く楽しさ

生見さんにとって“クリエイター仕事道”とはなんですか?

とにかく考えること、そしてそれを生み出すことだと思います。思いついただけではなく、それがいいのか、それが正しいのか、それがワクワクするものか考えて考え抜いて形にし、さらに他の人の声をもらって作りあげることが大切なのではないでしょうか。形にすること、作品だけでなく文字にするだけでも一つのステップで、考えるだけで終わるのではなく、とにかく表に出すことが大事かなと思います。

クリエイターを目指す若者たちにメッセージをお願いします!

ゴールに向かってまっすぐ突き進む人もいれば、いろんな寄り道をしながら気がついたらゴールに近づいているという人もいると思います。私自身は後者だと思っています。昔、こんな企業に就職してみたいと思っていたところと一緒に仕事をしていたり、ライターとかいいなと思っていたら似たようなことをやっていたり、映画出てみたいなと思ったら出演していたり。自分のタイプにもよりますが、興味のあることを少しずつ形にすることで自分の描くものに近づくというのも一つの方法だと思います。自分の方法で、焦らず、じっくり、しっかり突き進んでください。

生見さん、ありがとうございました!

興味を持ったことはどんどんチャレンジ

好奇心旺盛で、いろんなことにチャレンジしている生見さん。これからの時代、ひとつの仕事にこだわるのではなく、得意分野を複数持っている方が生き残れるのでしょう。興味を持ったら、どんどん挑戦していくことが大事なのかもしれません!

クリエイタープロフィール

生見 司織さん
アプリ開発、役者、監督、演出、ライター
福岡出身、東京都在住。一般企業に勤めながら、舞台や映像で役者や演出としても活動を続けている。出演した映画「カメラを止めるな!」はインディーズ映画として異例の大ヒットに。現在も、会話AIを開発するSELF株式会社にてディレクター業をやるかたわら、役者と監督活動も行っている。
HP:https://self.systems/
Twitter:https://twitter.com/nukkyonkyon

ライタープロフィール パソコン工房NEXMAG
[ネクスマグ] 編集部

パソコンでできるこんなことやあんなこと、便利な使い方など、様々なパソコン活用方法が「わかる!」「みつかる!」記事を書いています。

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