NVIDIAより新たなGPUアーキテクチャとなる「Volta」を採用したGPUコアを搭載する「NVIDIA TITAN V」を発表しました。Voltaアーキテクチャは深層学習(ディープラーニング)、HPC(ハイ・パフォーマンス・コンピューティング)向けのGPGPU「Tesla V100」に搭載され、その性能の高さから昨年話題となりました。
その高性能なVoltaアーキテクチャに映像出力端子を備え“世界最高性能”と銘打つ最新グラフィックスカードとして登場したのがNVIDIA最上位となるTITANシリーズの最新モデル「TITAN V」です。
それではTITAN Vの外観とともにその驚異のパフォーマンスを検証していきます。
TITAN Vの外観
TITAN Vの外観は従来のGeForce GTX 1080 Ti Founders Editionなどと同様、静音化とオーバークロック耐性を考慮した設計になっています。TITAN Vではゴールドを基調としたカラーリングがNVIDIAグラフィックカードの最上位モデルである特別感を感じさせます。
TITAN Vのスペックと検証環境
それではここからTITAN Vの性能を見ていきます。
検証環境は以下となります。
NVIDIA TITAN VとNVIDIA GeForce GTX 1080 Tiを使用した検証環境
検証構成 | |
---|---|
CPU | Intel Core i7-8700K |
マザーボード | Intel Z370チップセット |
メモリー | DDR4-2400 16GB(8GB×2) |
グラフィックカード | NVIDIA TITAN V |
NVIDIA GeForce GTX 1080 Ti | |
SSD | 120GB |
HDD | 2TB |
電源ユニット | 700W |
同環境でグラフィックカードのみを差し替えた構成で検証をおこないます。
TITAN Vの特長として、
・深層学習(deep learning)で高い演算性能を発揮するTensorコアを搭載
・5120基のCUDAコアと640基のTensorコアを組み合わせることで、1秒あたり100 TFLOPS(テラフロップス)を超える性能を実現
・大容量の12GBビデオメモリには高帯域幅メモリである「HBM2」を採用
などがありますが、現状GeForceで最上位のGeForce GTX 1080 Tiとスペックを比較してもTITAN Vの性能の高さがうかがえます。
TITAN VとGeForce GTX 1080 Tiのスペック比較
TITAN V | GTX1080Ti | |
---|---|---|
アーキテクチャー | Volta | Pascal |
製造プロセス | 12nm | 16nm |
CUDAコア | 5120基 | 3584基 |
定格クロック | 1200MHz | 1480MHz |
ブーストクロック | 1455MHz | 1582MHz |
メモリタイプ | HBM2 | GDDR5X |
メモリバス帯域幅 | 652.8GB/s | 484GB/s |
メモリバス幅 | 3072bit | 352bit |
メモリ転送レート | 1.7Gbps | 11Gbps |
メモリ容量 | 12GB | 11GB |
TDP | 250W | |
補助電源 | 8pin + 6pin |
GeForce GTX 1080Tiと比べTITAN Vではメモリ転送レートこそ劣っているものの、HBM2のバス幅の広さにより、高いメモリバス帯域幅を実現しています。また、TENSORコアを考慮しない場合の性能はGeForce GTX 1080 Tiは11.34TFLOPSなのに対し、TITAN Vでは14.90TFLOPSとなるため理論値で30%の性能向上が見込めます。
それでは、実測ではどうなるのか、見ていきます。
ゲーミングでも高い性能を発揮するTITAN Vのベンチマーク結果
それではTITAN Vのグラフィック性能を検証するため、ベンチマークソフトでスコアを計測し、GeForce GTX 1080 Tiと比較検証してましょう。まずは3D MarkのFire Strikeでスコアを計測します。
ベンチマークテスト 3D Mark
3D MarkではCPUなどの性能を加えたトータルスコアと、純粋にグラフィックカードの性能だけをみたグラフィックススコアでTITAN VとGeForce GTX 1080 Tiを比較してみました。
GPU単体の性能の指標となるGraphicsスコアを比べるといずれのパターンでも15%程度のスコアの伸びを確認することができました。この差がそのまま、Scoreの差に表れています。
ベンチマークテスト ファイナルファンタジーXIV:紅蓮のリベレーター
ファイナルファンタジーXIV:紅蓮のリベレーターベンチマークでは最高設定で解像度違いによるスコア比較をおこないました。
CPUがボトルネックとなりスコア差が出にくくなっていますが、フルHD解像度ではスコアの差が3%しか出なかったものの、2K解像度では6%、4K解像度では22%と解像度が上がりGPUに対して高負荷になるつれスコアの差が大きくなっていきました。
ベンチマークテスト FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークではフルHD解像度と4K解像度でスコア比較をおこなってみました。
高負荷なベンチマークソフトですが、TITAN Vでも荷が重くフルHD解像度、4K解像度共に大きくスコアは伸びませんでした。とはいえ、20%程度のスコア差があり、4K解像度にて計測スコアの評価ではGTX 1080 Tiが「普通」の判定がTITAN Vは「やや快適」となりゲームにおいてのグラフィックス性能にも優位性のある結果となりました。
紹介したベンチマークのスコアは、株式会社ユニットコム独自の環境での計測であり動作を保証するものではありません。
NVIDIAが銘打つ「世界最高性能」に偽りなし
今回はテストすることができませんでしたが、TITAN Vは深層学習(deep learning)で高い性能を発揮されるとNVIDIAがうたっていますが、ベンチマークの結果から高負荷な傾向の高いAAA級タイトルのゲームでもその性能を遺憾なく発揮し、NVIDIAが銘打つ「世界最高性能」に偽りはありませんでした。
コストを度外視するならば、現状、GPUが1枚のみの構成で一番高性能なパソコンが欲しい!という方はTITAN V搭載のBTOモデルをお選びいただければまず間違いないでしょう。
360度どこからみても凡人、職人番号ラッキー7!職人7号です。主に写真撮影、動画編集を担当。パソコン工房ECサイトのBTOPCや自作パーツ等ひろく手掛ける。店舗部門出身。