2023年5月24日22時に販売が開始されたGeForce RTX 4060 Tiについて、ベンチマークテストを試してみます。

気になる製品最終更新日: 20230721

NVIDIA GeForce RTX 4060 Ti 発売情報・ベンチマークレビュー

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【7/21 更新】GeForce RTX 4060 Ti ベンチマーク記事を追加いたしました。
GeForce RTX 40シリーズのミドルレンジモデルとして、5月24日にGeForce RTX 4060 Tiの発売が開始されました。今回はこの新たなミドルレンジモデルのGeForce RTX 4060 Tiについて、ベンチマークテストを通してその性能を確認して行きます。

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GeForce RTX 4060 Ti 発売開始!

GeForce RTX 4060 Ti について、パソコン工房での発売を開始いたしました。詳細は特集ページをご覧ください。

パソコン工房でGeForce RTX 4060 Ti 特集を見る

Ada Lovelaceアーキテクチャー採用のGeForce RTX 4060 Ti について

GeForce RTX 4060 Ti はNVIDIA Ada Lovelace アーキテクチャを採用し 8~16GB の GDDR6 メモリを搭載するNVIDIA製ミドルクラスのグラフィックスカードです。最もリアルなレイトレーシンググラフィックスと最先端のAI機能に適したRTコアやTensorコアを搭載し、ゲーマーやクリエイターに究極のパフォーマンスを提供します。

GeForce RTX 4060 Tiベンチマーク情報

それでは、GeForce RTX 4060 Ti 8GBのベンチマークを実行していきましょう。比較対象として、GeForce RTX 40シリーズから上位モデルのGeForce RTX 4070を、GeForce RTX 30シリーズからGeForce RTX 3070 TiとGeForce RTX 3070 、それと一部テストのみとなりますが、直接の前モデルとなるGeForce RTX 3060 Tiのスコアを過去記事より流用して比較いたします。
テスト解像度は、NVIDIAが謳うGeForce RTX 4060 Tiのターゲットが「フルHD」という事もあり、フルHD(1920 x 1080)を中心に、WQHD(2560 x 1440)と4K(3840 x 2160) の解像度を追加して行っています。また、3DMarkでは、CPU性能の依存度が少ないGraphics Scoreでの比較となります。

  GeForce RTX 4070 GeForce RTX 4060 Ti 8GB GeForce RTX 3070 Ti GeForce RTX 3070 GeForce RTX 3060 Ti
アーキ
テクチャ
Ada Lovelace Ampere
CUDAコア 第3世代
5888
第3世代
4352
第2世代
6144
第2世代
5888
第2世代
4864
RTコア 第3世代
46
第3世代
34
第2世代
48
第2世代
46
第2世代
38
Tensorコア 第4世代
184
第4世代
136
第3世代
192
第3世代
184
第3世代
152
定格クロック 1.92GHz 2.31GHz 1.58GHz 1.50GHz 1.41GHz
ブースト
クロック
2.48GHz 2.54GHz 1.77GHz 1.73GHz 1.67GHz
メモリタイプ GDDR6X GDDR6
メモリ容量 12GB 8GB
メモリ転送
レート
21Gbps 18Gbps 19Gbps 14Gbps
メモリバス幅 192bit 128bit 256bit
メモリバス
帯域幅
504GB/s 288GB/s 608GB/s 448GB/s
TGP 200W 160W 290W 220W 200W

~検証スペック比較一覧~

GeForce RTX 4060 Tiのスペックは、前モデルのGeForce RTX 3060 Ti と比較した場合、CUDAなど各種コア数が微減、クロックが約900MHz上昇、メモリバス幅の半減により帯域幅が減少しています。
各種コア数は1割程度減少しているものの、世代の進化とクロック上昇により基本性能は上がっていると予想されますが、メモリ帯域幅の減少が大きい事から、高解像度におけるスコアにどう影響するか気になるところです。

なお、ベンチマークテストはResizable BARやDLSSを有効にして行っております。
※ベンチマークテストで用いた構成は末尾に記載しています

3DMark 「Fire Strike」

まずは、DirectX 11 の代表的ベンチマークとして、3DMark 「Fire Strike」 のGraphics Scoreを見てみましょう。テスト解像度は、フルHDのFire Strike と、WQHD のFire Strike Extremeです。

~3DMark Fire Strike~~3DMark Fire Strike~

GeForce RTX 4060 Tiは、フルHDでGeForce RTX 3070を上回りました。GeForce RTX 3060 Tiからは12%強アップしています。ですが、メモリ帯域幅の影響か、WQHDではGeForce RTX 3070が逆転し、GeForce RTX 3060 Tiとの差も8.5%程度に縮まっています。

3DMark 「Time Spy」

次に、DirectX 12の代表的ベンチマークとして、3DMark 「Time Spy」 のGraphics Scoreを見てみましょう。テスト解像度は、WQHDのTime Spyと4KのTime Spy Extremeとなります。

~3DMark Time Spy~~3DMark Time Spy~

GPU負荷の高いTime Spyでも全体の傾向はFire Strikeと同様ですが、WQHDでGeForce RTX 4060 Ti がGeForce RTX 3070に勝っているのは、健闘したという印象です。CUDAコア数にビハインドを抱える状況であっても、動作クロックの向上がこれを補って性能向上を果たしています。

3DMark 「Speed Way」

続いて、DirectX 12 Ultimateに対応したベンチマークテストである「Speed Way」を見てみましょう。Speed Wayでは、DirectX レイトレーシングやメッシュシェーダーを使用して、リアルタイムにグローバルイルミネーションやレイトレーシングによる反射の描画を行い、その性能をテストする内容となっています。
Speed Wayにおいても、標準設定の解像度はWQHDとなります。また、DLSSについては無効となっており、RTコアの性能の比較として見ていきます。

~3DMark Speed Way~~3DMark Speed Way~

Speed Wayの傾向はFire Strikeに近く、解像度WQHDにおいてGeForce RTX 4060 TiはGeForce RTX 3070に及ばず、おおよそ93%となりました。性能向上したRTコアを以てしても追いつけず、スペックシートで差のついているメモリ転送帯域がボトルネックになっているようです。

3DMark 「DirectX Raytracing feature test」

続いて「DirectX Raytracing feature test」を見てみましょう。本テストはすべての画面をレイトレーシングでレンダリングすることで、より負荷の高いグラフィックスカードのレイトレーシング性能を計測できます。結果はフレームレートで表示されます。なお、Sample count数は、標準設定の12のほか、6と20を加えてテストを行いました。

~3DMark DirectX Raytracing feature test~~3DMark DirectX Raytracing feature test~

DirectX Raytracing feature testでは、今までとは異なる傾向となりました。GeForce RTX 4060 TiがGeForce RTX 3070のみならず、GeForce RTX 3070 Tiをも凌駕しました。GeForce RTX 40シリーズの第3世代RTコアが、GeForce RTX 30シリーズの第2世代RTコアから着実に進化したことが確認できます。

3DMark 「Port Royal」

DirectX Raytracingの後は、リアルタイムレイトレーシング性能を見るベンチマークテストの3DMark「Port Royal」を用いて、レイトレーシング性能を見ていきましょう。Port Royalでは、いくつかあるレイトレーシングアルゴリズムのうち、レイトレーシングリフレクションを使用したものとなります。
ベンチマークスコアであるGraphics Scoreと一緒にフレームレートも計測することが出来ます。なお、解像度は標準設定のWQHDとなります。また、DLSSについては無効となっており、RTコアの性能の比較として見ていきます。

~3DMark Port Royal~~3DMark Port Royal~

~3DMark Port Royal fps~~3DMark Port Royal fps~

Port RoyalはFire Strike Extreme に近い傾向となっていて、GeForce RTX 4060 TiはGeForce RTX 3070に僅差となりました。GeForce RTX 3060 Tiに対しては、約16%の差をつけています。
ではリアルタイムレイトレーシングにDLSSを有効にするとどうなるのかを続けて見ていきます。

3DMark 「NVIDIA DLSS feature test」

3DMarkの締めに、「NVIDIA DLSS feature test」を確認してみましょう。「NVIDIA DLSS feature test」は、レイトレーシング性能を見る「Port Royal」を活用したベンチマークテストで、GeForce RTX 40シリーズやGeForce RTX 30シリーズが搭載するTensorコアを用いたDLSS(Deep Learning Super Sampling)の性能を見ることが出来、結果はフレームレートで表示されます。
今回はDLSSモードにPerformanceとQualityを選択しています。DLSSが有効ではない場合の結果はOFF として計測されます。また、GeForce RTX 4070とGeForce RTX 4060 TiはDLSS 3に対応しているため、DLSS 2設定だけでなくDLSS 3設定でも測定を行っています。そしてフルHDではDLSS 3が選択できないため、DLSS 2のみの結果となります。
※DLSS 3設定は、GeForce RTX 4070(DLSS 3)、GeForce RTX 4060 Ti(DLSS 3)と表記しています。

~3DMark NVIDIA DLSS feature test フルHD~~3DMark NVIDIA DLSS feature test フルHD~

~3DMark NVIDIA DLSS feature test WQHD~~3DMark NVIDIA DLSS feature test WQHD~

DLSS 3の効果が如実に表れる結果となりました。GeForce RTX 4060 Tiは フルHDのDLSS 2ではGeForce RTX 3070とほぼ互角ですが、WQHD解像度のDLSS 3では、GeForce RTX 3070だけでなく、GeForce RTX 3070 Tiにも勝りました。DLSS 3によるフレームジェネレーション機能は、GeForce RTX 30 シリーズにはないアドバンテージとなる機能であることが確認できます。

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク

続いて、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークです。テスト環境設定は高品質・フルスクリーンになります。

~FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークスコア~~FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークスコア~

FINAL FANTASY XV はビデオメモリ帯域の影響が強い様で、フルHDでもGeForce RTX 4060 Ti は、GeForce RTX 3070の後塵を拝しています。なお、他のテストに多い傾向である、GeForce RTX 4060 Ti はGeForce RTX 3070に対してフルHDで勝つが、WQHDで逆転され4Kで差が広がる、という流れではなく、ほぼ同じ差を維持しているのが特徴です。
ですが、「非常に快適」な動作の指標(12000~)をクリアしていますので、GeForce RTX 4060 Ti はフルHDゲーミング向けとして問題ない性能を持つと言えるでしょう。

ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク

最後に、ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークです。テスト環境設定は最高品質・DirectX 11・フルスクリーンとなります。ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレについては、ベンチマークテストの詳細で平均fps(フレームレート)も確認できるので、合わせて掲示します。

~ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク スコア~~ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク スコア~

~ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク フレームレート~~ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク フレームレート~

ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレは、FINAL FANTASY XVと異なり、3DMarkに近い流れになりました。つまり、フルHDでは、GeForce RTX 3070を少し上回り、WQHDで逆転されるパターンです。とはいえ、スコアそのものはフルHDとWQHDで「非常に快適」となる15000を超えており、フレームレートも高い事から、高リフレッシュレートのゲーミングモニタが威力を発揮するでしょう。
また、4Kでも快適な8000以上をクリア、そしてフレームレートは60FPSを超えていますので、60Hzの一般的なフルHDモニタをご使用の人は十分快適にプレイできるでしょう。こう見ると、フルHD向けを謳う本製品ですが、ゲームや設定次第では4Kゲーミングも視野に入れることができるでしょう。

GeForce RTX 4060 TiはフルHDからWQHD向けの有力な選択肢、ワットパフォーマンスにも注目

GeForce RTX 4060 Tiは、前モデルのGeForce RTX 3060 Tiを確実に超える性能を持つことが分かりました。また、フルHD環境ではGeForce RTX 3070に勝ることが多く、WQHDでは少し譲るもののその差は小さく、良い勝負と言えそうです。さらに、レイトレーシング性能はRTX30シリーズから確実に進化しており、GeForce RTX 3070 Tiにも匹敵する性能を叩き出しました。
そして、GeForce RTX 4060 TiはTGPが160W(ビデオメモリ16GB版は165W)に抑えられています。GeForce RTX 3070は220W、GeForce RTX 3060 Tiは200Wのため、DLSSの結果も含めた総合的な電力効率が、前モデルのGeForce RTX 3060 Tiから最大2倍という謳い文句も決して過言ではありません。

発売時点の価格は、おおよそ7万円前後からスタートしていましたが、現在は6万円台前半の製品も見受けられます。ちょうどGeForce RTX 3060 TiやGeForce RTX 3070の間に収まったイメージで、性能と比較すると程よい位置に落ち着いています。
その上で、消費電力(電気代)が低く、DLSS活用時の性能はGeForce RTX 3070 Tiに迫る事を考えると、使い勝手は良好です。現在ミドルクラスのグラフィックスカードの買い替えを考えている人は、GeForce RTX 4060 Tiを選択して後悔する事はないでしょう。

グラフィックス
カード
ZOTAC製
GeForce
RTX 4070
ZOTAC製
GeForce
RTX 4060 Ti
MSI製
GeForce
RTX 3070 Ti
MSI製
GeForce
RTX 3070
MSI製
GeForce
RTX 3060 Ti
CPU Core i9-13900K
(P-core:8コア、E-core:16コア / 32スレッド)
Core i9-10900K (10コア / 20スレッド)
CPUクーラー Coolermaster製360mm水冷クーラー
(MLY-D36M-A23PZ-R1)
マザーボード MSI Z790-S01 ASUS Prime Z490-A
メインメモリ DDR5-4800 32GB (16GB x2) DDR4-3200 16GB (8GB x2)
ストレージ WesternDigital WDS500G2B0C M.2 NVMe SSD WDS250G2X0C M.2 NVMe 250GB
電源 Seasonic SSR-1000PD(80PLUS Platinum、1000W)
OS Windows 11Home 64bit(バージョン:22H2) Windows 10 Home 64bit (バージョン:2004)
グラフィックス
ドライバ
GeForce Game Ready Driver Ver 535.98 GeForce Game Ready Driver Ver 475.51

~検証に使用した構成~

ライタープロフィール 職人13号

テクニカルライターから巡り巡ってパソコン工房にやってきました。「読みやすさ」をモットーに、文書作成やチェックを中心に担当していきます。趣味はレトロゲームの攻略動画投稿などです。

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