

ゲームを数多く配信する「Steam」を運営するVALVE社よりリリースされたVR向けのヘッドマウントディスプレイ「VALVE INDEX」がついに日本でも入手することができるようになりました。高解像度のディスプレイに加えて、5本指の動きを認識する独自のコントローラー、そして「Steam」で使用される「SteamVR」に対応し、HTC VIVEと同様、アウトサイドトラッキングを使用するため高精度かつ高速なトラッキングが可能となっているハイエンドクラスの製品です。さっそくレビューを行っていきたいと思います。
SteamVRで培った研究成果を基に生み出された「VALVE INDEX」
「VALVE INDEX」は一部の国でのみ入手することのできていた製品ですが、ついに日本にも上陸することとなりました。この「VALVE INDEX」はVRでも広く使われているオープンプラットフォーム「SteamVR」を生み出したVALVE社が開発・提供を行う、いわば公式ハードウェアとも呼べる製品です。既存製品よりも広い視野角と、臨場感あふれる特殊なスピーカーにより、より没入感の高いハイクオリティなVR体験を実現できるディバイスとなっています。
ハイエンドクラスのヘッドマウントディスプレイ
片目で1440×1600(両目で2880×1600)のフルRGB LCDを採用し、既存製品で使用されているOLEDのディスプレイに比べて50%多いサブピクセルとなっています。レンズも最適化されスクリーンドアを大幅に低減しています。また、従来では90Hzの動作でしたが120Hzにも対応し、144Hzのモードにも試験的ながらも対応、スムーズでより違和感のすくない映像となっています。また、視野角も最大130°となっており、これらにより、従来製品と比べてより高い没入感を得ることができるようになっています。
また、ヘッドセットに搭載されるオーディオユニットも特徴的で、耳に触れないオフイヤースタイルを採用しており、物理的な接触がないことから、ヘッドホンの圧迫感や物理的な痛みもなく、自然なヒアリング環境を実現しており、高解像度、高リフレッシュレートの映像と合わせてストレスが少なく没入感を高める一助となっています。
独自開発の5本指を認識するコントローラー
すべての指の状態や握力を検知できる「VALVE INDEX」の特徴的なコントローラーは、87個のセンサーを使用し、手の位置、指の位置、動き、圧力を追跡することができるようになっています。ストラップによるフィットにより、手を開いた状態での操作も可能となっており、より自然なVR体験を実現することができるようになっています。もちろん、ゲームソフトウェア側の対応も必要となりますが、幅広いジェスチャーによる新しいゲーム体験が可能となっています。
「SteamVR」トラッキング対応
様々な動きを正確に捉える外部トラッカー(ベースステーション)方式を採用しており、位置の正確なトラッキングと、速度に優れています。外部トラッカーからは秒間100回のトラッキングレーザー(走査線)が出ており、ヘッドセット、コントローラーそれぞれに埋め込まれている多数のセンサーで受信され、瞬時に位置が検出されます。インサイドアウト方式のセンサーよりも確実性が高く、シームレスで違和感のないVR体験が可能になるとされています。
VALVE INDEXとHTC VIVE Proを比較したスペック表が下記となります。
VALVE INDEX | VIVE Pro(フルキット) | |
---|---|---|
ディスプレイ | 1440×1600(2880×1600) フルRGB LCD |
1440×1600(2880×1600) AMOLED |
対応フレームレート | 80Hz/90Hz/120Hz/144Hz | 90Hz |
光学 | ダブルエレメント、傾斜レンズデザイン | – |
視野角 | 最大130° | 最大110° |
IPD | 58mm~70mm | 調節可能 |
トラッキング | SteamVRトラッキング1.0互換 SteamVR 2.0センサー |
SteamVRトラッキング1.0互換 SteamVR 2.0センサー |
オーディオ | オフイヤーバランスモードラジエータ | Hi-Resヘッドセット |
コントローラー | Aボタン/Bボタン/システムボタン/トリガー/サムスティック/フォースセンサー付きトラックボタン/グリップフォースセンサー/フィンガートラッキング/IMU | 多機能トラックパッド/グリップボタン/2段階トリガー/システムボタン/メニューボタン |
コントローラーバッテリー持続時間/接続端子 | 約7時間/USB Type-C | 約6時間/Micro USB |
コントローラートラッキング | SteamVR1.0およびSteamVR2.0 | SteamVR2.0 |
VALVE INDEXとHTC VIVE Pro比較表
「VALVE INDEX」の実機を確認
それでは「VALVE INDEX」のVRキット一式の実機を見ていきます。尚、レビュー用に事前にお借りしたものとなり、時期やロット、実際に日本国内で販売されるものと細部が異なる場合がありますので予めご了承ください。
まずは外箱の外観から。一式すべてが入っており、VIVE ProやVIVE CEよりも大きく感じます。
箱外観
箱内部一段目
箱内部2
箱をあけると、2段構造になっており、上段にはヘッドマウントディスプレイとコントローラー、外部センサーとなるベースステーションの主要パーツが収められています。両サイドにある水色のヒモをもって引き上げると、下段が出現、こちらには各種ケーブル類やACアダプターが収められていました。
付属品一式
中身を取り出した様子です。外部センサーを使用する方式だけあって、部品点数は多めです。VIVE CEでは付属していたコントローラーのACアダプタや、ベースステーションの接続USBケーブルなどは付属しておりません。
それでは細部を見ていきます。まずはヘッドマウントディスプレイから
ヘッドマウントディスプレイ前面
ヘッドマウントディスプレイ右側面
ヘッドマウントディスプレイ右側面には、イヤホンとレンズの前後位置を調整するノブがあります。
ヘッドマウントディスプレイ左側面
ヘッドマウントディスプレイ左側面には、イヤホンと、PCとの接続ケーブルがあります。すべて1本にまとめられています。
ヘッドマウントディスプレイ底面
底面には、IPD調整ノブがあります。
前面カバー取り外したところ
ヘッドマウントディスプレイ前面のカバーは磁石でついており、簡単に取り外しが可能です。
オプション用USB端子
くぼみの中にはUSB端子が備わっています。こちらにオプションの追加センサーやライトアップ用装飾などを追加が可能になっています。ただし、開発者向けの機能ですので、公式でオプションが出てくる予定は今のところ無いようです。
ヘッドセット背面
背面にはヘッドバンド調節ノブがついています。
ヘッドセット伸縮
最大まで伸ばすとこのようになります。
追加クッション
追加のクッションも付属しており、ヘッドバンドの大きさが大きすぎる場合等に装着したときのフィット感を高めることができます。
レンズ部分
フェイスクッション取り外し
フェイスクッションも磁石でついており、簡単に取り外すことができます。ヘッドマウントディスプレイのコネクタのそばにオーディオ端子がありました。
IPD調整でレンズも下記のように動きます。
IPD調整最小
IPD最大
レンズ位置も前後に調整が可能となっており、メガネなどをかけている際に便利な機能となっています。本体右側面のノブを回すことでヘッドマウントディスプレイをつけたままでも調整が可能になっています
レンズ位置最小
レンズ位置最長
コネクタ
VALVE INDEXの接続コネクタは、DisplayPort、USB 3.0、ACとなっております。ACは専用のACアダプターが付属しています。
続けて、VALVE INDEXの最大の特徴となるコントローラーを見てみます。
コントローラー表
コントローラー裏
USB Type-Cの充電孔
ストラップには滑り止め
立体的な構造となっており、ストラップも手をしっかりとホールドできるようになっています。滑り止めもついており、両手を広げた状態でもコントローラーが落ちるようなことはなさそうです。重量も見た目より軽い印象です。
コントローラーを手にもった様子
下部のゴム紐を引くことで固定
本体下部のボタンを押すとゴム紐が緩みます
握りを離してもコントローラーは落ちません
続けて外部トラッカーのベースステーションです。
ベースステーション
ベースステーション裏面と底面
ベースステーションはVIVEと同じく無線での接続となり、裏面や底面にマウンターに固定するためのねじ穴が開いています。底面はゴム張りになっており棚の上などに直接置くこともてきそうです。
付属スタンド
壁固定用のスタンドも付属しており、背面や底面のねじ穴に固定することができます。こちらのスタンドの底面にもゴム足がついており簡易的なスタンド代わりにもなりそうです。
VRをストレスフリーに楽しめるVALVE INDEX
以上、駆け足でしたが、VALVE INDEXのフォトレビューとなりました。時間の関係で続けて実際にセットアップして使用感を見ていくところまではできませんでしたが、追って追記をしていきたいと思います。
Steamを運営するVALVE社公式のVRデバイスとのことで、非常に安心感が持てる製品となっています。VRコンテンツはSteamVRに数多く展開されており、ゲームだけでなく、動画や、Vtuberになって配信など多岐にわたります。これらの膨大ともいえるコンテンツが安心して楽しめるというのは、他に類を見ない大きな強みでしょう。
ハードウェア面からも徹底的に「VRをストレスフリーで楽しむ」が追求され、高解像度モニタや、耳を押さえつけないヘッドセットなど、いくつものこだわりのポイントが感じられるVALVE INDEXは、外部センサーの設置など、セットアップの手間をかけてでも有力なVRの候補となるでしょう。

パソコン工房のヘビーゲーマー&ハイパーマルチクリエイター。ゲームを遊ぶだけでなくゲーム作りの趣味も高じてゲーム&クリエイティブ関連のことは大体それなりOK