インテルから、Core i9-9980XE、Core i9-9960X、Core i9-9940X、Core i9-9920X、Core i9-9900X、Core i9-9820X、Core i7-9800X の 第9世代インテル Core Xシリーズ発表!

ITトレンド最終更新日: 20181214

Core i9-9980XE Core Xシリーズ ベンチマークレビュー!

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第9世代Core Xが2018年12月14日登場しました。幸いにも、第9世代Core Xのうち、Core i9-9980XE、Core i9-9960X、Core i9-9920X、Core i9-9820X、Core i7-9800Xの5モデルが入手できましたので、早速ベンチマークテストを行いました。なお、今回は時間が限られている事も有り、速報版という形でCPUの演算性能に焦点を当ててベンチマークテストのみを行っています。※第9世代Core Xは順次発売開始予定となります!

第9世代Core Xプロセッサー

第9世代Core XはSkylake X Refresh(BasinFalls Refresh)の名前通り、前代の第7世代Core Xからのリフレッシュ版ですので、基本的な仕様に変化はありませんが、各所に改良が加えられています。第7世代Core Xでは、上位モデルのCore i9と下位モデルのCore i7では、PCI-Expressレーン数や対応メモリに違いが有りましたが、第9世代Core Xでは全CPUで統一されました。その他の特徴としては、

■ TurboBoostMax時に最大4.5GHz動作を実現、TDPはすべて165W
■ CPUダイとヒートスプレッダー間の熱伝導材にソルダリング(STIM)を採用、動作クロックと冷却性能を向上
■ 全モデルのPCI-Expressのレーン数を44レーンに強化、マザーボードと合せて最大68レーン
■ チップセットはX299のまま(※ただしBIOSの対応が必要)
などが挙げられます。

第9世代Core X プロセッサーの表面。ヒートスプレッダーの形状は第7世代Core Xと同一となっています。第9世代Core X プロセッサーの表面。ヒートスプレッダーの形状は第7世代Core Xと同一となっています。

第9世代Core X プロセッサーの裏面。中央部のキャパシタの配置も第7世代Core Xと同一となっています。第9世代Core X プロセッサーの裏面。中央部のキャパシタの配置も第7世代Core Xと同一となっています。

TDPは全モデルで165Wとなったため、CPUクーラーはCore i9-7980XEなどで使用していたものを流用する事が可能で、対応するチップセットもインテル 299Xとなっており、導入面でのしきいは低くなっています。CPUを交換してパワーアップ、という事も比較的容易に行えそうです。ただし、Core i9-7900XなどでTDP140W用のCPUクーラーを使用している場合は、CPUクーラーの交換が必要となる場合があります。

また、マザーボードのBIOS対応が必要となりますので、事前にCPU対応の確認とBIOS更新はお忘れなく行ってください。

  Core i9-9980XE Core i9-9960X Core i9-9940X Core i9-9920X Core i9-9900X Core i9-9820X Core i7-9800X
コア/スレッド 18/36 16/32 14/28 12/24 10/20 10/20 8/16
動作クロック 3.0GHz 3.1GHz 3.3GHz 3.5GHz 3.5GHz 3.3GHz 3.8GHz
TurboBoost 4.4GHz 4.4GHz 4.4GHz 4.4GHz 4.4GHz 4.1GHz 4.4GHz
TurboBoostMax3.0 4.5GHz 4.5GHz 4.5GHz 4.5GHz 4.5GHz 4.2GHz 4.5GHz
L3キャッシュ 24.75MB 22MB 19.25MB 19.25MB 19.25MB 16.5MB 16.5MB
製造プロセス 14nm
PCI-Express Gen 3.0
レーン数 44
メモリ 対応メモリ DDR4-2666
最大容量 128GB
TDP 165W
GPU ×
64bitコード intel64
SIMD命令 SSE SSE4.1/4.2
AVX AVX-512/AVX2.0
仮想化 VT-x
VT-d
セキュリティ機能 XD ビット
TXT ×
AES
vPRO ×
対応ソケット LGA2066
対応チップセット Intel X299 チップセット

第9世代Core Xプロセッサー スペック比較

  Core i9-7980XE Core i9-7960X Core i9-7940X Core i9-7920X Core i9-7900X Core i9-7820X Core i7-7800X
コア/スレッド 18/36 16/32 14/28 12/24 10/20 8/16 6/12
動作クロック 2.6GHz 2.8GHz 3.1GHz 2.9GHz 3.3GHz 3.6GHz 3.5GHz
TurboBoost 4.2GHz 4.2GHz 4.3GHz 4.3GHz 4.3GHz 4.3GHz 4.0GHz
TurboBoostMax3.0 4.4GHz 4.4GHz 4.4GHz 4.4GHz 4.5GHz 4.5GHz
L3キャッシュ 24.75MB 22MB 19.25MB 16.5MB 13.75MB 11MB 8.25MB
製造プロセス 14nm
PCI-Express Gen 3.0
レーン数 44 28
メモリ 対応メモリ DDR4-2666 DDR4-2400
最大容量 128GB
TDP 165W 140W
GPU ×
64bitコード intel64
SIMD命令 SSE SSE4.1/4.2
AVX AVX-512/AVX2.0
仮想化 VT-x
VT-d
セキュリティ機能 XD ビット
TXT ×
AES
vPRO ×
対応ソケット LGA2066
対応チップセット Intel X299 チップセット

第7世代Core Xプロセッサー スペック比較

前代の第7世代Core XシリーズでCore i9に属していたモデルは、基本的に動作クロック数の向上と、一部モデルでのL3キャッシュの増加が仕様上の相違となっています。一方、Core i7に属していた「Core i7-7820X」「Core i7-7800X」の後継モデルでは、コア数/スレッド数の増加、PCI Expressレーン数の増加など、随所に強化されています。「Core i7-7820X」については、「Core i9-9820X」とモデルシリーズまでバージョンアップしており、上位モデルの「Core i9-9800X」との違いは動作クロックとL3キャッシュ量のみとなっています。

なお、第9世代Core Xは一気に全モデルが発売するのではなく、順次各モデルが発売される予定となっています。そのため、目当てのモデルが登場するまでに時間がかかる事も有るかも知れませんが、その場合は発売のアナウンスが有るまでお待ちください。

それでは、第9世代Core Xの実力を見て行きましょう。

ベンチマークテスト

入手できた第9世代Core X 「Core i9-9980XE」「Core i9-9960X」「Core i9-9920X」「Core i9-9820X」「Core i7-9800X」の5モデルと、同コア/スレッド数の第7世代Core X 「Core i9-7980XE」「Core i9-7960X」「Core i9-7920X」「Core i9-7900X」「Core i7-7820X」の5モデルを比較用に用意しました。

Passmark PerformanceTest

まずはCPUの全体的な性能を数値化するPassmarkの『CPU Benchmarks』を用いて、CPUの総合的な演算性能を見てみましょう。

PASSMARK Performance TestPASSMARK Performance Test

全モデルとも順当にスコアアップしています。Core i9-9820XとCore i9-7900Xのスコアが接近していますが、これはCore i9-7900Xの方がTurboBoost・TurboBoostMaxの動作クロックが高いためと思われ、Core i9-9820Xはクロック数のハンデをL3キャッシュ量で補ったと思われます。

3D Mark

続いて、3D Mark のFire StrikeとTime Spyを用いて、CPUの演算性能(Physics / CPU Score)を見て行きます。Physics / CPU Scoreは、CPUに物理演算をさせてその処理速度を数値化したもので、CGレンダリングや動画のエンコードと同じくCPUのコア・スレッド数の多さが有利に働くテストです。なお、各ベンチマークテストには4K解像度のFire Strike UltraとTime Spy Extremeを用いています。

3D Mark Fire Strike Ultra3D Mark Fire Strike Ultra

3D Mark Time Spy Extrame3D Mark Time Spy Extrame

Fire Strikeでは、第9世代Core Xが第7世代Core Xを全モデルで上回りましたが、Time SpyではCore i9-7900XがCore i9-9820Xを逆転しています。Direct X12ベースのTime Spyでは動作クロックの差がスコアに現れたものと思われます

TMPGEnc Mastering Works 6

動画編集ソフトのTMPGEnc Mastering Works 6を用いて、QuickTimeファイル(1920x2160/2分40秒)をh.265に変換するのに要した時間(単位:秒)を測定しました。グラフの短い方がより高速に処理を行っている事になります。

MPGEnc Mastering Works 6MPGEnc Mastering Works 6

第9世代Core Xと第7世代Core Xの比較では、コア数/スレッド数も同じCPUはほぼ似通ったタイムスコアとなっています。Core i9-9820XだけCore i9-7900Xとの間に多少の差が出来ていますが、これはTurboBoost・TurboBoostMaxのクロック差が影響したのではないでしょうか。

順当にパワーアップした第9世代インテルCore X

下位モデルのCore i7-9800XやCore i9-9820Xではコア数/スレッド数が増加されたことから、第7世代Core X での1ランク上の性能を示すなど、大きく飛躍しました。また、上位モデルについてもCore i9-9980XEがPassmarkや3DMark Time Spyで10%以上スコアアップするなど、第9世代Core Xは第7世代Core Xから順当にパワーアップしているとみて良さそうです。

また、パフォーマンスの向上以外でも、下位モデルのCore i7-9800XやCore i9-9820Xでは、PCI-Expressレーン数が44レーンに増加されている、対応メモリがDDR4-2666に引き上げられるなど、仕様面での強化によってより魅力的なCPUに仕上がっているのではないかなと思います。

最近ではレンダリングやディープラーニング等でGPUによる処理が増えており、CPUのコストを抑えつつもGPUを3枚以上搭載することが可能になったことや、Intel Optane SSD 905Pなどの高速なストレージをPCI-Express拡張スロットに搭載できることなど、足回りを強力に使いこなすことができ、よりお買い得感を高めることに寄与しているように思われます。

  第9世代Core X 第7世代Core X
CPU Core i9-9980XE
Core i9-9960X
Core i9-9920X
Core i9-9820X
Core i7-9800X
Core i9-7980XE
Core i9-7960X
Core i9-7920X
Core i9-7900X
Core i7-7820X
マザーボード ASUS
PRIME X299-DeluxeⅡ
ASUS
PRIME X299-A
メインメモリ DDR4-2666 32GB (8GB x4)
ビデオカード GeForce GTX 1080 FoundersEdition (ビデオメモリ 8GB)
ストレージ intel 760p 256GB(SSDPEKKW256G8XT) M.2 NVMe
電源 FSP AURUM PT-650M (80PLUS Platinum、650W)
OS Windows 10 Home 64bit (Build:1803)
ビデオドライバ GeForce Game Ready Driver Ver416.34

ベンチマークテストで使用したPC構成表

ライタープロフィール 職人5号

Windows2000登場前からほぼ一貫してPC製造部門に従事。PC組立はもちろん、OSイメージの作成や製造時のトラブルシュートを行う。 その経験を生かしてOSの基本情報や資料室を担当する事が多い。

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