Intel Core i9-9900KSが発売解禁となりました。パソコン工房でも単品とBTOパソコンの販売を開始しております。さらに、詳しいスペック比較情報やベンチマーク情報についても掲載を行っております。ぜひご確認ください。
Core i9-9900KSは第9世代Coreプロセッサーシリーズ最上位モデル
Core i9-9900KSは第9世代Coreプロセッサーシリーズの最上位に位置する、Core i9-9900Kのスペシャルエディションモデルです。その最大の特徴は、Core i9-9900Kが1コアのみの動作クロックを引き上げるターボブースト時に5.0GHz動作するのに対し、Core i9-9900KSでは全コア同時に5.0GHzで動作する事に有ります。
そのため、Core i9-9900K以上の高いマルチスレッド性能を誇り、ゲーミングやクリエイティブな作業において大きな力を発揮することが期待されます。
なお、Core i9-9900KSはTDPがCore i9-9900Kの95Wから127Wへと増大しているのでCPUクーラーやケース内の熱対応に工夫が必要になります。Core i9-9900Kが動作するCPUクーラーでも冷却能力が不足したり、あるいはマザーボードの電源回路設計が不足していてパフォーマンスがうまく発揮されなかったり、最悪の場合には安定動作しないといった事が発生する可能性が有りますので、CPUクーラーやマザーボードはできるだけグレードの高いものを選択する必要が出てきます。
例えば、CPUクーラーではCore Xシリーズ対応も謳っている様な大型ヒートシンクの水冷や空冷の高性能クーラー、マザーボードではCPU補助電源のEPS 8ピンが2個もしくは8ピン+4ピンが各1個ついているものなどのCPU周りの電源回路設計がしっかりとしているゲーミングモデルやオーバークロック向けモデル、電源ではマザーボードに合わせて12Vの出力が大きく、EPS 8ピンが少なくとも2本ついている高品質なモデルなどを選択することをおすすめします。
Intel Core i9-9900KSスペック比較
Intel Core i9 9900KSのスペックを比較してみます。基本的な性能や機能はCore i9-9900Kと同じで、クロック数が向上しターボブーストが全コア対応した事によりTDPが増えています。
それでは、Core i9-9900KSの実力をベンチマークテストを通して見て行きましょう。比較対象は同じ第9世代Core i9シリーズの、Core i9-9900KとCore i9-9900です。
Core i9 9900KS | Core i9 9900K | Core i9 9900KF | Core i9 9900 | ||
---|---|---|---|---|---|
コア/スレッド | 8/16 | 8/16 | 8/16 | 8/16 | |
動作クロック | 4.0GHz | 3.6GHz | 3.6GHz | 3.1GHz | |
Turbo Boost(1コア) | 5.0GHz | 5.0GHz | 5.0GHz | 5.0GHz | |
Turbo Boost(全コア) | 5.0GHz | 4.7GHz | 4.7GHz | 4.3GHz | |
キャッシュ(L3) | 16MB | 16MB | 16MB | 16MB | |
PCI-Express | Gen | 3.0 | |||
レーン数 | 16 | ||||
メモリ | 対応メモリ | DDR4-2666 | |||
最大容量 | 128GB | ||||
Intel UHD Graphics 630 | ○ | ○ | × | ○ | |
製造プロセス | 14nm | ||||
TDP | 127W | 95W | 95W | 65W | |
64bitコード | Intel64 | ||||
SIMD命令 | SSE | SSE4.1/4.2 | |||
AVX | AVX2.0 | ||||
仮想化 | VT-x | ○ | |||
VT-d | ○ | ||||
セキュリティ機能 | xDビット | ○ | |||
AES | ○ | ||||
対応ソケット | LGA1151 | ||||
対応チップセット | Intel 300シリーズ |
Intel Core i9-9900KSベンチマークレビュー
Passmark PerformanceTest
まずはCPUの全体的な性能を数値化するPassmarkの『CPU Benchmarks』を用いて、CPUの総合的な演算性能を見てみましょう。
おおよそ2%ほどCore i9-9900KSがCore i9-9900Kを上回っており、マルチコア処理の差が出ています。
Core i9-9900K、Core i9-9900とも1コア動作時のTurboBoostクロックが同じため、シングルスレッド処理の性能については3者が横並びとなっています。このシングルスレッド処理性能が同じである事がスコア差を小さくしている要因と言えそうです。
3D Mark
続いて、3D Mark のTime Spyを用いて、CPUの演算性能(CPU Score)を見て行きます。CPU Scoreは、CPUに物理演算をさせてその処理速度を数値化したもので、CGレンダリングや動画のエンコードと同じくCPUのコア・スレッド数の多さが有利に働くテストです。
Core i9-9900KSとCore i9-9900Kの差はおおよそ2%となっていて、Passmarkと同じ傾向となっています。DirectX 12対応の最近のゲームではGPUへの負荷が高くCPUはあまり影響しにくい事も有り、特に最新のタイトルにおいては、ただゲームをプレイするだけの用途においては効果が小さいのかも知れません。
とはいえ、ゲームプレイを高画質で配信したり、CPUを併用するような多数のNPCが出現するオープンフィールド系のタイトルや、多くのユニットが自律行動するようなリアルタイムシミュレーション系のタイトルでは、動作クロックの高さからたった2%の差とはいえ、ゲームのフレームレートにその効果は大きく出てくる可能性もあります。
PC Mark 10
次に、PCのパフォーマンスを総合的に判断できるPC Mark 10を見ていきましょう。
PC Mark 10では、Core i9-9900KSとCore i9-9900Kの差がほんの1%程となっています。CPUの全コア動作時のクロックが向上しただけでは、総合的なパフォーマンスには影響が小さいと言えます。
TMPGEnc Mastering Works 6
動画編集ソフトのTMPGEnc Mastering Works 6を用いて、QuickTimeファイル(3840x2160/2分50秒)をh.265に変換するのに要した時間(単位:秒)を測定しました。グラフの短い方がより高速に処理を行っている事になります。
今までの傾向とは異なりCore i9-9900KSがCore i9-9900Kよりも、時間にして30秒、割合にして6%ほど早くエンコードを終えていています。6%の高速化というのは全コア動作時のクロック比(5.0GHz / 4.7GHz)に一致しており、マルチスレッドでの演算処理では全コアでの5.0GHz動作が効果的に機能する事が確認できます。
Intel Core i9-9900KSを生かせる用途なら最高の選択肢
Core i9-9900KSは、程度の差はあれCore i9-9900Kを確実に上回る性能を示しており、スペシャルエディションの名に恥じない第9世代Coreプロセッサーである事は間違いないと言えます。ただし、全コア動作時での5.0GHz動作を実現する代わりに、消費電力が上がるという側面も持ち合わせており、Core i9-9900KSが真価を発揮できるようにするには、相応のCPUクーラーやマザーボードが必要となります。
それゆえただCPUを変えただけで誰でも簡単にパフォーマンスアップという具合には行きませんが、用途や目的さえ当てはまればTMPGEncで見せたような圧倒的なパフォーマンスを手にする事が出来ます。
ゲームをしながらストリーミング配信を行ってもフレームレートの低下が少なくなること、エンコード作業やレンダリング作業などを1秒でも早く終わらせたいといった、マルチコアを生かすことのできるクリエイターやゲーミングの用途では、少なくとも現時点では間違いなく最高の選択肢の一つとなるでしょう。
CPU | Core i9-9900KS Core i9-9900K Core i9-9900 |
|||
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マザーボード | ASUS PRIME Z390-A | |||
メインメモリ | DDR4-2666 16GB (8GB x2) | |||
ビデオカード | ZOTAC製 GeForce RTX 2080 SUPER | |||
ストレージ | intel 760p 256GB(SSDPEKKW256G8XT) M.2 NVMe | |||
電源 | FSP AURUM PT-650M (80PLUS Platinum、650W) | |||
OS | Windows 10 Home 64bit (バージョン:1903) | |||
ビデオドライバ | GeForce Game Ready Driver Ver436.48 |
Intel Core i9-9900KS 搭載BTOパソコン・単品発売開始
Intel Core i9-9900KS搭載BTOパソコンと単品発売が開始いたしました。ぜひご確認をお願いします。
Windows2000登場前からほぼ一貫してPC製造部門に従事。PC組立はもちろん、OSイメージの作成や製造時のトラブルシュートを行う。 その経験を生かしてOSの基本情報や資料室を担当する事が多い。