Windows 11に標準搭載、動画編集アプリ「Microsoft Clipchamp」の使い方を解説します。

クリエイター最終更新日: 20230524

Windows 11に標準搭載、動画編集アプリ「Microsoft Clipchamp」の使い方

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2022年10月、Windows 11のアップデートを受けて、「Microsoft Clipchamp(クリップチャンプ)」という動画編集アプリケーションが標準搭載されるようになりました。今回は、無償で使えて(有償版もあり)、直感的な操作で高度な編集も可能なClipchampの操作方法について解説します。

ClipchampがWindows 11で提供される背景

2021年10月にリリースされたWindows 11は、1年後の2022年10月にアップデートを敢行。そのタイミングで、動画編集アプリ「Microsoft Clipchamp(以下Clipchamp)」も標準搭載されました。

この動きにあわせて、写真・動画編集アプリ「Microsoft フォト」も仕様を変更に。「ビデオエディター」の基本機能がブラウジングだけとなり、動画を編集したい場合、別途「フォトレガシ」または「Clipchamp」のどちらか好きな動画編集アプリを活用する形になっています。

中でもClipchampは、トリミングや分割などの基本的なツールに加え、トランジションやアニメーションテキストなど、より高度な機能を備え、機能性は従来のビデオエディター以上です。

※ NEXMAGでは、「Microsoft フォト」の解説記事でもClipchampについて触れています。
参考:「アルバム」の作り方
“Windows 11版「Microsoft フォト」解説 | パソコン工房 NEXMAG”.パソコン工房 NEXMAG.2022.
https://www.pc-koubou.jp/magazine/70333#section09

Clipchampをインストールする

では、Windows 11にアップデート済みのパソコンを用意して、最初に「ビデオエディター」を起動します(以降、Clipchampがインストールされていない環境を前提に解説します)。

起動すると、Clipchampのインストール画面が表示されるので、「Microsoft Clipchampをインストールする」ボタンをクリック。すぐにMicrosoft Storeに遷移し、表示された「Clipchampのインストール」パレットで、右下の「インストール」ボタンをクリックします。

処理が完了後に表示されたパレットで「開く」ボタンをクリックすると、「Clipchampの使用条件が新しくなりました」パレットが表示されるので、「同意して続行」を押すと、インストールが完了します。

なお、インストール後もビデオエディターを起動すると、Clipchampのインストール画面が表示されますが、再インストールの必要はありません。

Clipchampを起動する

Clipchampを起動します。下がインストール後に最初に起動した際の画面です。

設定状況によっては「よろしくお願いします!」などのテキストが表示されます。また、アンインストール後に再インストールすると「またお会いできてうれしいです」が表示されます。

起動画面から「新しいビデオを作成」をクリックして、作業をはじめましょう。最初、画面左上の「メディアのインポート」にて、赤枠の位置に映像や画像、サウンドなどのソースデータをドラッグして取り込みます。

次に、タイムラインへ編集したいソースデータをドラッグしましょう。

なお、カーソルを近づけると青くなるタグをクリックすると、パレットをたためます。たたんだ後でも、左右のツール類のアイコンをクリックすると、それぞれのパレットを表示可能です。

画面左側のツールバーでできること

画面左のツールバーには、10種類のツールが用意されています。上から順に説明すると、「メディア」には、編集素材に加えるための映像や画像、サウンドの各種データが格納されています。「録画と作成」は、接続されたカメラで動画撮影や録音をしたり、画面を録画したり、テキストを人工音声に変換したりするツールです。「テンプレート」では、各種のテンプレートデザインを用意しています。

「音楽とサウンドエフェクト」は、編集で追加したいサウンドエフェクトデータを選べます。「ストック動画」は編集用の動画素材を、「ストック画像」は画像素材をそれぞれ選択可能です。

「テキスト」は、タイトルなどのテキスト編集が可能です。「グラフィックス」は、「ステッカー」や「背景」など各種のオブジェクトなどを設定できるツール。「切り替え」では、各種のトランジション(ある段階から次の段階へと移行する変化)を加えられます。

なお、左側のツールバー最後の「ブランドキット」は、有料のEssentials版でないと利用できません。また、それぞれのツールを選んだ後、Essentialsマークが付いているものは無料版だと利用不可です。

画面右側のツールバーでできること

画面右側のツールバーには、6種類のツールがあります。上から順に、「キャプション」はさまざまな言語に対応したテキストなどを自動設定するツールです。次にオーディオ調整ができる「オーディオ」、そして「フェード」はフェードイン、フェードアウトを設定できます。

「フィルター」では、外観変更やグリーンバック処理が可能です。「色を調整」は色調補正ツール、「速度」は再生スピード調整のことです。

Clipchampで動画編集をしてみる

最後に、簡単な動画編集を行ってみます。まず、タイムラインに配置した映像に対して、右側のツールバーより「フィルター」→「映画」で、レトロな映画調のイメージにしてみます。

次に、グリーンバックで撮影した映像を「フィルター」→「グリーンスクリーン」で合成してみました。

なお、背景画面の色は他に赤と青を指定できます。緑色の被写体であれば赤にするなど、被写体の色によって使い分けられます。

タイトルは、テンプレートに希望のテキストをタイピングするだけの手軽さです。

サウンドデータのインポートも、左側のツールバーより「メディア」のリストからドラッグするだけ。複数の映像のつなぎ目には、右側の「フェード」よりフェードイン、フェードアウトを使えば秒単位で指定でき、デリケートな調整も可能でしょう。

無料版とEssentials版の違い

Clipchampについて、参考までに無料版とEssentials版とのできることの違いについて、以下の表にまとめています。Essentials版は1カ月1,374円(2023年4月末現在)。

無料版 Essentials版
・無制限の透かしなしのエクスポート ・無制限の透かしなしのエクスポート
・最大1,080p(HD)のエクスポート解像度 ・最大1,080p(HD)のエクスポート解像度
・無料のオーディオ、画像、動画ストック ・プレミアムオーディオ、画像、動画ストック
・無料フィルターとエフェクト ・プレミアムフィルターとエフェクト
・ロゴとカラーの管理に使えるブランドキット
・コンテンツのバックアップ

出典:
“料金|Clipchamp”.Clipchamp.すべての動画のニーズを一カ所で|Clipchamp.2023.
https://clipchamp.com/ja/pricing/

また、ClipchampにはMicrosoft Officeと同様にオンライン版があり、Microsoft EdgeまたはGoogle ChromeでClipchampのWebページにアクセスすれば、macOSパソコンでも利用可能です。

参考:
“すべての動画のニーズを一カ所で|Clipchamp”.Clipchamp.2023.
https://clipchamp.com/ja/

ClipchampのWebサイトにアクセスし、「無料で試す」をクリックして登録を進めたら利用できます。

Clipchampは、無料版でも十分に充実した編集業務が可能です。学習コストが少なくて済む、編集作業に没頭できる直感的な操作性へのメリットもあるため、動画編集に慣れていない人ならClipchampを通じて、一通りの編集作業を覚え、体感できるのがいいでしょう。

ライタープロフィール 海津ヨシノリ

グラフィックデザイナー、イラストレーター、大学非常勤講師(跡見学園女子大学、二松學舍大学)。毎日blogにてソフトウェア手法に加え、日曜大工ネタや撮影などのTipsをアップロードする。2006年から月例セミナーを開催中。

http://www.kaizu.com/

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