Webアナリストの第一人者、小川卓さんが選ぶハイブリッドワーク用パソコンの選び方を紹介します。

ソリューション最終更新日: 20220705

Webアナリスト小川卓さんが選ぶ、ハイブリッドワークに最適なパソコン

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リモートワークが定着してきた昨今、パソコン(PC)の選び方がこれまでと変わってきました。ここでは、自宅でも職場でも快適に作業しやすい、ハイブリッドワークに適したPCについて紹介します。
今回は、現場やリモートと環境を選ばず活躍する国内のWebアナリストの第一人者であり、NEXMAGでは「Google Analytics 4」解説を連載中の小川卓さんが執筆します。小川さんの選定の基準を知り、パソコン選びのヒントをつかんでください!

はじめに、筆者について

筆者(小川卓)は、株式会社HAPPY ANALYTICSの代表を務めるWebアナリスト(Webサイトの分析や改善などを行う仕事)です。

NEXMAGでは、筆者としてGoogle アナリティクス4に関する連載やアクセス解析用PCの選び方などのコンテンツに携わり、公開中です。

“小川卓さんのGA4連載 第1回 従来バージョンとの違いと初期設定 | パソコン工房 NEXMAG”.パソコン工房 NEXMAG.2021.
https://www.pc-koubou.jp/magazine/52878

“Webアナリスト小川卓さんが選ぶ アクセス解析用パソコン | パソコン工房 NEXMAG”.パソコン工房 NEXMAG.2021.
https://www.pc-koubou.jp/magazine/54016

ハイブリッドワーク向けPCを考える際の前提

みなさんはそれぞれ異なる職種・職務に携わっているはずです。そのため、ハイブリッドワーク向けPCを考えるにあたって、最初に前提を定義しておきましょう。

ここでのハイブリッドワークは、基本は自宅で働きつつ、時々会社に出社したり、外出先でクライアントと打ち合わせをしたりするなど、自宅に限らず職場や外部環境でPCを(持ち歩き)利用することを想定。加えて、1人ひとりの業務内容も多岐に渡るので、以下の内容を前提にして考えていきます。

  • ビジネスシーンで、主にMicrosoft Office系(Excel、Word、PowerPointなど)のソフトウェアや、Webブラウザ上の各種サービスを利用する
  • 頻度高くオンラインミーティング(ZoomやMicrosoft Teamsなど)を行う
  • クライアントとの打ち合わせでは、外出先にPCを持ち込み、PC画面(あるいはそれを映したプロジェクター画面)で説明する

上記の条件をベースに、筆者が考えるハイブリットワークで欠かせない点を紹介します。

ハイブリッドワーク向けPCで欠かせない8項目

ここでは8つの項目に着目して、円滑なハイブリッドワークを実現するためのPCの基準、目安について考えます。

1.プロセッサ(CPU)とメモリ(RAM)の要件

最低でもCPUはCore i3以上、メモリ(RAM)は8GBを担保しましょう。もしCPUがCeleronクラスだと、オンライン会議システムを起動中に複数のアプリーションも起動すると、かなり反応が遅く感じられるはずです。

さまざまなビジネスシーンでよく使われるオンライン会議システムでは、Zoomの推奨CPU(プロセッサ)とRAM(メモリ)を確認すると、デュアルコア2Ghz以上(Intel i3/i5/i7またはAMDと同様)、メモリ4 GBで、Celeronは推奨に含まれていません。

“Zoom のシステム要件: Windows、macOS、Linux – Zoom サポート”.Zoom サポート.2022.
https://support.zoom.us/hc/ja/articles/201362023-Zoom-%E3%81%AE%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0%E8%A6%81%E4%BB%B6-Windows-macOS-Linux#h_67509835-43ac-484f-9022-dca6a908b76a

また、Microsoft Teamsが求めるハードウェア要件は、最小速度1.1GHz以上のデュアルコアで、メモリは4GBとなっています。

“Microsoft Teams のハードウェア要件 – Microsoft Teams | Microsoft Docs”.Microsoft Teams | Microsoft Docs.2022.
https://docs.microsoft.com/ja-jp/microsoftteams/hardware-requirements-for-the-teams-app

両者ともにメモリは4GBですが、該当アプリケーション単体で利用するケースは少ない(他にも何かしらのアプリケーションを立ち上げたり、画面を共有しながら作業したりする)ので、複数の作業を行う前提でメモリ「8GB」以上を基準としておきます。

2.HDDよりSSDを優先して搭載

移動や現場での読み書きなどを想定すると、耐久性があり、転送速度の速いSSDが必須です。

HDDだと、(モノによりますが)クライアント先でパソコンを起動するのに時間がかかったり、ちょっとした遅れが気になったりします。起動の遅れは、会議の開始も遅くしたり、起動待ちの時間のせいで何をしようとしていたか忘れたり(私のことです)、些細な無駄がストレスへとつながったりと、いいことがありません。

容量は業務内容次第です。ファイル管理の状況もありますが、業務利用で250GBは心許ないでしょう。できれば500GBは確保したいです。

3.グラフィックボードはなくても大丈夫?

仕事内容次第ですが、映像ファイルや3DCG作業を伴わないビジネスシーン中心の業務であれば、基本はグラフィックボードを積んでいない、CPU内蔵タイプて大丈夫でしょう。業務上、譲れないケースはありますので、最終的な判断は用途に応じてください。

4.光学ドライブは不要

光学ドライブも同様で、業務上どうしても必要でなければ不要です。パソコンに搭載するとなれば、スペースを取ってしまう分、筐体が大きく重くなるデメリットがあるからです。持ち運びの頻度が多ければ多いほど、大きさや重さのデメリットは軽視できません。

5.バッテリー容量はそれほど重視しない

ハイブリッドワークの場合、(オフィス内外で共通のPCを使うなら)基本はノートPCを選ぶことになり、駆動時間の長さ(バッテリー容量)と重さとのトレードオフにもなります。ただし、電源が必ず確保できる環境でノートPCを利用できる場合、筆者判断であればバッテリー容量は気にしません。

6.画面サイズ

自宅や職場などハイブリッドワーク環境で別途モニターがあり、接続が前提であれば、ノートPC自体の画面サイズは気にしなくていいでしょう。例えば、ノートPCがフルHDで14インチ程度であれば問題ないはずです。外付けのモニターがない場合は15型か17型を検討しましょう。

7.重さ(重量)

特に移動が多い場合、重量はかなり大切な要素ですので、1kg前後のPCが現実的です。ちなみに筆者が使っているノートPCも、ずっと1kg未満を重要な要件にしています。モニターサイズがPCのサイズに直結するので、重量が1kg未満という条件を満たした上で、可能なモデルを検討するといいでしょう。

8.外部端子

とても重要な要素です。ハイブリッドワークの場合、いろいろな状況でPC利用が考えられるので、絶対にチェックしてください。

ディスプレイ出力に関しては、最近VGAケーブルを利用しているところは少ないですが、念のためチェックをしておきます。いずれにせよHDMIは必須です。USBはType-AとType-C(Thunderbolt)の周辺機器が混在していますが、周辺機器を利用する場合は、両方とも接続できるモデルがベストです。

ヘッドホン出力・マイク入力は、オンライン打ち合わせを考えるとあるに越したことはありませんが、筆者判断ではUSBタイプのヘッドセットのほうを推奨するので、必須とまでは考えていません。

おすすめ1:最低限必要なスペックで重量1kg未満

ここまで説明してきた要件を踏まえ、価格に応じた3つのノートPCを筆者がパソコン工房で選んでみました(2022年6月末現在)。以下の内容を参考に、適宜みなさん自身の判断を加えて、具体的に検討を進めるといいでしょう(価格帯は10〜20万円を目安)。

1つ目が、価格帯は10万円前後を目安にして、スペックはハイブリッドワークとして必要な最低限に絞り、重量が1kg未満のノートPCです。

ここまでに挙げてきた要件をすべて満たし、ハイブリッドワークでの利用でストレスを感じないスペックのノートPCです。重量が1kg未満を担保した上での構成で、筆者も安心しておすすめします。使うシーンは少ないかもしれませんが、micro SDカードリーダーも搭載されています。

おすすめ2:画面15インチでスペックアップしたノートPC

2つ目が、1つ目よりも少々重量が加わるものの2kgは切り、CPUやメモリ、画面サイズについてそれぞれスペックアップしたノートPCです。

1つ目よりも約2万円強金額が上がりますが、CPUがCore-i3からCore-i5へ、メモリも16GB、画面サイズも15.6型へと大きくなります。その分重さは1.68kgとなり1kgを超えますが、まだまだ持ち運んでも負担がマシな重さです。

また、自宅での利用がメインで(持ち運びの機会が少ない)、重さを気にしなくてよければ、同等クラスのノートPCながらDVDリーダーライターが付属された下のモデルがおすすめです(重量は2.08kg)。USB 2.0が1基増えて、miniD-sub15Pinのディスプレイ出力も付いています。

おすすめ3:業務効率優先! 1ランク上のノートPC

3つ目が、予算以上にハイブリッドワークの業務効率に着目し、1ランク上のビジネスノートパソコンを求めたいユーザーへのおすすめです。

こちらはクリエイティブ用途にも向いた、グラフィックボード「GeForce RTX 3050 Ti」を搭載しているモデルです。RTX 30シリーズの中では下位スペックですが、フルHDであれば十分なスペックですし、コストパフォーマンスが良いモデルと言えます。
業務で動画や画像の編集を行う、またテレワーク会議の録画が多いという方は、SSD(500GB)に加えてHDD(1TB)の追加もお勧めです。普段よく使うプログラムやファイルはSSDに置き、データとして保存したいものや、編集が終わった画像や動画などをHDDに保存するといった使い分けができます。CPUはCore i7でメモリは16GB、画面サイズは15.6型と、まず困ることがない構成です。

判断の分かれ目が重量2.05kgである点です。持ち運びの頻度によって重さが気になる方は、グラフィックボードなしの同等クラスのモデル(SSDのみ搭載、HDDは未搭載)が1.7kg前後になるので、両者を比べて(重量、価格差、グラフィックボードやHDDの有無)、検討するといいでしょう。

オンライン会議対策で周辺機器も整備

ハイブリッドワークにおいて、オンライン会議対応は欠かせません。環境の整備には、ノートPC本体の搭載された能力を補強できる周辺機器も適宜取り入れると万全です。

おすすめの周辺機器1:ヘッドセット

まず絶対に必要なのがヘッドセット。ノートPCに搭載されたマイクだけでは声が拾いにくく、イヤホンがないと周りに音声が聞こえてしまい、迷惑もかかります。個人的には、接続の手間や音質を考えると、無線より有線タイプが特におすすめです。

音声の品質は参加者のストレスにも直結します。会議中に会話をする時、声がくぐもっていれば聞きづらく、何度も聞き返すことになると、現場のテンションも下がります。自宅、会社、外出先など、使う場面を想定しながら選ぶといいでしょう。ゲーム用途向けの物々しい形状よりは、下のような買い求めやすい価格帯でシンプル、かつノイズキャンセル機能マイクが付いたヘッドセットを筆者はおすすめします。

 

おすすめの周辺機器2:Webカメラ

Webカメラ自体は、ノートPC内蔵のものでも足りることが多いでしょう。もちろん、自分自身を見てもらう必要があれば、Webカメラはいいに越したことはありませんが、資料を共有しながら説明する使用機会が多い場合、さほど気にしなくていいのかもしれません。まずは使用するノートPCの搭載カメラで不満の有無、不満の度合いを確認しましょう。

筆者の場合、オンラインなどの講演機会が多いのでWebカメラは別途購入しています。顔を映しながら話す機会が多いなど、用途によってWebカメラの優先順位が変わることも留意してください。参考までに、筆者が利用しているWebカメラは以下のモデルです。

 

おすすめの周辺機器3:モニター

自宅メインで仕事をしている場合は欠かせません。ノートPCだと最大でも17インチあたりが限界ですので、例えば、複数のプログラムやソフトウェアを同時に立ち上げて利用する場合は、別途大きな画面サイズのモニターを用意しておくといいでしょう。

購入する場合、中途半端に23インチ前後を買うより、27インチ以上かつ4K(3,840 × 2,160pixel)など、ノートPCの画面よりはっきりと大きいサイズで、良質なものを検討しましょう。選択基準は価格のほか、仕事で長時間画面を見続けることから、ブルーライトカット機能を持つ以下のような製品が良さそうです。

 

まとめ:ハイブリッドワークに適したデジタル環境

今回は、ハイブリッドワークという観点から、用途別におすすめのノートPC、並びに周辺機器を紹介しました。

すべての要件を満たす完璧なノートPCは存在しません。光学ドライブが搭載されていたり、画面サイズが大きくなれば重くなったりしますし、軽量なPCは持ち運びに便利な一方で端子の種類が少なくバッテリーの持ち時間が減るなど、いずれの機種にも一長一短があります。

ここまで紹介してきた選択の目安を手がかりにして、自分がどういうハイブリッドワークのスタイルになるかを判断してみてください。するとノートPCや周辺機器を通じて、自分が優先して実現したい環境が見えてきます。例えば、優先事項を上位3位まで決めておくと、最適なノートPCや揃えておきたい周辺機器が選びやすくなるでしょう。

ライタープロフィール 小川卓

Webアナリストとしてリクルート、サイバーエージェント、アマゾンジャパンなどで勤務後、独立。複数社の社外取締役、大学院の客員教授などを通じてWeb解析の啓発・浸透に従事。株式会社HAPPY ANALYTICS代表取締役。主な著書に『ウェブ分析論』『ウェブ分析レポーティング講座』『マンガでわかるウェブ分析』『Webサイト分析・改善の教科書』『あなたのアクセスはいつも誰かに見られている』『「やりたいこと」からパッと引ける Google アナリティクス 分析・改善のすべてがわかる本』など。

https://www.takuogawa.com/

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