幼少期からお菓子作りやモノ作りが好きだったアニメーション作家の松村麻郁さん。実直な作品作りをしている松村さんの仕事道を紐解きます。

クリエイター最終更新日: 20220401

アニメーション作家:子供のころの“モノづくり”への興味からアニメーションの世界に

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どうしたら憧れのクリエイターになれるのか? その秘密を現役で活躍するクリエイターに直接聞いちゃう『クリエイター仕事道』。今回のゲストはアニメーション作家の松村麻郁さんです。お菓子作りが好きだった、幼少期の松村さん。モノ作りが好きで、そのまま美術系の大学へ進学し、アニメーション作家になりました。実直な作品作りをしている松村さんの仕事道を紐解きます。

松村さんが携わった作品

WOWOWオリジナルアニメーションの【魔法食堂チャラポンタン】。料理をテーマにしたアニメーション作品で、生活情報雑誌のレシピ企画と連動したレシピも人気に。

Eテレビでも放送されたアニメーション【ふうせんいぬティニー】。「ふうせんどうぶつ」の世界を舞台に、子どもは笑顔になり、大人はちょっと涙する物語が支持されました。

繋がりを持つためにコンテストに参加

松村さんは子供の時、どんな仕事がしたいと思っていましたか?

お菓子作りが好きで、ドロドロの液体がオーブンで焼くと膨れたり、クリームが色んな形に絞り出されたりするのが面白い!と思っていました。そして、自分もやってみたくて、当時はケーキ屋さんになりたかったです。

ケーキ屋さんを夢見て、それからなぜアニメーションの世界へ?

“作る”仕事につきたいと思っていましたが“何を作る”までは見えてなかったので、「デザインを学べば色んな道に通じるだろう」とデザイン学科のある大学を受験しました。でも試験に受からなくて、興味本位で受験した大阪芸術大学の映像学科に進学しました。

大学時代はどんな学生でしたか?

私立の大学に通うなら家から通うのが条件だったので、片道2時間半、往復5時間移動に費やしていました。大変でしたが、ここまでして通わせてもらっているのだから、「絶対に元を取ろう」と、課題を頑張っていました。

往復5時間はすごい!すごく努力されたんですね。そこから今のお仕事へはどう繋がっていったのですか?

大学でアニメーション制作の授業を受けて、動かないものが動く工程が面白いと感じました。また実写の現場で大勢の人の中で立ち回るより、一人でコツコツ作業するアニメーションの方が性に合っていると思ったので、アニメーションの世界へ行きたいと思うようになりました。

現在の仕事を始めるきっかけはありましたか?

大学卒業後アルバイトしながら自主制作した『カッポロピッタ~まんまくいねい~』です。アニメーション制作を仕事にしたかったけれど、アニメーターになれるほどの技術がないのは分かっていました。だから、ひとまず自分にできることを沢山の人に観てもらって、お仕事につながればいいなと思い片っ端からコンテストに出したら、運よく色々お声がけいただいて今の仕事に繋がりました。

さまざまなジャンルの作品から学びを

松村さんの代表作を教えてください

絵本【ちびっこみならい サンタのタンタ】

MV【夢をみないかい?】

WOWOWオリジナルアニメーション【魔法食堂チャラポンタン】

松村さんにとってターニングポイントとなった作品はなんですか?

  • WOWOWオリジナルアニメーション【魔法食堂チャラポンタン】
  • テレビアニメーション【ふうせんいぬティニー】
  • 絵本【ショボリン】
  • 絵本【ちびっこみならい サンタのタンタ】

の4作品です。

その仕事には、どんな“学び”がありましたか?

WOWOWオリジナルアニメーション【魔法食堂チャラポンタン】

原案、監督、アニメーション制作を担当した作品です。TVアニメーション制作のことを何も知らない状態で大阪から上京して、TVアニメのできるまでの過程をこの作品で学ばせていただきました。今思うと、本当に何も知らなかった私に、よく任せてくれたものだとプロデューサーの長谷川徳司さんの勇気に感謝です。

テレビアニメーション【ふうせんいぬティニー】

稲葉大樹監督のもとで、演出とアニメーションを担当させていただいた作品です。初めてのチーム制作で、自分にない引き出しや、自分では気が付いていなかった得意なこと、コミュニケーションの難しさと大切さなど、多くのことを勉強できました。また、友達がたくさんできたのも嬉しかったです。

絵本【ショボリン】

絵本【ちびっこみならい サンタのタンタ】

アニメーションとは見せ方や構成の仕方が全然違って、何がどう違うのか滅茶苦茶頭を悩ませた作品です。それまで「こうやった方がなんかいい感じがする…」とフワッとしていたアニメーションでの演出意図をしっかり自覚できるようになりました。絵本のお仕事ももっとできるように頑張りたいです。

いろんな作品から、いろんなことをそれぞれ学ばれたんですね。逆に仕事で失敗したことはありますか?

仕事で失敗すると沢山の方にご迷惑がかかるので、自分の力量では対応できるか微妙なお仕事は全力で避けてきました。しかし思い切って挑戦してみたら、失敗してもなんやかんや、成長できたのではないかという葛藤もあります。失敗を恐れないで挑戦できる度胸が欲しいです。

失敗を恐れずに挑戦…確かに難しいところですよね。松村さんが仕事で一番感動する瞬間はどんな時ですか?

キャラクターが歩いたり、モグモグご飯食べたり、画面の向こう側で生きているみたいに動かせたときは楽しいです。作品のご感想をいただけた時はいつも小躍りするくらい嬉しくなりますし、1週間くらいウキウキで過ごせます!

松村さんが仕事で大切にしている事を教えてください。

お仕事では、クライアントさんが何を求めて、どういったものを作って欲しいのかを、早めに見極められるように頑張っています。そしてその中で自分なりのテーマを設けて進めていくようにしています。なかなか難しいんですけどね…。

愛用PCは知人が組んだオリジナル

現在、どんなPCや周辺機器を愛用していますか?

CPU AMD Ryzen 7 5800X 8-Core Processor 3.80 GHz
メモリ 64.0 GB
ストレージ 8TB
モニターインチ数 27インチ
ペンタブレットetc Wacom Cintiq Pro 24、Wacom Pro Pen 2

PCや周辺機器を選ぶ際の基準を教えてください。

パソコンは知り合いの会社で予算と希望を伝えていつも組んでもらっています。アニメーションのレンダリングに一番時間がとられるので、そこを時短できるようにお願いしています。

やりたいことは言葉にして発信する!

松村さんにとって“クリエイター仕事道”とはなんですか?

自分に何ができるのか、何が向いているのか、いまだによくわからずフラフラしていますが、そういうものは周りの人たちが見出だしてくれるはず!と信じて生きています。

クリエイターを目指す若者たちにメッセージをお願いします!

「やりたいことは、言葉にして沢山の人に話していると、人がチャンスを運んでくれる」という大学時代の恩師の言葉は本当だったので、ぜひ実行してみてください。

松村さん、ありがとうございました!

お菓子もアニメも“モノ作り”

幼少の頃はお菓子作りに興味を持ち、そこから“モノ作り”に没頭した松村さん。漠然と美術系の大学へ進学するも、授業でのアニメーション制作によりその魅力にハマり、そのままアニメーション作家として活躍しています。仕事をする上で、大切していることは相手を思いやること。実直に成長しようとする姿が素敵ですね。

クリエイタープロフィール

松村麻郁さん
アニメーション作家
1979年生まれ。大阪芸術大学映像学科卒業。
黒を基調としつつ鮮やかな色彩あふれる作風が持ち味。ロマンチックな世界から毒のあるキャラクター、つばを飲み込む料理のイラストなどが得意。キャラクターデザイン・イラスト・絵本・アニメーション制作などを手がける。
2003年 『カッポロピッタ~まんまくいねい~』 を発表。国内外で各賞を受賞。この作品をきっかけにフリーとして活動を始める。2006年より活動の場を東京へ。11月より初のテレビシリーズ『魔法食堂チャラポンタン』をWOWOWにて放送。2007年4月より全13話を収録したDVDを発売。2013年『ショボリン』2017年『わがままみならいサンタのタンタ』絵本を出版。

ライタープロフィール パソコン工房NEXMAG [ネクスマグ] 編集部

パソコンでできるこんなことやあんなこと、便利な使い方など、様々なパソコン活用方法が「わかる !」「みつかる!」記事を書いています。

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