どうしたら憧れのクリエイターになれるのか? その秘密を現役で活躍するクリエイターに直接聞いちゃう『クリエイター仕事道』。今回のゲストはイラストレーター・アニメーション作家として活躍する植草航さんです。「やさしいマーチ-The Tender March-」が第15回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門新人賞を受賞した植草さんに、作品作りで大切にしていることを伺いました。

クリエイター最終更新日: 20220401

アニメーション作家:自分の「好き」と「感性」に自信を持って突き進む

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どうしたら憧れのクリエイターになれるのか? その秘密を現役で活躍するクリエイターに直接聞いちゃう『クリエイター仕事道』。今回のゲストはイラストレーター・アニメーション作家として活躍する植草航さんです。大学院修了制作「やさしいマーチ-The Tender March-」が第15回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門新人賞を受賞した植草さん。アニメーション作りには自分自身とのシンクロ感を大切にしているそうです。そんな植草さんに、作品作りで大切にしていることを伺いました。

植草さんが携わった作品

2020年に開催された個展のために描いた「送り返された手紙」。

モンスター好きの植草さんによる架空のキャラクター「生き物」。

授業中に閃いた、夢への原点

植草さんは子供の頃、大人になったらどんな仕事がしたいと思っていましたか?

小さい頃からゲームが大好きだったので、ゲームに関われる仕事に憧れていました。

ゲームの世界に憧れて、どんな学校に進学しましたか?

高校生の頃まで、なかなか「絵を描きたい」と他人に言えませんでした。そこで当時入部していた美術部の顧問の先生に相談したところ、美術予備校を勧められて通い始めたことがきっかけで美術系の大学を目指すようになりました。高校卒業後は、東京工芸大学芸術学部アニメーション学科に進学し、その後、東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻へと進学しました。

無事美術系の大学へ進学し、そこではどんな学生生活を送りましたか?

インターネットの世界に没頭しながら絵を描いていました。インターネット経緯で知り合った友人が実は同じ大学に通っていたり、同じコンテストで一緒になったりなど、知らず知らずのうちに友達になって、そうやって作家仲間とゲームで遊んだりしていました。

そこから、今の仕事を意識するようになったきっかけはありましたか?

昔からモンスターなどのキャラクターを描く事が大好きで、その延長線で現在があります。ゲームが原点ではあるのですが「お絵描き掲示板」の存在が大きく、そこで素敵な作品を見たり、自分も参加したりしていくうちに、それまで自信が持てずにいた“何かを作る”という事に肯定的になるきっかけをもらえました。そして、高校生の時の授業中ふと「絵で挑戦してみようかな…」と思ったことが原点で、その瞬間を今でも覚えています。

具体的に仕事として発展したのは、どんな経緯がありましたか?

キャラクターのイラストはずっと好きで描いていたのですが、キャラクターに動きを加えて個性を出したい、一つの作品にできるだけ情報量を加え、時間をかけて良い物を作りたい、という気持ちからアニメーションの手法に挑戦するようになりました。また、そこからアニメーションの中に存在する時間軸を使って作品を作りたい、という気持ちから音楽とのシンクロを意識した作品も作り始めるようになりました。

自分と作品のシンクロ度を意識する

植草さんの代表作を教えてください

  • 「向ヶ丘千里はただ見つめていたのだった」
  • 「やさしいマーチ」
  • カラスは真っ白「fake!fake!」MV
  • 「せいぜいがんばれ!魔法少女くるみ」
  • 有形ランペイジ「QUI feat.mami」MV
  • Snail’s House「SUPERGIRL」MV

植草さんにとってターニングポイントとなった作品はなんですか?

「向ヶ丘千里はただ見つめていたのだった」と「やさしいマーチ」です。

「向ヶ丘千里はただ見つめていたのだった」

「やさしいマーチ」

その仕事には、どんな“学び”がありましたか?

「向ヶ丘千里はただ見つめていたのだった」はアニメーションの中に存在する時間軸を初めて意識した作品で、それまで苦手だった人間の話を作ろうと挑戦した作品でもありました。その次の作品「やさしいマーチ」では、それまでのテーマを更に発展させて、音楽とストーリーの構成のシンクロを目指した作品でした。どちらも自分の原点を作っている作品です。

新しい試みがあったんですね。逆に仕事で失敗したことはありますか?

毎日が失敗の連続で自分の精神を試されていますが、ありがたい事にお仕事を続けられているという事が本当に希望だと思います。そういった意味で、自分に負担をかけすぎて体を壊して入院した時は本当に気を付けよう…。と思いました。マイペースに長く続けられるように頑張りたいです。

植草さんが仕事で一番感動する瞬間はどんな時ですか?

もちろん作品を発表して、それを見て下さった方が喜んでいる姿を見た時がこの上なく一番嬉しいです。それから、作品を一緒に作っているスタッフさんから送られてきた作画など見る時も物凄く感動しますね。

植草さんが仕事で大切にしている事を教えてください。

作品を見て下さった方がその作品を通して喜んでくれる事です。制作時は作品と自分のシンクロ度を上げて取り組みたいと思っています。

恩師に組み立ててもらったオリジナルPC

現在、どんなPCや周辺機器を愛用していますか?

デスクトップPC

CPU AMD Ryzen 9 3900X
メモリ 64GB
GPU NVIDIA GeForce RTX2070Super

ペンタブレット
Wacom Cintiq 24HD

モニター
acer 27インチディスプレイ(B277)

PCや周辺機器を選ぶ際の基準を教えてください。

あまりPCに知識がなかったので、大学時代の先生に組んでいただきました。私の仕事は長時間の作業になるので、自分の手の大きさに合う液晶タブレットで書いたり、肘当て用にパームレストを置いて肘を傷めないようにしたりしています。

植草さんなりの裏技などはありますか?

全てではないのですが、たまに自分で紙に絵の具で質感のテクスチャを制作したり、流れる水や雲の早送り動画などの写真や動画から素材を制作したりしています。最近好きだったのは濡れ雑巾でPCのディスプレイを拭いたときにできる虹色の水滴の素材なのですが、なかなか使う機会が無いので近いうちにどこかで使いたいです。

クリエイティブは、愛を持って取り組むこと

植草さんにとって“クリエイター仕事道”とはなんですか?

「愛を持って取り組む事」と「継続する事」を自分は大切にしています。

クリエイターを目指す若者たちにメッセージをお願いします!

目の前のことに一生懸命になる事と、物事に対する愛が大切だと思うので「好き」をたくさん増やして自分の感性に自信を持ってモノづくりができたら良いなと思います。自分もそうなりたいです。

植草さん、ありがとうございました!

「愛」と「好き」に自信を持つ!

高校の授業中に決心したアニメーション作家への道。そこから実直に夢へ突き進み、現在活躍中の植草さん。モノ作りには「愛」と「好き」が大切だということですね。自分の好きなこと、感性に自信を持って夢を追いかけましょう!

クリエイタープロフィール

植草航さん
イラストレーター・アニメーション作家
1987年生まれ。東京工芸大学卒業後、東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻を修了。大学院修了制作「やさしいマーチ-The Tender March-」が第15回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門新人賞受賞。ゲーム会社に勤務した後、フリーランスを経て2017年よりPie in the skyに所属。
HP:https://bansoukou.org/
Twitter:https://mobile.twitter.com/WATARU336

ライタープロフィール パソコン工房NEXMAG [ネクスマグ] 編集部

パソコンでできるこんなことやあんなこと、便利な使い方など、様々なパソコン活用方法が「わかる!」「みつかる!」記事を書いています。

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