どうしたら憧れのクリエイターになれるのか? その秘密を現役で活躍するクリエイターに直接聞いちゃう『クリエイター仕事道』。ゲストはアニメーション作家の土屋萌児さんです。美術系専門学校中退後、精力的な創作活動と、独特の切り絵を使った作品が話題を呼んでいます。

クリエイター最終更新日: 20220401

アニメーション作家:アウトプットがきっかけで広がった仕事の輪

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どうしたら憧れのクリエイターになれるのか? その秘密を現役で活躍するクリエイターに直接聞いちゃう『クリエイター仕事道』。今回のゲストはアニメーション作家の土屋萌児さんです。美術系専門学校を中退するも、精力的な創作活動と、独特の切り絵を使った作品が話題を呼び、じわじわと仕事が増えていったそうです。その作品作りには、予定とアドリブのバランスが大事なんだとか。

土屋さんが携わった作品

中山うりのMV『青春おじいさん』。自転車に乗った青春おじさんが、街や橋を駆け抜けるシーンを切り絵アニメーションで表現しています。

韓国の3ピースバンド・SE SONEONのMV 『A Long Dream』。人々の日常が、ワンカットの切り絵アニメーションで表現されています。

専門学校中退がきっかけで本当にやりたいことに向き合う

土屋さんが子供の頃になりたかった職業とはどんなものでしたか?

漫画家、ミュージシャン、映画監督、ゴミの収集車の人、などでした。

色々な事へ興味が移ろいやすい性格でしたが、小学校1年から4年間かけて「ちび人間」というぶ厚い漫画を描いていた事もありました。

根底には漫画への憧れがあったんですね。そこから、どんな学校に進学しましたか?

阿佐ヶ谷美術専門学校に入学しました。

専門学校時代はどんな学生生活を送りましたか?

学校は一年で辞めてしまいましたが、在学中にノーマン・マクラレン、ヤン・シュヴァンクマイエル、辻直之などの映像作品に触れた事が自分の視野を広げてくれました。

あと友人達と砂浜に大きな地上絵を描く活動などをしていましたね。

そうだったんですね!そこから、アニメーション作家を目指すきっかけは?

学校を辞めた後に課題ではなく自分の内側からの創作欲求と向き合う事になりました。

興味のある表現方法を一つ一つ試していくうちに、絵に時間軸がプラスされた「アニメーション」という手法に興味がある事に気がつきました。

最初に作ったアニメーションを見た友人が「面白い!」と言ってくれました。感覚を信頼している人からのリアクションが嬉しかったですね。

それから持っていたビデオカメラで、思い付くままに年に数本のペースで切り絵アニメーションを作る日々が始まりました。

とにかく表現していったんですね。仕事としてアニメーション作家を意識するようになったのはいつ頃ですか?

作品を作っては発表しているうちに依頼して頂ける機会が少しずつ増えていき、周りの人の協力も得ながら長い年月をかけてゆっくりと仕事になっていきました。

MVがディレクターの目にとまり、テレビの仕事をするきっかけに

土屋さんの代表作を教えてください

中山うりのMV『青春おじいさん』、そしてSE SONEONのMV 『A Long Dream』です。

『A Long Dream』の制作風景。緻密で繊細な切り絵を、作っています。『A Long Dream』の制作風景。緻密で繊細な切り絵を、作っています。

その他では、NHK Eテレ『シャキーン!』のアニメーションシリーズ「惑星兄弟」「惑星家族」等だと思います。

ターニングポイントとなった作品はありますか?を教えてください

ひとつ挙げるとしたら中山うりのMV『青春おじいさん』です。

膨大な時間をかけて貼り絵をしていき、風景がどんどん変わってゆく様を核としたコマ撮りアニメーションです。それまで試した事のない作り方だったので多くの発見がありました。特に海外からのリアクションが多くて、とても驚きました!

その作品から、何か得られたことはありましたか?

そのMVを当時、子供番組のディレクターをしていた方が見て、連絡をくれた事です。自分自身のキャリアのなかで、大きな転機となりました。

そこから仕事が広がっていったんですね!逆に失敗をしたことはありますか?

ノートパソコンにコーヒーをこぼした事です…(苦笑)。

それはショックですね。土屋さんが仕事で一番感動する瞬間はどんな時ですか?

作品を制作していて「自分が最初の目撃者」という実感が湧いた時はすごく嬉しいです。今までやってきた事の中にまだ試していない領域を見つけてそれを実践している時、そして見てくれた人にその姿勢などが伝わった時も嬉しいです。

土屋さんが仕事をする上で、大切にしていることを教えてください。

自分の作風に限ったことかもしれませんが、あらかじめある程度決める部分とアドリブ的な要素の両方が大事だと思うようになりました。締め切りがある中でペース配分と同時にアドリブができるような気持ちのバランスを意識しています。

あと、考えをまとめてからしゃべる事が苦手なので打ち合わせや発表の前はどこかで一人で喋っています。レコーダーを使って聞き返すこともあります。

コーヒーをこぼしてからはデスクトップに

現在、どんなPCや周辺機器を愛用していますか?

21.5インチモニターとデスクトップPCを使用しています。

PCや周辺機器を選ぶ際の基準を教えてください。

ノートパソコンにコーヒーをこぼしてからはデスクトップパソコンを選ぶようになりました。モニターのライトモードとダークモードが選べるのですが、ダークモードは眩しくないので気に入っています。

大切なのは「作りたい!」という気持ち

土屋さんにとって“クリエイター仕事道”とはなんですか?

自分にとっては作りたいという強い気持ちが何より大切だと思います。その気持ちがあるから作品作りが続いています。

内容やクオリティも大事ですが、ゾワゾワと訴えかけるようなものや創作のエネルギーを感じるものが見たいし作りたいですね。

クリエイターを目指す若者たちにメッセージをお願いします!

何をどう伝えたら良いのかわからないと思ったのですが、現在僕は36歳でこの歳になってみて気づいた事もあるのでお伝えします。

それは、その時にしか作れないものをのめり込んで作り上げた作品やプロセスが、後に活きてくること。その時は関係なく思えても、物を作る上では後からすごい価値のあるインプットになったりするんです。とにかく、夢中になって作品を作ってください。

土屋さん、ありがとうございました!

アウトプットでチャンスを掴もう!

美術系専門学校を中退したことで、本当にやりたかったことと向き合った土屋さん。その間も作品作りを続け、発表していったことで、仕事に繋がっていきました。夢中になって作った作品は、アウトプットすることで誰かの目にとまるかもしれません。今はアウトプットの場が無限にあるので、多くの人たちにどんどん見てもらいましょう!

クリエイタープロフィール

土屋萌児さん
アニメーション作家
1984年東京生まれ。
貼り絵、切り絵、ドローイング、コピーなどを駆使したアニメーション作品を制作している。中山うり『青春おじいさん』SE SO NEON『A Long Dream』などのMVやNHK Eテレ『シャキーン!』の「ハッタケさん」「惑星兄弟」などのアニメーションシリーズを手がける。
HP:https://hojitsuchiya.tumblr.com/
Twitter:https://twitter.com/oooooooooish/

ライタープロフィール パソコン工房NEXMAG [ネクスマグ] 編集部

パソコンでできるこんなことやあんなこと、便利な使い方など、様々なパソコン活用方法が「わかる!」「みつかる!」記事を書いています。

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