アクセス解析ツール「Google Analytics(以下「GA」)」の必要性や、ツール活用を通じてのWebサイト改善方法ついて解説。GAをまだ利用したことがないユーザーやこれからGAを始めるユーザーが、最初に読んでほしい内容となっています。Webアナリストとして活動し、GAを解説する各種著作を複数手がける小川卓さんが解説します。 ※ 本内容は、2021年3月時点に基づきます。

最終更新日: 20210406

Google Analyticsを通じて、知っておきたいWebマーケティングの知識

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ここでは、アクセス解析ツール「Google Analytics(以下「GA」)」の必要性や、ツール活用を通じてのWebサイト改善方法ついて解説します。GAをまだ利用したことがないユーザーやこれからGAを始めるユーザーが、最初に読んでほしい内容となっています。Webアナリストとして活動し、GAを解説する各種著作を複数手がける小川卓さんが解説します。
※ GAは随時、機能追加やレポート画面のレイアウト変更などが行われます。本内容は、2021年3月時点に基づきます。

なぜアクセス解析ツールのデータを見るべきなのか?

みなさんが所属する企業、組織、チームでは、誰が「企業内(組織内、チーム内)のお金の出入り」を見ていますか? 小さな会社であれば社長自身だったり、10人を超える会社であれば経理部門があるでしょう。会社の健康状況を表す重要な内容ですから、必ずチェックする人がいるはずです。

では、ほぼすべての企業が持っており、収益の源になっている「Webサイト」の数値は、誰が見ているでしょうか? 場合によっては、誰も見ていなかったり、解析結果の見方がわからないままかもしれません。

特にコロナ禍では、外での買い物やレジャーを控える人が増え、Webサイトの重要性は増しています。Webサイト利用者がWebサイトに求める情報や行動も変わってきました。そうした自社の取り組みの評価に必要なのが、アクセス解析ツールです。

訪問ユーザーが、どこから自社のWebサイトに訪れて、どのようなコンテンツをチェックして、成果につながったのか。これを理解するためには、アクセス解析ツールを活用してWebサイト分析の目を養う必要があります。

アクセス解析で課題の理由を特定する

特に、企業のWeb担当者や、Webサイト更新などに携わる人なら、下のような状況に遭遇しているのではないでしょうか?

「何となくトップページの画像が気に入らないから、修正してほしい(と、上司に言われた)」

「Webサイトは作ったけれど、お知らせしか更新できていない」

「数年に1回はリニューアルを行い、大きくWebサイトを変えてしまう」

「コンテンツを作って公開しているが、その効果がわからない」

こうした声に左右されるのは、アクセス解析を活用せずに「何となく」「根拠なく」Webサイト運営を行っている証しとも言えます。アクセス解析からユーザーのことを知れば、Webサイト運営が生まれ変わるはずです。以下のような声が出てくると一歩前進です。

「Webサイトで課題のページを特定して、改善策を考える」

「公開したコンテンツの効果を計測して、ユーザーやビジネス側が必要なコンテンツのテーマを選定する」

「リニューアルを行わずとも、継続的にWebサイトの改善施策を見つけられる」

「自社で行っているマーケティング活動の成果を確認できる」

当てずっぽうの治療をやめて、アクセス解析の活用を通じて健康診断を行い、適切に治療しましょう。

 各担当者にとってGoogle Analyticsが必要な理由

アクセス解析ツールに関する知識は、Webサイトに関わる全員にとって必要な知識です。立場別で整理すると以下の図になります。

中でもアクセス解析ツールの代表格が、Google社が提供している「Google Analytics(アナリティクス)」です。GAは、みなさんのWebサイトにも導入されている可能性が高い、世界でも日本でも最もシェアが大きいアクセス解析ツールです。

これほど人気なのは3つの理由がある、と筆者は考えています。

1 無料で利用できる

GAは相当大規模なWebサイトではない限り(月間1,000万ページビューを超えるようなWebサイト)、無料でほぼすべての機能が利用できます。そのため、導入のハードルが比較的低いです。

2 機能が豊富である

無料だからといって、他の有料アクセス解析ツールと機能面に大きな差がありません。逆に機能が豊富すぎて戸惑うユーザーも多いくらいです。

3 リソースが豊富である

Google公式のヘルプページや掲示板(ヘルプフォーラム)が用意されています。GAの書籍(筆者も何冊か出しています)やオンラインセミナーなども多数開講されています。学びやすい環境があるのは、ツールの利用者増加に貢献しています。

なおGAには、2021年3月時点で2つのバージョンが用意されており、どちらも利用可能です(併用も可能です)。

Google アナリティクス(通称:ユニバーサルアナリティクス)
以前から存在するバージョン。機能が充実し、リソースも豊富。ただしGA4の登場で、今後のバージョンアップはほぼ行われないと予想されます。

Google アナリティクス 4 (通称:GA4)
2020年11月に本リリースされた新しいGoogle アナリティクス。機能的に優れている部分は多いが、まだ不完全な部分も多く、現状はリソースが非常に少ない。しかし、今後数年間でこちらが主流になっていきます。

2021年3月時点では、みなさんが関わるWebサイトに導入されているGAはユニバーサルアナリティクス(GA4ではなく旧GA)の可能性が高いです。

※GA(ユニバーサルアナリティクス)とGA4の違いの詳細を知りたい方は、筆者が執筆した、NEXMAGの別コンテンツが参考になるでしょう。

“新登場Google Analytics 4解説。旧バージョンとの違いは? | パソコン工房 NEXMAG”.パソコン工房 NEXMAG.2020.
https://www.pc-koubou.jp/magazine/45757

GAを通じての分析と改善について

では、GAを利用してどのようにWebサイトの分析と改善を行うといいでしょうか? ここからは、Webサイトの分析と改善プロセスを紹介します。大きな流れは下の図の通りです。

それぞれのプロセス(①〜⑧)について解説します。

①目標設定

はじめに、Webサイトで来訪ユーザーに実現してほしいことを定義しましょう。例えば、オンラインで商品を販売しているWebサイトであれば「商品購入」、システムやサービスを提供している会社であれば「問い合わせ」や「サービスの申し込み」、企業サイトであれば「採用の申し込み」や「プレスリリースの確認」などが考えられます。

Webサイトを分析する目的は、「Webサイトを改善すること」です。そのために必要なのは「何」を改善したいか、です。この「何」が、Webサイトにおける「目標」になります。

②KPI設定

目標を「登る山」に例えるなら、KPI(重要業績評価指標)は「登り方」を決める考え方です。目標に辿りつく方法は多種多様です。例えば「集客」なら、検索エンジン・リスティング広告・SNS・アフィリエイト・メールなどの手段が想定できますし、Webサイト内改善であれば、使いやすさの改善・コンテンツ追加・フォームやカートの修正など、さまざまな場所が候補となります。すべてを実現できればいいのですが、人・時間・予算の問題で実現できないことのほうが多いでしょう。

つまりKPI設定とは、目標達成の戦略を決めることを意味します。経営者や意思決定者と議論しながら、方針を一緒に決めましょう。

③集計

GAの設定を行ってデータを集める段階です。本記事ではGAが前提ですが、他にも必要なデータがある場合も多いでしょう。例えば、広告配信サービス側のデータ、自社の売上に関する情報などです。

④分析

GAであれば、各種レポートを確認しながらユーザーに対する気づきを発見していくフェーズです。下はGAのレポート画面のサンプルです。

GAで各ページの閲覧状況、成果について確認する

GAのレポート画面を見た結果、例えば、以下の気づきを発見したとします。

1 ECサイトで「スタッフのオススメ」「ランキング」「新着」の3つの商品紹介コーナーのうち、「ランキング」がもっとも購買につながっている

2 商品が多数ある中、実際の購入ユーザーの結果が反映されている「ランキング形式」が対象サイトのユーザーとは相性がいいようだ

これらの気づきを活かして、具体的に施策を検討します。

⑤施策検討

データから得られた気づきをもとに、改善案を考えます。例えば「ランキング」の効果が高いなら、より多くの人に「ランキング」を見てもらえたほうがいいでしょう。流入がもっとも多い「ランキング」コンテンツがトップページの下部に配置されている場合、ファーストビューで目に触れやすい上部に持ってきて、より大勢のユーザーの目に触れる形に改善するのがよさそうです。

⑥施策実施

ページのレイアウトを修正して反映しましょう。実行する前に、どの数値を見て効果を測定するかを決めておきます。今回の場合は、「ランキングをクリックしてくれた回数」「ランキングページから生まれた売上」になりそうですね。

⑦結果確認

GAを使って結果を確認します。例えば、実行2週間前後で比較して見たところ、以下のような結果になっていました。

指標 実施前 実施後
トップページ訪問数 1万 1万
ランキングへのクリック数 300 700
ランキング経由の売上(税込) 100万円 140万円

どうやらクリック数が増え、ランキング経由の売上も伸びたようです。(他のページの変更や影響がなければ、)この売上の増加(税込40万円)は「トップページのレイアウトを修正したおかげ」と言えそうです。

⑧要因特定

結果が出ても出なくても、データをもう少し見ておく必要があります。

例えば、

_各デバイス別でも同じような効果なのか?

(パソコンとスマートフォンではレイアウトが違うので、効果の度合いが異なる可能性があります)

_新規とリピートで比較したときにも同じくらいの改善率になっているのか?

etc.

データを深堀りすることで、新たな気づきや次の改善施策につながる可能性があります。改善例として、

「ランキングの効果があることはわかったので、メールマガジンでも案内してみよう」

「新規訪問ユーザーにはほぼ効果がなかったので、次は“初めての方へ”という案内コンテンツを試してみよう」

etc.

といった形です。

このような活動を繰り返すことで、Webサイトを改善に導くことができます。GAを使って健康診断を行い、その治療方法を考えるのがツールを利用するみなさん(=お医者さん)の役割です。どういった健康状態(=目標)を目指すのか? 治療方針(=KPI)を決めて、改善に向かっていきましょう。

成果を出すためにGAを使いこなそう!

以上、GAはWebサイトを訪れる人を理解する上で大切なツールです。確かに、アクセス解析をせずとも、Webサイトの運用やマーケティングの施策の実行は可能です。しかし、本来施策や運用は「実施」が目的ではなく「成果を出すこと」が目的のはずです。アクセス解析ツールを活用して、より確実に効率よくWebサイト分析および改善にチャレンジしましょう。

※ GA(ユニバーサルアナリティクス)を学びたいユーザーは、筆者の書籍『いちばんやさしい Googleアナリティクス 入門教室』も参考になるでしょう。

“いちばんやさしい Googleアナリティクス 入門教室“.Amazon.2019.
https://www.amazon.co.jp/dp/4800712335/

ライタープロフィール 小川卓

Webアナリストとしてリクルート、サイバーエージェント、アマゾンジャパンなどで勤務後、独立。複数社の社外取締役、大学院の客員教授などを通じてWeb解析の啓発・浸透に従事。株式会社HAPPY ANALYTICS代表取締役。主な著書に『ウェブ分析論』『ウェブ分析レポーティング講座』『マンガでわかるウェブ分析』『Webサイト分析・改善の教科書』『あなたのアクセスはいつも誰かに見られている』『「やりたいこと」からパッと引ける Google アナリティクス 分析・改善のすべてがわかる本』など。

https://www.takuogawa.com/

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