どうしたら憧れのクリエイターになれるのか? その秘密を現役で活躍するクリエイターに直接聞いちゃう『クリエイター仕事道』。今回のゲストは広告クリエイターの間山マミーさんです。

クリエイター最終更新日: 20220222

広告クリエイター:地方拠点だからこそ、広がる技術、知識、縁、そして仕事

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どうしたら憧れのクリエイターになれるのか? その秘密を現役で活躍するクリエイターに直接聞いちゃう『クリエイター仕事道』。今回のゲストは広告クリエイターの間山マミーさんです。青森県に拠点を置き、地元企業や公共の仕事をしている間山さん。地方だからこそ、多岐にわたるクリエイティブを行なっています。そこには「受け入れる」という間山さんの仕事道がありました。

間山さんが携わった作品

青森テレビのキャラクター『山田じん子ちゃん』。りんごが好き、虫が嫌いな開局当時よりずうっといる秘密社員です。

青森県・健やか力向上推進キャラクター『マモルさん』。最近肥満が気になり始めた働き盛りの中年男性です。

バイト時代の縁が、今の仕事につながる

間山さんが子供の頃に憧れていたのは、どんな仕事ですか?

小学校の卒業アルバムを見返してみたら「ロードレーサー」と書いてありました(笑)。ちょっと大きくなってからはプロレスラーになりたかったです。もちろん大人になった今でもオートバイは好きで乗っているし、プロレスも大好きですが、子供の頃からそれらと同じくらい絵を描くのが好きでした。でも、その頃はまだ「イラストレーター」や「デザイナー」という職業があることすら知りませんでした。

ロードレーサーやプロレスラーになりたかったのに、なぜクリエイターの道へ?

大学受験に失敗し、なんだか「そのまま就職していいのかなぁ…」と思い、専門学校に進学しました。その学校では「マスコミ・広報学科」という学科に入学し、初めて“広告”というものを学びました。なんとな〜く、たまたまその学校に入学したことが、テレビっ子でコマーシャルも大好きだった僕にとっては衝撃的で運命的な、そしてこれからの人生を決める大きな出来事でした。ここで初めて「イラストレーター」や「デザイナー」という職業、さらに“広告”というモノに触れました。

専門学校生時代はどんな学生でしたか?

それまで広告を学んだということはなかったのですが、テレビ大好きっ子だっただけあって、いろんな広告のキャッチコピーやデザイン、CMなんかが勝手に頭にインプットされていたんです!なので授業の課題もなんだかすんなり、溢れるように出てきていました。多分あの頃が僕の絶頂期です(笑)。ただ、僕のわがままで進学させてもらったので、親からの仕送りはなしという条件でした。だから授業以外は、バイトばっかりしていました。そして、そのバイト先でまた運命が動き出すのです(笑)!!

その運命について教えてください!

いろんなバイトを経験しましたが、ショップでバイトしているとPOP(販促用ツール)を描いたりすることもあるんです。とあるチェーン店の支店で、商品コピーとイラストを手描きで描いているうちに、社長から注目されてチェーン店全体の広告企画を任せてもらえるようになりました。30年以上経った今でもその社長とは交流があります。まさに恩人です!そして、その会社に出入りしていた広告代理店の方にデザイン会社を紹介していただき、イラストレーターとして本格的に広告業界に飛び込むことになりました。

素敵なご縁ですね!入社したデザイン会社ではどんな経験を積みましたか?

元々イラストレーターとして入社したデザイン会社ですが、地方(その時は仙台)ではなかなかひとつの仕事だけを専門にして食べていくのは難しく、イラストを描きつつもグラフィックデザインも多くこなしていました。結婚を機に地元の青森に戻り、同じくデザインの仕事をフリーランスとして始めたのですが、それだけで生活しているのは仙台時代よりももっと大変!(笑)。なので、ひとりで多くの役割をこなしていかなくては仕事になりませんでした。コピーもデザインもイラストも、その延長でアニメーションや映像の世界にも突入していったのです!

リラックスし楽しく100%の力を出す

間山さんの代表作を教えてください

地元の青森テレビのキャラクター『じん子ちゃん』、青森県・健やか力向上推進キャラクター『マモルさん』でしょうか。他には企業や公共のCM、PVなど映像の仕事も多いです。撮影もアニメーションもなんでもやっています!今では、東京や仙台の出版社からイラストの依頼や、某航空会社から東北や九州の撮影・編集依頼等もあったりと、県外の仕事も結構増えてきました。

間山さんにとって、ターニングポイントとなった作品はありますか?

20年くらい前に作った地元のスキー場・温泉のCMです。「キャラクターをアニメーションで動かしたい」という依頼で、Flash(編集部注:Macromedia Flashとしてリリースされていたアニメーション・オーサリングツール。のちのAdobe Flash)を使ってアニメーションを描きました。それが初めて本格的に製作したアニメーション作品でした。まだネット環境も今ほど発達していなかったので、本屋さんに行ってFlashの本を購入し独学で勉強しました。今となってはFlashを使うことはありませんが、アニメーションを作る工程自体は変わらないので、違うソフトを使ってもその体験は活きています。

その仕事から、得られたことはありましたか?

それまでは絵の仕事はイラストレーションがほとんどでしたが、そこからアニメーションやキャラクター製作の仕事がすごく増えました。いろんな“モノ”の動きを観察するクセもつきましたし、撮影する実写映像作品にも構図や演出の応用ができました。それから、アニメーションで何百枚も絵を描いたので、ペンタブで絵を描くスピードがすごく速くなりましたね(笑)。

仕事の幅が大きく広がったんですね。逆に仕事で失敗した経験はありますか?

PC周りの失敗なのですが、データのバックアップは大事です!仕事のデータはローカルではなく外付けのSSDやHDDに保存しているのですが、本当にバックアップだけはこまめにした方がいいです。しかも二重、三重に。明日入稿のデータが一瞬で飛んだりすることが、本当にあるのです。バックアップのバックアップも必ずしておいた方がいいです。僕はHDDへの物理的な保存と、クラウドへの保存とでダブル体制でやっています。

バックアップは大事ですね…。間山さんが仕事で一番気持ちが高まる瞬間はどんな時ですか?

デザインでもイラストでもアニメーションでも撮影でも編集でも、自分の想像を超えた“偶然”に出会ったときに高まります!それは、偶然描けた線だったり、偶然出会えた光だったり。または、その逆のパターンもあります。綿密に段取りして、計算してこなした仕事が、自分が狙った通りに仕上がった時もテンションが上がりますし、感動します。特にチームで仕事をした時は、その興奮も感動も何倍にもなりますよ。

間山さんが仕事で大切にしている事、意識している事を教えてください。

実製作に入る前に、広告の方向性をきちんと話し合って、みんなが同じ方向を向けるような雰囲気作りです。“モノづくり”は絶対に楽しい方がよい作品が生まれます。超ピリピリした現場で、ものすごく素晴らしい120点の作品を1つ作るより、楽しい現場で90点のものづくりを何度もしていきたいですし、その方が長く続くと思います。それは手を抜くってことではありません。できるだけリラックスして、関わる人全員が100点に近い実力を発揮できるようにしたいです。

仕事内容によって機器を使い分ける

現在、どんなPCや周辺機器を愛用していますか?

以前はMacを使用していましたが、このご時世で、バーチャルで体験できる6Kや8KのVRの仕事の需要が多くなってきたので、レンダリング速度等のトータルバランスを考えてWindowsに替えました。やはりNVIDIAのカードが積めるというWindowsのメリットは大きいです。モバイルワークステーションにカラーキャリブレーションされたモニターをつないで2画面で作業しています。絵の仕事はすべてiPadで作業してます。

PCや周辺機器を選ぶ際の基準を教えてください。

パソコンはハイエンドマシンでも数年経つとあっという間に昔のPCになってしまうので、3年くらいを目処に買い替えています。しかし、最近は8K素材のVRのお仕事や4K以上の撮影素材の扱いも増えてきたので、NVIDIAのQuadroやGeForce RTX 30 シリーズなどのグラフィックカードを積めるWindowsマシンに魅力を感じ、乗り替えたところです。CPUは第10世代以降のCore i9相当、メモリは64GBぐらいが最近の基準です。

間山さんが気になるスペックのパソコンはこちら

 

地方だからこそ実現できる「仕事道」

間山さんにとって“クリエイター仕事道”とはなんですか?

とにかく「受け入れる」ことかと思います。僕が生業としている広告の仕事はひとりではできません。いろんな人の意見やアイデア、世間話から不平不満まで、関係している全ての人をまず受け入れて、それを整理して膨らませて、膨らませて、波動砲の如く、かめはめ波の如く、形にしてアウトプットし、クライアントの想いをしっかり届けるのが僕の仕事道!と思っています。まず「受け入れる」ことがクリエイティブの燃料となっている気がします。

クリエイターを目指す若者たちにメッセージをお願いします!

東京でそれぞれの業種を専門で極めていくのも素晴らしいですが、僕の様に地方で「クリエイター仕事道」を歩んでいっている人もたくさんいます。地方では「イラストだけ」とか「映像だけ」とか「グラフィックデザインだけ」ではなかなか食べていくのは厳しいですが、逆にその気になれば全部のクリエイティブを自分でやることもできます。今日はイラスト描いて、明日は撮影、明後日はポスターデザインかぁ、なんてワクワクしませんか? 地方クリエイティブって考えもアリだと思います。活動拠点の候補として考えてみてはいかがでしょうか?

間山さん、ありがとうございました!

「受け入れる」ことで、多くの経験を積む

地方に拠点を置き、イラストからキャラクターデザイン、撮影まで幅広く活躍している間山さん。地方だからこそ、ジャンルを超えたクリエイティブな仕事ができることを教えてくれました。場所や、内容にこだわらず、「受け入れる」ことで多くの経験を積むことができるんですね。

クリエイタープロフィール

間山マミーさん
広告クリエイター
広告デザインプロダクション、広告代理店を経て、1996年よりフリーランス。生まれ故郷の青森県を拠点に、全国のアニメーション、イラストレーション、TV-CM、web動画などの広告を制作。屋号の「君とハミング.」は、クライアントと一緒にハミングするように楽しく一緒にモノを作っていこうという意味を込めて命名。見ている人を楽しませるためには、まず自分が楽しもう!驚こう!色々発見しよう!チャレンジしよう! HP:http://mayamamammy.com
Instagram;https://www.instagram.com/mr_hello_mammy

ライタープロフィール パソコン工房NEXMAG
[ネクスマグ] 編集部

パソコンでできるこんなことやあんなこと、便利な使い方など、様々なパソコン活用方法が「わかる!」「みつかる!」記事を書いています。

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