Radeon RX VEGA 56 Nano Editionは、Radeon R9 Nanoと同等のコンパクトサイズで性能はRadeon RX VEGA シリーズと同じというグラフィックカードを早速試してみました。

気になる製品最終更新日: 20180606

Radeon RX VEGA 56 Nano Edition 速攻ベンチマークレビュー

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こんにちは、職人5号です。 Radeon RX VEGA 56 Nano Editionは、Radeon RX VEGA シリーズの性能はそのままに、カードサイズをRadeon R9 Nano と同等のコンパクトサイズに収めた意欲的なビデオカードです。今回は Radeon RX VEGA 56 Nano Editionをいち早く入手し、速効でベンチマークテストを実行してみました。なお、Radeon RX VEGA 56 Nano Editionの入手からの時間が限られていたため、簡易的な速報としてベンチマーク結果をお届けします。

Radeon RX VEGA 56 Nano Edition の特徴

まずはRadeon RX VEGA 56 Nano Edition のスペックから簡単に見ていきましょう。

Radeon RX VEGA 56 Nano Edition、他製品との性能比較表

  Radeon RX
VEGA 56
Nano Edition
Radeon RX
VEGA 64
Radeon RX
VEGA 56
GeForce GTX
1080
GeForce GTX
1070 Ti
GeForce GTX
1070
コードネーム VEGA10 VEGA10 VEGA10 GP104
(Pascal)
GP104
(Pascal)
GP104
(Pascal)
製造プロセス 14nm 16nm
DirectX世代 12
シェーダープロセッサ数 3584基 4096基 3584基 2560基 2432基 1920基
定格クロック 1156MHz 1274MHz 1156MHz 1607MHz 1607MHz 1506MHz
ブーストクロック 1471MHz 1546MHz 1471MHz 1733MHz 1683MHz 1683MHz
メモリタイプ HBM2 GDDR5X GDDR5
メモリバス帯域幅 410GB/s 484GB/s 410GB/s 320GB/s 256GB/s 256GB/s
メモリバス幅 2048bit 2048bit 2048bit 256bit 256bit 256bit
メモリ転送レート 1.6Gbps 1.9Gbps 1.6Gbps 10Gbps 8Gbps 8Gbps
メモリ容量 8GB 8GB 8GB 8GB 8GB 8GB
接続インターフェース PCI Express 3.0 x16
補助電源 8Pin + 6Pin 8pin x2 8pin x2 8pin 8pin 8pin

他製品との性能比較表

Radeon RX VEGA 56 Nano Edition の基本的なスペックは、通常の Radeon RX VEGA 56 と同じとなっています。カードサイズが小型化されると、動作クロックが低く抑えられたり、シェーダープロセッサ数が削減されたりするなどの影響が出てしまう事も有るのですが、スペック上では、Radeon RX VEGA 56 Nano Edition では、そのような事は無さそうです。

Radeon RX VEGA 56 Nano Edition の最大の特徴は、何と言ってもRadeon R9 Nano 同等のコンパクトなサイズである事につきます。Radeon RX VEGAシリーズは高性能モデルであるため、どうしてもカードサイズが大型化していました。通常のRadeon RX VEGA シリーズが27cm程度なのに対して、 わずか17cm弱のカードサイズに収められています。

左:Radeon R9 Nano 右:Radeon RX VEGA 56 Nano Edition左:Radeon R9 Nano 右:Radeon RX VEGA 56 Nano Edition

17cm弱のコンパクトサイズ17cm弱のコンパクトサイズ

通常サイズは27cm程通常サイズは27cm程

その他、通常のRadeon RX VEGA シリーズとの違い

・背面のLEDインジケーター(GPUTach)が無い
・動作モード切替スイッチが無い
・補助電源コネクタが 8Pin + 6Pin

などが有ります。

LEDインジケーター無しLEDインジケーター無し

動作モード切替スイッチ無し動作モード切替スイッチ無し

補助電源コネクタ補助電源コネクタ

LEDインジケーター(GPU Tach)LEDインジケーター(GPU Tach)

動作モード切替スイッチ動作モード切替スイッチ

補助電源コネクタ(8Pin x2)補助電源コネクタ(8Pin x2)

Radeon RX VEGA 56 Nano Edition ベンチマーク

それでは早速Comptexで発表されたばかりの Radeon RX VEGA 56 Nano Edition の実力を見ていきましょう。比較対象として、上位モデルのRadeon RX VEGA 64と、GeForce GTX 1080・GeForce GTX 1070 Ti・GeForce GTX 1070を用意しました。なお、ベンチマークテストの解像度はベンチマークテストに依存しますが、基本的にはフルHD(1920x1080)、およびフルHDオーバーのWQHD(2560x1440)と4K(3840x2160)の設定のいずれかにて行いました。

※測定環境、測定条件は記事の最後に記述していますのでご参照ください

3D Mark「Fire Strike」

Direct X11 の代表的ベンチマークとして、3D Mark 「Fire Strike」 のGraphics Score を見てみましょう。テスト解像度は、フルHD(Fire Strike)・WQHD(Fire Strike Extreme)・4K(Fire Strike Ultra)となります。

解像度フルHD(Fire Strike)にてRadeon RX VEGA 56 Nano Editionのベンチマーク結果フルHD(Fire Strike)にてRadeon RX VEGA 56 Nano Editionのベンチマーク結果

WQHD(Fire Strike Extreme)にてRadeon RX VEGA 56 Nano Editionのベンチマーク結果WQHD(Fire Strike Extreme)にてRadeon RX VEGA 56 Nano Editionのベンチマーク結果

4K(Fire Strike Ultra)にてRadeon RX VEGA 56 Nano Editionのベンチマーク結果4K(Fire Strike Ultra)にてRadeon RX VEGA 56 Nano Editionのベンチマーク結果

Radeon RX VEGA 56 の名前通り、GeForce GTX 1070 とは互角以上で、むしろGeForce GTX 1070 Ti にも迫るスコアとなっています。コンパクト化による性能ロスは無いようです。

3D Mark「Time Spy」

次いで、Direct X12の代表的ベンチマークとして、3D Mark 「Time Spy」 のGraphics Score を見てみましょう。テスト解像度は、WQHD(Time Spy)・4K(Time Spy Extreme)となります。

WQHD(Time Spy)にてRadeon RX VEGA 56 Nano Editionのベンチマーク結果WQHD(Time Spy)にてRadeon RX VEGA 56 Nano Editionのベンチマーク結果

4K(Time Spy Extreme)にてRadeon RX VEGA 56 Nano Editionのベンチマーク結果4K(Time Spy Extreme)にてRadeon RX VEGA 56 Nano Editionのベンチマーク結果

Direct X12 世代のTime Spyの結果も、Direct X11 世代のFire Strikeと似たような傾向となっています。ちょっと気になったのですが、Radeon RX VEGA シリーズはWQHDの解像度が苦手なのか、Full HDや4Kといった解像度と比べると、Fire StrikeでもTime SpyでもGeForce GTX 10シリーズとの差がやや広がっている様に見えます。

FINAL FANTASY XIV: 紅蓮のリべレーター

3D Markに続いて、実ゲームタイトルでの代表的ベンチマークテストとして、FINAL FANTASY XIV および FINAL FANTASY XV のベンチマーク結果を見てみましょう。テスト環境設定は、最高品質・フルスクリーンモード 、またテスト解像度は、フルHD・WQHD・4Kとなります。

フルHD 最高品質(FF14)にてRadeon RX VEGA 56 Nano Editionのベンチマーク結果フルHD 最高品質(FF14)にてRadeon RX VEGA 56 Nano Editionのベンチマーク結果

WQHD 最高品質(FF14)にてRadeon RX VEGA 56 Nano Editionのベンチマーク結果WQHD 最高品質(FF14)にてRadeon RX VEGA 56 Nano Editionのベンチマーク結果

4K 最高品質(FF14)にてRadeon RX VEGA 56 Nano Editionのベンチマーク結果4K 最高品質(FF14)にてRadeon RX VEGA 56 Nano Editionのベンチマーク結果

FINAL FANTASY XIVがNVIDIA GameWorksを使用している事も影響しているのか、3D Mark とは異なり Radeon RX VEGA 64でもGeForce GTX 1070 にも後れを取る結果となっています。

FINAL FANTASY XV

次いで、FINAL FANTASY XVです。テスト環境設定は高品質・フルスクリーン、テスト解像度はフルHD・4Kとなります。

フルHD 最高品質(FF15)にてRadeon RX VEGA 56 Nano Editionのベンチマーク結果フルHD 最高品質(FF15)にてRadeon RX VEGA 56 Nano Editionのベンチマーク結果

4K 最高品質(FF15)にてRadeon RX VEGA 56 Nano Editionのベンチマーク結果4K 最高品質(FF15)にてRadeon RX VEGA 56 Nano Editionのベンチマーク結果

FINAL FANTASY XIVと同じ傾向となっています。FINAL FANTASY XVもFINAL FANTASY XIVと同様にNVIDIA GameWorksを使用している事も影響しているのか、GeForce GTX 10 シリーズ優位の結果となっています。

性能はそのままにコンパクト化されたRadeon RX VEGA 56 Nano Edition

Radeon RX VEGA 56は、Radeon RX VEGA シリーズでも消費電力とパフォーマンスのバランスがとれているモデルとして、上位のRadeon RX VEGA 64よりも人気のモデルとなっていました。Radeon RX VEGA 56 Nano Editionは、Radeon RX VEGA 56の性能はそのままにコンパクト化されている事が確認できました。

コンパクトモデルで気になる動作音については、テストに用いたRadeon RX VEGA 56 Nano Editionではコイル鳴きも無く、またファンノイズも少なく(むしろCPUクーラーのファンノイズの方がうるさく感じる程)、静音性の高いカードだと言えます。また、3D Markの結果からはGeForce GTX 1070 をも上回る性能を示しており、ゲームタイトル毎に得手不得手は有るにしても、素性の良いビデオカードである事が確認できました。

Radeon RX VEGA 56の性能を、僅か17cmのコンパクトサイズに収めつつ高い静音性を持つこのカードは、小型でも出来る限り高性能なゲーミングPCが欲しいユーザーには最適なビデオカードだと言えます。

 

今回検証に使用したモデル構成

CPU Core i7-8700K (3.7-4.7GHz/6コア・12スレッド/キャッシュ12MB/TDP95W)
マザーボード MSI Z370-S01 (Z370チップセット / BIOS :1.10 )
メインメモリ DDR4-2666 16GB (8GB x2)
ビデオカード Radeon RX VEGA 56 NanoEdition (ビデオメモリ 8GB)
Radeon RX VEGA 64リファレンスカード (ビデオメモリ 8GB)
GeForce GTX 1080 Founders Edition (ビデオメモリ 8GB)
GeForce GTX 1070 Ti リファレンスカード (ビデオメモリ 8GB)
GeForce GTX 1070 Founders Edition (ビデオメモリ 8GB)
ストレージ WesternDigital WDS500G2X0C (WD Black NVMe 500GB)
電源 Seasonic SS-1000XP (80PLUS Platinum、1000W)
OS Windows 10 Home 64bit (バージョン:1709)
ビデオドライバ Radeon Software Adrenalin Edition Graphics Driver 18.5.1
GeForce Game Ready Driver 397.93

検証構成表

ライタープロフィール 職人5号

Windows2000登場前からほぼ一貫してPC製造部門に従事。PC組立はもちろん、OSイメージの作成や製造時のトラブルシュートを行う。 その経験を生かしてOSの基本情報や資料室を担当する事が多い。

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