Radeon RX 6700 XTについての発表が行われ、日本国内の発売日が3月19日(金)19時となりました。 パソコン工房では引き続き、Radeon RX 6700 XTのスペック情報、発売情報、価格情報、ベンチマーク情報について、取りまとめていきます。

気になる製品最終更新日: 20210318

AMD Radeon RX 6700 XT グラフィックス 発売情報・ベンチマークレビュー

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Radeon RX 6700 XTは、Radeon RX 6000 シリーズのミドルレンジモデルとして2021年3月19日19時より販売が開始されます。
AMD Radeon RX 6000 シリーズ・グラフィックス・カードは、AMD RDNA 2アーキテクチャーを搭載する最新グラフィックスカードとして、2020年10月に発表されました。製造プロセスはRDNAアーキテクチャー採用のRX 5000シリーズと同じ7nmですが、命令パイプラインの改良や動作クロックの向上、そして新たなキャッシュメモリ「AMD Infinity Cache」の搭載により、RDNA製品と比較して最大50%の大幅なパフォーマンス向上を実現しています。
また、Radeon RX 5000シリーズでは非対応だったレイトレーシングに対応し、リアルな光と影、反射処理による臨場感あふれるゲームプレイを楽しめるようになりました。

Radeon RX 6000シリーズについて

レイトレーシングに対応したRDNA2アーキテクチャーを採用

Radeon RX 6000シリーズは、日本時間2020年10月29日にAMDより発表された、デスクトップ用グラフィックスカード最新製品です。先に発売済みのRadeon RX 6900 XT、Radeon RX 6800 XT、Radeon RX 6800の3モデルに加えて、今回ミドルレンジモデルとなるRadeon RX 6700 XTが発売されました。

Radeon RX 6000シリーズは、第2世代のRDNAアーキテクチャーである「RDNA 2」を採用し、DirectX 12 UltimateでサポートされたDirectX Raytracing (DXR)、可変レート・シェーディング (VRS)に対応しました。また、コンピュートユニットの構造を見直し、電力効率を30%改善しています。

さらに「AMD Infinity Cache」と呼ばれるキャッシュを搭載し、メモリバス幅を抑えつつ高い実効帯域幅を実現しました。メモリバス幅を少なくすることでメモリコントローラーの消費電力を抑える結果となっており、コンピュートユニットの分と含め、RDNAから最大54%のワットパフォーマンス向上を実現しています。

Radeon RX 6700 XTの主な特徴は以下の通りです。

・RDNA 2 アーキテクチャー採用、レイトレーシングに対応したことで、よりリアルな光源処理が可能になり、臨場感あふれるゲーム映像を楽しめるようになりました
・Radeon RX 6700 XTではミドルレンジモデルとしては最大容量となる12GBのビデオメモリを搭載しています
・ビデオメモリ帯域幅はRadeon RX 5700シリーズよりも少ない192bitとなりますが、Infinity Cacheにより実行帯域幅は大きく増加しています
・コンピュートユニットの改善と動作クロック向上により、FP32の演算能力(FLOPS)はRadeon RX 5700 XTの1.3倍以上となりました
・Ryzen 5000シリーズやRyzen 3000シリーズ・プロセッサーと、AMD 500 シリーズチップセットの組み合わせで有効になるAMD Smart Access Memory機能により、さらなる性能向上が可能です
・H.265を上回る圧縮効率を誇るAV1(AOMedia Video 1)コーデックに対応し、8K映像のデコード処理が可能になりました

Radeon RX 6700 XTベンチマーク情報

Radeon RX 6700 XTの演算器の仕様はちょうどRadeon RX 6900 XTを半分にしたような形となっており、前世代のRadeon RX 5700 XTと同じStream Processor数となっています。Radeon RX 5700 XTと比べると、動作クロックの向上によりFP32 FLOPS(単精度FLOPS)が30%以上増加しており、Ray AcceleratorsやInfinity Cacheの搭載といった仕様でも強化されています。

  Radeon RX
6900 XT
Radeon RX
6800 XT
Radeon RX
6800
Radeon RX
6700 XT
Radeon RX
5700 XT
Radeon RX
5700
アーキテクチャー RDNA 2 RDNA
GPUコア Navi 21 Navi 22 Navi 10
製造プロセス 7nm
Stream Processor 5120基 4608基 3840基 2560基 2560基 2304基
Ray Accelerators 80基 72基 60基 40基
定格クロック 1605MHz 1465MHz
ゲームクロック 2015MHz 2015MHz 1815MHz 2424MHz 1755MHz 1625MHz
ブーストクロック 2250MHz 2250MHz 2105MHz 2581MHz 1905MHz 1725MHz
FLOPS(FP32) 23.04TFLOPS 20.74TFLOPS 16.17TFLOPS 13.21TFLOPS 9.75TFLOPS 7.95TFLOPS
メモリタイプ GDDR6
メモリ容量 16GB 12GB 8GB
メモリクロック 16Gbps 14Gbps
メモリバス幅 256bit 192bit 256bit
メモリバス帯域幅 512GB/s 384GB/s 448GB/s
Infinity Cache 128MB 96MB
TBP 300W 250W 230W 225W 180W
補助電源 8Pin×2 8Pin + 6Pin

Radeon RX 6000シリーズ、Radeon RX 5700シリーズ スペック比較表

※Balance設定時の動作クロックとなります。

それでは、Radeon RX 6700 XTのベンチマークテストを実行していきましょう。

比較対象は、同じミドルレンジモデルであるRadeon RX 5700 XTと上位モデルとなるRadeon RX 6800を 、GeForce RTX 30 シリーズからはGeForce RTX 3070とGeForce RTX 3060 Ti、GeForce RTX 3060を用意いたしました。テスト解像度はWQHD(2560 x 1440)、4K(3840 x 2160) にて行っています。

また、3D Markでは、CPU性能の依存度が少ないGraphics Scoreでの比較となります。また、GeForce RTX 3070とGeForce RTX 3060はブーストクロックが標準よりも30MHzほどクロックアップされたOCモデルを使用していますので、標準クロック動作のモデルよりもベンチマークスコアは高くなっていると思われます。

なお、Radeon RX 6700 XTの動作には発売前に入手したテスト動作用ドライバを使用していますので、一般公開のドライバとは異なる結果となっている可能性が有ります。

※ベンチマークテストで用いた構成は末尾に記載しています。

3D Mark 「Fire Strike」

まずは、DirectX 11 の代表的ベンチマークとして、3D Mark 「Fire Strike」 のGraphics Score を見てみましょう。テスト解像度は、WQHD のFire Strike Extremeと4KのFire Strike Ultraとなります。

3D Mark Fire Strike3D Mark Fire Strike

Radeon RX 6700 XTがRadeon RX 5700 XTを25%程度上回り、GeForce RTX 3060 Tiにも10%ほど差をつけています。それどころかWQHD解像度でGeForce RTX 3070にも接近するスコアとなるなど、メインターゲットとなるWQHD解像度で性能の高さを示しています。

3D Mark 「Time Spy」

次に、DirectX 12の代表的ベンチマークとして、3D Mark 「Time Spy」 のGraphics Scoreを見てみましょう。テスト解像度は、WQHDのTime Spyと4KのTime Spy Extremeとなります。

3D Mark Time Spy3D Mark Time Spy

Time SpyではFire Strikeとは異なり、Radeon RX 6700 XTがGeForce RTX 3060 Tiにやや後塵を拝す結果となりました。Radeon RX 5700 XTに対してはFire Strikeと同じく25%程度のスコア向上が見られており、RDNA アーキテクチャーからRDNA 2 アーキテクチャーへの進化が表れていると言えそうです。

3D Mark 「Port Royal」

続いて、リアルタイムレイトレーシング性能を計測する3D Mark「Port Royal」にて、レイトレーシング性能を見ていきましょう。Port Royalでは、いくつかあるレイトレーシングアルゴリズムのうち、レイトレーシングリフレクションを使用したものとなります。

ベンチマークスコアであるGraphics Scoreと一緒にフレームレートも計測することが出来ます。なお、解像度は標準設定のWQHDとなります。また、DLSSについては無効となっており、RTコアの性能の比較として見ていきます。なお、Radeon RX 5700 XTはレイトレーシングに対応していないため、グラフからは省いています。

3D Mark Port Royal3D Mark Port Royal

3D Mark Port Royal fps3D Mark Port Royal fps

3D Mark Port Royalによるレイトレーシング性能に関しては、GeForce RTX 30シリーズが底力を発揮しました。GeForce RTX 30シリーズが第2世代のRTコアを搭載していることもあり、レイトレーシング性能においてはGeForce RTX 30シリーズが先行していると言えそうです。

Radeon RX 6700 XTでレイトレーシングを使用したゲームは遊ぶには、解像度をフルHDくらいまで下げる必要が有りそうです。

3D Mark 「DirectX Raytracing feature test」

3DMarkを用いたベンチマークの最後に、「DirectX Raytracing feature test」を見てみましょう。本テストはすべての画面をレイトレーシングでレンダリングすることで、より負荷の高いグラフィックスカードのレイトレーシング性能を計測できます。

本記事では標準設定のSample count 数である12でテストを行いました。なお、Port Royal と同様にRadeon RX 5700 XTはレイトレーシングに対応していないため、グラフからは省いています。

3D Mark DirectX Raytracing feature test3D Mark DirectX Raytracing feature test

画面内の影や反射のみレイトレーシング処理を行っている「Port Royal」よりも負荷が高いテストということで、よりGeForce RTX 30シリーズの強さが際立ちました。ドライバによる最適化の差という可能性もありますが、現時点においてはレイトレーシング性能ではGeForce RTX 30シリーズに軍配が上がると言えそうです。

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク

続いて、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークです。テスト環境設定は高品質・フルスクリーンで、テスト解像度WQHDと4Kになります。なお過去のデータと比較のため、HDRおよびDLSSは無効としています。

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークスコアFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークスコア

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークはNVIDIA GAMEWORKS対応のためGeForceシリーズに有利なベンチマークではありますが、Radeon RX 6700 XTはWQHD解像度でGeForce RTX 3060 Ti に肉薄し、「非常に快適」な指標(6000~8999)となるスコアを示しており、WQHD解像度で快適なプレイができそうです。

ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク

最後に、ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマークです。テスト環境設定は最高品質・DirectX 11・フルスクリーンとなります。ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズについては、ベンチマークテストの詳細で平均fps(フレームレート)も確認できるので、合わせて掲示します。

ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク スコアファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク スコア

ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク フレームレートファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク フレームレート

Radeon RX 6700 XTは、4K解像度でも「非常に快適」な動作の指標となる7000以上のスコアとなり、WQHD解像度で100fpsを上回るフレームレートとなっており、WQHD解像度でのプレイにおいて十二分な性能を示しています。

WQHD解像度で高い性能を示したRadeon RX 6700 XT

Radeon RX 6700 XTは、同じミドルレンジモデルであるRadeon RX 5700 XTから20%以上もスコアが向上するなど、Radeonのミドルレンジモデルの性能を大きく引き上げることに成功しています。WQHD解像度での快適なゲーミングプレイはもちろん、4K解像度でのゲーミングにも可能性を示しています。

とは言え一方では、レイトレーシング性能ではGeForce RTX 30シリーズに分があり、また、DLSSという強力なAI機能という差もあるなど、RDNA 2 アーキテクチャー自体にもまだまだ進化の余地が有りそうです。

また、ベンチマークでは図り切れない部分ですが、グラフィックスメモリ容量が大きい事のメリットも忘れてはいけないところです。AMDは現代のゲームにおいてはWQHD解像度であっても高画質設定でビデオメモリ使用量が8GBを超えるとしており、グラフィックスメモリの枯渇はタイトルによっては快適なゲームプレイを阻害しかねません。

MODを大量に導入するようなゲームタイトルだけでなく、VRコミュニケーションソフト、フライトシミュレーターなどのように大量にテクスチャデータを読み込むような場合において、12GBという大容量グラフィックスメモリは相応の効果が期待できるかも知れません。

なにより、ゲーミング環境をRadeonシリーズで構築したいと望むファンにとっては、Radeon RX 6700 XTは間違いなくお勧めできるグラフィックスカードと言って間違いでしょう。ライバルとも十分に戦える性能を持つRadeonがミドルレンジモデルに登場したことは、ゲーミングという視点でも歓迎すべき製品と言えるでしょう。

CPU Core i9-10900K (3.7-5.3GHz/10コア・20スレッド/キャッシュ20MB/TDP125W)
マザーボード ASUS Prime Z490-A (Z490チップセット)
メインメモリ DDR4-3200 16GB (8GB x2)
ビデオカード Radeon RX 6800 AMDリファレンスカード (16GB GDDR6)
PowerColor製 Radeon RX 6700 XT(12GB GDDR6)
PowerColor製 Radeon RX 5700 XT(8GB GDDR6)
MSI製 GeForce RTX 3070 (8GB GDDR6) ※OCモデル(ブースト:1755MHz)
ZOTAC製 GeForce RTX 3060 Ti (8GB GDDR6)
ZOTAC製 GeForce RTX 3060 (12GB GDDR6) ※OCモデル(ブースト:1807MHz)
ストレージ WDS250G2X0C (WD Black NVMe 250GB)
電源 Seasonic SSR-1000PD (80PLUS Platinum、1000W)
OS Windows 10 Home 64bit (バージョン:20H2)
ビデオドライバ Radeon RX 6700 XT: Radeon Software Adrenalin 2020 Edition 20.50 
Radeon RX 6800/5700XT: Radeon Software Adrenalin 2020 Edition 21.2.3 
GeForce RTX 30 シリーズ: GeForce Game Ready Driver 461.72

検証に使用した構成

ライタープロフィール 職人13号

テクニカルライターから巡り巡ってパソコン工房にやってきました。「読みやすさ」をモットーに、文書作成やチェックを中心に担当していきます。趣味はレトロゲームの攻略動画投稿などです。

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