フルHD用ゲーミングGPUに位置付けられるRadeon RX 6600 XTについて、ベンチマークで性能を確認します。

気になる製品最終更新日: 20210923

AMD Radeon RX 6600 XT グラフィックス 発売情報・ベンチマークレビュー

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【9/23 更新】Radeon RX 6600 XTベンチマーク記事を追加いたしました。
Radeon RX 6600 XTは、Radeon RX 6000 シリーズのミドルレンジモデルとして2021年8月12日10時より販売が開始されました。
今回はこのRadeon RX 6600 XT について、ベンチマークテストを通してその性能を確認して行きます。

AMD Radeon RX 6000 シリーズ について

Radeon RX 6600 XTは「フルHD解像度における高リフレッシュレートゲーミングのためのGPU」と位置付けられており、120Hzや144Hzといった高リフレッシュレートのフルHDゲーミングモニターと組み合わせるのに最適なGPUとなっています。
AMD Radeon RX 6000 シリーズ は、AMD RDNA 2アーキテクチャーを搭載したAMD社の最新グラフィックスカードです。鮮やかなビジュアルで新世代のゲーミングに強力に対応し、一段階上のゲーム体験を実現します。
臨場感あふれるゲーミング・テクノロジーとDirectX 12 Ultimateに対応し、今まで以上に没入感のあるゲーム体験を実現します。AMD RDNA 2アーキテクチャーに最適化されたDirectX Raytracing (DXR)、可変レート・シェーディング (VRS)、AMD FidelityFX機能により実現するリアルな光、影、反射が備わった豊かなディテールでゲームをお楽しみいただけます。

Radeon RX 6600 XTの主な特徴は以下の通りです。

・RDNA 2 アーキテクチャー採用、レイトレーシングに対応したことで、よりリアルな光源処理が可能になり、臨場感あふれるゲーム映像を楽しめるようになりました
・Radeon RX 6600 XTはビデオメモリに上位モデルと同じメモリークロックのGDDR6メモリを搭載しています
・ビデオメモリバス幅はRadeon RX 5600 XTよりも少ない128bitですが、新たに搭載しているInfinity Cacheにより実行帯域幅を向上させています
・コンピュートユニットの改善と動作クロック向上により、FP32の演算能力(FLOPS)はRadeon RX 5600 XTの1.4倍以上となりました
・Ryzen 5000シリーズやRyzen 3000シリーズ・プロセッサーと、AMD 500 シリーズチップセットの組み合わせで有効になるAMD Smart Access Memory機能により、さらなる性能向上が可能です
・H.265を上回る圧縮効率を誇るAV1(AOMedia Video 1)コーデックに対応し、8K映像のデコード処理が可能になりました

Radeon RX 6600 XT スペック情報

Radeon RX 6600 XTとRadeon RX 5600 XTを比べると、Stream Processor数は10%ほど減少していますが動作クロックが最大で1000MHz以上向上しており、結果としてFP32 FLOPS(単精度FLOPS)が40%以上増加しています。加えてRay AcceleratorsやInfinity Cacheの搭載といった機能面でも強化されています。

Radeon RX
6700 XT
Radeon RX
6600 XT
Radeon RX
5700 XT
Radeon RX
5700
Radeon RX
5600 XT
アーキテクチャー RDNA 2 RDNA
GPUコア Navi 22 Navi 23 Navi 10
製造プロセス 7nm
Stream Processor 2560基 2048基 2560基 2304基 2304基
Ray Accelerators 40基 32基
定格クロック 1605MHz 1465MHz 1130MHz
ゲームクロック 2424MHz 2359MHz 1755MHz 1625MHz 1375MHz
ブーストクロック 2581MHz 2589MHz 1905MHz 1725MHz 1560MHz
FLOPS(FP32) 13.21TFLOPS 10.60TFLOPS 9.75TFLOPS 7.95TFLOPS 7.19TFLOPS
メモリタイプ GDDR6
メモリ容量 12GB 8GB 6GB
メモリクロック 16Gbps 14Gbps 12Gbps
メモリバス幅 192bit 128bit 256bit 192bit
メモリバス帯域幅 384GB/s 256GB/s 448GB/s 288GB/s
Infinity Cache 96MB 32MB
TBP 230W 160W 225W 180W 150W
補助電源 8Pin + 6Pin 8Pin 8Pin + 6Pin 8Pin

~スペック比較一覧~

※Balance設定時の動作クロックとなります

Radeon RX 6600 XTベンチマーク情報

それでは、Radeon RX 6600 XTのベンチマークテストを実行していきましょう。
比較対象は、上位モデルとなるRadeon RX 6700 XTとRadeon RX 5000シリーズからRadeon RX 5600 XTとRadeon RX 5700 XTを 、GeForce RTX 30 シリーズからはGeForce RTX 3060 TiとGeForce RTX 3060を用意いたしました。テスト解像度はフルHD(1920 x 1080)とWQHD(2560 x 1440)の解像度にて行っています。また、3D Markでは、CPU性能の依存度が少ないGraphics Scoreでの比較となります。また、Radeon RX 5600 XTはゲームクロックが標準よりも85MHz、GeForce RTX 3060はブーストクロックが標準よりも30MHzほどクロックアップされたOCモデルを使用していますので、標準クロック動作のモデルよりもベンチマークスコアは高くなっていると思われます。
※ベンチマークテストで用いた構成は末尾に記載しています

3D Mark 「Fire Strike」

まずは、DirectX 11 の代表的ベンチマークとして、3D Mark 「Fire Strike」 のGraphics Score を見てみましょう。テスト解像度は、フルHDのFire Strike とWQHD のFire Strike Extremeとなります。

~3D Mark Fire Strike~~3D Mark Fire Strike~

Radeon RX 6600 XTが上位モデルとなるRadeon RX 5700 XTを上回り、GeForce RTX 3060には25%ものスコア差を付けています。さすがにGeForce RTX 3060 Tiには及ばないものの、フルHD解像度では5%程度の差に留まっており、メインターゲットとなるフルHD解像度で性能の高さを示しています。

3D Mark 「Time Spy」

次に、DirectX 12の代表的ベンチマークとして、3D Mark 「Time Spy」 のGraphics Scoreを見てみましょう。テスト解像度は、WQHDのTime Spyなります。

~3D Mark Time Spy~~3D Mark Time Spy~

Time SpyではFire Strikeとは異なり、Radeon RX 6600 XTとGeForce RTX 3060の差が5%程度に縮まる結果となりました。Radeon RX 5700 XTに対してはFire Strikeと同様に近しいながらも上回っており、RDNA アーキテクチャーからRDNA 2 アーキテクチャーへの進化が表れていると言えそうです。

3D Mark 「Port Royal」

続いて、リアルタイムレイトレーシング性能を計測する3D Mark「Port Royal」にて、レイトレーシング性能を見ていきましょう。Port Royalでは、いくつかあるレイトレーシングアルゴリズムのうち、レイトレーシングリフレクションを使用したものとなります。
ベンチマークスコアであるGraphics Scoreと一緒にフレームレートも計測することが出来ます。なお、解像度は標準設定のWQHDとなります。また、DLSSについては無効となっており、RTコアの性能の比較として見ていきます。なお、Radeon RX 5000シリーズはレイトレーシングに対応していないため、グラフからは省いています。

~3D Mark Port Royal~~3D Mark Port Royal~

~3D Mark Port Royal fps~~3D Mark Port Royal fps~

3D Mark Port Royalによるレイトレーシング性能に関しては、GeForce RTX 30シリーズが底力を発揮しました。GeForce RTX 30シリーズが第2世代のRTコアを搭載していることもあり、レイトレーシング性能においてはGeForce RTX 30シリーズが先行していると言えそうです。とは言え、Radeon RX 6600 XTでもフルHD解像度であれば、レイトレーシングを使用したゲームを遊ぶ事は出来そうです。

3D Mark 「DirectX Raytracing feature test」

3DMarkを用いたベンチマークの最後に、「DirectX Raytracing feature test」を見てみましょう。本テストはすべての画面をレイトレーシングでレンダリングすることで、より負荷の高いグラフィックスカードのレイトレーシング性能を計測できます。本記事では標準設定のSample count 数である12でテストを行いました。なお、Port Royal と同様にRadeon RX 5000シリーズはレイトレーシングに対応していないため、グラフからは省いています。

~3D Mark DirectX Raytracing feature test~~3D Mark DirectX Raytracing feature test~

画面内の影や反射のみレイトレーシング処理を行っている「Port Royal」よりも負荷が高いテストということで、よりGeForce RTX 30シリーズの強さが際立ちました。ドライバによる最適化の差という可能性もありますが、現時点においてはレイトレーシング性能ではGeForce RTX 30シリーズに軍配が上がると言えそうです。

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク

続いて、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークです。テスト環境設定は高品質・フルスクリーンで、テスト解像度はフルHDとWQHDになります。なお過去のデータと比較のため、HDRおよびDLSSは無効としています。

~FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークスコア~~FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークスコア~

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークはNVIDIA GAMEWORKS対応のためGeForceシリーズに有利なベンチマークではありますが、Radeon RX 6600 XTはフルHD解像度でGeForce RTX 3060 を上回り、WQHD解像度でもGeForce RTX 3060に肉薄しています。また、フルHD解像度では「とても快適」な指標(9000~11999)となるスコアを、WQHD解像度でも「快適」な指標(6000~8999)を示しており、フルHD解像度だけでなくWQHD解像度でも快適なプレイができそうです。

ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク

最後に、ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマークです。テスト環境設定は最高品質・DirectX 11・フルスクリーンとなります。ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズについては、ベンチマークテストの詳細で平均fps(フレームレート)も確認できるので、合わせて掲示します。

~ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク スコア~~ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク スコア~

~ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク フレームレート~~ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク フレームレート~

Radeon RX 6600 XTは、フルHD解像度では「非常に快適」な動作の指標となる15000以上のスコアで120fpsを上回るフレームレートを示し、WQHD解像度でも「快適」な動作の指標となる8000以上のスコアで90fpsを上回るフレームレートとなっており、フルHD解像度なら文句なしの快適さで遊べる性能を示しています。

フルHD解像度で文句なしの性能を示したRadeon RX 6600 XT

Radeon RX 6600 XTは、上位モデルであるRadeon RX 5700 XTを上回る性能を示しており、Radeonのミドルレンジモデルの性能を大きく引き上げました。フルHD解像度での快適なゲーミングプレイはもちろん、WQHD解像度でも十分耐えうるだけのゲーミング性能を示しています。
一方で、やはりレイトレーシング性能ではGeForce RTX 30シリーズに分があり、また、DLSSという強力なAI機能という差もあるなど、RDNA 2 アーキテクチャー自体にもまだまだ進化の余地が有りそうです。
とは言っても、ゲーミング環境をRadeonシリーズで構築したいと望むファンにとっては、Radeon RX 6600 XTは間違いなくお勧めできるグラフィックスカードと言えるでしょう。AMDによると2020年に出荷されたゲーミング液晶のうち3分の2はフルHD解像度であり、現在でもゲーミングプレイの主戦場といえるフルHD解像度でライバルとも互角以上に戦える高い性能を持つグラフィックスカードが新たに登場したことは、素直に歓迎すべきでしょう。

CPU Core i9-10900K (3.7-5.3GHz/10コア・20スレッド/キャッシュ20MB/TDP125W)
マザーボード ASUS Prime Z490-A (Z490チップセット)
メインメモリ DDR4-3200 32GB (16GB x2)
ビデオカード PowerColor製 Radeon RX 6700 XT(12GB GDDR6)
PowerColor製 Radeon RX 6600 XT(8GB GDDR6)
PowerColor製 Radeon RX 5700 XT(8GB GDDR6)
MSI製 Radeon RX5600XT(6GB GDDR6) ※OCモデル(ゲームクロック:1460MHz)
ZOTAC製 GeForce RTX 3060 Ti (8GB GDDR6)
ZOTAC製 GeForce RTX 3060 (12GB GDDR6) ※OCモデル(ブースト:1807MHz)
ストレージ WDS250G2X0C (WD Black NVMe 250GB)
電源 Seasonic SSR-850PX (80PLUS Platinum、850W)
OS Windows 10 Home 64bit (バージョン:21H1)
ビデオドライバ Radeon RX 6600 XT: Radeon Software Adrenalin 21.8.2
Radeon RX 6700 XT/5700 XT/5600 XT: Radeon Software Adrenalin 21.6.1
GeForce RTX 30 シリーズ: GeForce Game Ready Driver 466.77

検証に使用した構成

ライタープロフィール 職人5号

Windows2000登場前からほぼ一貫してPC製造部門に従事。PC組立はもちろん、OSイメージの作成や製造時のトラブルシュートを行う。 その経験を生かしてOSの基本情報や資料室を担当する事が多い。

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