どうしたら憧れのクリエイターになれるのか? その秘密を現役で活躍するクリエイターに直接聞いちゃう『クリエイター仕事道』。今回のゲストはゲームクリエイターでプログラマーの渡部健さんです。

クリエイター最終更新日: 20201124

ゲームクリエイター:“好き”を追求し世の中を楽しませるゲームアプリを制作

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

どうしたら憧れのクリエイターになれるのか? その秘密を現役で活躍するクリエイターに直接聞いちゃう『クリエイター仕事道』。今回のゲストはゲームクリエイターでプログラマーの渡部健さんです。
主にスマホゲームを製作する渡部さん。どんなきっかけでゲームを製作するようになったのでしょうか?

渡部さんが携わった作品

Google Indie Games Festival 2018で賞を獲得した『ネコの絵描きさん』。自分が描いたイラストがゲーム内で評価されるインタラクティブなゲームアプリです。

漫画家を夢見る少年が、大学院でプログラムに目覚める!

渡部さんは子供の頃、何になりたかったですか?

漫画家になりたかったです。というか今でもなりたいです(笑)! 人気作家になって、海外のホテルを転々としながら作品をリリースするという生活を夢見ていました。

漫画家を夢見て、どのような学校に進学しましたか?

全くもって夢に向かう力が弱く…、高校は親に言われた高校に進学。大学はそのときの自分の成績でなんとか入れそうだった大学の工学部に進みました。大学院を選ぶ際にやっと「このままだとやばいっっ!」と思うようになり、漫画に少し関係がありそうなCGを研究している大学院に進みました。

渡部さんはどんな学生でしたか?

高校時代は漫画家になるためには絵がうまくならないと駄目だと思って美術部に入りました。あとは友人がストリートダンス同好会の部長をやっていて、それに影響されて自分も始めました。高校時代は部活に力を入れた生活を送っていました。大学に入ってからは社交ダンス部に入って熱中してしまい、理系の大学だったのですが全然勉強せずダンスばかりやっていました(笑)。漫画家が夢だったのに漫画も全然描いてなかったです…。そこから心機一転! 大学院の時は積極的に何でも取り組みました。先生のメディアアート作品の作成を手伝ったり、学内のアートイベントの運営をやったり、ゲーム作りのアルバイトをしたりしていましたね。

漫画家から、ゲームクリエイターを目指すようになったのはなぜですか?

大学院の研究室がメディアアートをやっている先生の研究室だったのですが、その先生のお手伝いやプログラムの勉強をするうちに、プログラムの知識を活かせるエンターテイメントで安定したお給料が貰えそうなのはゲーム業界かなと考えるようになりました。それで任天堂を受けたら、運良く採用してもらえたのでゲーム業界で働くことになりました。
目指していたと言うよりも、自分に合いそうな仕事がゲーム開発だったという感じです。

大学院で学んだことが活かされたんですね! 任天堂から独立されたきっかけはなんですか?

任天堂で10年ぐらいプログラマーとして働いていたんですが、会社にいる間は自分でゲームのアイディアを思いついたとしてもなかなかそれを製品に結びつけるとこまではできませんでした。また海外に一度住んでみたかったというのもあったり、仕事自体にも少し刺激が欲しくなり思い切って会社を辞めました。1年弱留学したり旅行したりして海外で過ごした後、やりたかった自分のアイディアを自分でゲームにする会社を立ち上げ現在に至ります。

手がけたゲームが世界的ヒット、独立後はゲームアプリで受賞

渡部さんの代表作を教えてください

ひとつ挙げるとしたら『ネコの絵描きさん』というゲームアプリでしょうか。プレイヤーが絵を描いて、それをユーザー同士がお互いに評価し、その評価数に応じて、ゲーム内コンテストの結果が決まります。Google Indie Games Festival 2018というイベントでTop3とジャンプ+賞という賞に選んでいただきました。

ゲームクリエイターとして活躍するターニングポイントはありましたか?

前述の『ネコの絵描きさん』が賞をもらったことがターニングポイントになりました。さきほどお伝えしたような素晴らしい賞を頂いたので、そこから人脈ができたり、評価されるようになって、色々と仕事に繋がりました。

そこから学んだことはありますか?

今でもゲームデザイナーとしてはひよっこだと思っているんですが、賞をいただいたことで「一応ゲームデザイナーとしてもなんとかやっていけるかなぁ」と思うようになりました。会社にいたときは、いちプログラマーでしかなかったので、自分がゲームデザインをちゃんとできるのか確証が持てませんでした。でもこの賞を頂いたことで少し自信がつきました。

一方、仕事で失敗をしたことはありますか?

自分の出しているゲームアプリでデバッグ用の機能を載せたままリリースしてしまったことがありました…。デバッグ用の機能を使うとゲーム内のパラメータをある程度変更できてしまうので、本当に焦りました。その他にも、数十万円、数百万円単位の損失を出した失敗をしていて、失敗は多いです(苦笑)。

仕事をしていて、一番テンションが上がる瞬間はどんな時ですか?

何と言っても、世の中を驚かせられた瞬間は感動しますね。この仕事をしていて一番興奮したのは、まだ任天堂に在籍していた2014年『Splatoon』というゲームがE3という展示会で初めて発表されました。自分は『Splatoon』のチームメンバーの一人だったのですが、『Splatoon』の情報はE3まで一切情報が出ておらず、一般の方がどのような反応をするのか期待と不安でいっぱいでした。自分はニコニコ動画で発表の動画を見ていたのですが、コメント欄がめちゃくちゃ盛り上がっていて「よっしゃぁ!世の中を驚かせたったぁ!」といつになく興奮したのを覚えています。

それは興奮しますね! 仕事では、いつもどんなことを心がけていますか?

常に反省し成長することを意識しています。独立して3年で多くのアプリを出してきましたが、その度に色々と失敗を繰り返しています。やってしまった失敗はメモをして、たまに見返すようにしています。そうやって定期的に傷に塩を塗り込むことによって、二度とその失敗をしないように意識しています。

ゲーム製作にはコスパ重視のPCが必須!

現在はどんなPCや周辺機器を使用されていますか?

Macbook Pro 2017 15inchのフルカスタム版です。あとメモ用紙代わりにiPad Proを使っています。マウスはエレコムのM-XGM10UBBK。有線なので安定して動作しますし、何よりちょうど手にフィットするのが良いです。このシリーズは10年ぐらい前に買って使い心地が良かったんで、それ以来ずっと使っています。

PCや周辺機器を選ぶ際の基準を教えてください。

安定性とコスパですね。昔は自作とかもしていたのですが、どうしても動作が安定しなくてそれからはできあいのものを買うようにしています。メモリは16GB以上、CPUはできるだけ最新のもの、GPUはハイエンドモデルだと高いのでそれより少し低めあたりを基準にしています。できるだけハイスペックのものを安く買いたいのでBTOパソコンも選択肢に入ってくるのですが、自分はiOS向けにもゲームを作っている関係上Macを使っています。

動作の安定性を求めるとスペックは重要ですね。そのほか、オススメのツールなどはありますか?

友人から教えてもらったのですが、『Jamboard』というホワイトボードサービスが便利です。これはブラウザからも利用できますし、タブレット用のアプリもあります。タブレット上でお互いに絵を描きイメージを共有しながら、別途ビデオチャットで会話をするのにすごく便利です。

お仕事中の渡部さん。お仕事中の渡部さん。

クリエイターたるもの、“好きこそ物の上手になれ”

渡部さんにとって“クリエイター仕事道”とはなんですか?

「モノを作りたい!」という欲望を絶やさないことです。エネルギーと言い換えても良いいかもしれません。「ゲームクリエイターにとっていちばん大切なものは何か?」と考えたことがあるんですが、結局エネルギーが一番大切だと思いました。スキルがめちゃくちゃ高いのにゲームを完成させられない人もいますし、逆にスキルはそうでもないのに名作を完成させる人もいます。その違いはやはり「モノを作りたい!」という欲望というか、エネルギーの差だと思っています。

クリエイターを目指す若者たちにメッセージをお願いします!

多くの人に会うと分かってくるのですが、世の中結局“楽しんだもん”勝ちです。楽しんでやっている人には勝てないです。自分が苦なく長時間できるものを探して、それを磨いてお金に変えていきましょう。基本的にどんなことでも周りを圧倒するほど長時間没頭すれば一線で活躍できるようになります。皆様がそういうものに出会えることを願っています。

渡部さん、ありがとうございました!

クリエイター=“好き”で飯食える人

漫画家を夢見ていた渡部さんがたどり着いたのは“ゲームクリエター”という道。その根幹には「世の中を楽しませたい!」という共通の思いがあるように感じました。自分が好きなこと、楽しいと思えることで、世の中がハッピーになったら幸せですね。ぜひ、自分の好きなことに没頭して、道を切り開いていきましょう!

クリエイタープロフィール

渡部健さん
ゲームクリエイター、Nukenin合同会社 代表
1981年岩手生まれ。任天堂に10年勤めたのち退社し、しばらく世界を放浪。2016年夏頃よりインディーゲーム開発者として活動を始める。ゲームアプリを作る傍ら、ボードゲーム作成やPodcastの配信なども行う。
https://wkpn.net

ライタープロフィール パソコン工房NEXMAG
[ネクスマグ] 編集部

パソコンでできるこんなことやあんなこと、便利な使い方など、様々なパソコン活用方法が「わかる!」「みつかる!」記事を書いています。

記事を
シェア