第10世代インテル Coreプロセッサー(Comet Lake-S)に対応するインテル400シリーズチップセットである、コンシューマ向けZ490、H470、H410、B460、ビジネス・ワークステーション向けQ470、W480について徹底比較します。

チップセット性能比較最終更新日: 20200527

Z490・H470・H410・B460・Q470・W480チップセットの機能をスペックから徹底比較!

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第10世代インテル Coreプロセッサー(Comet Lake-S)に対応するチップセットとして登場したインテル400シリーズチップセットには、 いくつか種類がありそれぞれの機能や価格が異なります。コンシューマ向けZ490、H470、H410、B460、ビジネス・ワークステーション向けにQ470、W480の、6種類のチップセットがリリースされており、これらの種類ごとの違いと共にご紹介させて頂きます。

なお、今回ご紹介するのはチップセットの仕様の比較となり、実際にマザーボードに搭載される機能はマザーボードメーカーや製品ごとに細部やオプションが異なりますのでご注意ください。

第10世代インテル Coreプロセッサーに対応した「インテル400シリーズチップセット」

インテル400シリーズチップセットは、同時に発売となった第10世代インテルCoreシリーズプロセッサーに対応します。これ以前の第9世代インテルCoreプロセッサーなどには対応しませんので第10世代インテルCoreプロセッサーと合わせてご使用いただく必要があります。
またインテルCore Xシリーズプロセッサーも型番は第10世代と同じ表記(Core i9-10900Xなど)となっていますが、対応するチップセットやソケットが異なります。CPUの型番の末尾に「X」がつくので、ご購入の際に確認頂ければ幸いです。

インテル400シリーズチップセット比較表

チップセット Z490 H470 Q470 W480 B460 H410
サポートCPU Comet Lake-S
ソケット形状 LGA1200
バススピード 8 GT/s
TDP 6W
サポートされているメモリ DDR4-2933/2666/2400/2133 (CPUに依存)
チャネルあたりの DIMM 数 2 2 2 2 2 1
オーバークロックをサポート × × × × ×
サポートされているディスプレイ数 3 3 3 3 3 2
PCI Express リビジョン 3.0 3.0 3.0 3.0 3.0 3.0
PCI Express レーンの最大数 24 20 24 24 16 6
SATA 6.0 Gb/s ポートの最大数 6 6 6 8 6 4
RAID 構成 0,1,5,10(SATA) 0,1,5,10(SATA) 0,1,5,10(SATA) 0,1,5,10(SATA) 0,1,5,10(SATA) ×
内蔵 LAN Integrated MAC Integrated MAC Integrated MAC Integrated MAC Integrated MAC Integrated MAC
サポートされるプロセッサー
PCI Express ポートの構成
1×16 or 2×8
or 1×8+2×4
1×16 1×16 or 2×8
or 1×8+2×4
1×16 or 2×8
or 1×8+2×4
1×16 1×16
USB 3.2 Gen 2×1
(10Gb/s)の最大数
6 4 6 8 0 0
USB 3.2 Gen 1×1
(5Gb/s) の最大数
10 8 10 10 8 4
USB 2.0 最大数 14 14 14 14 12 10
Wi-Fi 6対応 (CNVi) × ×
インテル Optane
メモリー対応
×
ダイレクト I/O 向け
インテル バーチャライゼーション
・テクノロジー (VT-d) 
インテル vPro プラットフォーム
の認定基準
× × × ×
インテル ME ファームウェア
・バージョン
14 14 14 14 14 14
インテル HD オーディオ
・テクノロジー
インテル ラピッド・ストレージ
・テクノロジー
インテル スタンダード
・マネジャビリティー
× × × ×
インテル ステーブル・イメージ
・ プラットフォーム
・プログラム (SIPP)
× × × × ×
インテル スマート・サウンド
・テクノロジー
×
インテル プラットフォーム・トラスト
・テクノロジー (インテル PTT)
インテル トラステッド
・エグゼキューション
・テクノロジー
× × × ×
インテル ブートガード

インテル 400シリーズチップセット 比較表

インテル 400シリーズチップセット ブロックダイアグラムインテル 400シリーズチップセット ブロックダイアグラム

インテル300シリーズチップセットと同様、引き続きPCI-Express 3.0に対応し、USBポートの強化や、ネットワーク機能の強化など改良されたポイントがいくつかあります。
さらに、インテルによるとLPCバスがサポートされる最後のチップセットとされており、今後はeSPIへと移行するとのことです。LPCバスはシリアルポート、パラレルポート、キーボード、マウス、フロッピーディスクコントローラ、TPMなどレガシーデバイスの接続に使われていました。これらのポートがいきなり全て無くなるわけではありませんが、次の新製品においては注意したほうがよいでしょう。

また、対応するWindowsはWindows 10のみとなり、これ以前のWindowsはサポートされておりません。このほか、Linuxにも正式に対応しているとのことです。
※Chrome OSやAndroidは非対応です。対応の状況については各マザーボードメーカーの情報をご参照ください。

インテル400シリーズチップセットの主な変更点

LGA1200ソケットに対応

第10世代インテル Coreプロセッサーに対応するため、インテル400シリーズチップセットは搭載されるCPUソケットがLGA1200となりました。LGA1200はコア数とスレッド数の増加に対応するため、ピン数を増加させ安定した電源供給が行えるなど改良が加えられています。
CPUクーラーは、CPUソケットの大きさや厚みは今までのLGA1151と同じな上、リテンションの取り付け穴も同じですので、従来の製品が取り付け可能です。ただし、コア数、スレッド数の増加に伴いピーク時の温度も上昇している可能性がありますので冷却力に余裕のあるクーラーのご利用をお勧めいたします。
なお、LGA1200は、従来のLGA1151からピン配置や誤挿入防止ピンの位置が変更されているため、第9世代以前のインテルCoreプロセッサーは取り付けることができません。無理に取り付けると破損や最悪、発火の恐れがありますのでご注意ください。

LGA1200 ソケット部の拡大画像LGA1200 ソケット部の拡大画像

LGA1200 ソケットにCPUを搭載した様子LGA1200 ソケットにCPUを搭載した様子

Wi-Fi 6とBluetooth5.1に対応

チップセット側に内蔵されている(CNVi部分)無線LANとBluetoothの規格がそれぞれ最新のWi-Fi 6 (IEEE802.11ax)とBluetooth5.1に対応するようになりました。
CNVi(インテル統合接続)に対応したコンパニオンRFモジュール(CRF)と呼ばれるワイヤレスアダプター(インテルAX201など)と対応マザーボードを組み合わせることで最新のワイヤレス環境を実現します。マザーボードに予め取り付けされている、あるいは専用のM.2ソケットが用意されている場合があります。
なお、H410とB460はWi-Fi 6のCNViが内蔵されていませんので、無線LANモジュールにはインテルAX200を搭載することでWi-Fi 6へ対応することが可能です。
※CRF搭載の有無や、追加可否はマザーボードごとに異なります。

マザーボードに搭載したインテル AX201 ワイヤレスアダプターマザーボードに搭載したインテル AX201 ワイヤレスアダプター

2.5GbE有線LANに対応

ギガビットLAN(1GbE)よりも高速な2.5GbEに対応したネットワークコントローラーに対応しました。高速で安定したネットワーク構築は大容量ファイルのやり取りが必要になるクリエイティブ用途など様々な分野でメリットを得ることができます。
※2.5GbE対応の有無や搭載しているネットワークコントローラーの種類はマザーボードごとに異なります。

インテル400シリーズ 各チップセットの特徴

インテル400シリーズ各チップセットの特徴をご紹介します。どのチップセットとの組み合わせでも、搭載するCPUの性能は変わらず発揮されますので、大きな違いはそれぞれのチップセットとマザーボードに搭載される機能の差となります。

エントリークラス インテルH410チップセット

インテルH410チップセットは最も低コストでインテル 第10世代Coreプロセッサを搭載したパソコンを構成することが可能なコストパフォーマンスに優れたエントリークラスのチップセットです。
インテル400シリーズチップセットで唯一、RAID構成非対応、HDDやSSDを高速化するインテルOptaneメモリーにも非対応と機能面でもシンプルな構成となっており、CeleronやPentium、Core i3といった安価なクラスのCPUとの組み合わせがおすすめです。

コストパフォーマンスクラス インテルB460チップセット

インテルB460チップセットもコストパフォーマンスを重視したチップセットです。インテルH410チップセットと比べ、RAID構成やOptaneメモリーに対応と、ストレージ回りの拡張性を持つ点がインテルB460チップセットを選択する上でのポイントとなります。
なお、Wi-Fi 6のCNViが無く、UBS3.2 Geb2(10Gb/s)ポートは内蔵されておりませんが、これらの機能は拡張カードなどを追加搭載することで対応することも可能です。

ミドルレンジクラス インテルH470チップセット

インテルH470チップセットはRAID構成とOptaneメモリーに加えWi-Fi 6 (CNVi)とUSB3.2 Gen2(10Gb/s)にも対応しておりストレージ回りだけでなく周辺機器を含めた拡張性も併せ持ったミドルレンジモデルです。
どのクラスのCPUの組み合わせにも最適で、第10世代インテルCoreプロセッサーの新機能を生かしつつ、標準的な構成のパソコンを組む場合に最適なチップセットです。

ハイエンドクラス インテルZ490チップセット

インテルZ490チップセットはビジネス向けを除くほぼすべての機能に対応し、インテル400シリーズチップセットで唯一、オーバークロックに対応しているのが特徴です。
チップセットでサポートするPCI-Expressのレーン数も多く、グラフィックスカードに加えてPCI-Expressに搭載する超高速なストレージや10GbEネットワークカードなど柔軟な組み合わせにも対応しています。
各マザーボードメーカーから注力した製品が多く展開され、オーバークロックに強かったり、USBなどのポート数が多かったりといった多機能なものが数多くある一方で、高価になる傾向があります。「K」つきのCPUと組み合わせてオーバークロックによるさらなるパフォーマンスを求める方や、多機能を求める方におすすめのマザーボードとなります。

ビジネス向け多機能 インテルQ470チップセット

インテルQ470チップセットは、オーバークロックを除くほぼすべての機能に加え、インテル vPROテクノロジーやインテル PTTといったサーバーや企業向け機能にも対応したビジネス向けの位置づけとなる多機能対応チップセットです。SIPPやインテルTXTなどセキュリティ面での強化も特徴です。

ワークステーション向け インテルW480チップセット

インテルW480チップセットは、Xeonプロセッサへの対応が大きな特徴となるワークステーション向けのチップセットとなります。インテルQ470チップセット同様、インテル vPROテクノロジーやインテル PTTといったビジネス向けの機能に加え、S-ATAの最大ポート数が最も多いという特徴も持っています

エントリーモデルからワークステーション向けまでラインナップの充実したインテル 400シリーズチップセット

コンシューマ向けのZ490、H470、H410、B460、ビジネス・ワークステーション向けのQ470、W480の、6種類のチップセットについてご紹介いたしました。これらのインテル400シリーズチップセットを搭載したマザーボードを選ぶ際に、最適なチップセットをお選びいただく際の一助になれば幸いです。

パソコン工房ではインテル400シリーズチップセット搭載のマザーボード単体はもちろん各種BTOパソコンも取り扱いを開始しております。

ライタープロフィール 職人8号

長年に渡る店舗スタッフ、店頭サポート、BTOパソコン組立、PCリサイクル業務等の様々な現場経験を経てECサイトに配属されたオールドルーキー。趣味はプロレス。以上ッ!

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