どうしたら憧れのクリエイターになれるのか? その秘密を現役で活躍するアートディレクター/グラフィックデザイナーの武田厚志さんに直接聞いちゃいます。

クリエイター最終更新日: 20200710

アートディレクター/グラフィックデザイナー:物事を様々な視点で観察し本質を見極める

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どうしたら憧れのクリエイターになれるのか? その秘密を現役で活躍するクリエイターに直接聞いちゃう『クリエイター仕事道』。今回のゲストはアートディレクター/グラフィックデザイナーの武田厚志さんです。パンフレットや書籍の装丁、ロゴなどのデザインに携わっている武田さん。クライアントへの提案など、ディレクターだからこそ必要な能力についてもお話いただきました。

武田さんが携わった作品

Brilliant Logo

日本と海外のロゴが900個以上、制作にまつわる考え方やコンセプトとともに掲載されている書籍。白い「B」と黒い「L」をモチーフにした大胆な表紙デザインです。

未来のためのあたたかい思考法

AI、ロボットやブロックチェーンなど、これからのテクノロジーとの付き合い方を論じた書籍。寓話的な内容にあわせて、表紙もおとぎ話とデジタルが融合したようなデザインになっています。

UIデザインの教科書

ユーザーインターフェースの「わかりやすさ」や「使いやすさ」について書かれた書籍。マルチデバイスに対応していることがシンプルで親しみやすいイラストで表現されています。

デザイナーとして起業した(い)君へ。成功するためのアドバイス

デザイナーとして起業するためのノウハウと実例を紹介した書籍の日本語版。極限までシンプルな表紙デザインに、蛍光イエローの帯が映え、書店でも目立ちます。

文化祭での経験が絵の道に進むきっかけに

武田さんは子どもの頃、何になりたかったですか?

看板屋さんです! 絵が好きでしたし、学校の文化祭では大きな看板を描きました。友達と漫画を描いたり、パソコンの同人誌を作ったりもしました。その頃から、絵や文字を描くことが仕事になったら楽しいだろうなぁ、と思っていました。

それからどんな学校に進みましたか?

高校生のとき、絵に関わる仕事に就こうと思って、美大受験を決めました。実家から近いということもあり、愛知県立芸術大学を第一志望にしていました。一浪したのですが、第一志望には不合格で、先に受けていた東京造形大学のデザイン学科に入学しました。

大学時代はどんな学生時代を送りましたか?

写真を撮ったり、シルクスクリーンで作品を作ったりしていました。他には、学園祭で作品を展示したり、ギャラリーを借りて展示をしたり、公募展に応募したり。「ひとつぼ展(現1_WALL)」に入選して、銀座のギャラリーに作品が展示されました!

今のお仕事を始めたきっかけは何ですか?

大学時代は広告ゼミに所属していました。グラフィックデザインに興味があったので、卒業後は広告販促物を制作している会社に入社して、その後グラフィックデザイナーのサイトウマコトさんの事務所へ転職しました。そこで色々なことを学ばせてもらったのち、2000年に独立しました。独立後は、書籍やパンフレットなどのデザインや、企業のロゴデザインなど、グラフィックデザインを中心に仕事をしています。

案件の本質を見極め、様々な視点で見る

ターニングポイントになった仕事を教えてください。

『デザイナーとして起業した(い)君へ。成功するためのアドバイス』です。これはもともと海外で出版された本の翻訳書です。原書はペーパーバックで、ゴシック体で組まれたシンプルですっきりとしたデザインでした。また、原題は少し情緒的だったのですが、日本語版のタイトルは本の内容をストレートに表現したものになりました。原書のイメージをどの程度キープするかで迷いましたが、デザイナー向けの本だったこともあり、デザインで情緒をプラスしようと判断しました。具体的には、明朝体を使った文字組みと箔押しの印刷加工を採用しました。原書のデザインを元に、日本語版なりのオリジナリティを加えることができたと思います。

仕事で失敗をしたことはありますか?

制作する過程では、デザイン案を絞った上で詰めていきます。クライアントには厳選した案を見せるわけですが、あとで見返したとき、省いた案の中にも良いものを発見することがあり、そちらも発展させるべきだったかと悩むことがあります。作ることはもちろん大事ですが、それ以上に、それを判断する視点が大事だと常に考えています。

仕事をしていて、一番興奮する瞬間はどんな時ですか?

自分が思い描いたものと同じか、もしくはそれよりも良いものができたとき。クライアントに喜んでもらえたとき。そしてさらに、もう一度仕事を依頼してもらえたとき。本のデザインに限っていうと、重版(本が売れて在庫が少なくなりもう一度印刷すること)がかかった時は、デザインも売り上げに貢献できたのかな、と感慨深くなります。

武田さんが仕事をする上で、もっとも大切にしていることは何ですか?

制作していると、ふと自分の癖が出てしまうことがあります。それぞれの案件にふさわしい形になるよう、常に色々な視点から考え、定着できるように心掛けています。

パソコンはデザインも大切!

いま使っているパソコンや周辺機器を教えてください。

ノートパソコンとモニタ一体型のデスクトップパソコン、27インチキャリブレーション液晶モニタ、30インチ液晶モニタ、ペンタブレット、あとはタブレット端末を使っています。

パソコンを選ぶ際の基準はなんですか?

グラフィックカードの性能、メモリとハードディスクの容量、そしてデザインですね。

若い頃に積み重ねた努力は、いずれ実を結ぶ

武田さんにとって「クリエイティブ仕事道」とは何ですか?

仕事には締め切りが付きものなので、限られた時間の中で、早く終わらせる作業と時間をかけて取り組む作業を見極めることが大切です。また、最後まであきらめないこと。自分が納得するまでやりきることも大切です。

クリエイターを目指す若者たちにメッセージをお願いします!

若い頃に時間をかけてじっくり取り組んだことは、あとで経験として生きてくるはず。失敗したり、うまくいかなくても、あせらず目の前のことをコツコツとじっくりとやったことが、いずれ大きな力となってくれるはずです!

武田さん、ありがとうございました!

“続けること”の重要性

実直に仕事と向き合う武田さん。目の前のことをコツコツとやっていくことは、どんな仕事だろうと必要なことですね。好きなこと、得意なこと、目指したいことに向けて、日々積み重ねていきましょう!

クリエイタープロフィール

武田厚志さん
アートディレクター/グラフィックデザイナー
東京造形大学卒業後、サイトウマコトデザイン室を経て、2000年にSOUVENIR DESIGNとして独立。書籍・雑誌などのブックデザインやパッケージデザイン、パンフレット、ロゴのデザインを含めた企業のブランディングなど、グラフィックデザインを軸に活動している。

ライタープロフィール パソコン工房NEXMAG
[ネクスマグ] 編集部

パソコンでできるこんなことやあんなこと、便利な使い方など、様々なパソコン活用方法が「わかる!」「みつかる!」記事を書いています。

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