デスクトップCPU搭載の15.6型ノートパソコンのスペック情報やモバイルCPUとの比較、外観も含めてレビューします。

気になる製品最終更新日: 20190607

デスクトップCPU搭載15.6型ノートパソコン レビュー!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

デスクトップCPU搭載ノートパソコン(以下、ノートPC)は、15.6型サイズでありながらデスクトップパソコン(以下、デスクトップPC)とほぼ変わらない性能を有し、場所を選ばず快適に作業をおこなっていただくことができます。 また、本体価格も10万円程度とコストパフォーマンスに優れていることから大人気のモデルです。 今回、スペック情報やモバイルCPUとの比較、外観も含めてレビューしていきます。

デスクトップCPU搭載ノートPCのスペックを紹介

本製品の特徴は、ノートPCでありながらCPUにデスクトップ向けの第8世代インテル® Core™ プロセッサー及び、インテル® Celeron® プロセッサーを搭載し、B4サイズほどの設置面積で高度な演算処理が必要とされる作業を快適におこなえるところにあります。

通常のノートPC向けのCPUでは、バッテリー持続時間を長くし、CPUの発熱を下げるため、消費電力を抑えますが、性能もそれなりに制限されてしまいます。ところが昨今のデスクトップ向けCPUでも消費電力はノートPC向けのCPUともそこまで大きく差があるわけではなく、工夫次第ではノートPCにも搭載できるようになってきています。

以下は例として、ノートPC向け(モバイル向け)のCPUと、デスクトップ向けのCPUの比較表です。

  デスクトップ向けCPU
Core i7-8700
モバイル向けCPU
Core i7-8750H
モバイル向けCPU
Core i7-8550U
コア数 6 6 4
スレッド数 12 12 8
ベース周波数 3.20GHz 2.20GHz 1.8GHz
ターボブースト周波数 4.60GHz 4.10GHz 4.00GHz
キャッシュ 12 MB 9MB 8MB
バススピード 8GT/s DMI3 8GT/s DMI 4GT/s OPI
TDP 65W 45W (cTDP35W) 15W (cTDP25W/10W)
最大メモリサイズ 128GB 64GB 32GB
メモリの種類 DDR4-2666 DDR4-2666 / LPDDR3-2133 DDR4-2400 / LPDDR3-2133
グラフィックス インテルUHDグラフィックス630 インテルUHDグラフィックス630 インテルUHDグラフィックス620
グラフィックスベース周波数 350MHz 350MHz 300MHz
グラフィックス最大周波数 1.20GHz 1.10GHz 1.15GHz
サポートされるディスプレイ数 3 3 3
4Kサポート
PCI Expressレーン数 16 16 12
PASSMARK CPUスコア 12277 11309 8465

モバイル向けCPUと、デスクトップ向けCPUのスペック比較表

デバイスマネージャーでデスクトップ向けCPUを確認デバイスマネージャーでデスクトップ向けCPUを確認

CPUの処理性能が必要だが、デスクトップPCでは大きすぎる場合や、既にデスクトップPCをお使いの方でサブ機用にもう一台パソコンが必要な方などに大変おすすめのノートPCです。それではここから本製品の仕様を見ていきます。

デスクスペースを有効活用できる15.6型サイズ

外観と内部
シンプルなデザインの天面には標準でiiyamaのロゴが施されています。BTOオプション選択で「天板ロゴ(iiyama)なし」もご選択いただけますので、そのまま無地で使うことも、自由にデコレーションすることもできます。

天面天面

底面の各所に本体内部の熱を逃がすための通気口が設けられています。底面カバーを外すとCPUソケット、メモリソケット、ストレージベイにアクセスすることが可能です。ご購入後のアップグレードについては、パソコン工房店頭もしくはサポートセンターへのお持ち込みで有償によるアップグレードも可能です。

底面底面

対応するデスクトップ向けCPUはTDPが65WまでのCore i7-8700、Core i5-8400、Core i3-8100、Celeron G4900です。メモリは最大32GBまでアップグレードできます。ストレージは2.5inch シャドウベイが1つとM.2スロットが1つでツインドライブ構成も可能です。

本体内部本体内部

CPUソケットCPUソケット

デスクトップ向けCPUを搭載することによる発熱については、優れた排熱設計の本体構造となっており、通気口も底面及び背面と側面に設けていますので、熱によるパフォーマンスの低下が抑えられています。

背面の通気口背面の通気口

側面の通気口側面の通気口

液晶パネルを開いた状態では、パームレスト部分が広く設けられており、キーボード入力、タッチパッドの操作も快適におこなえるデザインとなっています。

液晶パネルを開いた状態液晶パネルを開いた状態

液晶パネルを開いた横からの様子液晶パネルを開いた横からの様子

ディスプレイ
ディスプレイには15.6型で1920×1080ドットの高解像度フルHDノングレア(非光沢)液晶を搭載。精細なドットピッチで写真や動画なども鮮明に美しく表現します。ディスプレイの上部中央には100万画素のWebカメラを搭載していますので、外部カメラを接続することなく、ビデオ通話をおこなうことが可能です。

15.6型フルHDディスプレイ15.6型フルHDディスプレイ

100万画素のWebカメラ100万画素のWebカメラ

キーボード
キーボードは日本語配列で隣接するキーの間に隙間が空いているアイソレーションタイプのレイアウトになっていますので、キー入力の際のミスタッチを軽減します。また、テンキーを標準搭載していますので、表計算、会計ソフトなどでの数字入力も快適におこなえます。

キーボードキーボード

タッチパッド
タッチパッドは面積が広く、ジェスチャー操作にも対応しています。左右のクリックボタンはタッチパッドと分離しており、正確なクリックがおこなえます。

タッチパッドタッチパッド

電源ボタンはキーボードの右上に設けられていますので、液晶パネルを閉じた状態であれば移動中でも誤って電源を入れてしまうことはありません。

電源ボタン電源ボタン

インターフェイス
左側面にアナログRGBポート、HDMIポート、USB 3.0 (Type-C)ポート、USB 3.0ポート、USB 2.0ポート が設けられ、HDMI端子経由であれば4K-UHD(3,840×2,160ドット 30Hz)で外部モニターに出力することが可能です。D-Sub、HDMIと本体のディスプレイを合わせて最大3画面での映像出力が可能です。

USB Type-Cポートは通常のUSB機能のみ※となりますが、スマートフォンやタブレットへの接続等に便利です。
※Type-Cポートからの映像出力やThunderbolt 3、USB PD等のオルタネイティブモードには対応しておりません。

左側面左側面

右側面にはSDXCに対応するSDカードスロット、ヘッドホンジャック、マイクジャック、USB 2.0ポート、Gigabit対応LANポート、ACアダプタ接続ポートが設けられています。

右側面右側面

付属するバッテリーは脱着式となっています。
※バッテリー接続端子の隣にSIMカードスロットが見えますが、使用することはできませんのでご注意ください。

バッテリーバッテリー

ACアダプタも場所を取らない大きさなので、本体と合わせてデスクに設置してもデスクスペースを占領することはありません。

ACアダプタと電源ケーブルを繋げた様子ACアダプタと電源ケーブルを繋げた様子

モバイルCPU搭載15.6型ノートPCとサイズを比較

iiyamaPCで人気のモバイルCPU搭載15.6型ノートPC「STYLE-15HP038-C-CES-D [Windows 10 Home](天板ロゴなし)」と実際に並べてサイズの比較をしてみました。

本体サイズは約幅378mm×奥行252mm×高さ36mmで、幅と奥行きは比較したモバイル向けCPUを搭載する15.6型ノートPC(約幅379mm×奥行257mm×高さ31mm)とほぼ変わらないものの、デスクトップ向けCPUを搭載するモデルでは、内部にデスクトップ向けCPUのソケットを設けている分、本体に5mm程度の高さがあります。

幅の比較(手前:デスクトップCPU搭載ノート、奥:モバイルCPU搭載ノート)幅の比較(手前:デスクトップCPU搭載ノート、奥:モバイルCPU搭載ノート)

奥行きの比較(左:モバイルCPU搭載ノート、右:デスクトップCPU搭載ノート)奥行きの比較(左:モバイルCPU搭載ノート、右:デスクトップCPU搭載ノート)

液晶パネルを閉じた状態、開いた状態でもモバイル向けCPUを搭載する同サイズのノートPCと比べて少し高く感じますが、極めて省スペースな環境でデスクトップPCとほぼ変わらない作業効率を実現できる点が最大の魅力です。

高さの比較(左:デスクトップCPU搭載ノート、右:モバイルCPU搭載ノート)高さの比較(左:デスクトップCPU搭載ノート、右:モバイルCPU搭載ノート)

液晶パネルを開いた状態(左:デスクトップCPU搭載ノート、右:モバイルCPU搭載ノート)液晶パネルを開いた状態(左:デスクトップCPU搭載ノート、右:モバイルCPU搭載ノート)

デスクトップCPUとモバイルCPUの性能を比較検証

デスクトップ向けCPUの性能を検証するため、ベンチマークソフトと動画編集ソフトを用いて、モバイル向けCPUを搭載した15.6型ノートPCと比較をおこないました。

検証に用いた構成は、以下となります。

CPU Core i7-8700
Core i5-8400
Core i3-8100
Celeron G4900
チップセット インテル(R) H310 チップセット
メインメモリ DDR4-2666 8GB (8GB x1)
グラフィックス インテル UHD グラフィックス 630(Celeronの場合 インテル UHD グラフィックス 610)
ストレージ 240GB SSD
OS Windows 10 Home 64bit

検証に使用した構成

モバイル向けCPU(Core i7-8750H、Core i7-8550U、Core i5-8250U)搭載モデルもメモリ容量、ストレージ容量共に同条件で検証いたしました。

演算処理性能の比較:PassMark

まずはCPUの全体的な性能を数値化するPassMarkの『CPU Benchmarks』を用いて、CPUの演算性能を比較してみました。

演算処理性能の比較:PassMark演算処理性能の比較:PassMark

注目は、デスクトップ向けCore i5-8400のスコアがモバイル向けCore i7-8750Hに迫る性能であるところと、デスクトップ向けCore i3-8100がモバイル向けCore i5-8250U以上の性能を発揮しているところです。

Core i5-8400とCore i7-8750Hでは、どちらも6コア同士であるものの、Core i5-8400の動作周波数は2.80 – 4.00 GHzなのに対し、Core i7-8750Hの動作周波数は2.20 – 4.10 GHzで、最大動作周波数やスレッド数に違いがあることから、Core i7-8750Hのほうがスコア的に高い結果が出たと推測されます。

しかし、デスクトップ向けCore i3-8100とCore i5-8400は、どちらもモバイル向けCPUと比較した場合にCoreプロセッサシリーズの中でワンランク高い性能に位置づけられる結果から、デスクトップ向けCPUの高さが伺えます。

エンコード時間の比較:TMPGEnc

続いて同じ条件(構成)で、動画編集ソフトのTMPGEnc Mastering Works 6を用いて、MP4ファイル(3840×2160 30fps 30秒 H.264/AVC)をH.265/HEVC形式へエンコードした際の経過時間を測定してみました。棒グラフの短い方がより高速に処理を行っている事になります。(※単位は 秒 です)

エンコード時間の比較:TMPGEncエンコード時間の比較:TMPGEnc

モバイル向けCore i7-8550UとCore i5-8250Uがエンコードにかかった時間と比べ、デスクトップ向けCore i3-8100が1分以上も早くエンコードを終えた結果となりました。

モバイル向けCPUと比べ、コア単体の処理性能が高いデスクトップ向けCPUのほうがTMPGEnc Mastering Works 6 のエンコード処理において有効的に働き、このことからもCore i3-8100を搭載したモデルのコストパフォーマンスの高さが伺えました。

オフィスワークに最適なデスクトップCeleron搭載ノートPCも登場

上記でご紹介いたしました基本性能はそのままに、文章作成、会計・グラフの作成、プレゼンテーション資料の作成など、オフィスワークで活躍するデスクトップ向けCeleron G4900を搭載したモデルも登場いたしました。

デスクトップ向けのG4900とノート向け3867U共に2コア / 2スレッドのCPUですが、ベース周波数やバススピードが異なりますので、その結果、演算性能に差がでます。

デスクトップ向けCPU
Celeron G4900
モバイル向けCPU
Celeron 3867U
コア数 2
スレッド数 2
ベース周波数 3.10 GHz 1.80 GHz
キャッシュ 2 MB
バススピード 8 GT/s DMI3 4 GT/s OPI
TDP 54 W 15 W
最大メモリサイズ 64 GB 32 GB
メモリの種類 DDR4-2400 DDR4-2133, LPDDR3-1866, DDR3L-1600
グラフィックス Celeron G4900:インテル UHD グラフィックス 610 
Celeron 3867U:インテル HD グラフィックス 610
グラフィックスベース周波数 350 MHz 300 MHz
グラフィックス最大周波数 1.05 GHz 900 MHz
サポートされるディスプレイ数 3
4Kサポート
PCI Expressレーン数 16 12

モバイル向けのCPUと、デスクトップ向けのCPUのスペック比較表

PassMarkでCPUスコアを比較した場合でもデスクトップ向けCeleronを搭載したモデルは、モバイル向けCeleronを搭載したモデルよりも、38%もパワフルな性能を実現。データ量の多いファイルを扱う際にもCPUにかかる負荷が少なく、デスクワークも快適におこなうことができます。

演算処理性能の比較:PassMark演算処理性能の比較:PassMark

加えて、1920×1080ドットの高解像度フルHDに対応した液晶ディスプレイを備えていますので、細かなグラフや文章も見やすくなっています。また、ストレージには2.5inch SSDよりも高速な240GBのM.2 SSDが搭載されており、データ管理も軽快におこなえます。

デスクトップ環境での作業を補えるコストパフォーマンスに優れたノートPC

このことから、今回ご紹介させていただきましたデスクトップCPU搭載ノートPCは、モバイルCPU搭載ノートPCより本体サイズが若干大きくなってしまうものの、15.6型のノートPCでデスクトップPCとほぼ変わらない性能を発揮してくれることがわかりました。

決められた(限られた)作業環境以外でも活躍できる本製品は、モビリティよりもパフォーマンスを重視するユーザーにおすすめです!

ライタープロフィール 職人7号

360度どこからみても凡人、職人番号ラッキー7!職人7号です。主に写真撮影、動画編集を担当。パソコン工房ECサイトのBTOPCや自作パーツ等ひろく手掛ける。店舗部門出身。

記事を
シェア