

【9/30 20時更新】Ryzen 9 7950Xのベンチマーク情報を追加しました!
2022年8月30日に発表されたAMD Ryzen 7000 シリーズ・プロセッサーは、CPUソケットを今までのAM4からAM5に変更するなど、プラットフォームから一新した新世代のAMD Ryzen デスクトップ・プロセッサーです。
本記事では、新たなる最上位モデルRyzen 9 7950Xがどれほどの性能を持つのか、ベンチマークテストを試していきます。
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Zen 4アーキテクチャー採用のRyzen 7000シリーズ・デスクトップ・プロセッサー 発売開始!
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Ryzen 9・Ryzen 7・Ryzen 5から4モデルが登場
Ryzen 9 7950X、Ryzen 9 7900X、Ryzen 7 7700X、Ryzen 5 7600Xの4製品が発売されました。コア/スレッド数や動作クロック、TDPの他、対応ソケットやチップセットについても明らかとなっています。 現時点で判明している、AMD Ryzen 7000シリーズ・デスクトップ・プロセッサーのスペックは以下の通りです。
Ryzen 9 7950X | Ryzen 9 7900X | Ryzen 7 7700X | Ryzen 5 7600X | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
製造プロセス | 5nm | ||||||
コア/スレッド | 16/32 | 12/24 | 8/16 | 6/12 | |||
動作クロック | 4.5GHz | 4.7GHz | 4.5GHz | 4.7GHz | |||
最大ブースト・クロック | 5.7GHz | 5.6GHz | 5.4GHz | 5.3GHz | |||
キャッシュメモリ | L2 | 16MB | 12MB | 8MB | 6MB | ||
L3 | 64MB | 32MB | |||||
対応メモリ | DDR5-5200 | ||||||
TDP | 170W | 105W | |||||
GPU | 搭載 | ||||||
対応ソケット | AM5 | ||||||
対応チップセット | AMD 600シリーズチップセット |
~AMD Ryzen 7000シリーズ スペック一覧~
Ryzen 9 7950X ベンチマーク情報
それでは、Ryzenデスクトップ・プロセッサーの新たなる最上位モデルRyzen 9 7950XのCPUベンチマークを実行していきましょう。比較対象としては、Ryzen 5000 シリーズからRyzen 9 5950X、第12世代インテル Core プロセッサーからCore i9-12900Kを用意しました。
Ryzen 9 7950X | Ryzen 9 5950X | Core i9 12900K | ||
---|---|---|---|---|
コア/スレッド | 16/32 | 16/32 | 16/24 | |
動作クロック | 基本クロック | 4.5GHz | 3.4GHz | – |
P-core | – | – | 3.2GHz | |
E-core | – | – | 2.4GHz | |
最大ブースト・クロック | 5.7GHz | 4.9GHz | – | |
TurboBoost | P-core | – | – | 5.1GHz |
E-core | – | – | 3.9GHz | |
TurboBoostMax3.0 | – | – | 5.2GHz | |
キャッシュメモリ | L2 | 16MB | 8MB | 14MB |
L3 | 64MB | 30MB | ||
メモリ | 対応メモリ | DDR5-5200 | DDR4-3200 | DDR5-4800 |
最大容量 | 128GB | |||
消費電力 | TDP | 170W | 105W | – |
基本電力 | – | – | 125W | |
最大電力 | – | – | 241W | |
内蔵GPU | Radeon Graphics | 搭載なし | Intel UHD Graphics 770 | |
64bitコード | AMD 64 | intel64 | ||
SIMD命令 | SSE | SSE4.1/4.2 | ||
AVX | AVX512 | AVX2 | AVX2 |
~CPUスペック比較一覧~
Ryzen 9 7950XはRyzen 9 5950Xと同じコア数/スレッド数ながら動作クロックが大きく上昇し、L2キャッシュメモリも倍増しました。対応メモリがDDR4-3200からDDR5-5200へ変更されるなど、CPU自身の強化だけでなく足回りの強化も施されています。一方で、Ryzen 9 7950XのTDPはRyzen 9 5950X の105Wから170Wへ大幅に引き上げられており、冷却性能には今まで以上に注意を払う必要が有りそうです。
また、Ryzen 7000シリーズ・デスクトップ・プロセッサーは従来モデルよりも厚みが増しており、SocketAM4用リテンションのままではCPUクーラーが取り付けられない可能性が有りますので、注意して下さい。
それでは、Ryzen 9 7950Xの実力をベンチマークを通して見ていきたいと思います。
なお、ベンチマークを行うにあたり、Ryzen 9 7950XとCore i9-12900KのメモリはDDR5-4800、Ryzen 9 5950XのメモリはDDR4-3200となっています。また、Ryzen 9 7950Xは事前のテスト用のBIOS(AGESA1001G)、ドライバーを使用しているため、今後のアップデートによりさらに性能向上する可能性があります。
※検証時の構成については記事最後尾に記載しております。
Passmark PerformanceTest
まずはCPUの全体的な性能を数値化するPassmarkの『CPU Benchmarks』を用いて、CPUの総合的な演算性能を見てみましょう。なおテストに使用したソフトウェアはPassMark 9となります。
Ryzen 9 7950Xは、Ryzen 9 5950XやCore i9-12900Kに対して30%以上もスコアが向上、圧倒的な性能を見せてくれました。13%向上したというIPCが最も端的に表れるシングルスレッド性能について見てみると、Ryzen 9 5950Xに対して20%も向上しており、Core i9-12900Kに肉薄する性能となっています。
3D Mark CPU test
次いで、3D Mark「Fire Strike / Physics Score」と「Time Spy / CPU Score」を用いて、CPUの演算性能を見ていきます。「Fire Strike / Physics Score」「Time Spy / CPU Score」共に、CPUに物理演算をさせてその処理速度を数値化したもので、CGレンダリングや動画のエンコードと同じくCPUのコア数やスレッド数の多さが有利に働くテストです。なおベンチマークテストには共に4K解像度(3840×2160)のFire Strike UltraとTime Spy Extremeを使用しています。
Ryzen 9 7950Xは、Fire Strikeで Ryzen 9 5950XやCore i9-12900Kに対して20%以上程度スコアが向上し、Time Spyでは Ryzen 9 5950XやCore i9-12900Kに対して30%以上スコアが向上しました。3Dアプリの演算処理においても高いポテンシャルを持っていることが確認出来ます。
3D Markの最後に、純粋にCPU性能のみを評価する「CPU Profile」を用いて、CPUの全ポテンシャルを示す「最大スレッド(Max Threads)」のスコアで比較してみましょう。
PassmarkのCPU MarkやTime Spyに近い形となり、Ryzen 9 7950Xは Ryzen 9 5950XやCore i9-12900Kに対して30%以上スコアが向上しています。Ryzen 9 7950Xの演算性能が優れていることを再確認する事となりました。
TMPGEnc Mastering Works 6
続いて、動画編集ソフトのTMPGEnc Mastering Works 6を用いて、QuickTimeファイル(3840x2160/2分50秒)をh.265に変換するのに要した時間(単位:秒)を測定しました。グラフの短い方がより高速に処理を行っている事になります。
TMPGEnc Mastering Works 6においても、PassmarkのCPU Markや3D MarkのTime Spyと似たものとなっています。Ryzen 9 7950Xは Ryzen 9 5950XやCore i9-12900Kに対して30%以上(時間にして80秒ほど) 処理時間が短縮されています。Ryzen 7000シリーズはAVX512に対応しているため、AVX512対応のアプリケーションであれば、より性能差が広がるのではないかと思われます。
内蔵グラフィックス性能
最後に、Ryzen 7000シリーズ・プロセッサーに搭載されたグラフィックスコアについて、Ryzen 9 7950Xを用いてどの程度の3D性能なのかを見てみましょう。
使用するのは最もオーソドックスな3D Mark Fire Strikeです。比較用として、以前に取得したRyzen 7 5700Gのベンチマークスコアを参考値として併記しています。なお、Ryzen 7 5700Gのベンチマークスコアは以前にWindows 10環境で取得していたスコアとなりますので、比較用の参考となります。
さすがにグラフィックス性能が売りのRyzen 7 5700Gの半分程度のスコアに留まりました。RDNA2アーキテクチャーのグラフィックスコアを内蔵したとはいえ、3Dグラフィックス性能が必要な場合は外部グラフィックスカードを増設するか、Ryzen 5000Gシリーズ・プロセッサーを選択した方が良さそうです。
とはいえ、CPUに標準でグラフィックス内蔵となったことにより、外部グラフィックスカードの故障時やトラブルシュートの際に予備のグラフィックスカードを持つ必要もなく、また、CPU処理性能が必要でグラフィックス性能があまり必要でない2D CADなどの用途においては非常に頼もしい存在となるのは間違いないでしょう。さらにRDNA2アーキテクチャーで対応するハードウェアエンコードやデコード機能も対応しており、H.265のエンコードやAV1のデコードなどを使用できるという点も非常に大きなメリットとなるでしょう
ハイエンドモデルの性能を一新するRyzen 9 7950X
Ryzen 9 7950Xは、2020年11月6日から発売開始されたRyzen 9 5950Xから約2年ぶりに更新されたデスクトップ向けプロセッサーの最上位モデルとなります。ほぼ全てのCPUベンチマークでRyzen 9 5950Xからおおよそ30%も性能が向上しており、待たされただけの性能向上が確認出来ました。Ryzen 9 5950XではCorei9-12900Kに及ばなかったシングルスレッド性能においても肉薄しており、マルチスレッド性能だけでなくシングルスレッド性能においても最上位モデルに相応しい性能となっています。
一方、CPU性能が大きく向上した反動で、CPUの発熱も非常に大きなものとなっています。テスト環境で使用した36cm(12cm x3)水冷クーラーの場合、Ryzen 9 5950Xでは70℃以内で収まっていた動作温度が、Ryzen 9 7950Xでは最高で90℃以上となっており、CPUクーラーには応分の注意を払う必要が有りそうです。
とはいえ、従来の最上位モデルであるRyzen 9 5950XやCore i9-12900Kを大幅に上回る性能は、それだけでも十分に魅力的な存在。マザーボードやメモリだけでなく、場合によってはCPUクーラーの変更まで必要となりますが、それに見合うだけの性能は十分に有していると言えるでしょう。
今回のベンチマークレビューでは、主にCPUや内蔵GPUの性能を計測いたしましたが、これらの結果には表れにくい、DDR5-5200への対応や、PCI-Express 5.0への対応、多くのUSBポートなど強力な足回りも魅力を高めるポイントとなります。Ryzen 7000シリーズを使用して新たな環境で新しいハイエンドPCを迎えてみてはどうでしょう。
CPU | Ryzen 9 7950X | Ryzen 9 5950X | Core i9-12900K |
---|---|---|---|
マザーボード | ASUS PRIME X670E-PRO WIFI |
ASUS PRIME X570-PRO |
ASUS PRIME Z690-P |
メインメモリ | DDR5-4800 32GB (16GB x2) |
DDR4-3200 32GB (16GB x2) |
DDR5-4800 32GB (16GB x2) |
グラフィックス | GeForce RTX 3070 Ti (ビデオメモリ 8GB) | ||
ストレージ | Samsung 980 PRO 1TB (MZ-V8P1T0B) PCIe Gen 4.0 M.2 NVMe SSD | ||
電源 | Seasonic SSR-1000GD (80PLUS Gold、1000W) | ||
OS | Windows 11 Home 64bit (バージョン:21H2) | ||
ビデオドライバ | GeForce Game Ready Driver Ver 512.16 |
~テスト環境~

Windows2000登場前からほぼ一貫してPC製造部門に従事。PC組立はもちろん、OSイメージの作成や製造時のトラブルシュートを行う。 その経験を生かしてOSの基本情報や資料室を担当する事が多い。