本記事では、3D V-Cacheを搭載したRyzen 7000X3Dシリーズのスペック情報をまとめておりますので、是非ご覧ください。

気になる製品最終更新日: 20230703

AMD Ryzen 7000X3Dシリーズ 発売情報・ベンチマークレビュー

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【7月3日】Ryzen 7000X3Dシリーズのベンチマーク記事を追加いたしました。
2023年3月3日に発売されたAMD Ryzen 7950X3D/7900X3D、そして4月14日に発売されたRyzen 7 7800X3Dは、AMD 3D V-Cache テクノロジーによる大容量キャッシュメモリーをオンチップで搭載したプロセッサーです。
本記事では、ゲーミング・プロセッサーをうたうRyzen 7000X3Dシリーズの3製品がどれほどの性能を持つのか、ベンチマークテストを試していきます。

おすすめコスパパソコンに注目!

パソコン工房では、コスパ重視でセレクトしたパーツを搭載したおすすめコスパパソコンを多数ご用意しております。
おすすめコスパパソコンのラインナップは随時追加されますので、お買い逃がしのないようぜひチェックしてください!
更にパソコン工房では、ただいまパソコン工房WEB会員またはビジネスご優待会員の方を対象にBTOパソコンを送料無料でお届けしておりますので、この機会にぜひお買い物をお楽しみください。

Ryzen 7000X3Dシリーズ 発売開始!

Ryzen 7000X3Dシリーズ単体パーツについて、パソコン工房での発売を開始いたしました。詳細は特集ページをご覧ください。

AMD Ryzen プロセッサー | 価格・性能・比較を見る

Ryzen 7000X3Dシリーズ について

AMD Ryzen 7000X3D ゲーミング・プロセッサーは、AMD 3D V-Cache テクノロジーにより最大で144MBの大容量キャッシュメモリーをオンチップで搭載したAMD Ryzen 7000 シリーズ・プロセッサーです。
ゲーミングパフォーマンスを大きく向上させる大容量のキャッシュメモリーと、ハイパフォーマンスなAMD Ryzen 7000 シリーズ・プロセッサーの組み合わせにより、最新のゲームタイトルでもパワフルなゲーミングパフォーマンスを実現します。

Ryzen 7000X3Dシリーズ ベンチマーク情報

早速ですが、Ryzen 7000X3Dシリーズのベンチマークテストを実行していきましょう。今回はCPU自身の演算性能を見る演算性能編と、ゲーミング性能を見るゲーミング性能編に分けて、それぞれベンチマークを行っています。
比較対象は、通常のRyzen 7000 シリーズからRyzen 9 7950X、第13世代インテル Core プロセッサーからCore i9-13900Kを用意しました。

Ryzen 9 7950X3D Ryzen 9 7950X Ryzen 9 7900X3D Ryzen 7 7800X3D Core i9-
13900K
コア / スレッド 16/32 12/24 8/16 24/32
動作クロック 4.2GHz 4.5GHz 4.4GHz 4.2GHz 3.0GHz
最大
ブースト・クロック
5.7GHz 5.6GHz 5.0GHz 5.8GHz
キャッシュ L2 16MB 12MB 8MB 32MB
L3 64MB 32MB 36MB
3D V-Cache 64MB 64MB
対応メモリ DDR5-5200 DDR5-5600
最大容量 128GB
消費電力 TDP 120W 170W 120W 125W
PPT 162W 230W 162W
最大ターボパワー 253W
内蔵GPU Radeon Graphics Intel UHD
Graphics 770
64bitコード AMD64 Intel64
SIMD命令 SSE SSE4.1/4.2
AVX AVX512 AVX2

CPUスペック比較一覧

なお、Ryzen 7000X3Dシリーズを正しく使用するためには、『AGESA ComboAM5 1.0.0.5c』以上のバージョンに対応した「BIOS」と「AMDチップセットドライバー」が必要となりますのであらかじめ入手しておきましょう。
Ryzen 7000シリーズからRyzen 7000X3Dシリーズに換装した場合、デバイスマネージャー上に「不明なデバイス」が一つ認識されます。この不明なデバイスこそが、3D V-Cacheを効果的に活用するためのキーデバイスであり、これに対応した物が「AMD 3D V-Cache パフォーマンス・オプティマイザードライバー」です。このドライバーをインストールすると、『AMD 3D V-Cache パフォーマンス・オプティマイザー』が組み込まれます。
なお、「AMD 3D V-Cache パフォーマンス・オプティマイザードライバー」はRyzen 7000シリーズ環境で『AGESA ComboAM5 1.0.0.5c』対応ドライバーをインストールしても、インストール画面に存在しません。Ryzen 7000X3Dシリーズを搭載して初めてインストールされる、Ryzen 7000X3Dシリーズ専用のドライバーとなっています。

デバイスマネージャーで表示の「不明なデバイス」デバイスマネージャーで表示の「不明なデバイス」

AMD 3D V-Cache パフォーマンス・オプティマイザードライバーの選択項目AMD 3D V-Cache パフォーマンス・オプティマイザードライバーの選択項目

デバイスマネージャーで認識されたAMD 3D V-Cache パフォーマンス・オプティマイザーデバイスマネージャーで認識されたAMD 3D V-Cache パフォーマンス・オプティマイザー

それでは、Ryzen 7000X3Dシリーズの実力をベンチマークを通して見ていきたいと思います。
※検証時の構成については記事最後尾に記載しております。

Ryzen 7000X3Dシリーズの演算性能

PassMark PerformanceTest

まずはCPUの全体的な性能を数値化するPassMarkの『CPU Benchmarks』を用いて、CPUの総合的な演算性能を見てみましょう。なおテストに使用したソフトウェアはPassMark 9となります。

~PassMark CPU Mark~~PassMark CPU Mark~

Ryzen 9 7950X3Dが動作クロックの高いRyzen 9 7950Xを上回るスコアを示しました。Ryzen 9 7950X3D とRyzen 9 7950X は同じアーキテクチャーで同一のコア数/スレッド数のため、TDP上限が高く、動作クロックの高いRyzen 9 7950X の方が有利なはずです。
その要因を探るべく個別のテスト項目ごとに見てみると、Ryzen 9 7950X3DがRyzen 9 7950Xを上回っていたのは「素数演算」と「物理演算」の2つで、その他の項目ではRyzen 9 7950XがRyzen 9 7950X3Dを上回りました。下に「整数演算」と「物理演算」のグラフを表示しますが、「物理演算」はRyzen 7 7800X3Dでさえ、圧倒的多コアのRyzen 9 7950XやCore i9-13900Kを上回っており、L3キャッシュ容量やメモリ性能の差が結果に表れやすいテストだと言えそうです。

~PassMark 整数演算~~PassMark 整数演算~

~PassMark 物理演算~~PassMark 物理演算~

3DMark CPU Profile

次に、純粋にCPU性能のみを評価する3DMark「CPU Profile」を用いて、CPUの全ポテンシャルを示す「最大スレッド(Max Threads)」のスコアを比較してみましょう。

~3DMark CPU Profile~~3DMark CPU Profile~

Ryzen 9 7950X3DのスコアはRyzen 9 7950X を下回りました。TDPが120Wとなることや、最大温度が89℃となることなどのため動作クロックが伸びにくく、シンプルにCPUの演算性能だけを切り出して見てしまうと、全部のコアで動作する際の動作クロックが相対的に低くなるRyzen 7000X3Dシリーズにとっては不利に働いてしまうようです。
グラフィックスカードでの動作を含めたベンチマークでは逆に高いスコアを示しますがこちらは後述いたします。

TMPGEnc Mastering Works 6

続いて、動画編集ソフトのTMPGEnc Mastering Works 6を用いて、QuickTimeファイル(3840x2160/2分50秒)をh.265に変換するのに要した時間(単位:秒)を測定しました。グラフの短い方がより高速に処理を行っている事になります。

~TMPGEnc~~TMPGEnc~

TMPGEnc Mastering Works 6は、Ryzen 9 7950Xが最も早くなりました。なお、Ryzen 9 7950X3D、Core i9-13900Kとの差は数秒であり、3DMarkのCPU Profileほどの差はなく三つ巴といった感があります。

次はゲーミング性能について見ていきましょう。テスト解像度はフルHD(1920 x 1080)、WQHD(2560 x 1440)、4K(3840 x 2160) にて行っています。またResizable BARおよびNVIDIA DLSSは共に有効となっています。

Ryzen 7000X3Dシリーズのゲーミング性能

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークです。テスト環境設定は高品質・フルスクリーンとなります。

~FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークスコア~~FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークスコア~

Ryzen 7000X3Dシリーズがゲーミング・プロセッサーの片鱗を見せています。「7950」の2種類を比較すると、GPUがボトルネックになり難い低解像度ほどRyzen 9 7950X3Dが強くなっているのが分かります。さらにフルHD解像度では、Ryzen 7 7800X3Dが最も高いスコアを示しています。

ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ

次に、ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークです。テスト環境設定は最高品質・DirectX 11・フルスクリーンとなります。ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレについては、ベンチマークテストの詳細で平均fps(フレームレート)も確認できるので、合わせて掲示します。

~ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク スコア~~ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク スコア~

~ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク フレームレート~~ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク フレームレート~

Ryzen 9 7000X3Dシリーズが、ゲーミング・プロセッサーの真価を発揮しました。ベンチマークスコアだけでなく、フレームレートでもRyzen 9 7950Xから大きな伸びを見せています。そしてRyzen 7 7800X3DがフルHDだけでなく4K解像度までも非常に高いパフォーマンスを発揮している点が目を引きます。高解像度でもGPUがボトルネックになりにくいゲームではその真価を発揮しているといえるでしょう。

エントリーモデルRyzen 7 7800X3Dのスコアが高い理由

今回のFF15・FF14ベンチマーク結果を見て、Ryzen 7000X3DシリーズではエントリーモデルであるRyzen 7 7800X3Dのスコアが、上位モデルより高いことが多い点に疑問を持った人もいるかもしれません。もちろんこれには理由があります。
Ryzen 9 7950X3D/7900X3Dは物理コアがそれぞれ16、12あり、内部構造は、8コア分が3D V-Cacheを搭載するCCD0、それ以外が3D V-Cacheを搭載しない、いわゆる通常のRyzen 7000シリーズと同じCCD1コアという、2コア構成となっています。

~Ryzen~Ryzen 7000シリーズCPUイメージ。図の金色の部分がCCD0、CCD1となる~

そして、Ryzen 7 7800X3Dは元が8コアCPUのため、CCD0しか搭載しません。
要約しますと、ドライバで制御されるとはいえ、Ryzen 9 7950X3D/7900X3DはCCD1も動作することがあり、CCD0のみのシンプルな組み合わせとなるRyzen 7 7800X3Dがゲームでは勝ることが多くなるわけです。
なお、ゲームに加え、配信や編集といった別作業も同時に行う場合は、各種CPUベンチマークや、TMPGEncの結果をご覧の通り、単純にコア数が少なくCCD0のみのRyzen 7 7800X3Dより、Ryzen 9 7950X3D/7900X3Dをお勧めします。

Ryzen 7000シリーズプロセッサー(Zen4アーキテクチャー)の詳しい説明については下記をご参照ください
AMD Ryzen 7000 シリーズ プロセッサー(Zen 4) とは:
https://www.pc-koubou.jp/magazine/71682

ゲーミング性能に優れたRyzen 7000X3Dシリーズ

Ryzen 7000X3Dシリーズは、AMDが「ゲーミング・プロセッサー」と謳うだけの性能を見せてくれました。
CPUの性能を測定するベンチマークでは動作クロックの低さも影響してRyzen 9 7950Xや競合に譲ることが多い結果ですが、ゲームタイトルでのベンチマークでは一変して強さを発揮しました。
また、Ryzen 7000X3Dシリーズはこれだけの性能をRyzen 9 7950XやCore i9-13900Kを下回る消費電力で実現しており、ワットパフォーマンスで見ても現時点で最もゲーム用途に相応しいと言っても差し支えはありません。
Ryzen 7000X3Dシリーズは、ゲーミングパフォーマンスを重視するユーザーの期待に応えてくれる、非常に魅力的なCPUと言えるでしょう。

Ryzen 9 7950X3D
Ryzen 9 7950X
Ryzen 9 7900X3D
Ryzen 7 7800X3D
Core i9-13900K
マザーボード ASUS
Prime X670E-PRO WIFI
ASUS
Prime X670E-PLUS
ASUS Prime Z690-P
メインメモリ DDR5-4800 32GB(16GBx2)
グラフィックスカード ZOTAC GAMING GeForce RTX 4090 Trinity OC(ZT-D40900J-10P)
ストレージ Samsung 980 PRO 1TB (MZ-V8P1T0B)
電源 Seasonic SSR-1000PD (80PLUS Platinum、1000W)
OS Windows 11 Home 64bit (バージョン:22H2)
ビデオドライバ GeForce Game Ready Driver Ver 528.49 GeForce Game Ready Driver Ver 531.79 GeForce Game Ready Driver Ver 528.49

~検証に使用した構成~

ライタープロフィール 職人13号

テクニカルライターから巡り巡ってパソコン工房にやってきました。「読みやすさ」をモットーに、文書作成やチェックを中心に担当していきます。趣味はレトロゲームの攻略動画投稿などです。

記事を
シェア