2022年5月13日に発売開始されたRadeon RX 6000シリーズの新モデルについて、ベンチマークテストを試してみました。

気になる製品最終更新日: 20220711

Radeon RX 6950 XT発売情報・ベンチマークレビュー

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2022年5月10日の夜にRadeon RX 6000シリーズの新モデルとしてRadeon RX 6950 XT、Radeon RX 6750 XT、Radeon RX 6650 XTが発表され、5月13日より販売開始されました。Radeon RX 6000シリーズの新モデルは、既存モデルの上位版としてラインナップに追加されたリフレッシュモデルとなっており、型番表記の末尾が00から50となりました(以下、Radeon RX 6x50シリーズと表記)。今回はこのRadeon RX 6950 XT、Radeon RX 6750 XT、Radeon RX 6650 XT について、ベンチマークテストを試していきます。

Radeon RX 6x50シリーズについて

Radeon RX 6950 XT、Radeon RX 6750 XT、Radeon RX 6650 XTは、いずれのモデルも既存のモデルに対して動作クロックとメモリクロックを向上させました。
メモリバス幅に変更はないものの、メモリクロックの上昇により、メモリバス帯域幅が拡大となっています。メモリ容量や、Infinity Cacheの容量変更も演算基となるStream Processor数やRay Accelerators数も変更はなく動作クロックとメモリクロックの向上による性能強化が主な変更点となります。

特にメモリバス帯域幅の拡大は高解像度での動作時にこそ効果を発揮するため、より上位のRadeon RX 6950 XTとRadeon RX 6750 XTがRadeon RX 6650 XTよりも高速なメモリを採用している事は合点が行きます。

Radeon RX 6x50シリーズのベンチマーク情報

それでは、Radeon RX 6x50シリーズについてベンチマークを実行していきましょう。比較対象としては、Radeon RX 6000 シリーズからRadeon RX 6900 XT ・Radeon RX 6700 XT ・Radeon RX 6600 XTを、GeForce RTX 30シリーズよりGeForce RTX 3090 ・GeForce RTX 3070 ・GeForce RTX 3060を用意しました。

Radeon
RX 6950 XT
Radeon
RX 6900 XT
Radeon
RX 6750 XT
Radeon
RX 6700 XT
Radeon
RX 6650 XT
Radeon
RX 6600 XT
アーキテクチャー RDNA 2
GPUコア Navi 21 Navi 22 Navi 23
製造プロセス 7nm
Stream Processor 5120基 2560基 2048基
Ray Accelerators 80基 40基 32基
ゲームクロック 2100MHz 2015MHz 2495MHz 2424MHz 2410MHz 2359MHz
ブーストクロック 2310MHz 2250MHz 2600MHz 2581MHz 2635MHz 2589MHz
FLOPS(FP32) 23.65TFLOPS 23.04TFLOPS 13.31TFLOPS 13.21TFLOPS 10.79TFLOPS 10.60TFLOPS
メモリタイプ GDDR6
メモリ容量 16GB 12GB 8GB
メモリクロック 18Gbps 16Gbps 18Gbps 16Gbps 17.5Gbps 16Gbps
メモリバス幅 256bit 192bit 128bit
メモリバス帯域幅 576GB/s 512GB/s 432GB/s 384GB/s 280GB/s 256GB/s
Infinity Cache 128MB 96MB 32MB
TBP 335W 300W 250W 230W 180W 160W
推奨電源 850W 650W 500W

~スペック比較一覧~

※Balance設定時の動作クロックとなります

ベンチマークテストで使用する解像度はWQHD(2560 x 1440)と4K(3840 x 2160)にて行っています。また、3D Markでは、CPU性能の依存度が少ないGraphics Scoreでの比較となります。
なお、今回使用したグラフィックスカードのうち、Radeon RX 6900 XTとGeForce RTX 3070以外の7モデルはOCモデルとなっており、標準クロック動作の物よりもベンチマークスコアは高くなっている可能性が有ります。
※ベンチマークテストで用いた構成は末尾に記載しています

コアクロックとメモリクロックの向上がどの程度影響するのか、ベンチマークを通して見ていきたいと思います。

3D Mark 「Fire Strike」

まずは、DirectX 11 の代表的ベンチマークとして、3D Mark 「Fire Strike」 のGraphics Score を見てみましょう。テスト解像度は、WQHD のFire Strike Extremeと4KのFire Strike Ultraとなります。

3D Mark Fire Strike_2560

3D Mark Fire Strike_3840~3D Mark Fire Strike~

Radeon RX 6950 XTがRadeon RX 6900 XTに対して10%近くスコアが向上しています。Radeon RX 6750 XTもRadeon RX 6700 XTを上回っていますが、その差はおおよそ3%程度と少しおとなしいものとなりました。一方でRadeon RX 6650 XTとRadeon RX 6600 XTは僅差に収まっており、ほぼ互角の結果となっています。 GeForce RTX 30シリーズに対しては遜色ないスコアを出しており、RDNA 2アーキテクチャーの素性の良さが表れています。

3D Mark 「Time Spy」

次に、DirectX 12の代表的ベンチマークとして、3D Mark 「Time Spy」 のGraphics Scoreを見てみましょう。テスト解像度は、WQHDのTime Spyと4KのTime Spy Extremeとなります。

3D Mark Time Spy_2560

3D Mark Time Spy_3840~3D Mark Time Spy~

Time SpyでもRadeon RX 6950 XTがRadeon RX 6900 XTに対して8%以上スコアが向上しており、Radeon RX 6750 XTもRadeon RX 6700 XTをおおよそ2%程度上回っています。Radeon RX 6650 XTとRadeon RX 6600 XTはTime Spyでもほぼ互角の結果となっています。4K解像度でのゲーミングをターゲットとするRadeon RX 6950 XTの方が、WQHD解像度をターゲットとするRadeon RX 6750 XTよりもGPUパワーの余力が大きく、その分メモリ帯域幅の拡大による影響が表れやすいのでしょう。一方でフルHD解像度でのゲーミングをターゲットとするRadeon RX 6650 XTでは、GPUパワーの余力があまりなく、メモリ帯域幅の拡大はベンチマークスコアにはほとんど影響していないようです。

3D Mark 「Port Royal」

続いて、リアルタイムレイトレーシング性能を計測する3D Mark「Port Royal」にて、レイトレーシング性能を見ていきましょう。Port Royalでは、いくつかあるレイトレーシングアルゴリズムのうち、レイトレーシングリフレクションを使用したものとなります。
ベンチマークスコアであるGraphics Scoreと一緒にフレームレートも計測することが出来ます。なお、解像度は標準設定のWQHDとなります。また、DLSSについては無効となっており、RTコアの性能の比較として見ていきます。

3D Mark Port Royal~3D Mark Port Royal~

3D Mark Port Royal fps~3D Mark Port Royal fps~

Time SpyでもRadeon RX 6950 XTがRadeon RX 6900 XTに対して8%以上スコアが向上しており、Radeon RX 6750 XTもRadeon RX 6700 XTをおおよそ2%程度上回っています。Radeon RX 6650 XTとRadeon RX 6600 XTはTime Spyでもほぼ互角の結果となっています。4K解像度でのゲーミングをターゲットとするRadeon RX 6950 XTの方が、WQHD解像度をターゲットとするRadeon RX 6750 XTよりもGPUパワーの余力が大きく、その分メモリ帯域幅の拡大による影響が表れやすいのでしょう。一方でフルHD解像度でのゲーミングをターゲットとするRadeon RX 6650 XTでは、GPUパワーの余力があまりなく、メモリ帯域幅の拡大はベンチマークスコアにはほとんど影響していないようです。

3D Mark 「DirectX Raytracing feature test」

3DMarkを用いたベンチマークの最後に、「DirectX Raytracing feature test」を見てみましょう。本テストはすべての画面をレイトレーシングでレンダリングすることで、より負荷の高いグラフィックスカードのレイトレーシング性能を計測できます。本記事では標準設定のSample count 数である12でテストを行いました。

3D Mark DirectX Raytracing feature test~3D Mark DirectX Raytracing feature test~

DirectX Raytracing feature test においては、新・旧のRadeon RX 6000シリーズの差が今までの半分となり、Radeon RX 6950 XTがRadeon RX 6900 XTに対しておおよそ5%スコアの向上、Radeon RX 6750 XTはRadeon RX 6700 XTに対しておおよそ1%の向上に留まっています。
画面内の影や反射のみレイトレーシング処理を行っている「Port Royal」よりも負荷が高いテストということで、よりGeForce RTX 30シリーズの強さが際立ちました。やはり現時点においては、レイトレーシング性能ではGeForce RTX 30シリーズに軍配が上がります。

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク

続いて、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークです。テスト環境設定は高品質・フルスクリーンで、テスト解像度WQHDと4Kになります。なお過去のデータと比較のため、SDR・DLSSは無効としています。

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークスコア_2560

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークスコア_3840~FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークスコア~

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークはNVIDIA GAMEWORKS対応のためGeForceシリーズに有利なベンチマークではありますが、Radeon RX 6950 XTはWQHD解像度でGeForce RTX 3090を上回り、4K解像度でもGeForce RTX 3090とほぼ同等のスコアになるなど、Radeon RX 6900 XTとは一段異なる性能を示しています。
Radeon RX 6750 XTは WQHD解像度においてGeForce RTX 3070に近いスコアを記録しており、「とても快適」な指標(9000~11999)に手が届くところまで来ています。より強力なOCモデルであればWQHD解像度で「とても快適」なゲーミングプレイを体験出来そうです。
Radeon RX 6650 XTも WQHD解像度において「快適」な指標(6000~8999)に到達しており、メインターゲットであるフルHD解像度だけでなくWQHD解像度でのゲーミングプレイも期待できそうです。

ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク

最後に、ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークです。テスト環境設定は最高品質・DirectX 11・フルスクリーンとなります。ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレについては、ベンチマークテストの詳細で平均fps(フレームレート)も確認できるので、合わせて掲示します。

暁月のフィナーレ ベンチマーク スコア_2560

暁月のフィナーレ ベンチマーク スコア_3840~ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク スコア~

暁月のフィナーレ ベンチマーク フレームレート_2560

暁月のフィナーレ ベンチマーク フレームレート~ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク フレームレート~

Radeon RX 6950 XTは、4K解像度においても「非常に快適」な動作の指標となる15000以上のスコアを記録するなど、4K解像度でのプレイにおいても十二分な性能を有していることを示しました。
Radeon RX 6750 XTはWQHD解像度では「非常に快適」な動作の指標を悠々と上回るだけでなく、4K解像度でも「快適」な動作の指標(8000~10999)と60fps以上のフレームレートを記録するなど、WQHD解像度での快適なゲーミングはもちろん、4K解像度でのゲーミングも視野に入る性能となっています。
Radeon RX 6650 XTも WQHD解像度において「非常に快適」な指標まであと一歩、フレームレートにおいても100fpsを超えるなど、WQHD解像度でも十分に快適なゲーミングプレイができそうです。

Radeon RX 6950 XTはRadeon RX 6000シリーズの最終進化系

Radeon RX 6950 XTは、Radeon RX 6900 XTとは一段異なる性能を示しており、Radeon RX 6000シリーズの最終進化系と言えるでしょう。GeForceが有利になる傾向のあるFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークやファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークでもGeForce RTX 3090と同等以上の性能を示すなど、Radeon RX 6950 XTは4Kゲーミングの頼もしいパートナーになってくれることでしょう。

Radeon RX 6750 XTはRadeon RX 6950 XTの様な派手さは無いものの、Radeon RX 6700 Xのブラッシュアップモデルとしては十分な性能だと思います。Radeon RX 6750 XTとRadeon RX 6700 XTの性能差は小さいので、値下がりしたRadeon RX 6700 XTを狙うというのも賢い選択と言えそうです。

Radeon RX 6650 XTの結果は、GPUコアの動作クロック通りのスコアに留まっています。元々がフルHD解像度でのゲーミングがメインターゲットであり、相応のスペックに絞られているためメモリ帯域幅の拡大がほとんど影響しませんでした。とはいえWQHD解像度でも十分なゲーミング性能を示すなど、そのポテンシャルは十分すぎるほどなので、純粋にRadeon RX 6600 XTの後継モデルという立ち位置は間違いないでしょう。

グラフィックスカード MSI製 RadeonRX 6950 XT
※OCモデル(ゲームクロック2244MHz)
PowerColor製
Radeon RX 6900 XT
MSI製 Radeon RX 6750 XT
※OCモデル(ゲームクロック2512MHz)
MSI製 Radeon RX 6700 XT
※OCモデル(ゲームクロック2474MHz)
MSI製 Radeon RX 6650 XT
※OCモデル(ゲームクロック2447MHz)
MSI製 Radeon RX 6600 XT
※OCモデル(ゲームクロック2413MHz)
MSI製 GeForce RTX 3090
※OCモデル(ブースト:1725MHz)
ZOTAC製 GeForce RTX 3070 ASUS製 GeForce RTX 3060
※OCモデル(ブースト:1777MHz)
CPU Core i9-12900K (16コア・24スレッド/P-core:3.2-5.2GHz、E-core:2.4-3.9GHz/TDP125W)
マザーボード ASUS Prime Z690-P
メインメモリ DDR5-4800 32GB (16GB x2)
ストレージ Samsung 980 PRO 1TB (MZ-V8P1T0B) PCIe Gen 4.0 M.2 NVMe SSD
電源 Seasonic SSR-1000GD (80PLUS Gold、1000W)
OS Windows 11Home 64bit (バージョン:21H2)
ビデオドライバ AMD Software: Adrenalin Edition 22.5.2 GeForce Game Ready Driver Ver 512.95

~検証に使用した構成~

ライタープロフィール 職人5号

Windows2000登場前からほぼ一貫してPC製造部門に従事。PC組立はもちろん、OSイメージの作成や製造時のトラブルシュートを行う。 その経験を生かしてOSの基本情報や資料室を担当する事が多い。

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