YouTubeの動画を多数のユーザーに見てもらうための知識として、「YouTube Analytics(YouTube アナリティクス)」を通してSEO対策の解説をします。執筆はWebアナリストであり、NEXMAGではGoogle Analytics 4連載でおなじみの小川卓さんです。

ITトレンド最終更新日: 20211130

YouTube SEO対策 動画再生数アップのコツを知る

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YouTubeで動画をアップロードしたら、「YouTube Analytics(YouTube アナリティクス)」を通じて動画自体の評価や改善を行いましょう。同時に必要なのは、「いかに多くのユーザーに見てもらうか」です。
そのために必要な知識として、ここではYouTube SEOに関して解説し、再生数アップにつながるコツを紹介します。執筆はWebアナリストであり、NEXMAGではGoogle Analytics 4連載でおなじみの小川卓さんです。

「YouTube SEO」とは?

YouTubeには「YouTube Analytics(YouTube アナリティクス)」という、アップロードした動画の再生状況をチェックする無料ツールが用意されています。すでに筆者が別のエントリーで活用方法を解説しています。

“YouTube Analytics解説| パソコン工房 NEXMAG”.パソコン工房 NEXMAG.2021.
https://www.pc-koubou.jp/magazine/56349

YouTube Analyticsを通じて、動画の再生や流入元などを分析し、動画自体の評価と改善を行ったら、後は動画をより多くの方に見てもらうために「YouTube SEO」を知っておくと便利です。

動画の再生数を増やすために特に大切なのが、「YouTubeにおけるSEO」という考え方です。SEOとは「Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)」の略称です。

例えばGoogleやYahoo!などで検索を行った際に、

「よりさまざまなキーワードで、自社サイトが表示される」

「表示された時に、他サイトと比較してより上位に表示される」

「リンクのタイトルや説明文などを最適化してクリック率を上げ、Webサイトへの流入数を増やす」

etc.

SEOとは、こうした改善活動を指す言葉になります。

YouTubeにも「検索」機能があり、こちらを利用して視聴したいコンテンツを探すユーザーは多いです。試しに「Google アナリティクス4」で検索すると、以下のようにコンテンツが表示されます(2021年10月時点。1位に表示されているのは筆者です)。

YouTubeでも、検索結果の上位に入れば入るほどクリック率が上がるのは検索エンジンと一緒です。

以下は、アメリカのデータ調査会社SISTRIXが公開している検索エンジンに関するデータで、2020年の検索順位ごとのクリック率を表したグラフになります。

“Why (almost) everything you knew about Google CTR is no longer valid – SISTRIX”.SISTRIX.2020.
https://www.sistrix.com/blog/why-almost-everything-you-knew-about-google-ctr-is-no-longer-valid/

このグラフは、縦軸が検索順位で、横軸がクリック率を表しています。例えば、検索10位だと2.5%のクリック率となっています。もし検索4位にできれば、クリック率が8.0%にまで上がることになります。仮にこの割合を当てはめて考えるなら、検索順位を10位から4位に上げれば、動画の再生数が3倍以上増えることになります。

そこで次に気になってくるのが、YouTubeでの検索順位の決め方です。どのように決められているのでしょうか? 動画SEOに関するコンサルティングを手がけるアメリカのBriggsbyという会社が、検索順位を決めるための重要視される項目とそのインパクトについて示したグラフを公開しています。「再生回数」をはじめ、「チャンネル登録者数」や「高評価数」「コメント数」といった項目が上位に並んでいます。

“YouTube SEO: How to Rank YouTube Videos [Study]”.Briggsby.2018.
https://www.briggsby.com/reverse-engineering-youtube-search

今回はこうした内容も参考にしながら、筆者がオススメしたいYouTubeの再生回数をアップさせるための方法やコツを順次紹介していきます。

YouTubeでの再生回数をアップさせるコツとは?

ここからは、YouTubeでの再生回数を高めるためにすべきこと、気をつけたほうが良いことについて説明します。

1 YouTubeの検索結果でヒットしてほしいキーワードを必ず動画タイトルに入れる

動画のタイトルをつける際に、必ずどういったキーワードで検索結果に表示されてほしいかを考えてみましょう。キーワードを決めるのが難しい場合は、似たような動画のタイトルを参考にしながら、キーワードを選定するといいでしょう。例えば、タイトルの終わりにキーワードを付与する方法も有効です。

例えば上の動画だと、セッション・直帰率・エンゲージメント率といったキーワードをタイトルの末尾に入れています。上のような入れ方のほか、検索対策している動画だと、「セッション/直帰率/エンゲージメント率」といったように、複数のキーワードをスラッシュで区切りながらタイトルの最後に付けるといいでしょう。

2 タイトルのメイン部分は30文字以内にする

特にスマートフォンで表示される文字数の限界から、タイトルは30文字前後を心がけ、その文字数の中で動画内容の説明要素も入れましょう。また、検索エンジンに情報を伝えるため、(スマホユーザーには検索結果画面として表示されない)30文字以上の後半部分に【調理方法・手軽・3分でできる】など、関連キーワードを入れておくこともオススメします。

3 動画の説明文に関連キーワードを追加する

動画の説明文は、ユーザーと検索エンジンが動画内容を理解する上で重要な要素です。必ず説明文は追加し、狙っているキーワードに関連するキーワードも追加しましょう。例えば「チョコレートケーキ」であれば、「チョコレートケーキ 美味しい」「チョコレートケーキ 失敗しないコツ」「チョコレートケーキ 4人前」などの文字列が、自然と説明文の中に入ってくるといいでしょう。

関連キーワードを調べるためには、「ラッコキーワード」という、無料利用可能なキーワードリサーチツールがあります。キーワードを入力したら、関連するキーワードのリストを取得できるツールですので、説明文作りの際に利用をオススメします。

“ラッコキーワード”.ラッコキーワード.
https://related-keywords.com/

4 動画の説明文でタイムスタンプ機能を有効活用する

YouTubeの説明文では、タイムスタンプ機能が利用できます。時間をクリックすると、動画の該当箇所に自動で移動するというものです。いくつかのセクションがある動画は、必ずタイムスタンプ機能を使いましょう。

画像中央部にあるのがタイムスタンプです。各セクションのタイトルをあわせて追加することで、自然と動画の重要なポイントやキーワードを説明文に盛り込むこともできます。

5 説明文のリンクは必要最低限にする

説明文に自社サイトやサービスへのリンクを追加する人は多いと思います。しかし、追加時は何でも入れるのではなく、動画にあわせて吟味することをオススメします。説明文の大半がリンクだと、「説明文」としての機能を満たせていないと判断される場合があるからです。

関連動画へのリンクを張る場合も、数多く入れるのではなく動画にあった選定を行いましょう。

6 説明文が思いつかなければ、動画の内容を書き起こす

大変な方法ですが、検索エンジンやユーザーに正しく動画の内容を案内する方法は、動画の内容そのものを書き起こして説明文に追加することです。重要なキーワードや関連キーワードも自然に伝えることができます。

7 タグを有効活用する

タグ機能を利用している動画は比較的少ないですが、動画内容を伝えるために、そしてタグを利用するユーザーからの流入を期待する上でも欠かせない機能です。管理画面でタグを追加できるので、狙っているキーワードをタグとして追加しましょう。

追加するべきタグに迷った場合は、動画を公開した後にYouTube Analyticsを使って、どういったキーワードで動画に流入しているかを確認した上で、後から追加するといいでしょう。

8 最初の5秒がすべて

視聴者維持率や再生時間は検索順位に影響を与える要素です。ユーザーが動画をどこまで見てくれるかは、最初の5秒で決まると言っていいでしょう。動画再生から5秒以内に出演者が話し始めるなど、画面に何かしらの変化を入れてください。

例えばセミナーをZoomで録画して、それをそのまま(編集せず)YouTube公開などを行っても、視聴者維持率は低くなります。これに対して、最初の5秒に簡単な編集を入れるだけでも目に見えて改善します。

上の内容は、まさにZoomの録画動画をそのまま持ってきたパターンのデータです。最初の1分過ぎで75%ものユーザーが離脱しています。こうした状況を避ける動画作りが求められます。

9 外部からの誘導や再生を狙う

YouTubeでは、再生回数がランキングに与えるもっとも大きな影響だと言われています。人気がある動画だからこそ上位に表示されるのは自然です。再生回数は、YouTube内の検索結果経由の再生回数である必要はありません。外部からの流入でも同じ扱いです。

そこで、YouTube動画への誘導をWebサイト外でも積極的に行いましょう。例えば、自社サイトやソーシャルメディア、ブログなどでもっと告知を行ってください。他にも、自社サイト内に動画を埋め込んで、Webサイト内での再生回数を上げることを意識するのもいいでしょう。

10 チャンネル登録・高評価・コメントなどのアクションを促す

チャンネル登録・高評価・コメントといった要素もすべて検索順位に影響していきます。多くの動画が動画の最後でこれらの行動を促しています。もし現時点で、自社・自分の動画で行っていないなら、必ず案内要素を入れましょう。こうした案内を入れるために、動画の高評価を促進する動画だけをあらかじめ別で用意しておいて、編集の際に映像の途中や最後に挿入することをオススメします。

上のようにチャンネル登録や高評価を促す場面を挿入するほか、概要欄を見てもらうために「詳細は動画下の概要欄から!」といった要素も加えるなど、アクションを促す工夫をしていきましょう。

11 まずは8割の高評価を目指す

検索上位10動画の平均の高評価率を調べると、約82%となっています。そこで高評価:低評価の比率は最低8:2を目指しましょう。低評価が多い動画は、必ず高い動画と比較して何が問題かを確認しましょう。問題が見つかれば、次動画以降に改善策を試しましょう。

12 動画公開から最初の数週間は上位に表示されやすくなる

公開から最初の数週間は「新規ブースト」という形で、上位に表示されやすくなります。最初の期間を上手に利用して、動画公開直後にWebサイト外で告知を行ったり、最初から説明文やタグを入れておくなどを積極的に行いましょう。新規ブーストがかかっているタイミングで、早めのチューニングを行うこともオススメします。

13 チャンネルページをうまく活用しよう

チャンネルページをおざなりにしているアカウントをよく見ます。チャンネルの説明文は必ず入れること!その際には狙っているキーワードやジャンルなども説明文に入れてください。

チャンネルに登録されている動画数は、ランキングには直接影響を与えませんが、動画の数が多ければ多いほど、チャンネル登録にはつながりやすくなります。

また、チャンネル登録数はランキングにおける重要な要素ですので、チャンネル登録を動画内で促すことも大切です。促すだけでなく、「なぜチャンネル登録するべきなのか」という理由も説明できれば、登録へのアクションにもつながりやすいでしょう。

14 チャンネルページの表示数もランキングに影響あり

チャンネルページを積極的に見てもらうために、動画内での誘導は前提として、Webサイト外からの誘導で表示を増やすチャレンジもしてみましょう。チャンネルページへの流入を促進するために、広告を出稿してみるのもいいかもしれません。また、QAフォーラムなどを活用して、回答内容を記載+動画へのリンク案内などを適切に行うのも有効です。

15 サムネイル画像の検証を行い続ける

サムネイル画像に正解はありません。仮説を立てながらサムネイル画像を作成し、その後に実際のクリック率を見ながら、定期的に自社で評価を行いましょう。例えば「画像を全面に打ち出す」「人を全面に打ち出す」「キャプションを入れて、内容をアピールする」などは、どれも正解になりえます。こればかりはテストし続けることが重要です。

例えば、キーワードでYouTube検索して表示されたサムネイルを見てみましょう。どのサムネイルだと、みなさんはクリックしたくなるでしょうか? 実際に検索して各サムネイルを確認しながら、自分がクリックしたくなるサムネイルの特徴や作り方を参考にしましょう。

以上、YouTubeでの再生数を伸ばすためのYouTube SEOについて、15項目を紹介してきました。ぜひ今回の内容を参考に、みなさんのチャンネルでも取り入れてもらえたら、改善が見込めるはずです。

ライタープロフィール 小川卓

Webアナリストとしてリクルート、サイバーエージェント、アマゾンジャパンなどで勤務後、独立。複数社の社外取締役、大学院の客員教授などを通じてWeb解析の啓発・浸透に従事。株式会社HAPPY ANALYTICS代表取締役。主な著書に『ウェブ分析論』『ウェブ分析レポーティング講座』『マンガでわかるウェブ分析』『Webサイト分析・改善の教科書』『あなたのアクセスはいつも誰かに見られている』『「やりたいこと」からパッと引ける Google アナリティクス 分析・改善のすべてがわかる本』など。

https://www.takuogawa.com/

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